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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 吉田・アチソン交換公文(日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約の署名に際し吉田内閣総理大臣とアチソン国務長官との間に交換された公文)

[場所] 
[年月日] 1951年9月8日
[出典] 日本外交主要文書・年表(1),446‐448頁.条約集第30集第6巻.
[備考] 
[全文]

合衆国国務長官から内閣総理大臣にあてた書簡

 書簡をもつて啓上いたします。本日署名された平和条約の効力発生と同時に、日本国は、「国際連合がこの憲章に従つてとるいかなる行動についてもあらゆる援助」を国際連合に与えることを要求する国際連合憲章第二条に掲げる義務を引き受けることになります。

 われわれの知るとおり、武力侵略が朝鮮に起りました。これに対して、国際連合及びその加盟国は、行動をとつています。千九百五十年七月七日の安全保障理事会決議に従つて、合衆国の下に国際連合統一司令部が設置され、総会は、千九百五十一年二月一日の決議によつて、すべての国及び当局に対して、国際連合の行動にあらゆる援助を与えるよう、且つ、侵略者にいかなる援助を与えることも慎むように要請しました。連合国最高司令官の承認を得て、日本国は、施設及び役務を国際連合加盟国でその軍隊が国際連合の行動に参加しているものの用に供することによつて、国際連合の行動に重要な援助を従来与えてきましたし、また、現に与えています。

 将来は定まつておらず、不幸にして、国際連合の行動を支持するための日本国における施設及び役務の必要が継続し、又は再び生ずるかもしれませんので、本長官は、平和条約の効力発生の後に一又は二以上の国際連合加盟国の軍隊が極東における国際連合の行動に従事する場合には、当該一又は二以上の加盟国がこのような国際連合の行動に従事する軍隊を日本国内及びその附近において支持することを日本国が許し且つ容易にすること、また、日本の施設及び役務の使用に伴う費用が現在どおりに又は日本国と当該国際連合加盟国との間で別に合意されるとおりに負担されることを、貴国政府に代つて確認されれば幸であります。合衆国に関する限りは、合衆国と日本国との間の安全保障条約の実施細目を定める行政協定に従つて合衆国に供与されるところをこえる施設及び役務の使用は、現在どおりに、合衆国の負担においてなされるものであります。

 本長官は貴大臣に敬意を表します。

千九百五十一年九月八日

ディーン・アチソン

日本国内閣総理大臣吉田茂殿

 

内閣総理大臣から合衆国国務長官にあてた書簡

 書簡をもつて啓上いたします。本大臣は、貴長官が次のように通報された本日付の貴簡を受領したことを確認する光栄を有します。

(米側公文省略)

 本大臣は、貴長官に敬意を表します。

千九百五十一年九月八日

日本国内閣総理大臣

外務大臣 吉田茂

アメリカ合衆国国務長官ディーン・アチソン殿