[文書名] 科学技術・イノベーション基本計画
科学技術・イノベーション基本計画
令和3年3月26日
閣議決定
{目次は省略}
はじめに
我々は⼤きな時代の岐路に⽴っている。科学技術・イノベーション政策は、今後しばらくはどの国においても、⼆つの⼤きな⽅向を常に⾒据えながら策定されていくことになるだろう。すなわち、科学技術には、20世紀後半から爆発的に拡⼤した⼈間活動に由来する地球規模の危機を克服するための知恵が求められている。その⼀⽅で、それぞれの国は、グローバルな協調と調和をうたう様々な国際提⾔やコンセプトを競い合いながら、⾃国の競争⼒強化のための国内改⾰と科学技術への未来投資の拡⼤を加速していく。
⼈⼝の指数関数的な増加、巨⼤化する都市環境、⼤量⽣産と⼤量消費に⽀えられたGDP*1*の成⻑神話、国の制約を凌駕しようとするグローバリゼーションの進展など、「グレートアクセラレーション*2*」とも呼ばれるこれら20世紀の遺産が、⼤気中のCO2やメタンガスの増加、更にプラスチック流出等による海洋汚染を⽣み出し、異常気象や気候変動、海洋⽣態系への影響といった地球の危機を作り出している。これこそ「⼈新世」の現出*3*という仮説が⽰す世界的な課題の認識でもある。また、今や世界は、⽶中対⽴の先鋭化など混迷の度を深め、我が国の安全保障をめぐる環境も⼀層厳しさを増している。第6期科学技術・イノベーション基本計画(以下「第6期基本計画」という。)で掲げる我が国の科学技術・イノベーション政策は、こうしたグローバル課題解決への政策的貢献を企図するものでなければならない。翻って、科学技術・イノベーション政策には、国⺠の⼀⼈ひとりにいかなる恩恵をもたらすのかという国内向けの視座も⽋かすことはできない。我が国は、これまでも少⼦⾼齢化や過疎化の進展といった課題を抱えてきたが、更に近年、深刻化する⾃然災害、科学技術の国際競争⼒低下など新たな社会的課題に直⾯している。また、若者世代の⾃⼰肯定感の低さなど次代を担う⼈材に関する課題も浮き彫りになっている。それらを解決するためには、⾃然科学のみならず⼈⽂・社会科学も含めた多様な「知」の創造と、「総合知」による現存の社会全体の再設計、さらには、これらを担う⼈材育成が避けては通れない。
グローバル課題への貢献と国内の構造改⾰という両軸を、どのような政策で調和させることができるのか。第6期基本計画に求められているのは、そのための政策的創案である。
その時に我々が⽬指すべきは、第5期科学技術基本計画(以下「第5期基本計画」という。)で掲げた「サイバー空間*4*とフィジカル空間を⾼度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両⽴する⼈間中⼼の社会」であるSociety 5.0を現実のものとすることであろう。2015年の国連サミットで採択された持続可能な開発⽬標(SDGs*5*)の提案に強く共感しながら、そこに「信頼」や「分かち合い」を重んじる我が国独特の価値観を重ね、20世紀の負の遺産を超えた我が国の未来社会像としてSociety 5.0を再提⽰する。社会や⾃然との共⽣のための循環型社会の実現、信頼に基づく市⺠感覚、三⽅よしの社会通念、分かち合いの共感性、こうした「ソフトパワー」の価値を、信頼性の⾼い科学研究や技術⼒、更には極めて質の⾼い社会データの存在と結びつけ、我が国の未来社会像としてSociety 5.0を世界に問いかける。加えて、このコンセプトの提⾔によって、我が国が、この価値観を共有できる国・地域・国際機関等との連携を強め、国際社会における信頼の要となることを⽬指す。
こうした基本認識の下、この第6期基本計画では、我が国が⽬指すべきSociety 5.0の未来社会像を、「持続可能性と強靱性を備え、国⺠の安全と安⼼を確保するとともに、⼀⼈ひとりが多様な幸せ(well-being)を実現できる社会」と表現し、その実現に向けた『「総合知による社会変⾰」と「知・⼈への投資」の好循環』という科学技術・イノベーション政策の⽅向性を⽰した。また、その達成のため、次の5年間で約30兆円の政府研究開発投資を確保し、これを呼び⽔として官⺠合わせて約120兆円の研究開発投資を⾏っていくことを明記した。今後5年間、我々はこの⽅向性に沿って、果敢に各政策を推進し、社会全体の再設計を成し遂げるとともに、社会からの要請に応じて知のフロンティアの開拓と挑戦する⼈材の育成に取り組み、そして社会変⾰を更に加速させるダイナミックな好循環を起こしていく。科学技術とイノベーションの⼒によって、地域、ジェンダー、⾔語、⽂化の多様性を尊重し、互いの⾃由と信頼という原則を共有できる国々とともに、新たな世界秩序の中でオール・インクルーシブな社会を実現していかねばならない。そして、その中枢の⼀⾓を我が国が担っていくべきである。
振り返れば、科学技術は、我が国が戦後の壊滅的状況から復興する際に拠りどころとしたものであった。だとすれば、「⼈新世」とも⾔われる地球規模の危機に直⾯する時代の中で、Society 5.0を普遍的でグローバルな未来社会像として前⾯に掲げ、⽇本国憲法が⾼々とうたい上げたように、「国際社会において、名誉ある地位を占めたい」。それが第6期基本計画の中⼼的メッセージである。
第1章 基本的な考え⽅
1.現状認識
第5期基本計画の策定時には、情報通信技術(ICT*6*)の急激な進化によるグローバルな産業構造の変化やセキュリティ問題などのネットワーク化への対応、また、地球規模で起こるエネルギー・資源・⾷料等の制約や環境問題、さらに、国内における少⼦⾼齢化や地域経済社会の疲弊、⾃然災害等のリスクが⼤きな課題として認識されていた。
これらの課題はいずれも、現在も引き続き重要であることは論をまたないが、この5年間に⽣じた特筆すべき新たな社会の変化としては、世界秩序の再編、現実の脅威となったグローバル・アジェンダ、情報社会(Society 4.0)の限界の露呈が挙げられる。そして、これらの変化を、新型コロナウイルス感染症*7*の拡⼤が加速させている。
(1)国内外における情勢変化
① 世界秩序の再編の始まり
現在の世界は、中国の台頭と激しい⽶中対⽴の先鋭化等の変化によって混迷の度を深めている。そのような地政学的変化がもたらす新しい世界秩序の模索は、顕在化した国家間の競争であり、⾃国存続のために国際連携を再構築しようとする新たな「連携」への流れである。
科学技術・イノベーションは、激化する国家間の覇権争いの中核となっている。⽶中をはじめとする主要国は、先端的な基礎研究とその成果の実⽤化にしのぎを削り、その果実を、安全保障上の脅威等への対応のための有効な対応策として位置付け、感染症の世界的流⾏、国際テロ・サイバー攻撃、激甚化する⼤規模⾃然災害への対応も含め活⽤する取組を進めている。また、こうした中、技術流出問題も顕在化しており、各国ともこれを防ぐ取組を強化している。
各国の状況を⾒ると、政府の役割への期待が⾼まり、各国とも⼤規模な財政出動により国⺠の雇⽤・事業・⽣活を⽀えている⼀⽅で、地域・コミュニティレベルでの分断が⾒られている。グローバルな視点から⾒ると、⼀国の枠を超え、国際社会で叡智を結集し協調・連帯していく重要性が強く認識されている⼀⽅で、世界におけるリーダーシップの在り⽅が問われている。
このように、現在、世界各国は国家と世界の秩序に関する模索の時代にあり、我が国も新たな世界秩序・ルール作りにおいて主導的な役割を果たすことが求められている。
② 現実の脅威となったグローバル・アジェンダ
気候変動や⽣物多様性の劣化、交流⼈⼝拡⼤によるパンデミックのリスクなど世界全体が直⾯している様々な問題(グローバル・アジェンダ)が、現実の脅威となって我々の社会に警告を与え、グローバルな企業活動においても効率性のみならず持続可能性や強靱性を重視する動きへと変化している。
特に地球温暖化が引き起こす気候変動問題は、多頻度かつ激甚化する⼤規模⾃然災害となって、現実の脅威となり、「気候危機」とも⾔われる⼈類が直⾯する最⼤の課題となっている。これを踏まえて、欧州、⽶国、中国などの諸外国では、コロナ禍で落ち込んだ経済回復と環境投資を⼀体的に⾏うべく、⼤規模な投資を計画*8*している。
我が国においても、2020年10⽉の第203回国会の総理所信表明において、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロとする、すなわちカーボンニュートラルを⽬指すことを宣⾔した。成⻑戦略の柱に経済と環境の好循環を掲げ、グリーン社会の実現に最⼤限注⼒し、⾰新的なイノベーションの促進や規制改⾰などの政策を総動員して、脱炭素社会の実現に取り組むこととしている。
③ 情報社会(Society 4.0)の限界の露呈
世界が⼯業社会(Society 3.0)から情報社会(Society 4.0)に移⾏する中、GAFA*9*に代表されるIT*10*プラットフォーマーは、従来の商慣⾏やルールに囚われないビジネスモデルやサービスを築き、巨⼤な利益を⽣む国際経済活動を牽引してきた。
⼀⽅で、その弊害とも呼べる課題が顕在化してきている。ITプラットフォーマーによる国際的な情報独占が⾃由競争を制約しつつあることへの強い懸念、情報化の流れに取り残された情報弱者の出現、世界の富をごく⼀部の資産家が保有するという豊かさの偏在がもたらした「格差」や「社会の分断」、「将来への不安」など、⼀⼈ひとりの幸福を毀損する事態も⽣じている。
第6期基本計画の射程は、これら国内外の情勢の変化に対して、我が国の⽴ち位置を画することである。
(2)情勢変化を加速させた新型コロナウイルス感染症の拡⼤
① 国際社会の⼤きな変化
2019年12⽉頃から、新型コロナウイルス*11*が引き起こす新型コロナウイルス感染症が中国から世界に拡⼤した。2020年3⽉には、WHO*12*が「新型コロナウイルス感染症の拡⼤がパンデミックと形容される」と評価するに⾄り、⼈類にとって考慮すべき⼤きな要素の⼀つとなった。
感染症対策の共有やワクチン・治療薬の開発は、⼈類の⽣存を懸けた共通の政策⽬標として、国際連携によって進めることが求められる⼀⽅で、各国は、国家の存続と威信をかけて、感染拡⼤の防⽌と経済活動の維持など国⺠の安全・安⼼の確保のためにスピード感のある変⾰を迫られている。また、効率⼀辺倒で構築された国際的なサプライチェーンは、新型コロナウイルス感染症の拡⼤を前に、そのもろさと危うさを露呈し、各国に⾃国経済の持続性と強靱性の⾒直しを迫っている。このような動きが、顕在化しつつあった世界秩序の再編の動きを加速させている。
② 激変する国⺠⽣活
国内に⽬を転じれば、新型コロナウイルス感染症は、我々の⽣活を⼀変し、半ば強制的に⾮⽇常をもたらしている。特にSociety 5.0の具体化の前提となる社会全体のデジタル化が⼗分に進んでいないことが明⽩になった。⾏政のデジタル化や企業等におけるテレワーク、⼤学等におけるオンライン教育など、デジタル化に対応した環境整備は、組織・機関によって進捗状況にばらつきがあり、しかも社会全体としてはその⼟壌が整備されていないなど、今なお導⼊の途上であった。
この度の災禍は、このような我々の社会の在り⽅そのものを変えていく契機となった。既に我が国でも、働き⽅や学びの在り⽅、医療サービス、飲⾷や観光などにおいて、従来の常識とは⼤きく異なる形での取組が始まっている。テレワークやオンライン教育、遠隔診療など、これまで何度も議論されてきた取組が、新型コロナウイルス感染症への対応を余儀なくされることによって、⼀気に進みつつある。
具体的には、2020年7⽉に「世界最先端デジタル国家創造宣⾔・官⺠データ活⽤推進基本計画*13*」を取りまとめ、新型コロナウイルス感染症の感染拡⼤の阻⽌に向けたITの活⽤と、デジタル強靱化による社会構造変⾰・社会全体の⾏動変容の両⾯を進める⽅針を打ち出した。2020年10⽉には、これらの取組を具体化・加速化すべく、デジタル・ガバメント閣僚会議を改組し、内閣総理⼤⾂を議⻑とする体制に強化するとともに、その下で、マイナンバー制度を含めた国と地⽅のデジタル基盤の抜本的改善策、官⺠のデータ利活⽤に関するデータ戦略の取りまとめを⾏った。
また、⾏政⼿続のオンライン化を更に推進するため、⺠から官への申請⼿続等については内閣府規制改⾰推進会議が、⾏政内部の会計・⼈事⼿続等については内閣官房⾏政改⾰推進本部がそれぞれ主導して書⾯・押印・対⾯等の⾒直し⽅針を策定した。
さらに、⾼度情報通信ネットワーク社会形成基本法の全⾯的な⾒直しを⾏うとともに、⾏政の縦割りを打破し、⼤胆に規制改⾰を断⾏するため、2021年2⽉、デジタル改⾰関連法案を閣議決定*14*し、国会提出した。
結果として、「ニューノーマル」とも呼ばれる新しい⽣活様式は、第5期基本計画で打ち出したSociety 5.0のコンセプトを部分的にではあるが体現することとなった。
2.「科学技術・イノベーション政策」としての第6期基本計画
我が国では、科学技術基本計画の根拠となる法律、「科学技術基本法」が2020年6⽉に改正され、2021年4⽉から「科学技術・イノベーション基本法」へと名称が変わり、⼈⽂・社会科学の振興とイノベーションの創出が法の振興対象に加えられる。これは、科学技術・イノベーション政策が、科学技術の振興のみならず、社会的価値を⽣み出す⼈⽂・社会科学の「知」と⾃然科学の「知」の融合による「総合知」により、⼈間や社会の総合的理解と課題解決に資する政策となったことを意味するものである。
(1)我が国の科学技術基本計画に基づく科学技術政策の振り返り
① 第1期から第4期までの経緯
科学技術基本法に基づき、1996年に第1期科学技術基本計画が策定された。当時、我が国は、欧⽶追従型の科学技術政策から、世界のフロントランナーの⼀員として、⾃ら未開拓の科学技術分野に挑戦し、未来を切り拓いていくための政策転換や、⼈類の直⾯する課題への貢献が求められていた。こうした状況を背景に、政府研究開発投資の拡⼤、研究開発システム改⾰、研究開発の戦略的重点化等に重きを置いていた。
第2期、第3期の基本計画では、科学技術活動が⼤規模化・複雑化する中で、重要性の⾼い研究領域への重点投資等を⾏い、我が国の国際競争⼒を⾼めることを主たる⽬標に掲げた。科学技術の社会実装を前⾯に出した第4期では、研究開発の成果をイノベーションの⼒によって社会に還元し、社会変⾰と課題解決を核とする⽅向へ転換した。
② 第5期基本計画で提起したSociety 5.0のコンセプト
第5期基本計画の策定時において、世界ではICTが進展し、グローバルなITプラットフォーマーがビジネスモデルを⼤きく変化させていた。加えて、欧⽶、中国等の国々は、ものづくり分野にICTを最⼤限活⽤することで、第4次産業⾰命とも⾔うべき構造変化を産業に起こそうとしていた。
そのような中、我が国は、ICTを最⼤限に活⽤し、産業構造のみならず、国⺠にとって豊かで質の⾼い⽣活の実現の原動⼒にすべく、サイバー空間とフィジカル空間の融合という新たな⼿法に⼈間中⼼という価値観を基軸に据えることで、我が国や世界の直⾯する課題を解決し、⼈々に真の豊かさをもたらす未来社会を構築する新たなコンセプトを打ち出した。それが2016年に策定された第5期基本計画で提起した「Society5.0」である。
このコンセプトは、ICTの浸透が⼈々の⽣活をあらゆる⾯でより良い⽅向に変化させる、デジタル・トランスフォーメーション*15*(以下「DX」という。)により導かれる未来像と⼀致するものであった。
