[文書名] 千九百二十八年十一月二十二日にパリで署名され、千九百四十八年五月十日、千九百六十六年十一月十六日及び千九百七十二年十一月二十日の議定書によつて改正され及び補足された国際博覧会に関する条約(1972年に改正された国際博覧会に関する条約)
千九百二十八年十一月二十二日にパリで署名され、千九百四十八年五月十日、千九百六十六年十一月十六日及び千九百七十二年十一月二十日の議定書によつて改正され及び補足された国際博覧会に関する条約
第一章 定義及び目的
第一条
1 博覧会とは、名称のいかんを問わず、公衆の教育を主たる目的とする催しであつて、文明の必要とするものに応ずるために人類が利用することのできる手段又は人類の活動の一若しくは二以上の部門において達成された進歩若しくはそれらの部門における将来の展望を示すものをいう。
2 博覧会は、二以上の国が参加するものを、国際博覧会とする。
3 国際博覧会の参加者とは、当該博覧会に公式に参加している国の陳列区域にあるその国の展示者、国際機関、当該国際博覧会に公式には参加していない国の展示者及び当該国際博覧会の規則により展示以外の活動特に場内営業を行なうことを認められた者をいう。
第二条
この条約は、次のものを除くほか、すべての国際博覧会について適用する。
(a) 開催期間が三週間未満である国際博覧会
(b) 国際美術展覧会
(c) 主として商業的な性格を有する国際博覧会
第三条
1 この条約の適用上、国際博覧会は、開催者の付する名称のいかんを問わず、一般博覧会と特別博覧会に区分する。
2 国際博覧会は、第三十条2(a)に規定する分類表に掲げる人類の活動の二以上の部門において利用される手段又はそれらの部門において達成された進歩若しくは達成される進歩を示すものを、一般博覧会とする。
3 国際博覧会は、2にいう分類表に掲げる人類の活動の一の部門のみを対象とするものを、特別博覧会とする。
第二章 国際博覧会の開催期間及び開催ひん度
第四条
1 国際博覧会の開催期間は、六箇月を超えてはならない。
2 国際博覧会の開催日及び閉会日は、登録の時に確定するものとし、不可抗力の場合において第五章に規定する博覧会国際事務局(以下「国際事務局」という。)の同意があるときを除くほか、変更することができない。いかなる場合にも、国際博覧会の開催期間は、合計して六箇月を超えてはならない。
第五条
1 この条約が適用される国際博覧会の開催ひん度は、次のとおりとする。
(a) 国が同一である場合には、二の一般博覧会の間には二十年以上の間隔を、一般博覧会と特別博覧会との間には五年以上の間隔を置くものとする。
(b) 国が異なる場合には、二の一般博覧会の間には十年以上の間隔を置くものとする。
(c) 国が同一である場合には、同一の性質の二の特別博覧会の間には十年以上の間隔を、異なる性質の二の特別博覧会の間には五年以上の間隔を置くものとする。
(d) 国が異なる場合には、同一の性質の二の特別博覧会の間には五年以上の間隔を、異なる性質の二の特別博覧会の間には二年以上の間隔を置くものとする。
2 1の規定にかかわらず、例外的に、かつ、第二十八条3(f)の規定により、国際事務局は、特別博覧会について1に定める間隔を短縮することができるものとし、また、国を異にして開催される一般博覧会については、七年を限度として、1に定める間隔を短縮することができる。
3 登録された国際博覧会の間の間隔は、これらの国際博覧会の開催日を基準として算定する。
第三章 登録
第六条
1 自国の領域内において国際博覧会の開催が計画されている締約国の政府(以下「招請国政府」という。)は、国際事務局に対し、国際博覧会を開催するために準備している法令上及び財政上の措置を示して、国際博覧会の登録を受けるための申請を行う。非締約国の政府であつて国際博覧会の登録を受けることを希望するものは、第一章から次章までの規定及びこれらの規定を適用するために制定される規則の遵守を当該国際博覧会について約束することを条件として、締約国の政府による申請の場合と同一の方法で、国際事務局に対し申請を行うことができる。
2 締約国の政府がその国際関係について責任を有する地域において国際博覧会の開催が計画されている場合には、登録の申請は、当該政府(以下国際博覧会の開催者であるかどうかを問わず「招請國政府」という。)が行う。
3 国際事務局は、拘束力のある規則により、国際博覧会の開催期日の予約の受付が開始される期日及び登録の申請の受付期限を定めるものとし、登録の申請に際して提出すべき書類を明示する。国際事務局は、また、拘束力のある規則により、申請を審査するための費用として要求する負担金の額を定める。
