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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ソ朝友好協力相互援助条約(ソヴィエト社会主義共和国連邦と朝鮮民主主義人民共和国との間の友好,協力及び相互援助条約)

[場所] モスクワ
[年月日] 1961年7月6日作成,1961年9月10日発効
[出典] 日本外交主要文書・年表(2),351‐354頁.条約資料,第255号.
[備考] 外務省仮訳
[全文]

 ソヴィエト社会主義共和国連邦最高会議幹部会及び朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会は、ソヴィエト社会主義共和国連邦と朝鮮民主主義人民共和国との間の社会主義的国際主義の原則に基づく友好関係を発展させ、かつ、強化することを切望し、

 国際連合の目的及び原則に従つて極東及び全世界の平和及び安全の維持及び強化を促進することを希望し、

 いずれか一方の締約国に対するいずれかの一国又は同盟国家群からの武力攻撃の場合に互いに援助及び支持を与える決意を有し、

 ソヴィエト社会主義共和国連邦と朝鮮民主主義人民共和国との間の友好、善隣及び協力の強化が両国人民の切実な利益に合致し、かつ、最も良く両国の経済的及び文化的発展を促進することを確信し、

 この目的のためこの条約を締結することに決定し、それぞれの全権委員として、ソヴィエト社会主義共和国連邦最高会議幹部会はソヴィエト社会主義共和国連邦大臣会議議長フルシチョフ・ニキータ・セルゲイヴィチを、朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会は朝鮮民主主義人民共和国内閣首相金日成を任命した。

 両全権委員は、全権委任状を交換し、それが良好妥当であると認められた後次のとおり協定した。

第一条

 両締約国は、両国が今後とも極東及び全世界の平和及び安全の保障を目的とするすべての国際的行動に参加し、これらの高い課題の実現に貢献するであろうと声明する。

 いずれか一方の締約国がいずれかの一国又は同盟国家群から武力攻撃を受け、戦争状態に入つたときは、他方の締約国は、直ちにその有するすべての手段をもつて軍事的及び他の援助を供与するものとする。

第二条

 いずれの一方の締約国も、他方の締約国を目標とするいかなる同盟をも締結せず、いかなる連合及び行動又は措置にも参加しないことを約束する。

第三条

 両締約国は、平和の強化及び全般的安全を促進する熱意を指針として、両国の利益に触れるすべての重要な国際問題について相互に協議するものとする。

第四条

 両締約国は、平等の原則並びに国家主権、領土保全の相互尊重及び国内事項への相互不干渉の諸原則に従い、友好及び協力の精神において、ソヴィエト社会主義共和国連邦と朝鮮民主主義人民共和国との間の経済的及び文化的関係を発展強化させ、あらゆる可能な援助を相互に供与し、かつ、経済及び文化の分野において必要な協力を実現することを約束する。

第五条

 両締約国は、朝鮮の統合は平和的及び民主的基礎の上に行なわれるべきであり、このような解決は朝鮮人民の利益及び極東の平和維持に答えるものと考える。

第六条

 この条約は、平壌市において行なわれる批准書交換の日に効力を生ずる。

 この条約は十年間効力を存続する。いずれか一方の締約国が、この期間の満了の一年前にこの条約の廃棄の希望を表明しない場合には、この条約は、次の五年間効力を存続し、この規定に従い延長されるものとする。

 千九百六十一年七月六日にモスクワで、ひとしく正文であるロシア語及び朝鮮語によりそれぞれ本書二通を作成した。

ソヴィエト社会主義共和国連邦最高会議幹部会の委任により

エヌ・フルシチョフ

朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会の委任により

金日成