③ ⽬的化したデジタル化と相対的な研究⼒の低下(第5期基本計画期間中の振り返り)
第5期基本計画期間中の科学技術・イノベーション政策を振り返ると、Society5.0の前提となるデジタル化については、あらゆる分野でIT化を進めていたものの、既存の業務の効率性の向上を⽬指す取組が中⼼となり、諸外国のようなデータ連携・活⽤による新たなビジネスモデルの創出などは⼗分に⾏えず、ICTの持つ本来の⼒を⼗分に⽣かし切れていなかった。特にコロナ禍で明らかになったように、オンライン会議やテレワークのためのITインフラは、その安定性やセキュリティに関して、運⽤の問題や⼼理的な不安などの課題もあり、また、各組織が異なるシステムでネットワークを閉鎖的に利⽤している現在の状況では、分野を跨いだリアルタイムでのデータ収集・分析・活⽤を⾏う環境が整っていないなど、Society 5.0の実現に向けた基盤整備へのスピード感や危機感が⽋如していた。
このため、第5期基本計画期間中には、データ連携基盤の整備や「AI戦略2019*16*」の策定等による官⺠のデータ活⽤環境の整備を進めるとともに、SIP*17*やムーンショット型研究開発制度といった社会課題解決のための⼤型プログラムの創設によりイノベーションの創出を進めている。
また、研究⼒については、ノーベル賞受賞者は多数輩出しているものの、論⽂の量・質ともに国際的地位の低下傾向が継続している。特に研究⼒を⽀える若⼿研究者を取り巻く環境を⾒ると、任期付きポストの増加や研究に専念できる時間の減少など、引き続き厳しい状況が続いている。
第5期基本計画期間中においても、研究環境改善のための取組を講じてきたが、既存の枠組みの制約条件の中で、真に研究現場の変⾰を駆動させる対策を必ずしも⼗分なスピード感と規模感を持って進められなかった側⾯もある。このため、2020年1⽉には「研究⼒強化・若⼿研究者⽀援総合パッケージ*18*」を策定するなど抜本的な対策に取り組んでいるが、未だ道半ばである。
(2)25年ぶりの科学技術基本法の本格的な改正
2020年の第201回国会において、25年ぶりとなる科学技術基本法の本格的な改正が⾏われた。この法改正では、法律の名称を「科学技術・イノベーション基本法」とし、これまで科学技術の規定から除外されていた「⼈⽂・社会科学(法では「⼈⽂科学」と記載)のみ」に係るものを、同法の対象である「科学技術」の範囲に位置づけるとともに、「イノベーションの創出*19*」を柱の⼀つに据えた。
科学技術基本法改正の⼀つの柱として「⼈⽂・社会科学」の振興が法の対象に加えられた背景としては、科学技術・イノベーション政策が、研究開発だけでなく、社会的価値を⽣み出す政策へと変化してきた中で、これからの政策には、⼀⼈ひとりの価値、地球規模の価値を問うことが求められているという点が挙げられる。今後は、⼈⽂・社会科学の厚みのある「知」の蓄積を図るとともに、⾃然科学の「知」との融合による、⼈間や社会の総合的理解と課題解決に資する「総合知」の創出・活⽤がますます重要となる。科学技術・イノベーション政策⾃体も、⼈⽂・社会科学の真価である価値発⾒的な視座を取り込むことによって、社会へのソリューションを提供するものへと進化することが必要である。
もう⼀つの柱である「イノベーションの創出」が法の対象に加えられた背景としては、この25年間のイノベーションという概念の含意の⼤きな変化が挙げられる。かつて、企業活動における商品開発や⽣産活動に直結した⾏為と捉えられがちだったイノベーションという概念は、今や、経済や社会の⼤きな変化を創出する幅広い主体による活動と捉えられ、新たな価値の創造と社会そのものの変⾰を⾒据えた「トランスフォーマティブ・イノベーション*20*」という概念へと進化しつつある。
この改正の⼆つの柱は、我が国がSociety 5.0の実現を⽬指すにあたり、未来像を「総合知」によって描き、バックキャストにより政策を⽴案し、イノベーションの創出により社会変⾰を進めていく上で不可⽋なものであり、第6期基本計画は、この「総合知」の観点から、より進化した科学技術・イノベーション政策を企図している。
他⽅で、新しい現象の発⾒や解明のみならず、独創的な新技術の創出等をもたらす「知」を創出する基礎研究・学術研究は、ますます重要になっている。「知」は、⾮連続な変化に対応し、社会課題を解決するイノベーションの創出の源泉である。我々は、⼈類が⻑い歴史のなかで積み上げてきた膨⼤な「知」を次世代に引き継ぐと同時に、新しい現象の発⾒や解明、新概念や価値観の提⽰を⾏うことでフロンティアを切り拓き、新たな「知」を創造する責務がある。
世界を主導する卓越した研究を強化し、豊かな発想の⼟壌となる多様な研究の場を確保するなど、我が国の基礎研究⼒を⼀層強化すべく取り組んでいかなければならない。
また、研究活動をグローバル・アジェンダに結びつけるための国際連携の強化、創出された知をイノベーションに活かす仕組みを構築することなども重要である。
特に近年は、AI技術における深層学習やゲノム編集技術のように、基礎研究・学術研究が社会実装に直結する例も出てきており、⼤学・国⽴研究開発法⼈発スタートアップや産学連携の⾼度化など産学を緊密に連携させる仕組みが求められている。
(3)第6期基本計画の⽅向性
第6期基本計画に求められることは、この5年間の国内外の情勢変化を踏まえ、⽶中対⽴の先鋭化など世界秩序の模索の動きや現実の危機となった気候変動問題をはじめとするグローバルな課題の克服への貢献、そして、半ば強制的に⾮⽇常をもたらしているコロナ禍に対応する国内の構造改⾰という両軸を、どのように実現し、国⺠⼀⼈ひとり、世界の市⺠に多様な幸せ(well-being)をもたらすのか、そのための政策的創案を世界に⽰していくことである。
そのためには、⼯業社会(Society 3.0)から情報社会(Society 4.0)への移⾏において、⽣活スタイルや産業構造まで含めた社会構造が変化し、従来の延⻑線ではなかったという経験を踏まえ、Society 5.0への移⾏においては社会の変⾰を断⾏しなければならないという強い意識を持って、第5期基本計画で掲げたSociety 5.0を具体化していくことが必要である。その際、SDGsと軌を⼀にしながらも、そこに「信頼」や「分かち合い」を重んじる我が国独特の価値観を重ね、我が国の信頼性の⾼い科学研究や技術⼒、更には極めて質の⾼い社会データの存在と結びつけ、20世紀の負の遺産を超えた我が国の未来社会像としてSociety 5.0を世界に⽰していかなければならない。
この未来社会像を具体化することによって、この価値観を共有できる国・地域・国際機関等(EU、G7、OECD等)との連携を強め、国際社会における我が国のプレゼンスを⾼めていくことを⽬指していく。
3.Society 5.0という未来社会の実現
(1)我が国が⽬指す社会(Society 5.0)
Society 5.0は、第5期基本計画等において「サイバー空間とフィジカル空間を⾼度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両⽴する⼈間中⼼の社会」として提唱*21*されたものであり、第6期基本計画では、これを国内外の情勢変化を踏まえて具体化させていく必要がある。
このうち「経済発展」については、引き続き⽬指すべき⽬的の⼀つであることに変わりはないが、国境のないサイバー空間における経済活動が急激に拡⼤する中でGDPという指標の持つ意味合いが異なってきており、また、⼈々の価値観も富の追求に限定しない多様な幸せ、更に国や世界への貢献を重視するなど変わりつつある。このような情勢変化を踏まえると、経済発展の⼤前提となる国⺠の安全・安⼼の確保や持続可能で強靱な社会づくり、更には⼀⼈ひとりの多様な幸せを追求できる世の中にしていくことが、結果として「経済発展」につながるものと⾔える。
特に気候変動を⼀因とする甚⼤な気象災害やパンデミックの発⽣などの差し迫った脅威の克服や、今後とも発⽣するであろう⾮連続な変化に対する洞察とその準備は、我が国にとって喫緊の課題であり、また、ICTの浸透により、新たな価値として⼈々の⽣活をあらゆる⾯でより良い⽅向に変化させるDXの推進は、個々のニーズにかなったソリューションを提供する可能性を広げている。そして、これらの実現は、企業のビジネスモデルの変化、更には産業構造の改⾰につながり、ひいては我が国の国際競争⼒に資する。
このような背景を踏まえて、我が国が⽬指す社会を表現すると、「直⾯する脅威や先の⾒えない不確実な状況に対し、持続可能性と強靱性を備え、国⺠の安全と安⼼を確保するとともに、⼀⼈ひとりが多様な幸せ(well being)を実現できる社会」とまとめられ、このような未来社会を実現することこそが第6期基本計画を策定する⽬的である。これは、SDGsとも軌を⼀にするものである。
① 国⺠の安全と安⼼を確保する持続可能で強靱な社会
我が国の社会や国⺠⽣活は、災害、未知の感染症、サイバーテロなど様々な脅威にさらされているとともに、我が国を取り巻く安全保障環境が⼀層厳しさを増しており、国⺠の⼤きな不安の根源の⼀つとなっている。また、これらの脅威に加え、⽶中による技術覇権争いの激化、国際的なサプライチェーンの⼨断リスクや技術流出のリスクが顕在化するなど、安定的かつ強靱な経済活動を確⽴することも求められており、我が国の技術的優越の維持・確保が鍵となる。
さらに、環境問題については、⼈間活動の増⼤が、地球環境へ⼤きな負荷をかけており、気候変動問題や海洋プラスチックごみ問題、⽣物多様性の損失などの様々な形で地球環境の危機をもたらしている。今を⽣きる現世代のニーズを満たしつつ、将来の世代が豊かに⽣きていける社会を実現するためには、⾷品ロス問題をはじめとする従来型の⼤量⽣産・⼤量消費・⼤量廃棄の経済・社会システムや⽇常⽣活を⾒直し、少⼦⾼齢化や経済・社会の変化に対応した社会保障制度等の国内における課題の解決に向け、環境、経済、社会を調和させながら変⾰させていくことが不可⽋となっている。
政府は、科学技術の発展を梃⼦にして、我が国の国際競争⼒の強化を図るとともに、これらの様々な脅威に対して常に適切に対応することができる持続可能で強靱な社会の構築や総合的な安全保障の実現を⽬指すことが求められており、国⺠の安全・安⼼を確保すべく様々な取組を充実・強化させる必要がある。その際、科学技術には多義性があり、ある⽬的のために研究開発した成果が他の⽬的に活⽤できることを踏まえ、適切に成果の活⽤を図っていくことが重要である。
② ⼀⼈ひとりの多様な幸せ(well-being)が実現できる社会
経済的「富」の拡⼤を豊かさの現れと考え、その代表的指標としてGDPの増⼤を⽬標としてきた我々の社会は、その結果としての経済優先による環境破壊、世界の富の偏在と社会的分断などの弊害を眼前にしている。
Society 5.0の世界で達成すべきものは、経済的な豊かさの拡⼤だけではなく、精神⾯も含めた質的な豊かさの実現である。そのためには、誰もが個々に⾃らの能⼒を伸ばすことのできる教育が提供されるとともに、その能⼒を⽣かして働く機会が多数存在し、さらには、より⾃分に合った⽣き⽅を選択するため、同時に複数の仕事を持つことや、仮に失敗したとしても社会に許容され、途中でキャリアを換えることも容易であるといった環境が求められる。しかも、そうした働き⽅によって、⽣活の糧が得られるとともに、家族と過ごせる時間や趣味や余暇を楽しめる時間が⼗分に確保されなければならない。
また、多くの国⺠が⼈⽣100年時代に健やかで充実した⼈⽣を送るため、健康寿命の延伸だけでなく、いくつになっても社会と主体的に関われるような、いわば「社会参加寿命*22*」の延伸に取り組むことが求められる。
さらに、⼈々がコミュニティにおける⾃らの存在をいつも肯定的に捉えることができるような、社会において⼀つの組織を離れても⾃らの夢を持ち続け、⽣きがいを持って社会に参加し続けることができるような環境が求められている。それによって⾃らの能⼒を向上させ、活躍可能な場を切れ⽬なく⾒つけることができるようになることも不可⽋である。このような包摂性を持った社会の構築を⽬指す。
(2)Society 5.0の実現に必要なもの
① サイバー空間とフィジカル空間の融合による持続可能で強靱な社会への変⾰
Society 4.0(情報社会)からSociety 5.0への移⾏は、既存の政策の延⻑線上の政策では不可能である。移⾏のためには、新たな未来社会像を前提にして、バックキャスト的アプローチにより、社会全体の再設計(リデザイン)を⾏うことが不可⽋である。
その際、鍵となるのが、Society 5.0の前提となる「サイバー空間とフィジカル空間の融合」という⼿段と、「⼈間中⼼の社会」という価値観である。Society 5.0では、サイバー空間において、社会のあらゆる要素をデジタルツイン*23*として構築し、制度やビジネスデザイン、都市や地域の整備などの⾯で構成した上で、フィジカル空間に反映し、社会を変⾰していくこととなる。その際、⾼度な解析が可能となるような形で質の⾼いデータを収集・蓄積し、数理モデルやデータ解析技術によりサイバー空間内で⾼度な解析を⾏うという⼀連の基盤(社会基盤)が求められる。
このような新しいプロセスに、⼈間中⼼という価値観を組み込むことにより、⼀⼈ひとりの国⺠、世界の市⺠を意思決定の舞台の中⼼⼈物として押し上げ、社会はより良い姿へと柔軟に機動的に変化していく。そして、国⺠⼀⼈ひとりに寄り添った利便性の⾼いサービスを提供するとともに、様々な社会課題を解決し、持続可能で強靱な社会を構築していく。さらには、新たな産業、新たな都市を開花させる道を開き、国際社会に対し、気候変動に代表されるグローバルな課題を克服する新たなモデルを提⽰することが可能となる。
② 新たな社会を設計し、価値創造の源泉となる「知」の創造
新たな社会を設計し、その社会で新たな価値創造を進めていくためには、多様な「知」が必要である。特にSociety5.0への移⾏において、新たな技術を社会で活⽤するにあたり⽣じるELSI*24*に対応するためには、俯瞰的な視野で物事を捉える必要があり、⾃然科学のみならず、⼈⽂・社会科学も含めた「総合知」を活⽤できる仕組みの構築が求められている。
また、「知」は、⾮連続な変化に対応し、社会課題を解決するイノベーションの創出の源泉である。研究者の内在的な動機に基づき、新しい現象の発⾒や解明、新概念や価値観の提⽰を⾏うことで、フロンティアを切り拓いていく必要がある。基礎研究・学術研究をはじめとした多様な研究の蓄積があり、その積み重ねの結果として、時に独創的な成果が創出され、世界を変えるような新技術や新しい知⾒が⽣まれる。
③ 新たな社会を⽀える⼈材の育成
Society 5.0時代には、⾃ら課題を発⾒し解決⼿法を模索する、探究的な活動を通じて⾝につく能⼒・資質が重要となる。世界に新たな価値を⽣み出す⼈材の輩出と、それを実現する教育・⼈材育成システムの実現が求められる。
急速に社会構造が変化する中、既存の枠組みや従来の延⻑では対応できない課題に取り組む能⼒が求められており、初等中等教育の段階から、好奇⼼に基づいた学びを実現し、課題に⽴ち向かう探究⼒を強化する必要がある。
また、⼈⽣100年時代が到来しており、かつてない⻑さの⼈⽣において、⼈それぞれが興味・関⼼に応じた多様な幸せの形を追求するためには、社会⼈になっても多様な学び直しの機会があり、新しい時代に応じたライフスタイルを追求できる環境が必要である。