4 登録が認められるのは、当該国際博覧会が、この条約に定める条件を満たし、かつ、国際事務局の定める規則に適合するものである場合に限る。
第七条
1 国際博覧会の登録について二以上の国が競合する場合において合意が得られないときは、それらの国は、国際事務局の総会の決定を求めるものとし、総会は提出された意見並びに、特に、歴史的又は道義的な特別の理由、最近の国際博覧会後の経過期間及び競合する各国の既に開催した国際博覧会の数を考慮して、決定を行う。
2 国際事務局は、特別の事情がある場合を除くほか、登録については、締約国の領域内において計画される国際博覧会を優先させる。
第八条
国際博覧会について登録を受けた国は、国際博覧会の開催期日を変更する場合には、第四条2に規定する場合を除くほか、登録に伴う権利を失う。登録を受けた国は、国際博覧会を他の期日に開催しようとするときは、新たに申請を行うものとし、競合する場合は、前条に定める手続に従う。
第九条
1 締約国は、登録がされていない国際博覧会については、参加、公園及び補助金の交付を行わない。
2 締約国は、登録がされた国際博覧会に参加しないことについて完全な自由を有する。
3 締約国は、架空の国際博覧会の推進者及び虚偽の約束又は虚偽の告知若しくは広告によつて参加者を欺いて誘引した国際博覧会の推進者を訴追するため、自国の法令上最も適当と認める措置をとる。
第四章 登録がされた国際博覧会の開催者及び参加国の義務
第十条
1 招請国政府は、この条約及びこの条約を適用するために制定される規則の遵守を確保する。
2 招請国政府がその開催者でない場合には、国際博覧会を開催する法人は、その開催につき当該政府によつて公式に認められなければならず、当該政府は、当該法人による義務の履行を保証する。
第十一条
1 国際博覧会への参加の招請は、締約国に対するものであるか非締約国に対するものであるかを問わず、招請国の政府のみが、被招請国の政府に対してのみ、被招請国の政府又はその権限の下にある個人若しくは法人のために、外交上の経路を通じて行なう。回答は、招請国の政府に対し外交上の経路を通じて行なうものとし、招請されていない個人又は法人が表明する参加希望についても、回答の場合と同様とする。招請は、国際事務局の定める期限を考慮して行う。国際機関に対する招請は、直接行う。
2 締約国は、参加の招請がこの条約の規定に従つて行われなかつたときは、当該国際博覧会に自ら参加し又はこれへの参加を後援することができない。
3 締約国は、その開催場所が締約国の領域内又は非締約国の領域内のいずれであるかを問わず、いずれの国際博覧会についても、この条約の規定により認められた登録についての言及のない参加の招請を行わないことおよびそのような招請を受諾しないことを約束する。
4 締約国は、自国政府のための参加の招請以外の招請を自国政府に対して行わないよう開催者に要求することができる。締約国は、また、招請の伝達又は招請されていない個人若しくは法人が表明した参加希望の伝達を差し控えることができる。
第十二条
招請国政府は、この条約のすべての目的のために及び当該国際博覧会に関するすべての事項について自国政府を代表する一人の国際博覧会政府代表を任命する。
第十三条
国際博覧会に参加する国の政府は、招請国政府に対して自国政府を代表する一人の陳列区域政府代表を任命する。陳列区域政府代表のみが、自国の展示について責任を有する。陳列区域政府代表は、自国の展示の構成を国際博覧会政府代表に通報するものとし、また展示者の權利の確保及び義務の履行を監視する。
第十四条
1 一般博覧会において各国の陳列館の建設が予定されている場合には、参加国の政府は、自国の陳列館を自国の負担で建設する。もつとも、一般博覧会の開催者は、国際事務局の承認を事前に得ることを条件として、例外的に、自国の陳列館を建設することができない政府に賃貸するための施設を建設することができる。
2 特別博覧会においては、建造物は、開催者の負担において建設する。
第十五条
一般博覧会においては、招請国政府、地方当局及び開催者は、参加国の政府に割り当てた区域について賃貸料又は使用料(前条1の規定により例外的に建設された施設の賃貸料を除く。)を徴収することができない。不動産に課される租税が招請国の法令により要求される場合には、この租税は、開催者が負担する。国際事務局の承認した規則に従つて実際に提供された役務については、対価を求めることができる。
第十六条
国際博覧会のための通関規則は、この条約の不可分の一部をなす附属書に定める。
