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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ベルリン4カ国協定

[場所] ベルリン
[年月日] 1971年9月3日
[出典] わが外交の近況(外交青書)16号,512‐514頁.
[備考] 外務省仮訳
[全文]

4カ国協定

 アメリカ合衆国、フランス共和国、ソヴィエト社会主義共和国連邦及びグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府は

 ベルリン・アメリカ地区の旧連合国管理理事会建物において一連の会談を行なつた4カ国の大使を代表とし

 4カ国の権利と責任及び(本協定により)何等影響を受けない、戦中・戦後の4カ国の関係諸合意・決定に基づき行動し

 当該地域の現在の状況を顧慮し

 状況の実際的改善に寄与する事を希望し、

 それぞれの法的立場を損なう事なしに次のとおり合意した。

第I部 一般規定

1.4カ国政府は当該地域の緊張緩和及び紛糾防止の促進に努力する。

2.4カ国政府は国連憲章の定める義務を顧慮し、本地域において力の行使又は武力による威嚇を行なわず、又紛争を平和的手段によつてのみ解決する事に合意する。

3.4カ国政府は変らず存続するその個別及び共同の権利及び責任を相互に尊重する。

4.4カ国政府は、法的見解の相違にかかわらず、本地域に生成し、又、本協定及び本協定の言及する諸合意に定義された状況を一方的に変更しない事に合意する。

第II部 ベルリン西側地区(複数)に関する規定

A ソヴィエト社会主義共和国連邦は、ベルリン西側地区とドイツ連邦共和国間の、ドイツ民主共和国の領土を通る道路、鉄路、水路による、民間の人及び貨物のトランジット通行が妨害を受けない旨、本通行が最も簡単かつ迅速に行なわれるよう簡易化される旨、及び優先的な扱いを受ける旨を宣言する。

 民間通行に関しての細目取極は付属文書Iの定めるとおり、担当ドイツ当局により合意される。

B フランス共和国、連合王国及びアメリカ合衆国政府は、これらの地区が引続きドイツ連邦共和国の構成部分ではなく、又ドイツ連邦共和国により統治されない事を顧慮しつつ、ベルリン西側地区とドイツ連邦共和国の間の結付きは維持され、発展される旨を宣言する。

 ベルリン西側地区及びドイツ連邦共和国間の関係についての細目取極は付属文書IIに定められる。

C ソヴィエト社会主義共和国連邦政府はベルリン西側地区と、これらの地区に隣接する地域及びこれらの地区に隣接しないドイツ民主共和国の地域の間のコミュニケーションが改善される旨を宣言する。西側地区の住民は、人道、家族、宗教、文化又は商業上の理由により、あるいは旅行者として、本地域に立入る他の人々に適用されると同様の条件の下でこれらの地域を旅行し、訪問する事が可能となる。

 シュタインシュトゥッケンを含む小飛地及び他の小地域の問題は領土交換により解決される。

 旅行、通信及び領土交換に関する細目取極は付属文書IIIの定めるとおり担当ドイツ当局により合意される。

D ベルリン西側地区の利益の対外的代表及びソヴィエト社会主義共和国連邦のベルリン西側地区における領事活動は付属文書IVの定めるとおり実施されうる。

第III部 最終規定

 この4カ国協定は本4カ国協定第2部及び付属文書に予定された諸措置が合意を見た時に締結される4カ国最終議定書に定められた期日に発効する。

 ベルリン・アメリカ地区の旧連合国管理理事会の建物において、1971年9月3日、それぞれが等しく効力を有する英、仏、露語による4つの正文に調印された。

(署名)

(附属文書 省略)