あわせて、社会としても「知」の循環を促進し、新たな価値の創造につなげ、⼈⽣のどの段階においても、個⼈の能⼒が最⼤限発揮されることや、複線型のキャリアパスが構築できること、新たなチャレンジができることが可能な環境を構築することが求められる。
加えて、あらゆる情報がオンラインで届けられ、コミュニケーションもSNSなど⾮対⾯かつ匿名で⾏われるようになると、触れる情報に偏りが⽣じ、従来のような対⾯を前提とする⼈と⼈のつながりが変化していく可能性がある。このような社会の変化に適切に対応する情報リテラシーが求められる。
また、直接本物に触れる経験が減少していく中、Aを含むSTEAM教育*25*等を通して、直接本物に触れる経験を積み重ね、感性や感覚を磨いていくことが⼀層重要になる。
(3)Society 5.0の国内外への発信・共有・連携
今後のポストコロナ時代の世界秩序模索の期間において、我が国が国際社会をリードするために、新たな社会モデルと価値、そして、それを実現するための戦略を⾔語化し、“Society 5.0”として国内外に具体的に問いかけていく。
国⺠に向けては、様々なメディアや共創の場等の活⽤により、多様なセクター間の対話と協働を促すなど、科学技術・イノベーションへの関⼼を不断に⾼めるための情報発信をはじめとする努⼒を継続し、市⺠参画による社会問題の解決やシチズンサイエンスを活性化させていく。
そして、各国・地域・国際機関等(EU、G7、OECD等)に向けて、この社会像を共有・連携していく。⾔い換えれば、時代の⼤きな流れである「デジタル化、データ連携・活⽤」を核とした、社会全体の再構築に取り組む中で、歴史的、⽂化的に⽇本⼈の中に内包されている、伝統的な価値観や他者への思いやりと共感の⾏動様式*26*、さらには、信頼に基づいた共創といった要素を盛り込んだ未来像として、世界に提⽰すべきである。そして、この新たな社会モデルを⽤いて、価値観を共有する国々と連携し、安全・安⼼の確保と⼀⼈ひとりの多様な幸せ(well-being)の最⼤化につながる未来像を描いていく。
GDP世界3位の経済規模を持った我が国が、パラダイムシフトともいえる転換期に、世界に先駆けて新たな未来社会を実現することで、世界の注⽬を喚起し、世界の優秀な⼈材と未来への投資の関⼼を呼び起こし、世界の「共創の場」としての⽴ち位置を確⽴していくことを⽬指す。そのような⽴ち位置を確⽴した暁には、我が国は、国際社会で名誉ある地位を占めることになろう。
2025年には⼤阪・関⻄万博が開かれる。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとする万博は、まさに、Society 5.0のショーケースにふさわしい。機を逸することなく、未来社会の具体像を提⽰していかなければならない。
第2章 Society 5.0の実現に向けた科学技術・イノベーション政策
第1章では、我が国が⽬指す未来社会(Society 5.0)として、国⺠の安全と安⼼を確保する持続可能で強靱な社会、⼀⼈ひとりの多様な幸せ(well-being)が実現できる社会を提⽰し、また、Society 5.0の実現に必要なものとして、社会の再設計とサイバー空間での社会基盤の構築、「知」の創造、⼈材の育成を取り上げた。
本章では、これらのポイントを、改正「科学技術・イノベーション基本法」の考え⽅に則り、イノベーションの創出(社会変⾰)の結果としての社会像、知のフロンティアを開拓する研究⼒、科学技術・イノベーションの創出を⽀える⼈材育成の3つの節に分け、2030年を⾒据えて、今後5年間に、政府が⾏うべき施策について整理する。
なお、具体的な取組については、誰がいつまでに何を⾏うのかを明確*27*にし、関係者と予⾒性を共有することにより、CSTI*28*による司令塔機能の下、科学技術・イノベーション推進事務局*29*による横断的な調整によって、関係司令塔会議や関係府省庁が連携し、関係者とともに⽬標を達成していくことを⽬指す。
第1章を踏まえ、3つの節の⼤⽬標を以下のとおりとする。
○我が国の社会を再設計し、地球規模課題の解決を世界に先駆けて達成し、国⺠の安全・安⼼を確保することで、国⺠⼀⼈ひとりが多様な幸せを得られるようにする
○多様性や卓越性を持った「知」を創出し続ける、世界最⾼⽔準の研究⼒を取り戻す
○⽇本全体をSociety 5.0へと転換するため、多様な幸せを追求し、課題に⽴ち向かう⼈材を育成する
これら科学技術・イノベーション政策を遂⾏するにあたっては、国際的な協調と競争の視点を常に強く意識しなければならない。例えば、多様な⼈材が協働、競争する中でイノベーションは創出されるため、国際頭脳循環の強化は、活⼒ある研究開発のための必須条件である。我が国として、グローバルに「知」の交流促進を図り、研究⼒、イノベーション⼒の強化を進めなければならない。他⽅で、テクノロジーを巡る国家間での覇権争いや国際的な技術流出の懸念も顕在化している。こうした中、⼤学等の研究組織や所属する研究者には、リスクを認識した研究マネジメントを⾏うことが必要となる。特に、研究者が研究の健全性・公正性(研究インテグリティ)の意義を理解し社会に対する責任を果たすと同時に、主体的かつ積極的に科学技術・イノベーションに係る国際活動に参画できるよう、政府として⼀定の⽅向性を⽰すことが求められている。
その上で、我が国の強みを⽣かしつつ、グローバルな課題の解決への貢献や国際発信の強化と、総合的な安全保障の観点を考慮し、新たな科学技術外交を展開していく。
1.国⺠の安全と安⼼を確保する持続可能で強靱な社会への変⾰
我が国の社会を再設計し、地球規模課題の解決を世界に先駆けて達成し、国⺠の安全・安⼼を確保することで、国⺠⼀⼈ひとりが多様な幸せを得られる社会への変⾰を⽬指す。
このため、まずは、(1)サイバー空間とフィジカル空間とがダイナミックな好循環を⽣み出す社会へと変⾰させ、いつでも、どこでも、誰でも、安⼼してデータやAIを活⽤できるようにする。そしてデータやAIを最⼤限活⽤し、グローバルな課題への貢献と国内システムの改⾰に取り組まなければならない。
具体的には、(2)地球規模課題へ対応し、我が国の温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロとし、世界のカーボンニュートラルを牽引するとともに、循環経済への移⾏を進めることで持続可能な社会を構築する。また、(3)⾃然災害や新型コロナウイルス感染症など、顕在化する経済社会や国⺠の⽇常⽣活のリスクを低減するとともに、国⼒の源泉である重要な情報を守り切ることで、強靱な社会を構築する。
また、(4)社会のニーズを原動⼒として課題の解決に挑むスタートアップを次々と⽣み出し、企業、⼤学、公的研究機関等の多様な主体が連携して価値を共創する新たな産業基盤を構築する。そして、(5)地域が抱える課題の解決を図り、Society 5.0を先⾏的に実現する多様で持続可能な都市・地域(スマートシティ*30*)を全国へ、そして世界へ展開する。
さらに、(6)上記の取組を⽀えるとともに、様々な社会課題に対応するため、「総合知」を活⽤し、ミッションオリエンテッド型研究開発や社会実装を戦略的に推進し、イノベーションを創出する。加えて、社会変⾰を⽀えるための科学技術外交を展開し、戦略的に国際ネットワークを構築していく。
本節では、上述の(1)から(6)の各項について整理する。また、それぞれにおいて、これらの取組を⽀える社会をデザインする⼈材などのイノベーション⼈材の育成を官⺠が連携して進める。さらに、国内の改⾰とともに、グローバル課題への貢献にも積極的に取り組む。
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【⼤⽬標】
・我が国の社会を再設計し、地球規模課題の解決を世界に先駆けて達成し、国⺠の安全・安⼼を確保することで、国⺠⼀⼈ひとりが多様な幸せを得られるようにする |
【参考指標】
○The Sustainable Development Goals Report*31*
○より良い暮らし指標(Better Life Index)*32*
○健康寿命
○GDP
○国際競争⼒
(1)サイバー空間とフィジカル空間の融合による新たな価値の創出
(a) 現状認識
第5期基本計画において、我が国が⽬指すべき未来社会の姿として世界に先駆けて提唱されたSociety 5.0は、「サイバー空間とフィジカル空間を⾼度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両⽴する⼈間中⼼の社会」と定義され、第5期基本計画期間中には官⺠を挙げてその実現に向けて取り組んできた。例えば、DFFT(Data Free Flow with Trust)の提唱*33*や、AIの適切な社会実装を推進するための「⼈間中⼼のAI社会原則*34*」の策定、「G20AI原則*35*」の取りまとめなどを通じて、国際的な議論をリードしてきた。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症対応において、⾏政、教育、医療などあらゆる分野でデジタル化の恩恵を⼗分に受けることができなかった。マイナンバーシステムをはじめとする⾏政システムが国⺠にとって⼗分に利便性のあるものとなっていなかったこと、国や地⽅公共団体の業務プロセスの改⾰、国⺠の個⼈データ利⽤に対する信頼や産業界の協調領域の拡⼤が⼗分でなかったことなどに起因すると考えられる。
新たな価値を創出するようなデータ連携の仕組み、データ流通を担うプレーヤーが活躍するための環境整備や、我が国のデータ活⽤の基盤(デジタルデータの整備、政府・地⽅公共団体間連携、標準化、取扱いルール等)の更なる整備について、スピード感や危機感を持って取組を進めることが求められる。
通信インフラについては、今後ますますネットワーク上を流通するデータ量が爆発的に増えていく中で、省電⼒性、信頼性、リアルタイム性等の課題が数多く指摘されており、抜本的な対応が必要である。
さらに、⽣産性や利便性の向上に向けた業務の⾒直しとデジタル化を強⼒に推進するとともに、国⺠が漠然と有しているパーソナルデータの活⽤に対する不安の解消や、産業界における協調領域の拡⼤など、ステークホルダー間での信頼の醸成が、データ連携の推進の鍵となってきている。
⼀⽅、世界各国でも、デジタル社会においてデータが国の豊かさや国際競争⼒の基盤であると捉え、デジタル化の進展やイノベーションの推進によるデータ量の拡⼤、AI能⼒の向上を⽬指し、例えば欧⽶では、包括的かつ具体的なデータに関する戦略をここ1〜2年の間に公表*36*し、これらに沿った施策を強⼒に推進している。また、⼀部の国では、デジタルツインを国家規模で構築し、利便性の⾼いサービスの提供を本格化させる事例*37*が⽣まれている。このような状況を受け、各国・地域では、データの取扱いに関する基本原則を策定するなどの動きや、デジタル社会の在り⽅に関する国際場裡での議論が始まりつつある。
このような状況に対し、我が国では、SIPを中核として、農業や交通インフラ等の分野ごとのデータ連携基盤やそれらが相互接続するための分野間データ連携基盤*38*の整備、スマートシティの基本的な設計指針となる「スマートシティリファレンスアーキテクチャ*39*」を策定するなど、官⺠が連携し、取り組んできた。また、制度や政策、組織の在り⽅の改⾰とあわせ、社会のデジタル化を強⼒に進めるため、施策の策定に係る⽅針等を定める⾼度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)の全⾯的な⾒直しを⾏うとともに、新たな司令塔としてデジタル庁を設置することとし、「デジタル社会の実現に向けた改⾰の基本⽅針*40*」、「デジタル・ガバメント実⾏計画*41*」や「データ戦略第⼀次とりまとめ*42*」を策定するなど、我が国が世界有数のデータ活⽤先進国となる端緒を開いたところである。
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【現状データ】(参考指標)
・ ⾏政サービス関連データのオープン化状況(オープンデータ種類):27,635件*43* ・ DXに取り組む企業の割合:ユーザー企業41.5%、IT企業33.8%(2020年)*44* ・ ICT市場規模:99.1兆円(2018年)*45*・IMDデジタル競争⼒ランキング:27位/63カ国中(2020年) ・ 分野間データ連携基盤で検索可能なカタログセット数:52,797(うち、⺠5,535)*46* ・ 上記カタログセットを提供するサイト数:35サイト(うち、⺠1)*47* ・ 研究データ基盤システム*48*に収載された公的資⾦による研究データの公開メタデータ(機関、プログラムごとなど)*49* ・ 通信網の整備状況:5G基盤展開率*50*(2020年3⽉末時点指標なし)、光ファイバ未整備世帯数53万世帯*51*(2020年3⽉末時点) ・ Society 5.0の認知度、サービスへの期待・不安:認知度12.9%(2019年)*52* ・ 数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度の認定教育プログラム数 ・ 情報通信分野の研究開発費:23,624億円(2019年度)*53* |
(b) あるべき姿とその実現に向けた⽅向性
Society 5.0の実現に向け、サイバー空間とフィジカル空間を融合し、新たな価値を創出することが可能となるよう、質の⾼い多種多様なデータによるデジタルツインをサイバー空間に構築し、それを基にAIを積極的に⽤いながらフィジカル空間を変化させ、その結果をサイバー空間へ再現するという、常に変化し続けるダイナミックな好循環を⽣み出す社会へと変⾰することを⽬指す。
このため、デジタル社会を実現する司令塔と国家戦略の下、必要な規制の⾒直しを図りつつ、この新たな社会システム基盤を構築、徹底的に活⽤し、グローバルな課題と国内のシステム改⾰に挑むことで、国⺠の安全と安⼼を確保する持続可能で強靱な社会を実現する。また、戦略からインフラや⼈材に⾄る全体的なアーキテクチャに基づく合理的なサイバー空間の構築と、その活⽤を前提としたフィジカル空間における業務改⾰や産業構造の不断の変⾰が必要である。
このような社会を⽀えるのは、⼈材と社会インフラである。「数理・データサイエンス・AI」に関する素養を備え、社会のあらゆる分野で活躍する⼈材を⼤量に育成する。また、全国津々浦々まで次世代のインフラが整備された環境において、データやAIを活⽤する技術を実装する。これらを通じて、いつでも、どこでも、誰でも、データやAIを活⽤し、これまで実現できなかったようなサービスを次々と創出できる基盤を構築する。
また、⾏政機関が「データホルダー・プラットフォーム」としての役割を担い、ベース・レジストリ*54*の整備や、⾏政サービスに関連したデータの標準化と⺠間への開放を進めるとともに、教育、医療、防災等の分野に関しては、国が整備する安全・安⼼で信頼できるデータプラットフォームを官・⺠が⼀体となって活⽤することで、あらゆるモノやサービスに関する多種多様なデータを基にしたデジタルツインをサイバー空間に構築する。