第十七条
国際博覧会においては、参加国の政府が第十三条の規定に基づいて任命した陳列区域政府代表の権限の下に設置された陳列区域のみが、当該参加国の陳列区域とみなされ、したがつて、当該参加国の名を付して呼称することができる。一の国の陳列区域は、場内営業を行うことを認められた者を除くその国のすべての展示者を対象とする。
第十八条
1 国際博覧会においては、いずれかの締約国に関係する地理的名称は、当該締約国の陳列区域政府代表の承認を得た場合を除くほか、参加者又は参加者の集団を呼称するために使用することができない。
2 いずれかの締約国が国際博覧会に参加しない場合には、国際博覧会政府代表は、当該締約国のために、1の保護について監視する。
第十九条
1 参加国の陳列区域に展示する物品は、当該参加国と密接な関係を有するもの(例えば、当該参加国の領域を原産地とする物品又は当該参加国の国民が創作した物品)でなければならない。
2 参加国は、1に規定する物品以外の物品についても、展示を補完するためにのみ用いることを条件として、関係国の陳列区域政府代表の承認を得た上で、自国の陳列区域に展示することができる。
3 1及び2の規定に関し参加国の間に紛争が生じた場合には、紛争は、陳列区域政府代表団に付託するものとし、同代表団は、出席する陳列区域政府代表の過半数による議決で仲裁裁定を行う。その仲裁裁定は、最終的なものとする。
第二十条
1 招請国の法令に反対の規定がない限り、いかなる種類の独占事業も認めてはならない。もつとも、共通の役務に関する独占事業であつて国際事務局が登録の時に許可したものは、認められるものとし、この場合には、開催者は、次のことを行なう義務を負う。
(a) 独占企業の存在について国際博覧会の一般規則及び参加契約書に記載すること。
(b) 独占事業の対象となつている役務を当該招請国で通常適用される条件により参加者に利用させることを確保すること。
(c) いかなる場合にも、陳列区域代表がそれぞれの陳列区域において有する権限を制限しないこと。
2 国際博覧会政府代表は、参加国に対して要求される料金が、開催者に対して要求される料金よりも、また、いかなる場合にも当該地域の通常の料金よりも高いものとならないようにするため、あらゆる措置をとる。
第二十一条
国際博覧会代表は、国際博覧会の会場における公益事業の業務が効果的に機能することを確保するため、あらゆる可能な措置をとる。
第二十二条
招請国政府は、各国及びその国民の参加を容易にするため、特に人及び物品の輸送の料金及び入国又は輸入の条件に関して便宜を与えるよう努力する。
第二十三条
1 国際博覧会の一般規則には、参加者に与えられることのある参加証書とは別に、褒(ほう)賞を授与するかどうかを定める。褒(ほう)賞を授与する場合には、その授与を特定の分野に限定することができる。
2 いずれの参加者も、国際博覧会の開会前に、褒(ほう)賞の対象となることを希望しない旨を申し出ることができる。
第二十四条
国際事務局は、審査委員会の構成及び運営についての一般的な条件並びに褒(ほう)賞の授与の方法を定める規則を制定することができる。
第五章 組織に関する規定
第二十五条
1 この条約の適用を監督し及び確保する責任を有する博覧会国際事務局と称する国際機関を設立する。国際事務局の構成員は、締約国の政府とする。国際事務局の所在地は、パリとする。
2 国際事務局は、法人格を有するものとし、特に、契約を締結し、動産及び不動産を取得し及び売却し、並びに訴えを提起する能力を有する。
3 国際事務局は、この条約によつて与えられる権限を行使するため、協定、特に特権及び免除に関する協定を国及び国際機関と締結する能力を有する。
4 国際事務局は、総会、議長、執行委員会、一又は二以上の専門委員会、これらの委員会の数と同数の副議長及び事務局長の指揮する事務局から成る。
第二十六条
国際事務局の総会は、各締約国の政府がそれぞれ一人から三人までの範囲内で任命する代表から成る。
第二十七条
総会は、通常会期として会合するものとし、また、臨時会期として会合することができる。総会は、国際事務局の最高期間であり、この条約によつて国際事務局に与えられる権限に係るすべての事項、特に次の事項について決定を行う。
(a) 国際博覧会の登録、分類及び開催並びに国際事務局の運営に関する規則を審議し、採択し及び公表すること。総会は、この条約の規定に抵触しない範囲内で、拘束力を有する規則を制定することができる。総会は、また、國氏博覧会の開催の手引きとなる標準規則を作成することができる。
