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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 宇宙からの地球のリモートセンシングに関する原則(リモート・センシング原則)

[場所] 
[年月日] 1986年12月3日
[出典] JAXA(宇宙航空研究開発機構)
[備考] 採択 1986年12月3日(第41会期国際連合総会決議第41/65号)
[全文]

 国際連合総会は、

 宇宙空間平和利用委員会の法律小委員会が宇宙空間からのリモートセンシングの法律上の影響の問題を検討することを勧告した1974年11月12日の決議第3234号(第29会期)、並びに、リモートセンシングに関する原則草案を作成するために、宇宙空間からの地球のリモートセンシングの法律的な影響の詳細な検討を要求した、1975年11月18日の決議第3388号(第30会期)、1977年12月20日の決議第32/196A号、1978年11月10日の決議第33/16号、1979年12月5日の決議第34/66号、1980年11月3日の決議第35/14号、1981年11月18日の決議第36/35号、1982年12月10日の決議第37/89号、1983年12月15日の決議第38/80号、1984年12月14日の決議第39/96号、及び1985年12月16日の決議第40/162号を想起し、

 第29会期の作業に関する宇宙空間平和利用委員会の報告及びこの報告に附属する宇宙空間からの地球のリモートセンシングに関する原則案の本文を検討し、

 宇宙空間平和利用委員会が、その法律小委員会の審議に基づき、宇宙空間からの地球のリモートセンシングに関する原則案の本文を承認したことを満足をもって留意し、宇宙空間からの地球のリモートセンシングに関する原則案の採択がこの分野における国際的な協力の強化に寄与することを確信し、

 この原則の附属書に定める宇宙空間からの地球のリモートセンシングに関する原則を採択する。


附属書:宇宙空間からの地球のリモートセンシングに関する原則

第1原則

 リモートセンシング活動に関するこれらの原則の適用上、

   (a) 「リモートセンシング」とは、天然資源の管理、土地利用及び環境の保護を改善する目的での、探査される物体により放射され、反射され、回折された電磁波の特性を利用することによる宇宙空間からの地球表面の探査をいう。

   (b) 「一次データ」とは、宇宙物体に搭載されたリモート・センサーによって取得され、遠隔測定法によって電磁信号の形で、又は写真フィルム、磁気テープその他の手段によって、宇宙空間から地上に伝送され又は伝達される生データをいう。

   (c) 「処理済データ」とは、1次データを利用できるようにするために必要な同データの処理の結果得られるものをいう。

   (d) 「解析された情報」とは処理済データの解釈、その他の出所からのデータ及び知識の入力から生ずる情報をいう。

   (e) 「リモートセンシング活動」とは、リモートセンシング宇宙システムの運用、一次データの受信処理局の活動、並びに処理済データを処理し、解釈し、及び配布する活動をいう。

第2原則

 リモートセンシング活動は、経済的、社会的又は科学的及び技術的発展の程度に関わりなく、特に開発途上国の必要を考慮して、すべての国の利益のために行われる。

第3原則

 リモートセンシング活動は、国際連合憲章、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約及び国際電気通信連合の関連文書を含む国際法に従って行われる。

第4原則

 リモートセンシング活動は、宇宙空間の探査及び利用が、経済的又は科学的発展の程度に関わりなく、すべての国の利益のために行われるということを特に規定し、かつ、平等に基づく宇宙空間の探査及び利用の自由の原則を定める、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約第1条に含まれる原則に従って行われる。これらの活動は、国際法に従って、他の国家及びその管轄の下にある団体の権利及び利益を正当に考慮しながら、自己の富及び天然資源に対するすべての国家及び人民の完全かつ永久的な主権の原則の尊重に基づいて行われる。この活動は、探査される国の合法的な権利及び利益を損う仕方で行われてはならない。

第5原則

 リモートセンシング活動を行う国は、これらの活動における国際協力を促進する。この目的上、これらの国は、他の国に当該活動への参加の機会を与える。この参加は、各事例において、公平かつ相互に受け入れ可能な条件に基づくものとする。

第6原則

 国家は、リモートセンシング活動から最大限の利益を得るために、協定、その他の取極によって、特に、可能な度に、地域的な協定又は取極の枠内で、データ受信処理局並びに処理及び解釈施設の設置と運用の措置を講ずることを奨励される。

第7原則

 リモートセンシング活動に参加する国は、相互に合意された条件で、他の関係国に技術援助を与えるものとする。

第8原則

 国際連合及び国際連合システムの枠内の関連機関は、リモートセンシングの分野における技術援助及び調整を含む国際協力を促進するものとする。

第9原則

 リモートセンシング計画を実施する国は、宇宙空間に打ち上げられた物体の登録に関する条約の第4条、及び月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約の第11条の規定に従って、国際連合事務総長に通知する。当該国は更に、要請に応じて、実行可能な最大限度で、他の国、特に計画によって影響を受ける開発途上国に対して、他の関連情報を通知する。

第10原則

 リモートセンシングは、地球の自然環境の保護を促進しなければならない。リモートセンシング活動に参加する国は、この目的上、自国の所有する情報で、地球の自然環境に有害な現象を防止することができるものを確認した場合には、当該情報を関係諸国に公表するものとする。

第11原則

 リモートセンシングは、自然の災害からの人類の保護を促進する。リモートセンシング活動に参加する国は、この目的上、自国の所有する処理済データ及び解析された情報で、自然災害によって影響を受ける、又は差し迫った自然災害によって影響を受ける可能性のある国に役立てることができるものを確認した場合には、当該データ及び情報を可能な限り迅速に関係国に通知する。

第12原則

 被探査国は、自国の管轄権の下にある領域に関する一次データ及び処理されたデータが作成される場合は直ちに、非差別的な基礎に基づきかつ合理的な価格の条件で、これらを入手するものとする。特に開発途上国の必要及び利益が考慮された上で、被探査国はまた、リモートセンシング活動に参加する国が有する自国の管轄の下にある領域に関する利用可能な解析された情報を、同様の基礎及び条件に基づいて入手する。

第13原則

 宇宙空間から地球のリモートセンシングを行う国は、特に開発途上国の必要に関して、国際協力を促進し及び強化するために、要請に応じて、参加の機会を与え、かつ、それから生ずる相互利益を増大するために、自国の領域が探査される国と協議するものとする。

第14原則

 リモートセンシング衛星を運用する国は、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約の第6条に従って、自国の活動について国際的な責任を有し、当該活動が、政府団体、非政府団体、若しくは自国が属する国際組織によって行われるかどうかを問わず、この宣言の原則及び国際法の規範に従って行われることを確保する。この原則は、リモートセンシング活動についての国家責任に関する国際法の規範の適用の可能性を損なうものではない。

第15原則

 この宣言の原則の適用から生ずる紛争は、紛争の平和的解決のための確立された手続によって解決するものとする。