さらに、信頼性のあるデータ流通環境の整備、セキュリティやプライバシーの確保、公正なルール等の整備を図ることで、企業によるデータの相互提供・活⽤、様々な分野で開発・提供される国⺠の利便性と安全な暮らしを⽀える利便性の⾼いサービスを活性化するとともに、データやAIの社会実装に伴う負の⾯や倫理的課題等にも対応し、多様な⼈々の社会参画が促され、国内外の社会の発展が加速する。
こうした変化に呼応し、あらゆる分野のあらゆる業務でデータ活⽤を前提とした業務変⾰・デジタル化の徹底が進み、産業構造の変⾰と国際産業競争⼒が向上し、データ活⽤に関する国⺠の社会受容、企業の協調意識が⾼まり、国境を越えてデータの活⽤がより⼀層進むといった好循環が⽣まれる。
このような社会を実現することで、持続可能で安全・安⼼な社会の構築や、様々な社会課題の解決に向けた取組を⽀援するとともに、世界に先駆けてSociety 5.0を実現する我が国の姿を世界へ発信する。
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【⽬標】
・ 「データ戦略」を完遂し、サイバー空間とフィジカル空間とがダイナミックな好循環を⽣み出す社会へと変⾰させ、いつでも、どこでも、誰でも、安⼼してデータやAIを活⽤して新たな価値を創出できるようになる。
【科学技術・イノベーション政策において⽬指す主要な数値⽬標】(主要指標)
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① サイバー空間を構築するための戦略、組織
○「デジタル社会の実現に向けた改⾰の基本⽅針」の下、デジタル社会の形成に関する司令塔として、強⼒な総合調整機能(勧告権等)を有するとともに、企画⽴案や、国、地⽅公共団体、準公共部⾨等の情報システム*56*の統括・監理を⾏い、重要なシステムについては⾃ら整備するデジタル庁を、2021年中に発⾜させる。【IT*57*】
○デジタル社会の形成を促進する観点からの規制の⾒直しを図る。【IT、規制、関係府省】
○データに関する⾏政機関や⺠間などの各プレーヤーの⾏動理念を明確化するとともに、サイバー空間を構築し、データを活⽤した新たなビジネスや⾏政サービスを創出するためのデータ戦略について、2020年末の「第1次とりまとめ」の策定をはじめとして、2021年度から関係府省の取組進捗状況を確認し、不断の⾒直し、具体化を⾏う。【IT、科技】
② データプラットフォームの整備と利便性の⾼いデータ活⽤サービスの提供
○データ活⽤サービスの根幹となるベース・レジストリ(個⼈、法⼈、住所、⼟地、事業所等)について、そのデータホルダーの関係府省とIT本部が連携し、2021年6⽉までに整備等の⽅向性の検討を⾏い、2021年度内に⼀部先⾏プロジェクトについて運⽤を開始するとともに、データ標準の整備を順次実施する。 【IT、関係府省】
○地⽅においても都市においても、国⺠⼀⼈ひとりが同じレベルの細やかな⾏政サービスを享受し、また、オンラインで⼿続を⾏うことを可能とする。このため、政府情報システムについて、標準化や統⼀化により相互の連携を確保しながら統合・⼀体化を促進し、⺠間システムとの連携を容易にしつつ、ユーザー点での⾏政サービスの改⾰と業務システムの改⾰を⼀体的に進めることで、国⺠・事業者の更なる利便性向上と運⽤経費等削減(2025年度までに3割削減(対2020年度))を図る。また、地⽅公共団体の17務に係る情報システム*58*を対象に、標準化・共通化を進め、2025年度までに基準(標準仕様)に適合した情報システムへの移⾏を⽬指す。標準化・クラウド化の効果を踏まえ、地⽅公共
団体の情報システムの運⽤経費等については、標準準拠システムへの移⾏完了予定後の2026年度までに2018年度⽐で少なくとも3割の削減を⽬指すこととする。 【IT、総】
○教育、医療、防災等の分野において、官⺠が⼀体となって活⽤でき、⺠間サービス創出の促進に資するデータプラットフォームを、データ戦略のタイムラインに従い、2025年までに構築し、運⽤を開始するとともに、その際、データプラットフォームの整備及び利活⽤状況について測定可能な指標が策定・運⽤されている状態となることを⽬指す。 【IT、科技、防災、⽂、厚、国、関係府省】
○⺠間サービスについて、協調領域におけるデータ共有プラットフォームを早期に構築するため、2021年度までにモデルケース創出に取り組むとともに、⽇本の産業競争⼒の強化及び安全・安⼼なデータ流通を実現するため、異なる事業・分野間で個別に整備されたシステムやデータをつなぐための標準を含むアーキテクチャについて、2022年度までにIPA*59*において整備・検討し、複数の分野での結論を得る。 【経】
○分野を越えたデータ流通・利活⽤に関する課題や、関係機関が抱える共通的な課題に対し、技術⾯、制度⾯、⼈材⾯から産学官の英知を結集して解決に取り組み、持続可能な「データ・エコシステム」を構築するため、DSA*60*を中核とした、分野間データ連携の仕組みを2023年中に構築し、内閣府が実施する研究開発課題(SIP等)で構築する分野ごとのデータ基盤、スマートシティ及びスーパーシティのデータ連携基盤並びに研究データ基盤システムの相互接続を進め、DSAやスマートシティ官⺠連携プラットフォーム*61*を通じて周知啓発などに取り組む。さらに、⾏政機関の「データホルダー・プラットフォーム」としての役割の拡⼤やデータの国際的流通の増⼤、データやAIを使⽤したサービスの進展等に合わせ、より⾼度なデータ利活⽤を実現する⽅策について検討する。 【IT、科技、防災、警、⾦融、総、⽂、厚、農、経、国、環】
③ データガバナンスルールなどの信頼性のあるデータ流通環境の構築
○データ流通を促進するための環境整備(情報銀⾏、データ取引市場等)の現状・課題やそのルール等について、2021年度内に検討を⾏い、結論を得る。【IT、知財、科技、個⼈、総、経】
○⺠間保有データの活⽤推進のため、データを提供する側の国⺠や企業の不安解消、データを提供する先の組織・団体の信頼性向上等、⺠間保有データの取扱ルールの在り⽅を2021年度内に検討する。【IT、知財、個⼈、関係府省】
○データ社会全体を⽀える本⼈認証やデータの真正性確保など、各種トラストサービスの検討について、2021年度中に解決の⽅向性を⽰し、2025年度までに可能なものから順次、整備していく。【IT、総、経】
④ デジタル社会に対応した次世代インフラやデータ・AI利活⽤技術の整備・研究開発
○国⼟全体に網の⽬のように張り巡らされた、省電⼒、⾼信頼、低遅延などの⾯でデータやAIの活⽤に適した次世代社会インフラを実現する。このため、5G/光ファイバの整備を進め、5Gについては、2023年度末には98%の地域をカバーし、光ファイバについては、2021年度末には未整備世帯数が約17万世帯に減少すると⾒込まれる。さらに、宇宙システム(測位・通信・観測等)、地理空間(G空間)情報、SINET*62*、HPC(High-Performance Computing)を含む次世代コンピューティング技術のソフト・ハード⾯での開発・整備、量⼦技術、半導体、ポスト5G*63*やBeyond 5G*64*の研究開発に取り組む。【地理空間、宇宙、総、⽂、経】
○ポスト5Gシステムや当該システムで⽤いられる半導体の開発とともに、Beyond 5Gの実現に向け、2025年頃から順次要素技術を確⽴するため、研究開発基⾦の活⽤などにより、官⺠の英知を結集した研究開発を促進する。 【総、経】
○次世代インフラやデータ、AIを徹底的に活⽤し、⼀⼈ひとりに寄り添ったサービスを提供するため、「AI戦略2019」に定める中核基盤研究開発に取り組む。 【科技、総、⽂、経】
⑤ デジタル社会を担う⼈材育成
○デジタル社会を担う⼈材が輩出・採⽤され、社会で活躍できるよう、産学官が連携し、デジタル社会の基盤となるような知識・能⼒を教育する体制を更に充実させるため、2021年度より、⼤学と政府や産業界等との対話を加速し、統計学の専⾨教員の早期育成体制整備、数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度の普及⽅策や、インターンシップ、PBL*65*等も活⽤した学修成果を重視する教育の推進を通じて、雇⽤・採⽤の在り⽅と⾼等教育が提供する学びのマッチングについて、共通認識を醸成する。 【IT、内閣⼈事局、⼈、⽂、経】
⑥ デジタル社会の在り⽅に関する国際社会への貢献
○データ流通に関するグローバルな枠組みを構築するため、データ品質、プライバシー、セキュリティ、インフラ等の相互信頼やルール、標準等、国際的なデータ流通を促進する上での課題について、2021年度までに⽅向性を⽰し、解決に向けた⽅策を実⾏する。 【内閣官房、IT、知財、個⼈、総、外、経】
○デジタル社会の在り⽅等に関する国際的な対話を促進するため、上記の取組を通じて得られたグッドプラクティス等の成果をOECD等の国際場裡に提供するとともに、2023年に⽇本が開催国を務めるG7*66*やIGF*67*等における成果に反映することを通じて、国際的な議論を牽引する。 【IT、科技、総、外、経】
○2025年に開催される⼤阪・関⻄万博において、「2025年に開催される国際博覧会(⼤阪・関⻄万博)の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本⽅針*68*」を踏まえ、データやAIを活⽤してSociety 5.0を体現する。これにより、広く国内外に我が国の実装⼒をアピールし、海外からの投資を呼び込む。 【万博、科技、総、経】
⑦ 新たな政策的課題
○デジタル化を巡る社会状況の変化が激しい中、国境を越えたデータ活⽤促進⽅策、官⺠におけるデジタルツイン構築の促進⽅策、世界の⾼度⼈材を⽇本へ引き付ける⽅策や社会受容を政策へ反映する⽅策などについて、エビデンスを⽤いながら常に状況に応じて計画を⾒直すため、2023年度までを⽬途に、政策の評価、⾒直しを⾏い、新たに講ずべき政策を検討する。 【IT、科技】
(2)地球規模課題の克服に向けた社会変⾰と⾮連続なイノベーションの推進
(a) 現状認識
急激な気候変動に伴う気象災害や、それによる⼈的・経済的損失の拡⼤、⽣物多様性の劣化、海洋プラスチックごみ問題など、地球規模での社会的な課題が深刻化している。中でも、気候変動問題への対応は喫緊の課題であり、その解決に向けて、2020年から本格的に運⽤されているパリ協定を着実に実施し、同協定の⽬指す今世紀後半の世界の脱炭素社会の実現に向けた取組を進めていくことが不可⽋となっている。
こうした中、EUをはじめ、⽶国、中国等世界各国で、カーボンニュートラルの宣⾔と、実現のための技術開発、社会実装等への積極的な投資が展開・計画されている*69*。そして、この流れは、EUの「グリーンリカバリー」等*70*に⾒られるように、カーボンニュートラルへの取組がコロナ禍からの経済復興の柱に位置付けられることで、更に加速している。
我が国でも、2020年10⽉の第203回国会での総理所信表明*71*の中で、気候変動問題への対応が国家としての最重要課題の⼀つとして位置付けられ、2050年までにカーボンニュートラルの実現を⽬指すこととしている。温室効果ガスの排出を前提とする経済活動が基盤となっている現状の社会構造とは抜本的に異なるカーボンニュートラルな社会像を⽬指すには、社会変⾰と⾮連続なイノベーションが不可⽋である。このための⾰新的な技術開発に対する継続的な⽀援を⾏う2兆円規模の基⾦*72*を創設することとされた。また、2050年までにCO2排出量実質ゼロを⽬指す地⽅公共団体である「ゼロカーボンシティ」も全国で300を超えるまで増加しており、各地域での取組も進んできている。
⼀⽅、世界的な⼈⼝増加や経済発展に伴う中⻑期的な資源制約や廃棄物排出量の増⼤への対応も世界的な課題となっており、循環経済(サーキュラーエコノミー)を⽬指す取組が各国で進められている*73*。我が国においても、「第四次循環型社会形成推進基本計画*74*」に基づき、ライフサイクル全体での徹底的な資源循環や地域循環共⽣圏の形成等に係る取組を積極的に推進している。
なお、近年、急速に関⼼が⾼まった海洋プラスチックごみ問題については、2019年6⽉のG20⼤阪サミットにおいて、新興国・途上国を含めた取組の第⼀歩として、2050年までに追加的な汚染をゼロにすることを⽬指す「⼤阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が⾸脳間で共有されたところである。
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【現状データ】(参考指標)
・ ⾰新的環境イノベーション戦略(イノベーション・アクションプラン、アクセラレーションプラン、ゼロエミッション・イニシアティブズ)*75*の進捗状況 ・ ゼロカーボンシティ数:325地⽅公共団体(2021年3⽉17⽇) ・ 環境分野の研究開発費:12,894億円(2019年度)*76* ・ エネルギー分野の研究開発費:11,654億円(2019年度)*77* ・ RE100加盟企業数*78*(⽇本):50社(2021年2⽉1⽇)*79* ・ 温室効果ガス排出量:12億1300万トン(2019年度(速報値))*80* ・ ⽇本における平均気温上昇度:1.24℃(1898年から2019年の間)*81* ・ 資源⽣産性:約39.3万円/トン(2017年度)*82* ・ 循環型社会ビジネスの市場規模:約40兆円(2000年度)*83* |
(b) あるべき姿とその実現に向けた⽅向性
2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、2050年カーボンニュートラルを実現する。また、健全で効率的な廃棄物処理及び資源の⾼度な循環利⽤による循環経済を実現する。これらの実現に向けた対応が、グリーン産業の発展を通じた経済成⻑へとつながることで、世界をリードし、経済と環境の好循環が⽣み出されるような社会を⽬指す。
そのためには、国⺠のライフスタイル、産業構造や経済社会全般の変⾰及び社会的な課題の解決を⽬指すための「脱炭素社会」、「循環経済」、「分散型社会」への三つの移⾏による経済社会の再設計(リデザイン)ともに、⾮連続なイノベーションが不可⽋であり、⾼い⽬標とビジョンを掲げ、それに向かって産学官が⼀体となって、まずは2030年に向けて総⼒を挙げて幅広く取り組むことが必要である。
こうした観点から、カーボンニュートラルの実現に向けては、グリーンイノベーション戦略推進会議などの議論をもとに、省エネルギーの徹底、電化の促進と電⼒の脱炭素化(再⽣可能エネルギーの最⼤限の導⼊に向けた技術の加速度的普及、安全最優先での原⼦⼒利⽤)を進めるとともに、次世代型太陽電池、CCUS*84*/カーボンリサイクル、⽔素等の⾰新的イノベーションを強⼒に推進する。その際、技術導⼊、社会実装を促すべく、国⺠のライフスタイルの脱炭素化の促進、ゼロカーボンシティの実現・拡⼤と国⺠理解の醸成を図るとともに、必要な制度・基準などの仕組みも検討する。
加えて、こうした我が国の取組について、積極的な国際発信を⾏い、⽇本のプレゼンス向上を図ることで、世界各国の研究機関の英知を結集し、国際共同研究の推進、サプライチェーン等の構築を⽬指すとともに、エネルギー・環境関連事業への投資の国内への取り込みや企業活動の積極的な⾒える化を促進する。