(b) 国際事務局の予算を決定し、並びに国際事務局の会計を監査し及び承認すること。
(c) 事務局長の報告を承認すること。
(d) 有用と認める委員会を設置し、並びに執行委員会その他の委員会の委員を任命し、及びこれらの委員の任期を定めること。
(e) 第二十五条3に規定する国際協定の案を承認すること。
(f) 第三十三条に規定する改正案を採択すること。
(g) 事務局長を任命すること。
第二十八条
1 各締約国の政府は、その代表者の数のいかんを問わず、総会において一の票を有する。その投票権は、第三十二条の規定により当該締約国の政府が支払わなければならない分担金の未払い分の合計額が当該年度及び前年度の当該締約国の政府の分担金の合計額が越える場合には、停止される。
2 総会は、会期に出席しかつ投票権を有する代表団の数が投票権を有する契約国の数の三分の二以上であるときは、有効に討議を行うことができる。この定足数に逹しないときは、総会は、当該議題を討議するため、少なくとも一箇月の期間を置いて再度招集される。この場合には、定足数は、投票権を有する締約国の数の半数に引き下げられる。
3 表決は、出席しかつ投票権を有する代表団の過半数による議決で行う。ただし、次の事項については、三分の二以上の多数による議決で決定する。
(a) この条約の改正案を採択すること。
(b) 規則を制定し及び修正すること。
(c) 予算を決定し及び締約国の年次分担金の額を承認すること。
(d) 第四条の規定による国際博覧会の開会日及び閉会日の変更を承認すること。
(e) 締約国の領域内における国際博覧会と競合する非締約国の領域内における国際博覧会を登録すること。
(f) 第五条に定める国際博覧会の間隔を短縮すること。
(g) 第三十三条の規定により五分の四以上の締約国又は全締約国によつて受諾される改正に関して締約国の付した留保を認めること。
(h) 国際協定案を承認すること。
(i) 事務局長を任命すること。
第二十九条
1 議長は、総会が秘密投票によつて締約国の政府の代表のうちから二年の任期で選出する。議長は、在任中自国を代表しない。議長は、再任されることができる。
2 議長は、総会を招集し及び主宰し並びに国際事務局の円滑な運営を確保する。議長が不在の場合には、議長の職務は、執行委員会を担当する副議長が遂行するものとし、この副議長による代行が不可能な場合には、選出の順に従い他の副議長の一人が遂行する。
3 副議長は、総会が締約国の政府の代表のうちから選出するものとし、総会は、各副議長の任務の性質及び任期を定め、特に、各福議長の担当する委員会を指定する。
第三十条
1 執行委員会は、十二の締約国の政府のそれぞれ一人の代表によつて構成される。
2 執行委員会は、
(a) 国際博覧会における展示の対象とすることができる人類の活動の分類表を作成し、これを現状に適合するものにしておく。
(b) 国際博覧会の登録の申請を審査し、その承認を得るため総会に意見を付して提出する。
(c) 総会から委任された任務を遂行する。
(d) 他の委員会の意見を求めることができる。
第三十一条
1 第二十八条の規定により任命される事務局長は、締約国の国民でなければならない。
2 事務局長は、総会及び執行委員会の指示に従い国際事務局の日常の事務を処理する責任を有する。事務局長は、予算案を作成し、会計報告を行い、及び自己の活動に関する報告書を総会に提出する。事務局長は特に訴訟手続において、国際事務局を代表する。
3 総会は、事務局長のその他の権限及び責務並びに地位を決定する。
第三十二条
国際事務局の年次予算は、第二十八条3の規定により総会が決定する。予算の決定に当たつては、国際事務局の準備金、あらゆる種類の収入並びに前会計年度から繰り越された借方及び貸方の残高を考慮する。国際事務局の経費は、これらの財源及び各締約国の分担金によつて賄われる。各締約国の分担金は、総会の決定に基づいて各締約国に割り当てられる単位数に応じて決定される。
第三十三条
1 締約国は、この条約の改正を提案することができる。改正案及び改正の理由は、事務局長に提出するものとし、事務局長は、これらを直ちに他の締約国に通報する。
2 改正の提案は、事務局長が1の通報を行つた日の後少なくとも三箇月を経過した後に開催される総会の通常会期又は臨時会期の議題とする。
3 フランス共和国政府は、2及び第二十八条の規定により総会が採択した改正案を受諾のためすべての締約国に送付する。その改正は、締約国の五分の四がフランス共和国政府に対し受諾を通告した日に、すべての締約国について効力を生ずる。ただし、この3の規定の改正、通関規則に関する第十六条の規定の改正又は同条にいう附属書の改正は、すべての締約国がフランス共和国政府に対し受諾を通告した日に効力を生ずる。
