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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日中平和友好条約(日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約)

[場所] 北京
[年月日] 1978年8月12日
[出典] 外交青書23号、363‐364頁.
[備考] 
[全文]

 日本国及び中華人民共和国は、

 1972年9月29日に北京で日本国政府及び中華人民共和国政府が共同声明を発出して以来、両国政府及び両国民の間の友好関係が新しい基礎の上に大きな発展を遂げていることを満足の意をもつて回顧し、

 前記の共同声明が両国間の平和友好関係の基礎となるものであること及び前記の共同声明に示された諸原則が厳格に遵守されるべきことを確認し、

 国際連合憲章の原則が十分に尊重されるべきことを確認し、

 アジア及び世界の平和及び安定に寄与することを希望し、

 両国間の平和友好関係を強固にし、発展させるため、

 平和友好条約を締結することに決定し、このため、次のとおりそれぞれ全権委員を任命した。

 日本国     外務大臣 園田直

 中華人民共和国 外交部長 黄華

 これらの全権委員は、互いにその全権委任状を示し、それが良好妥当であると認められた後、次のとおり協定した。

    第1条

1 両締約国は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に、両国間の恒久的な平和友好関係を発展させるものとする。

2 両締約国は、前記の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。

    第2条

 両締約国は、そのいずれも、アジア・太平洋地域においても又は他のいずれの地域においても覇権を求めるべきではなく、また、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国又は国の集団による試みにも反対することを表明する。

    第3条

 両締約国は、善隣友好の精神に基づき、かつ、平等及び互恵並びに内政に対する相互不干渉の原則に従い、両国間の経済関係及び文化関係の一層の発展並びに両国民の交流の促進のために努力する。

    第4条

 この条約は、第三国との関係に関する各締約国の立場に影響を及ぼすものではない。

    第5条

1 この条約は、批准されるものとし、東京で行われる批准書の交換の日に効力を生ずる。この条約は、10年間効力を有するものとし、その後は、2の規定に定めるところによつて終了するまで効力を存続する。

2 いずれの一方の締約国も、1年前に他方の締約国に対して文書による予告を与えることにより、最初の10年の期間の満了の際又はその後いつでもこの条約を終了させることができる。

 以上の証拠として、各全権委員は、この条約に署名調印した。

 1978年8月12日に北京で、ひとしく正文である日本語及び中国語により本書2通を作成した。

 日本国のために

   園田直

 中華人民共和国のために

   黄華

{『外交青書』では第2条に2カ所出てくる「覇権」の「覇」に「は」というルビがあり}