また、循環経済の実現に向けて、廃棄物の処理・適正管理に加え、代替素材の開発などのイノベーションを促進していくべく、製品の⻑寿命化や資源の⻑期的保全・維持、廃棄物の発⽣の最⼩化などを進める。また、各地域が⾃然資源や⽣態系サービス等の地域資源を⽣かして⾃⽴・分散型の社会を形成し、地域の特性に応じて補完し、⽀え合う「地域循環共⽣圏」を創造しつつ、持続可能な地域づくりや国⺠のライフスタイルの転換を促進する。
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【⽬標】
・ 地球規模課題が深刻化する中で、我が国の温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロとし、世界のカーボンニュートラルを牽引するとともに、循環経済への移⾏を進めることで、気候変動をはじめとする環境問題の克服に貢献し、SDGsを踏まえた持続可能性が確保される。 【科学技術・イノベーション政策において⽬指す主要な数値⽬標】(主要指標) ・ 我が国の温室効果ガス排出量:実質ゼロ(2050年) ・ 資源⽣産性:約49万円/トン(2025年度) ・ 循環型社会ビジネスの市場規模:2000年度の約2倍(2025年度) |
(c) 具体的な取組
① ⾰新的環境イノベーション技術の研究開発・低コスト化の促進
○「⾰新的環境イノベーション戦略」について、グローバルな状況を踏まえ、イノベーション・ダッシュボード、アクセラレーションプラン、東京ビヨンド・ゼロ・ウィークを適時適切に⾒直し、産学官が⼀体となって着実に推進する。また、カーボンニュートラルを⽬指す上で不可⽋な分野について、①年限を明確化した⽬標、②研究開発・実証、③規制改⾰や標準化などの制度整備、④国際連携などを盛り込んだ「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成⻑戦略*85*」を踏まえて、⾰新的な技術開発に対する継続的な⽀援を⾏う基⾦事業等を活⽤し、⾰新的技術の社会実装を推進する。【科技、総、⽂、農、経、国、環】
○都市間・分野間のデータの相互接続性やシステムの拡張性が保たれるよう「スマートシティリファレンスアーキテクチャ」を参照しつつ各地域における都市OS*86*(データ連携基盤)の実装を加速化する。また、ゼロカーボンシティを表明した地⽅公共団体等において、多種多様なビッグデータを⽤いた気候変動対策が⾏われるよう、ゼロカーボンシティの取組の進展に資する⽀援を2021年度から開始する。【科技、総、⽂、農、経、国、環】
○ムーンショット型研究開発制度の2050年⽬標(「地球環境再⽣に向けた持続可能な資源循環を実現」及び「未利⽤の⽣物機能等のフル活⽤により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な⾷料供給産業を創出」) の達成に向け、必要な研究開発を加速するとともに、社会実装に向けた道筋を明確化する。 【科技、農、経】
○国際社会と協働しつつ、産総研ゼロエミッション国際共同研究センター、次世代エネルギー基盤研究拠点東京湾岸イノベーションエリア等の「⾰新的グローバル研究拠点」の機能を強化し、国内外の⼈材や知の交流を活性化する。 【⽂、経】
○2050年カーボンニュートラルの実現や、国際的なルールメイキングへの積極的関与も含めた「みどりの⾷料システム戦略」を2021年5⽉までに策定する。同戦略において、新たな農林⽔産政策の展開を検討し、2050年に⽬指す姿を⽰した上で、⾷料・農林⽔産業の⽣産⼒向上と持続性の両⽴をイノベーションで実現する。【農、関係府省】
○循環経済への移⾏に向けて、環境配慮型の設計推進、使⽤済製品の選別効率化等の⾼度リサイクル基盤技術開発、海洋⽣分解性プラスチック等環境負荷の低い⾰新素材の研究開発やイノベーション推進のための投資等を推進する。 【⽂、経、環】
○気候変動は⽣物多様性劣化の要因である⼀⽅、⽣物多様性の基盤となる森林⽣態系等はCO2吸収源となるなど、相互に緊密に関係・関連していることから、⽣物多様性保全と気候変動対策のシナジーによるカーボンニュートラルの実現に向けての研究開発を⾏い、吸収源や気候変動への適応における⽣態系機能の活⽤等を図る。 【農、国、環】
○社会インフラ設備の省エネ化・ゼロエミッション化に向けた取組や建設現場における省エネ化に向けた⾰新的な技術開発を推進するとともに、⾃然環境が有する多様な機能を活⽤し、CO2吸収源対策にも資する「グリーンインフラ」の社会実装を推進する。【国、環】
○⾼精度な気候変動予測情報の創出や、気候変動課題の解決に貢献するため温室効果ガス等の観測データや予測情報などの地球環境ビッグデータの蓄積・利活⽤を推進する。 【⽂、環】
② 多様なエネルギー源の活⽤等のための研究開発・実証等の推進
○現在⾒直しに向けた議論が進められている「エネルギー基本計画」等を踏まえ、省エネルギー、再⽣可能エネルギー、原⼦⼒、核融合等に関する必要な研究開発や実証、国際協⼒を進める。 【⽂、経】
③ 経済社会の再設計(リデザイン)の推進
○産業創造や経済社会の変⾰、社会的な課題の解決を⽬指して、「脱炭素社会」、「循環経済」、「分散型社会」への三つの移⾏による経済社会の再設計(リデザイン)に向けた具体的な取組を進める。その際、グローバルな視点とともに社会実装を意識した「地域」の視点も重要であることから、地域の脱炭素化に向けた取組を⽀える分野横断的な研究開発を推進するとともに、三つの移⾏を統合的に具現化する「地域循環共⽣圏(ローカルSDGs)」の創造を⽬指す。 【⽂、経、環】
○2021年11⽉のCOP26*87*に向け、⾒直しの議論が進められている「地球温暖化対策計画」を踏まえ、技術開発の⼀層の加速化や社会実装、ライフスタイル・ワークスタイルの変⾰等の地球温暖化対策を⼤胆に実⾏する。 【経、環】
○ライフスタイルを脱炭素化するための技術の普及を促すため、「国・地⽅脱炭素実現会議」等における議論を踏まえつつ、住まい・移動のトータルマネジメント(ZEH*88*・ZEB*89*、需要側の機器(家電、給湯等)、地域の再⽣可能エネルギー、動く蓄電池となるEV*90*・FCV*91*等の組み合わせを実⽤化)、ナッジ*92*やシェアリングを通じた⾏動変容、デジタル技術を⽤いたCO2削減のクレジット化等を促す技術開発・実証、導⼊⽀援、制度構築等に取り組むことで、ライフスタイルの転換を促し、脱炭素のプロシューマー*93*を拡⼤する。 【環、関係府省】
○廃棄物の排出削減やリサイクル処理に係るプロセスの⾼度化・効率化、製品のバイオマス化等を通じた資源循環を⾏うとともに、焼却せざるを得ない廃棄物のエネルギー回収、処理によって発⽣した温室効果ガスの分離・貯留・有効利⽤を⽬指すことにより、「循環経済」への移⾏を加速化する。 【経、環】
○「分散型社会」を構成する⽣物多様性への対応については、絶滅危惧種の保護や侵略的外来種の防除に関する技術、⼆次的⾃然を含む⽣態系のモニタリングや維持・回復技術、遺伝資源を含む⽣態系サービスと⾃然資本の経済・社会的価値の評価技術及び持続可能な管理・利⽤技術等の研究開発を推進し、「⾃然との共⽣」を実現する。 【環】
④ 国⺠の⾏動変容の喚起
○⼈⽂・社会科学と⾃然科学の融合による「総合知」を活⽤して、カーボンニュートラルの実現に向けた国⺠⼀⼈ひとりの取組の重要性に係る国⺠理解の醸成や脱炭素型への⾏動変容の促進を図る。とりわけ、BI-Tech(⾏動科学の知⾒と先端技術の融合)*94*を活⽤した製品・サービス・ライフスタイルのマーケット拡⼤を2022年度末までに⽬指すとともに、個⼈のCO2削減のクレジットを低コストで⾃由に取引できるブロックチェーン技術を⽤いたプラットフォームの構築を図る。あわせて、こうした我が国の取組等について国内外への発信を精⼒的に実施する。 【科技、経、環】
(3)レジリエントで安全・安⼼な社会の構築
(a) 現状認識
近年の⾃然環境や経済・社会活動を巡る⾮連続な変化に伴い、国及び国⺠の安全・安⼼は脅威にさらされている。気候変動等に伴い⾵⽔害等が頻発化、激甚化しつつある上、近い将来、⼤規模な地震・津波災害の発⽣が⾼い確率で想定され、現状の防災対策⽔準では、逃げ遅れによる死者・⾏⽅不明者の発⽣や、家屋やインフラの被災による国⺠⽣活や経済社会に対する被害の防⽌が困難な状況にある。
また、国⺠の安全・安⼼を確保し、社会経済活動を⽀える基盤として、インフラの維持管理、更新は極めて重要であるが、インフラの⽼朽化が加速する中において、予算や⼈⼿の不⾜による不⼗分なメンテナンスなどに起因する機能喪失や⼤規模事故の発⽣、災害に対する脆弱化等が懸念される。
⼀⽅で、今般の新型コロナウイルス感染症の世界的流⾏により、感染症に対する社会システムの脆弱性が顕在化した。グローバル化の進む社会においては、ヒト・モノの国境を越えた移動により感染症が短期間に国境を越えて拡⼤するリスクが存在しており、今後も新たな⽣物学的な脅威が発⽣し、国⺠の⽣命や経済社会に⼤きな打撃を与えるリスクが存在している。
さらに、サイバー空間の急拡⼤とともに、新たな技術や⼿法等の活⽤によりサイバー攻撃が多様化・⾼度化し、重要インフラやサプライチェーン等に対する想定外の脅威も懸念される。サイバー空間だけでなく宇宙空間や海洋空間における⼈間活動の活発化に伴う脅威も懸念される。
また、我が国の安全保障をめぐる環境が⼀層厳しさを増している中、科学技術・イノベーションにおける覇権争いが激化し、先端技術の研究開発等に各国がしのぎを削っている。このような背景の下、技術流出問題が既に顕在化しており、軍事転⽤等による安全保障上のリスクが想定される。これに適切に対処するため、技術的優越確保の観点からの技術の研究開発動向や重要技術を把握し、育成・活⽤するとともに、技術流出を抑制することの重要性が増している。
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【現状データ】(参考指標)
・ ⾃然災害による死者・⾏⽅不明者数:114⼈(2019年)*95* ・ ⾃然災害による施設関係等被害額:約1兆円(2018年)*96* ・ 短時間強⾬(50mm/h以上)の年間発⽣回数:約327回/年(2010〜2019年平均)*97* ・ 建設後50年以上経過するインフラの割合:(例)道路橋:約63%(2033年)*98* ・ サイバー攻撃件数:(例)ランサムウェア:約6,113万件(2019年)*99* ・ 感染症発⽣動向調査における感染症患者の報告件数(例)結核:22,448件(2018年)*100* |
(b) あるべき姿とその実現に向けた⽅向性
頻発化・激甚化する⾃然災害に対し、先端ICTに加え、⼈⽂・社会科学の知⾒も活⽤した総合的な防災⼒の発揮により、適切な避難⾏動等による逃げ遅れ被害の最⼩化、市⺠⽣活や経済の早期の復旧・復興が図られるレジリエントな社会を構築する。これに加えて、必要なインフラの建設・維持管理・更新改良等を効率的に実施することにより、機能や健全性を確保し、事故や災害のリスクを低減するなど、国⼟強靱化に係る科学技術・イノベーションを活⽤した総合的な取組を推進する。
さらに、多様化・⾼度化しつつ刻々と変化を続けるサイバー空間等の新たな領域における攻撃や、新たな⽣物学的な脅威から、国⺠⽣活及び経済社会の安全・安⼼を確保する。
世界的規模での地政学的な環境変化が起き、覇権争いの中核が科学技術・イノベーションとなっている現況下にあって、科学技術・イノベーションが国家の在り様に与える影響はますます増⼤するとの認識の下、産学官が連携し、分野横断的に先端技術の研究開発を推進し、安全・安⼼で強靱な社会の構築に貢献するとともに、国⼒の根源である重要な情報を守り切る。
このような、レジリエントで安全・安⼼な社会を⽬指すため、様々な脅威に対する総合的な安全保障の実現を通して、我が国の平和を保ち、国及び国⺠の安全・安⼼を確保するために、関係府省庁、産学官が連携して我が国の⾼い技術⼒を結集するとともに、「知る」「育てる」「⽣かす」「守る」の視点が重要である。すなわち、「『安全・安⼼』の実現に向けた科学技術・イノベーションの⽅向性」*101*に基づき、いかなる脅威があるのか、あるいは脅威に対応できる技術を「知る」とともに、必要な技術をどのように「育てる」のか、育てた技術をどのように社会実装し「⽣かす」のかを検討し、また、それらの技術について流出を防ぐ「守る」取組を進める。具体的には、我が国が育てるべき重要技術分野の明確化及び重要技術への重点的な資源配分を実施するとともに、我が国の技術的優越を確保・維持する観点や、研究開発成果の⼤量破壊兵器等への転⽤防⽌といった観点から、適切な技術流出対策等を着実に実施する。これらにより、我が国にとっての重要技術を守るとともに、我が国の研究セキュリティを確保し、総合的な安全保障を実現する。
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【⽬標】
・ 頻発化・激甚化する⾃然災害、新たな⽣物学的脅威などの国⺠⽣活及び経済社会への様々な脅威に関する社会的な不安を低減・払拭し、国⺠の安全・安⼼を確保する。 【科学技術・イノベーション政策において⽬指す主要な数値⽬標】(主要指標) ・ 基盤的防災情報流通ネットワークSIP4D(Shared Information Platform for Disaster Management)を活⽤した災害対応が可能な都道府県数:全都道府県(2023年) ・ 防災チャットボット*102*の運⽤地⽅公共団体数:100以上(2023年) ・ 2025年度⽬途に府省庁及び主要な地⽅公共団体・⺠間企業のインフラデータプラットフォーム間の連携及び主要他分野とのデータ連携を完了 ・ 2021年度にサイバーセキュリティ情報を国内で収集・⽣成・提供するためのシステム基盤を構築、産学への開放を実施 ・ ⽣物学的脅威に対する対応⼒強化:2021年度より感染症に係る情報集約・分析・提供のためのシステムを強化し、随時情報集約を実施。2022年度より、研究者の分析に基づくリスクコミュニケーションのための情報を提供 ・ 新たなシンクタンク機能:2021年度より⽴ち上げ、2023年度を⽬途に組織設⽴ |
(c) 具体的な取組
① 頻発化、激甚化する⾃然災害への対応
○国際的な枠組みを踏まえた地震・津波等に係る取組も含め、⾃然災害に対する予防、観測・予測、応急対応、復旧・復興の各プロセスにおいて、気候変動も考慮した対策⽔準の⾼度化に向けた研究開発や、それに必要な観測体制の強化や研究施設の整備等を進め、特に先端ICT等を活⽤したレジリエンスの強化を重点的に実施する。組織を越えた防災情報の相互流通を担うSIP4Dを核とした情報共有システムの都道府県・市町村への展開を図るとともに、地域の防災⼒の強化に取り組むほか、データ統合・解析システム(DIAS*103*)を活⽤した地球環境ビッグデータの利⽤による災害対応に関する様々な場⾯での意思決定の⽀援や、地理空間情報を⾼度に活⽤した取組を関係府省間で連携させる統合型G空間防災・減災システムの構築を推進する。さらに、産官学⺠による災害対応の更なる最適化⽀援及び⾃助・共助・公助の取組に資する国⺠⼀⼈ひとりとのリスクコミュニケーションのための情報システムを充実するなど、災害対応のDX化を推進する。そのため、SIP4Dについて、2021年度より都道府県災害情報システムとの連接を順次実施する。また、防災チャットボットについて、2023年度より市町村及び住⺠との情報共有のためのシステムの⼀部を稼働するとともに、更なるシステムの充実に取り組む。