4 改正の受諾に際して留保を付することを希望する締約国は、当該留保を国際事務局に通報する。総会は、当該留保を認めるかどうかを決定する。総会は、国際博覧会に関する既得の地位を保つことを目的とする留保は認め、新たに特権的な地位を保つことを目的とする留保は認め、新たに特権的な地位を生じさせるおそれのある留保は認めない。留保が認められたときは、当該留保を付した締約国は、3に定める五分の四の多数の計算に当たり、改正を受諾した締約国に含める。留保が認められなかつたときは、当該留保を付した締約国は、改正を受諾しないか又は留保を付さないで改正を受諾するかのいずれか一方を選択する。
5 3の規定により改正が効力を生じたときは、その改正を受諾しなかつたいずれの締約国も、適当と判断する場合には、第三十七条の手続をとることができる。
第三十四条
1 この条約の適用又は解釈に関する締約国の間の紛争であつて、この条約により決定権を与えられている機関が解決することのできなかつたものについては、紛争当事国の間で交渉を行う。
2 交渉が短期間内に合意に逹しない場合には、いずれかの紛争当事国が、議長に対し、問題を提起し、一人の調停人を指名するよう要請する。調停人は、解決について紛争当事国の間の合意を成立させることができない場合には、議長にあてた報告書において、紛争の性質を認定し、その範囲を画定する。
3 2の規定により同意の不成立が確認された場合には、紛争は、仲裁に付する。このため、紛争当事国に対し報告書が送付された時から二箇月以内に、いずれかの紛争当事国が、事務局長に対し、自国が選定した一人の仲裁人を明示して仲裁を提起する。他の紛争当事国は、二箇月以内に自国について一人の仲裁人を指名する。当該他の紛争当事国が仲裁人を指名しなかつた場合には、いずれかの紛争当事国が、国際司法裁判所調に対し、一人又は二人以上の仲裁人を指名するよう要請する。
二以上の紛争当事国が提携する場合には、これらの国は、この3の規定の適用上、一の紛争当事国とみなされる。疑義のある場合には、事務局長が決定を行う。
指名された仲裁人は、一人の居中仲裁人を指名する。その使命について仲裁人が二箇月以内に合意に達することができない場合には、いずれかの紛争当事國の要請により国際司法裁判所が居中仲裁人を指名する。
4 仲裁人団は、過半数による議決で仲裁裁定を行なうものとし、可否同数のときは、居中仲裁人の決定するところによる。この仲裁裁定はすべての紛争当事国を最終的に拘束するものとし、上訴を許さない。
5 いずれの国も、この条約の署名若しくは批准又はこの条約への加入の際に、3及び4の規定によつて拘束されないことを宣言することができる。締約国は、この留保を付した国との関係において、3及び4の規定によつて拘束されない。
6 5の規定により留保を付した締約国は、寄託政府に通告することによつて、いつでもその留保を撤回することができる。
第三十五条
この条約は、国際連合の加盟国並びに国際連合に加盟していない国際司法裁判所規程の当事国、国際連合の専門機関の加盟国及び国際原子力機関の加盟国による加入のため、また、総会において投票権を有する締約国の三分の二以上の多数による議決でその加入申請が承認された他の国による加入のため、開放される。加入書は、フランス共和国政府に寄託するものとし、その寄託の日に効力を生ずる。
第三十六条
フランス共和国政府は、この条約の締約国の政府及び国際事務局に対し次の事項を通告する。
(a) 第三十三条の規定による改正の効力発生
(b) 前条の規定による加入
(c) 次条の規定による廃棄
(d) 第三十四条五ノ規定により付された留保
(e) 条約の終了
第三十七条
1 いずれの締約国も、フランス共和国政府に対し書面による通告を行うことによつてこの条約を廃棄することができる。
2 廃棄は、1の通告が受領された日の後一年で効力を生ずる。
3 この条約は、廃棄によつて締約国の数が七未満となつたときは、終了する。
事務局長は、清算を行う責任を有する。ただし、国際事務局の解散に関して締約国の間で取極が締結される場合には、当該取極に従うものとする。資産は、締約国の間で、各締約国がこの条約の締約国となつた後に支払つた分担金の合計額に比例して分配する。負債がある場合には、負債は、締約国が当該会計年度について定められたそれぞれの分担金の額に比例して負担する。
千九百七十二年十一月三十日にパリで作成した。
(署名欄は省略)