【科技、防災、関係府省、関係地⽅公共団体】
○情報共有システムに係る研究基盤を構築するとともに、⼈⽂・社会科学の知⾒も活⽤した防災対策⽔準の評価や避難者の⾏動⼼理分析、防災における社会的要請や課題の分析、防災技術のベンチマーキングなどを踏まえた、防災研究の全体俯瞰に基づく効率的・効果的な研究開発投資及び社会実装の取組を実施する。
【科技、防災、関係府省、関係地⽅公共団体】
② デジタル化等による効率的なインフラマネジメント
○国⼟強靱化に向けた効率的なインフラマネジメントを実現するため、公共⼯事における先端技術の実装を進めるとともに、各管理者におけるインフラデータのデジタル化・3D化を順次実施し、それらのデータを利活⽤するためのルール及びプラットフォームを整備する。
【科技、国、関係府省】
○インフラ分野での連携型データプラットフォームの構築に向け、2021年度までに府省庁及び主要な地⽅公共団体・⺠間企業のデータプラットフォーム間の連携のための環境を整備し、以降、インフラ管理者間の連携を進めるとともに、国⼟強靱化その他の付加価値創出に向け、防災分野、都市分野、産業分野等とのデータ連携を実施する。 【科技、関係府省】
③ 攻撃が多様化・⾼度化するサイバー空間におけるセキュリティの確保
○サイバー攻撃が多様化・⾼度化するなど、⾮連続な情勢変化が⽣じる中にあって、そのような変化に追従・適応する能⼒が必要となる。その観点を踏まえ、攻撃に対する観測・予測・分析・対処・情報共有等のための研究開発や体制構築を実施する。具体的には、サイバーセキュリティ情報を国内で収集・⽣成・提供するためのシステム基盤を2021年度までに構築し、産学への開放を進める。加えて、量⼦コンピュータ時代に対応した⾼度な暗号技術等の開発、サプライチェーンリスクへ対応するための脆弱性や不正機能の検知といった技術検証等を推進する。 【内閣官房、科技、総、経、関係府省】
④ 新たな⽣物学的な脅威への対応
○新たな⽣物学的な脅威に対して、発⽣の早期探知、流⾏状況の把握と予測、予防・制御や国⺠とのリスクコミュニケーション等に係る研究開発を推進する。具体的には、2021年度より感染症に係る情報集約・分析・提供のためのシステムを強化し、随時情報集約を実施する。また、2022年度より、研究者の分析に基づくリスクコミュニケーションのための情報を提供する。 【内閣官房、科技、厚、関係府省】
⑤ 宇宙・海洋分野等の安全・安⼼への脅威への対応
○宇宙分野や海洋分野を含むその他の安全・安⼼への脅威に対し、国際的な連携体制を確保しつつ、先端的な基盤技術の研究開発や、それぞれの課題に対応した研究開発と社会実装を実施する。
【内閣官房、科技、宇宙、海洋、外、⽂、経、防、関係府省】
⑥ 安全・安⼼確保のための「知る」「育てる」「⽣かす」「守る」取組
安全・安⼼の実現のための重要な諸課題に対応し、科学技術の多義性を踏まえつつ、総合的な安全保障の基盤となる科学技術⼒を強化するため、分野横断的な取組を実施する。
○国⺠⽣活、社会経済に対する脅威の動向の監視・観測・予測・分析、国内外の研究開発動向把握や⼈⽂・社会科学の知⾒も踏まえた課題分析を⾏う取組を充実するため、安全・安⼼に関する新たなシンクタンク機能の体制を構築し、今後の安全・安⼼に係る科学技術戦略や重点的に開発すべき重要技術等の政策提⾔を⾏う。そのため、2021年度より新たなシンクタンク機能を⽴ち上げ、2023年度を⽬途に組織を設⽴し、政策提⾔を実施する。 【内閣官房、科技、関係府省】
○新たなシンクタンク機能からの政策提⾔を踏まえながら、必要に応じ研究開発プログラムやファンディング等と連動させて重点的な研究開発につなげる仕組みを構築する。明確な社会実装の⽬標設定を含む研究開発プログラムのマネジメントを実施する。 【内閣官房、科技、関係府省】
○研究活動の国際化、オープン化に伴い、利益相反、責務相反、科学技術情報等の流出等の懸念が顕在化しつつある状況を踏まえ、基礎研究と応⽤開発の違いに配慮しつつ、また、国際共同研究の重要性も考慮に⼊れながら、政府としての対応⽅針を検討し、2021年に競争的研究費*104*の公募や外国企業との連携に係る指針等必要となるガイドライン等の整備を進める。特に研究者が有すべき研究の健全性・公正性(研究インテグリティ)の⾃律的確保を⽀援すべく、国内外の研究コミュニティとも連携して、2021年早期に、政府としての対応の⽅向性を定める。これらのガイドライン等については、各研究機関や研究資⾦配分機関等の取組状況を踏まえ、必要に応じて⾒直す。 【科技、⽂、経、関係府省】
○我が国の技術的優越を確保・維持するため、重要技術の明確化、重視する技術分野への重点的な資源配分、適切な技術流出対策等を実施する。国際的な技術流出問題の顕在化といった状況を踏まえ、グローバルに知の交流促進を図り、研究⼒、イノベーション⼒の強化を進めることと、総合的な安全保障を確保することを両⽴しつつ、多様な技術流出の実態に応じて段階的かつ適切な技術流出対策を講ずべく、情報収集を進めるとともに、制度⾯も含めた枠組み・体制の構築について検討を進める。 【内閣官房、科技、関係府省】
(4)価値共創型の新たな産業を創出する基盤となるイノベーション・エコシステムの形成
(a) 現状認識
近年、GAFAに代表される巨⼤IT企業をはじめとして、世界中で、スタートアップが極めて短期間で⼤企業をしのぐほどに急成⻑し、産業構造のみならず、都市構造やライフスタイルまでをも変⾰する⼤きな潮流となっている。こうした巨⼤企業に続き、⽶国、中国を中⼼に世界中で「ユニコーン」企業*105*が多数登場し、各国の市場を席捲しつつある。また、先進諸国は、⾰新的なスタートアップを創出すべく、スタートアップ・エコシステムの形成に戦略的に取り組んでいる。
さらに、既存の⼤企業においても、「⾃前主義」から脱却し、多様な分野で機動性を⽣かした挑戦を⾏うスタートアップや⾰新的な技術シーズを有する⼤学などと連携したオープン型、ディスラプティブ型*106*のイノベーションが求められている。
⼀⽅、これまで我が国は、既存事業会社を中⼼としたクローズ型、リニア型のイノベーションが主流となっており、スタートアップが⼗分に活躍できなかった。また、スタートアップが成⻑しようとしても、起業前・起業直後(シード・アーリー)期の資⾦不⾜、経営⼈材不⾜、事業会社との連携の困難性、初期需要創出不⾜、⼤学や国⽴研究開発法⼈発スタートアップの創出不⾜等といった課題があり、世界に⽻ばたくスタートアップを創出するイノベーション・エコシステムが⼗分に発達していない状況にある。
このため、我が国では、2020年7⽉にスタートアップ・エコシステム拠点都市*107*を選定し、世界に⽐肩する⾃律的なスタートアップ・エコシステムの形成を推進している。また、企業、⼤学、公的研究機関などの多様な主体による連携・共創の舞台となるオープンイノベーションの拠点として、筑波研究学園都市及び関⻄⽂化学術研究都市の形成などを進めてきている。
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【現状データ】(参考指標)
・ ⼤学等スタートアップ創業数:⼤学等発204社(2019年度設⽴)、研究開発型法⼈発13社(2018年度設⽴)*108* ・ VC等による投資額・投資件数:年間VC等投資額2,891億円/1,824件(2019年度)*109* ・ 国境を越えた商標出願と特許出願:主要国のうち、単位⼈⼝当たりで商標出願数よりも特許出願数が相対的に多い国は⽇本のみ*110* ・ 研究者の部⾨間の流動性:企業から⼤学等へ転⼊した研究者数1,150⼈、⼤学等から企業へ転⼊した研究者数218⼈(2019年度)*111* |
(b) あるべき姿とその実現に向けた⽅向性
社会のニーズを原動⼒として課題の解決に挑むスタートアップを次々と⽣み出し、企業、⼤学、公的研究機関等が多様性を確保しつつ相互に連携して価値を共創する新たな産業基盤が構築された社会を⽬指す。
このため、都市や地域、社会のニーズを踏まえた⼤学・国⽴研究開発法⼈等の研究開発成果が、スタートアップや事業会社等とのオープンイノベーションを通して事業化され、新たな付加価値を継続的に創出するサイクル(好循環)を形成する。このサイクルが、社会ニーズを駆動⼒として活発に機能することにより、世界で通⽤する製品・サービスを創出する。さらに、事業の成功を通じて得られた資⾦や、経験を通じて得られた知⾒が、⼈材の育成や事業会社・⼤学・国⽴研究開発法⼈等の共同研究を加速させる。こうして、⼤学や国⽴研究開発法⼈、事業会社、地⽅公共団体等が密接につながり、イノベーションを創出するスタートアップが次々と⽣まれ、⼤きく育つエコシステムが形成される。
このような流れが切れ⽬なくつながるシステムが都市や地域を核に形成されることによって、社会課題の解決・社会変⾰を導くイノベーションが連続的、相互連鎖的に創出される。加えて、スタートアップの世界展開、世界からの投資の呼び込みの拡⼤につながる。
こうしたエコシステムの実現に向け、ニーズプル型のイノベーションの創出を強⼒に進めるとともに、スタートアップ及び事業会社のイノベーション活動が促進されるよう、制度⾯、政策⾯での環境整備を進める。さらに、⼤学・国⽴研究開発法⼈等の「知」が社会ニーズに⽣かされるよう、産学官連携による新たな価値共創の推進やスタートアップ・エコシステム拠点都市の形成を進めるとともに、エコシステムを⽀える⼈材育成に取り組む。
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【⽬標】
・ ⼤学や研究開発法⼈、事業会社、地⽅公共団体等が密接につながり、社会課題の解決や社会変⾰へ挑戦するスタートアップが次々と⽣まれるエコシステムが形成され、新たな価値が連続的に創出される。 【科学技術・イノベーション政策において⽬指す主要な数値⽬標】(主要指標) ・ SBIR制度*112*に基づくスタートアップ等への⽀出⽬標:570億円(2025年度)*113* ・ 官公需法に基づく創業10年未満の新規事業者向け契約⽬標:3%(2025年度)*114* ・ 実践的なアントレプレナーシップ教育プログラムの受講者数:1,200名(2025年度)*115* ・ ⼤学等及び国⽴研究開発法⼈における⺠間企業からの共同研究の受⼊額:2025年度までに、対2018年度⽐で約7割増加(2025年度)*116* ・ 分野間でデータを連携・接続する事例を有するスタートアップ・エコシステム拠点都市数の割合:100%(2025年) ・ 企業価値⼜は時価総額が10億ドル以上となる、未上場ベンチャー企業(ユニコーン)⼜は上場ベンチャー企業*117*創出数:50社(2025年度)*118* |
(c) 具体的な取組
① 社会ニーズに基づくスタートアップ創出・成⻑の⽀援
○政府による、ニーズプル型のイノベーションの創出を進めるため、2021年4⽉に施⾏される新たな⽇本版SBIR制度を、関係府省が連携して推進する。本制度に基づく研究開発制度を2021年度から導⼊し、政府の⽀出⽬標を設定するとともに、本制度を活⽤して開発された製品等を調達し、初期需要を創出することにより、スタートアップの創出、成⻑を強⼒に⽀援する。 【科技、関係府省】
○社会課題の解決や市場のゲームチェンジをもたらすスタートアップの創出及び効果的な⽀援を実現するため、⼤学・国⽴研究開発法⼈等発ベンチャー創出を促進する環境整備、ベンチャーキャピタルのファンド組成の下⽀えや、研究資⾦配分機関等による⼤規模な資⾦⽀援(Gap Fund供給)を実施する。 【⽂、経】
○スタートアップが⼤企業と共同研究等を通じて連携する際に、オープンイノベーションの促進と公正かつ⾃由な競争環境の確保の観点から適正な契約がされるよう、各契約における問題事例やその具体的改善の⽅向性や、独占禁⽌法上の考え⽅を整理したガイドラインを策定する。 【公取、経】
○⼤学等発スタートアップやその連携先企業について、適切な協⼒関係が構築できているか、継続的な実態把握を⾏う。 【科技、経】
○スタートアップの経営課題を踏まえた経営⼈材の要件を整理すること等を通じて、経営⼈材の不⾜により成⻑を阻害されている有望なスタートアップに経営⼈材候補者が転職することが容易となる環境を創出する。 【経】
○スタートアップ⽀援を⾏う政府関係機関が連携し、技術シーズを⽣かして事業化等に取り組むスタートアップや、創業を⽬指す研究者・アントレプレナーなどの⼈材を継続的に⽀援する。 【経、関係府省】
② 企業のイノベーション活動の促進
○イノベーション経営*119*に挑戦する企業が資本市場等から評価されるよう、ISO56002:2019*120*や「⽇本企業における価値創造マネジメントに関する⾏動指針*121*」等を踏まえた銘柄化の制度設計を実施する。また、研究開発に係るファンディングにおいて、当該⾏動指針や産学官連携ガイドライン*122*等を踏まえた企業の取組状況を勘案した審査を順次実施する。 【経】
○欧⽶企業での社外⼈材が活躍するダイバーシティの状況や、世界各国・企業の取組、2020年度に実施した過去の研究開発事業の分析結果等を踏まえ、研究開発事業について、リニア型ではなく、新たに⽣じた社会課題等に応じて柔軟に研究開発を進める新たな政策⼿法の構築を図る。 【経】
○オープンでアジャイルなイノベーションの創出に不可⽋なオープンソースソフトウエア(OSS*123*)に関する経営上の重要性(価値・リスク)の理解促進と、OSSの活⽤に対する意識向上に向けた普及啓発*124*を実施する。 【知財】
○企業における研究開発期間などの詳細な研究開発動向を把握するための統計整備の⽅法について、2024年度までに検討し、結論を得る。 【科技、総、経】
③ 産学官連携による新たな価値共創の推進
○⼤学・国⽴研究開発法⼈等が有するイノベーションの源泉である知と社会ニーズとのマッチングを加速化するため、産学官共同研究の推進や、若⼿研究者と産業界とのマッチングを強化する。 【科技、⽂、経】
○2020年6⽉に産学官連携ガイドラインにおいて取りまとめた、⼤学等・産業界における課題と処⽅箋について、⼤学等・産業界等への周知を通して産学官連携における新たな価値創造を推進するとともに、⼈材、知、資⾦の好循環をもたらす産学官連携を推進するための研究開発事業において、産学官連携ガイドラインを踏まえた⼤学等や企業の取組の状況を勘案した審査を推進する。 【科技、⽂、経】
○持続的な産学官連携プロジェクトの組成や事業の⾼度化を⽀援するマネジメント体制の構築、多様なステークホルダーによる共創の場となるオープンイノベーション拠点の整備等を推進し、⼤学、国⽴研究開発法⼈、研究機関、企業等の連携を後押しする。 【科技、⽂、経】
④ 世界に⽐肩するスタートアップ・エコシステム拠点の形成
○スタートアップ・エコシステム拠点都市の独⾃の取組を後押しし、世界に⽐肩する⾃律的なスタートアップ・エコシステムを形成する。このため、拠点都市に対し、⼤学等におけるスタートアップ創出の活性化、海外市場への参⼊も視野に⼊れたアクセラレータ機能やGap Fundの強化、分野間でデータを連携する基盤への接続に関する周知啓発、スマートシティ事業との連携等の官⺠による集中的な⽀援を⾏う。 【科技、⽂、経】
⑤ 挑戦する⼈材の輩出
○挑戦を是とする意識を持った⼈材の育成を図るため、2025年度までに、スタートアップ・エコシステム拠点のコンソーシアムに参画する全⼤学で、オンラインを含むアントレプレナーシッププログラムを実施する。また、その事例を集約し、同年度までに、全国に展開する。 【⽂】
○イノベーションの創出に関わるマネジメント⼈材をはじめとした多様なイノベーション⼈材の層の厚みを増すとともに、⼈材流動性を⾼めることで質の向上を図るため、イノベーション⼈材の育成と活躍の場を創出する。そのため、これまでの⼈材育成に関する議論の蓄積も踏まえ、2023 年度までにイノベーション⼈材育成環境の整備に関する実態調査やベストプラクティスの周知等に取り組む。 【経】
○⼤学・国⽴研究開発法⼈等と企業の間の⼈材交流を促し、イノベーション⼈材が適材適所で働き、イノベーションの創出の効率性を⾼める観点から、「クロスアポイントメント制度の基本的枠組みと留意点(追補版)」を2023年度までに広く産学関係者に普及するとともに、「官⺠による若⼿研究者発掘⽀援事業」などを活⽤して、産学の⼈材マッチング等を図る。 【経】
⑥ 国内において保持する必要性の⾼い重要技術に関する研究開発の継続・技術の承継
○コロナ禍等の環境変化に伴い事業会社の研究開発や技術の継続・承継が困難になった場合に、国内において保持する必要性の⾼い重要技術については、将来の橋渡しを⾒据え国⽴研究開発法⼈で研究リソースを含め引き継ぐ等の枠組みの構築等に向けた取組を進める。 【経】
(5)次世代に引き継ぐ基盤となる都市と地域づくり(スマートシティの展開)
(a) 現状認識
世界では、⼈⼝集中、資源・エネルギー消費、温室効果ガス排出などに起因し、都市・地域の存続を脅かす深刻な課題となっている、エネルギー・環境、交通、健康・医療、教育、⾃然災害などの課題の解決に向けた様々なスマートシティの構想が提案され、各地で実証・実装の取組が進んでいる。特に新興国においては、近年、⾸都機能の分散・移転にあわせ、⼤規模なスマートシティ建設の構想が公表*125*されている。
⼀⽅で、社会のデジタル化が進むにつれ、ITプラットフォーマー企業によるデータ囲い込みによる寡占・独占状況の構築や、各国間の科学技術・イノベーションをめぐる覇権争いの激化等は、公正な市場取引をゆがめるだけでなく、国家安全保障にも直結する⼤きな課題と捉えられている。また、個⼈情報や⾏動情報の集約 が加速するのに対し、個⼈の⾃由・プライバシーにも配慮して、セキュリティ確保、トラスト、公衆衛⽣などの観点から、⺠意を反映したバランスを取ることが求められている。こうした動向も背景として、近年、スマートシティを⽬指す世界の複数の都市が、グローバル・スマートシティ・アライアンス等の連合体を形成し、スマートシティの効果的・効率的な運⽤に資する共通認識を醸成する活動を開始している。
我が国におけるスマートシティは、ICT等の新技術を活⽤しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)の⾼度化により、都市や地域の抱える諸課題の解決を⾏い、また新たな価値を創出し続ける、持続可能な都市や地域であり、Society 5.0の先⾏的な実現の場である。このため、多くの都市や地域が直⾯する⾼齢化や⼈⼝減少、都市部と地⽅部の経済や住⺠サービスの格差の拡⼤、インフラや交通システムの維持コストの増⼤、ビジネス機会の減少等の社会課題の解決に向けて、先進技術の導⼊による価値創出・地域活性化に期待が寄せられ、官⺠連携の実証・実装への取組が始まり、広がりつつある。しかしながら、それらの多くは、個別の分野・都市の枠内での実証段階にとどまっており、分野・地域を越えた継続的な運営、実装に⾄る地域は多くない。このことは、スマートシティやSociety 5.0についての国⺠の実感の乏しさにもつながっている。
今後、スマートシティの実装が進み、全国に広がるためには、新しい時代に対応したまちづくりを推進する運営組織の設置、運営資⾦の回収モデルの確⽴、デジタル化の推進に向けた新技術の活⽤によるデータの有効活⽤と分野や地域を超えた連携、都市OS(データ連携基盤)の導⼊とその活⽤による都市計画・経営をはじめとするマネジメントの拡充等を進め、国家戦略特別区域制度等も活⽤し制度改⾰を伴う社会全体の変⾰を加速することが必要となる。さらに、新型コロナウイルス感染症への対応として社会経済機能のデジタル化及び強靱化の⼀層の加速が求められている。
このためには、地域住⺠、企業等の様々なステークホルダー、受益者を幅広く巻き込んだ活動が不可⽋であり、各地域の課題や実態に即した中⻑期の取組が必要となる。また、スマートシティを⽀える都市データや都市OSは、限られた者に独占されることなく、セキュリティの確保や個⼈情報の適切な扱いを前提とした上で、地域住⺠や新規ビジネス等に対して広く開かれることが必要である。
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【現状データ】(参考指標)
・ 都市OS(データ連携基盤)上で構築されたサービスの種類数:(2021年度からの計測に努める) ・ 都市OS(データ連携基盤)を活⽤してサービスを提供するユーザー数:(2021年度からの計測に努める) ・ 政府スマートシティ関連事業に基づき技術の実装がされている地域:23 ・ スマートシティの連携事例数 ・ ⼤学等における地域貢献・社会課題解決に関する普及促進活動数 ・ スマートシティの構築を先導する⼈材数 |
(b) あるべき姿とその実現に向けた⽅向性
都市や地域における課題解決を図り、また、地域の可能性を発揮しつつ新たな価値を創出し続けることができる、多様で持続可能な都市や地域が全国各地に⽣まれることで、新しい⽇常におけるリモート・リアルの新しい暮らし・働きの場を提供するとともに、地域間の格差を解消し、⾃然災害や感染症等の様々な脅威への対応により安全・安⼼を実現し、住⺠や就業者、観光客等、あらゆるステークホルダーにとって、⼈間としての活⼒を最⼤限発揮できるような持続的な⽣活基盤を有する社会を⽬指す。
このため、スーパーシティにおけるデータ連携基盤の構築を起点とし、広域連携・多核連携の核となるスマートシティを強⼒に展開・実装することにより、分野・企業横断のデータ連携、他都市・地域への展開・連携を可能とする共通的なシステムの導⼊、セキュリティ確保がなされ、創業しやすい環境を創出する。政府の取組だけでなく地域や⺠間主導の取組においても、スマートシティのリファレンスアーキテクチャの活⽤やスマートシティ官⺠連携プラットフォームを通じた知⾒の利活⽤が⾏われ、新技術を活⽤したインフラ管理⼿法や次世代のモビリティサービスの導⼊が進み、様々な分野のオープンデータを活⽤した都市活動の全体最適化が実現する。
そこでは、市⺠が参画したまちづくりが進み、取組を先導する⼈材との協働により地域に根差した活動が活性化することで、多くの産業が⽣まれ、成功体験が次なる挑戦を続々と誘発し、産学官連携等を通じて地域の知が社会へと還元される取組が活性化する。また、⼈中⼼のコンパクトなまちづくりやスマートローカルを⽬指す地域づくりなど、それぞれの都市・地域の持つ特⾊や活動を⽣かし育てつつ社会的・経済的・環境的な課題の解決に取り組む多様な都市・地域像の具体化を進める。これにより、住⺠満⾜度の向上、産業の活性化、グリーン化・資源利⽤の最適化・⾃然との共⽣の実現など社会的価値、経済的価値、環境的価値等を⾼める多様で持続可能な都市や地域が各地に形成される。さらに、先端的サービスを提供する都市や、⾥⼭⾥海など⾃然と共⽣する地域など、都市・地域が持つ社会的・⾃然的な資源に応じて様々な形で実現するスマートシティが、相互に連携し、⽀え合うネットワークを形成するとともに、相互に好循環を⽣み出すダイナミックなメカニズムとなって、Society5.0の実現につながっていく。
また、課題解決先進国としての⽇本のスマートシティの取組とそのコンセプトが、世界の規範として広く認知されることで、世界各国のスマートシティと価値観の共有が進み、次世代に引き継ぐべき脱炭素社会・地域循環共⽣圏等の実現や、SDGsの達成に貢献する。
2025年⼤阪・関⻄万博においては、新型コロナウイルス感染症克服後の社会の在り⽅を提⽰する、「いのち輝く未来社会のデザイン」を具現化したSociety 5.0の姿を世界に対して発信する。
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【⽬標】
・ 全国で展開されるSociety 5.0を具現化したスマートシティで、市⺠をはじめとする多様なステークホルダーが参加して地域の課題が解決され、社会的価値、経済的価値、環境的価値等を⾼める多様で持続可能な都市や地域が各地に形成されるとともに、⽇本のコンセプトが世界へ発信される。 【科学技術・イノベーション政策において⽬指す主要な数値⽬標】(主要指標) ・ スマートシティの実装数(技術の実装や分野間でデータを連携・接続する地⽅公共団体・地域団体数):100程度(2025年) ・ スマートシティに取り組む地⽅公共団体及び⺠間企業・地域団体の数(スマートシティ官⺠連携プラットフォームの会員・オブザーバ数):1,000団体以上(2025年) ・ 海外での先進的なデジタル技術・システム(スマートシティをはじめ複数分野にまたがる情報基盤、⾼度ICT、AI等)の獲得・活⽤に係る案件形成などに向けた⽀援件数:26件(2025年)*126* |
(c) 具体的な取組
① データの利活⽤を円滑にする基盤整備・データ連携可能な都市OSの展開
○政府の資⾦が関与するスマートシティ関係事業における、地⽅公共団体等による都市OS(データ連携基盤)の整備及びサービス開発に際し、スマートシティのリファレンスアーキテクチャを参照したデータ連携可能な都市OS(データ連携基盤)の導⼊及びサービス開発を進める。また、他の地域で構築された都市OS(データ連携基盤)等との接続を促し、データ連携のためのAPIの公開を求める。 【地創、科技、総、経、国】
○各府省のスマートシティ関係事業の実施を通じて、地域の横展開ができるような相互運⽤性を有したサービスの開発を2025年までに⾏うとともに、先導的地域において開発されたサービスを他地域に展開できるよう、基盤・サービスの関係性を整理する。 【地創、科技、総、経、国】
○2020年作成のスマートシティのセキュリティガイドラインの随時の改訂、国内展開を進め、スマートシティ構築におけるセキュリティの担保を⽀援する。 【総、経】
② スーパーシティを連携の核とした全国へのスマートシティ創出事例の展開
○2020年の国家戦略特別区域法の改正及び国家戦略特区基本⽅針の⾒直しに基づき、2021年に、区域指定を⾏う。指定されたスーパーシティを、地域の課題を最先端技術で解決する「まるごと未来都市」と位置づけ、先進的なサービスの実装を⾏う。 【地創】
○2025年度までに、スーパーシティ、スマートシティの事例を集約し、スマートシティ官⺠連携プラットフォーム等を通じて事例や取組の進展状況等の把握・情報共有を図り、全国各地のスマートシティ関連事業の連携を進めるとともに、地域や⺠間主導の取組を促進する。特に政令指定都市や中核市等では、先⾏事例を参考に実装を進め、都市どうしの多核連携や、周辺地域との広域連携を図る。 【地創、科技、総、経、国】
○2020年度中を⽬途に作成した地⽅公共団体や地域においてスマートシティを進めるための⼿引書(スマートシティ・ガイドブック)に基づきリファレンスアーキテクチャ、API、サービスなどの促進と、事例の共有を進め、取組の意義や進め⽅、定義等の普及展開を⾏う。 【地創、科技、総、経、国】
○スマートシティの計画的な実装・普及に向けて、政府内の推進体制を強化し、共通の⽅針に基づき各府省事業を⼀体的に実施するとともに、デジタル・ガバメント実現やデータ連携基盤整備に向けた政府全体の取組との⼀層の連携を図る。これにより、国全体の最⼤のプラットフォームたる⾏政機関が、⺠間に対してもオープン化・標準化されたAPIで連動できるオープンなシステムを構築することを前提に、データ戦略に基づき構築されるベース・レジストリを活⽤するなど、国や地⽅公共団体のオープンデータを活⽤した地⽅発スタートアップの創出の促進、地域の課題の解決等の官⺠が連携した取組につなげる。 【科技、関係省庁】
○スマートシティによる、住⺠満⾜度の向上、産業の活性化、グリーン化・資源利⽤の最適化・⾃然との共⽣の実現など社会的価値、経済的価値、環境的価値等を⾼める多様で持続可能な都市や地域の形成について、評価指標の追加を2021年までに検討するとともに、随時⾒直しとその調査分析等の評価を⾏う。また、数理応⽤による全体最適モデルの研究開発や分析評価⼿法の検討など様々な分野の知⾒を活⽤し、先端的サービスを提供する都市や、⾥⼭など⾃然と共⽣する地域など、脱炭素社会・地域循環共⽣圏等やSociety 5.0の実現に向けて、今後⽬指すべきスマートシティの将来像の具体化につなげる。 【社シス、地創、科技、総、経、国】
③ 国際展開
○G20グローバル・スマートシティ・アライアンスの場において、「⾃由で開かれたスマートシティ」とのコンセプトの下、普及・広報活動を⾏い、世界の都市との協⼒を推進する。 【科技、経】
○2021年までに、国際的な枠組みを活⽤しながら官⺠が連携して情報発信を⾏う体制を構築し、⽇本のスマートシティのコンセプトを発信するとともに、⽇本の都市インフラ整備の経験やデータ管理のノウハウを、官⺠が連携して、アジアを中⼼とした海外に展開する。 【内閣官房、科技、総、外、経、国】
○2021年度以降も引き続き、国内外の標準の専⾨家等と連携して、リファレンスアーキテクチャやセキュリティガイドラインなどを対象に、スマートシティに関連する国際標準の活⽤を推進する。 【内閣官房、地創、知財、科技、総、外、経、国】
○2025年開催の⼤阪・関⻄万博において、「2025年に開催される国際博覧会(⼤阪・関⻄万博)の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本⽅針」等を踏まえてスマートシティにも資するプロジェクトを実施すること等により、「いのち輝く未来社会のデザイン」を具現化したSociety 5.0の姿を積極的に発信する。 【万博、科技、関係府省】
④ 持続的活動を担う次世代⼈材の育成
○スマートシティの実現に必要な基礎知識・専⾨知識を集約し、2021年度中に、企画、構築、運⽤に携わる⼈材の要件を整理し、役割、レベルに応じた⼈材育成体系を整備する。これに基づき、⼈材に関する情報提供を進め、技術に対する不安・不信感を和らげる。あわせて、⼤学等を核とした産学官連携の共創の場を形成する。 【科技、⽂】
○2021年度内に、スマートシティの全体設計をコーディネートできる先導的⼈材(=アーキテクト)情報を集約し、地域での育成・配置、活動をサポートする。 【科技】41
(6)様々な社会課題を解決するための研究開発・社会実装の推進と総合知の活⽤
(a) 現状認識
我が国は、前項までに取り上げてきた地球規模課題への対応や、レジリエントで安全・安⼼な社会の構築などの問題をはじめ、少⼦⾼齢化問題、都市と地⽅問題、⾷料などの資源問題といった多岐にわたる社会課題を抱えており、科学技術・イノベーション政策に対する社会や国⺠から⾼い期待が寄せられている。
諸外国においては、コロナ禍における緊急対応のみならず、いわゆるグリーンリカバリーなどの未来産業の創出や、安全保障の視点からの研究開発と⼤規模投資といった、⼤きな社会変⾰が進んでいる。他⽅、我が国の研究⼒やイノベーション⼒、とりわけ先進技術を社会へ実装する推進⼒は⼗分とは⾔えず、ビジネス⾯での国際競争⼒が⼤きく低下している。
また、我が国がこれらの複雑で広範な社会的課題に対応するためには、諸外国との戦略的な関係を構築しつつ、国際的な責務を果たしていく必要があり、これまでもデジタル社会や地球環境問題等をめぐる国際的な議論に貢献してきた。⼀⽅で、世界の知や社会ニーズをより旺盛に取り込み、我が国を中核とした戦略的な国際ネットワークを構築し、Society 5.0を広く世界へ発信・普及するには⾄っていない。
今こそ、我が国が持つ強みと弱みや、地政学的な状況や総合的な安全保障上の要請等を的確に分析し、様々な社会課題の解決に向け、重要領域の戦略的な研究開発の推進、知財・標準の戦略的な活⽤などによる先進技術の着実な社会実装が求められている。我が国の総合⼒を⽣かし、これまでの延⻑線上にない⾮連続なイノベーションを実現し、経済成⻑と社会課題解決を両⽴する必要がある。
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【現状データ】(参考指標)
・ 戦略的な分野(AI、バイオテクノロジー、量⼦技術、マテリアル等)における研究開発費:(2021年度実績からの計測に努める) ・ 世界企業時価総額ランキング:トップ100社に⽶国は47社、中国は24社、⽇本は3社 ・ IMD世界競争⼒ランキング:34位/63カ国中(2020年) ・ 政府事業等のイノベーション化の実施状況 ・ 総合知を活⽤した研究開発課題数の割合(2021年度実績からの計測に努める) ・ ⾷料⾃給率・輸出額、⾷品ロス量、⾃動⾛⾏⾞普及率・交通事故者数など社会課題関連指標 ・ 課題・分野別の論⽂、知財、標準化 ・ 研究データ基盤システムに収載された公的資⾦による研究データの公開メタデータ(機関、プログラムごとなど) ・ 科学技術に関する国⺠意識調査 |
⼈⽂・社会科学と⾃然科学の融合による「総合知」を活⽤しつつ、我が国と価値観を共有する国・地域・国際機関等(EU、G7、OECD等)と連携して、気候変動などの地球規模で進⾏する社会課題や、少⼦⾼齢化や経済・社会の変化に対応する社会保障制度等の国内における課題の解決に向けて、研究開発と成果の社会実装に取り組む。これにより、経済・社会の構造転換が成し遂げられ、未来の産業創造や経済成⻑と社会課題の解決が両⽴する社会を⽬指す。
広範で複雑な社会課題を解決するためには、知のフロンティアを開拓する多様で卓越した研究成果を社会実装し、イノベーションに結び付け、様々な社会制度の改善や、研究開発の初期段階からのELSI対応を促進する必要がある。このため、政府としては、国、各府省レベル、実施機関等の戦略を、エビデンスに基づき体系的・整合的に⽴案し、ミッションオリエンテッド型の研究開発プログラムや制度改⾰を進めるとともに、必要に応じて戦略を機動的に⾒直しできる体制を整備していく。
また、社会課題を解決するための先進的な技術の社会実装の加速化や、国際競争の下での我が国企業による海外展開の促進及び国際市場の獲得の重要な⼿段として、標準の戦略的・国際的な活⽤を官⺠で徹底して推進する。このため、官⺠の体制整備とともに、科学技術・イノベーションの社会実装やこれに伴う研究開発等に関して、官⺠で実施する事業を活⽤しつつ、官⺠の意識改⾰を図り、政府の政策や企業の経営戦略において幅広く、標準の戦略的・国際的な活⽤がビルトインされ、展開されるようにする。
さらに、国際的な責務と総合的な安全保障の観点も踏まえつつ、我が国と課題や価値観を共有する国・地域との間の国際的なネットワークを戦略的に構築するなどの科学技術外交を展開する。これにより、世界の知と多様性を取り込み発展させつつ、Society 5.0を世界へ発信し、その共通理解と我が国の国際競争⼒の維持・強化を進める。国際的な研究活動等において核となり得る研究者を我が国から継続的に輩出し、国内外の研究コミュニティにおいて、科学技術先進国としての存在感を発揮し、国内外の多様なバックグラウンドを持つ優れた⼈材を我が国に引き付けるとともに、諸外国と調和した研究の健全性・公正性(研究インテグリティ)の⾃律的確保を⽀援する。
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【⽬標】
・ 少⼦⾼齢化問題、都市と地⽅問題、⾷料などの資源問題などに関する我が国の社会課題の解決に向けた研究開発を推進するとともに、課題解決先進国として世界へ貢献し、⼀⼈ひとりの多様な幸せ(well being)が向上する。 【科学技術・イノベーション政策において⽬指す主要な数値⽬標】(主要指標) ・ 社会課題の解決の推進:次期SIPの全ての課題で⼈⽂・社会科学系の知⾒を有する研究者や研究機関の参画を促進する仕組みと「総合知」を有効に活⽤するための実施体制を組み込み、成果の社会実装を進める ・ 国益を最⼤化できるような科学技術国際協⼒ネットワークの戦略的構築:科学技術外交を戦略的に推進し、先端重要分野における国際協⼒取決め数や被引⽤数Top1%論⽂中の国際共著論⽂数を着実に増やしていく ・ 国際的な合意形成や枠組み・ルール形成等における我が国のプレゼンス:国際機関におけるガイドライン等の作成における我が国の関与を⾼めるとともに、社会課題の解決や国際市場の獲得等に向けた知的財産・標準の国際的・戦略的な活⽤に関する取組状況(国際標準の形成・活⽤に係る取組や⽀援の件数等)を着実に進展させていく |
(c) 具体的な取組
① 総合知を活⽤した未来社会像とエビデンスに基づく国家戦略の策定・推進
○⼈⽂・社会科学の知と⾃然科学の知の融合による⼈間や社会の総合的理解と課題解決に貢献する「総合知」に関して、基本的な考え⽅や、戦略的に推進する⽅策について2021年度中に取りまとめる。あわせて、⼈⽂・社会科学や総合知に関連する指標について2022年度までに検討を⾏い、2023年度以降モニタリングを実施する。 【科技、⽂】
○AI、バイオテクノロジー、量⼦技術、マテリアルや、宇宙、海洋、環境エネルギー*127*、健康・医療、⾷料・農林⽔産業等の府省横断的に推進すべき分野について、国家戦略*128*に基づき着実に研究開発等を推進する。さらに、我が国が実現すべき未来社会像を⾒据えつつ、エビデンスに基づき、既存戦略の⾒直しや、新たな戦略の策定を⾏い、明確なターゲット、産学官の役割分担、国際連携の在り⽅などを具体的に盛り込む。特に分野横断的で社会課題解決に直結するテーマについては、次期SIPの課題として推進する。 【健康医療、科技、宇宙、海洋、関係府省】
○エビデンスに基づく戦略策定に関しては、e-CSTI*129*や政策調査研究機関等の分析結果を活⽤しながら、論⽂、研究資⾦等の定量分析や専⾨家の知⾒(エキスパートジャッジ)を踏まえ、重要科学技術領域の抽出・分析を⾏い、これを統合戦略*130*の策定、分野別戦略等の⾒直しや新たな国家戦略の策定等に活⽤する。2021年度の統合戦略においては、分析の試⾏的活⽤を⾏い、その結果を踏まえ、今後の活⽤⽅法を定める。 【科技、関係府省】
○未来社会像を具体化し、政策を⽴案・推進する際には、⼈⽂・社会科学と⾃然科学の融合による総合知を活⽤し、⼀つの⽅向性に決め打ちをするのではなく、複線シナリオや新技術の選択肢を持ち、常に検証しながら進めていく必要がある。公募型研究事業の制度設計も含む科学技術・イノベーション政策の検討・策定の段階から検証に⾄るまで、⼈⽂・社会科学系の知⾒を有する研究者、研究機関等の参画を得る体制を構築する。あわせて、各研究開発法⼈は、それぞれのミッションや特徴を踏まえつつ、中⻑期⽬標の改定において、総合知を積極的に活⽤する旨、⽬標の中に位置づける。 【科技、関係府省】
○デジタル社会を⽀える戦略的基盤技術である半導体について、経済安全保障への対応、デジタル⾰命や低消費電⼒化の推進を図るため、戦略を策定し、我が国半導体産業基盤の強靱化に向けた国内外⼀体の各種対策を推進する。 【経】
○Society 5.0時代においてサイバー空間とフィジカル空間とをつなぐ役割を担うロボットについて、「ロボットによる社会変⾰推進計画*131*」などを踏まえ、導⼊を容易にするロボットフレンドリーな環境の構築、⼈材育成枠組みの構築、中⻑期的課題に対応する研究開発体制の構築、社会実装を加速するオープンイノベーションについて、産官学が連携して取組を推進する。 【総⽂、農、厚、経、国】
○産学官⺠が協調して⾼精度で利⽤価値の⾼い地理空間情報を利⽤できる環境を整備し、これらを⾼度に活⽤するG空間社会を実現するため、次期地理空間情報活⽤推進基本計画を2021年度末までに策定する。 【地理空間】
② 社会課題解決のためのミッションオリエンテッド型の研究開発の推進
○我が国や世界が抱える感染症対策、少⼦⾼齢化、地球環境問題、防災、地⽅創⽣、⾷品ロスの削減、⾷料や資源エネルギー等といった社会課題について、国内外のニーズを取り込み、継続的に観測・収集される様々なデータの分析に基づき、市⺠をはじめとする多様なセクターの参加を得ながら課題解決に向けた体的なミッションを定め、次期SIPをはじめとする様々な枠組みで研究開発を推進する。 【科技、関係府省庁】
○2018年に創設した「ムーンショット型研究開発制度」について、未来社会を展望し、困難だが実現すれば⼤きなインパクトが期待される社会課題等を対象として、⼈々を魅了する野⼼的な⽬標及び構想を掲げ、最先端研究をリードするトップ研究者等の指揮の下、世界中から研究者の英知を結集し、⽬標の達成に向けて研究開発に着実に取り組む。また、基礎研究⼒を最⼤限に引き出す挑戦的研究開発を積極的に推進し、失敗も許容しながら⾰新的な研究成果の発掘・育成を図る。さらに、マネジメントの⽅法についても、進化する世界の研究開発動向を常に意識しながら、関係する研究開発全体を俯瞰して体制や内容を柔軟に⾒直すことができる形に刷新するとともに、将来の事業化を⾒据え、オープン・クローズ戦略の徹底を図る。この新たな研究⼿法により破壊的イノベーションを実現していく。また、必要に応じて、新たな⽬標の設定など、取組の充実を図る。これらの取組にあたっては、これまで取り組んできた最先端研究開発⽀援プログラム(FIRST)や⾰新的研究開発推進プログラム(ImPACT)で得た知⾒を⽣かしていく。 【健康医療、科技、⽂、厚、農、経】
○我が国や世界が抱える社会問題の解決や科学技術・イノベーションによる新たな価値を創造するために、研究開発の初期段階からのELSI対応における市⺠参画など、⼈⽂・社会科学と⾃然科学との融合による「総合知」を⽤いた対応が必須となる課題をターゲットにした研究開発について、2021年度より、関連のファンディングを強化する。 【⽂】
○福島の創造的復興に不可⽋な研究開発及び⼈材育成の中核となる国際教育研究拠点について、国が責任を持って新法⼈を設置する。既存施設との整理等を⾏い、国⽴研究開発法⼈を軸に組織形態を検討し、2021年度に新拠点に関する基本構想を策定する。 【復、関係府省】
③ 社会課題解決のための先進的な科学技術の社会実装
○⽇本の経済・産業競争⼒にとって重要で、かつ複数の府省に関係する課題については、引き続き、産学官による⼤規模な連携体制を構築し、「総合知」を活⽤しながら社会実装の実現に向けて制度改⾰を包含した総合的な研究開発を推進する。このため、次期SIPをはじめとする国家プロジェクトの在り⽅、SIP型マネジメントの他省庁プロジェクトへの展開⽅法について、2021年中に検討を⾏い、今後のプロジェクトに反映させる。すでに、SIP第2期の⾃動運転などの⼀部の課題では、⼈⽂・社会科学分野の研究に取り組んでおり、2021年度以降、こうした取組を発展させる。また、次期SIPにおいては、社会課題解決の実⾏可能性を向上していくために、⼈⽂・社会科学系の知⾒を有する研究者や研究機関の参画を促進する仕組みと「総合知」を有効に活⽤するための実施体制を全ての課題に組み込むことを要件とし、その活動について評価を⾏う。 【科技】
○次期SIPの課題候補については、CSTIの司令塔機能を強化するため2021年末に向けて検討を⾏う。具体的には、第6期基本計画や統合戦略、統合イノベーション戦略推進会議が策定する各種分野別戦略等に基づき、CSTIが中期的に取り組むべき社会課題の⾒極めを⾏い、その社会課題の中で府省横断的に取り組むべき技術開発テーマについて「総合知」を活⽤しながら、調査・検討を⾏う。 【科技】
○SIP第2期の各課題については、成果の社会実装に向けて、社会実装の体制構築を含めた研究開発を推進するとともに、事業終了後には追跡調査及び追跡評価を⾏い、成果の社会実装の実現状況を確認する。 【科技】
○官⺠研究開発投資拡⼤プログラム(PRISM*132*)について、統合戦略や統合イノベーション戦略推進会議が策定する各種分野別戦略等を踏まえ、CSTIが各府省庁の施策を誘導し、事業の加速等を⾏うことにより、官⺠の研究開発投資の拡⼤や社会実装の促進に向け引き続き推進する。 【科技】
○国が実施する各事業において、引き続き、先進的な技術を積極的に導⼊し、先進技術の実社会での活⽤の後押し、事業のより効率的・効果的な実施、さらには、社会変⾰の推進を図る。 【科技、全府省】
④ 知的財産・標準の国際的・戦略的な活⽤による社会課題の解決・国際市場の獲得等の推進
○諸外国の知財・標準活⽤の動向を把握し、我が国における標準の戦略的・国際的な活⽤を推進するため、政府全体として、司令塔機能及び体制を整備し、国際標準化をはじめ、標準の活⽤に係る施策を強化・加速化する。2021年度から、社会課題の解決や国際市場の獲得等の点で重要な分野等において、研究開発プロジェクト等を通じて、フォーラム標準・デファクト標準・デジュール標準の適切な使い分けを含め、官⺠で標準の戦略的・国際的な活⽤を重点的かつ個別具体的に推進する。 【知財、科技、総、経、関係府省】
○標準の戦略的・国際的な活⽤に関して、2020年度から、官⺠連携体制を整備し、官⺠の意識改⾰や産業界での活動の幅広い底上げ、⼈材の強化等を推進するとともに、政府の研究開発プロジェクトや規制・制度等との連携等も通じて、標準の活⽤に係る企業⾏動の変容を促す環境を整備する。また、政府系機関等が協働して、⺠間企業等による実践的な活動を⽀援する、プラットフォーム体制を整備する。 【知財、科技、総、経、関係府省】
○我が国の質の⾼いものづくりやサービスの源泉となる知的基盤などの整備やプラットフォーム化について、2025年度を⽬指して推進し、国⺠⽣活や社会課題の解決に向けた社会経済活動を幅広く⽀える。 【経】
⑤ 科学技術外交の戦略的な推進
○先端重要分野における戦略的な⼆国間、多国間のwin-winの協⼒・連携や、成果の社会実装も⾒据えた産学国際共同研究等に対する⽀援の抜本的強化、「STI for SDGs」活動の国際展開等の促進を通じて、科学技術外交の戦略的な展開を図る。 【科技、外、⽂】
○研究活動の国際化、オープン化に伴い、利益相反、責務相反、科学技術情報等の流出等の懸念が顕在化しつつある状況を踏まえ、基礎研究と応⽤開発の違いに配慮しつつ、また、国際共同研究の重要性も考慮に⼊れながら、政府としての対応⽅針を検討し、2021年に競争的研究費の公募や外国企業との連携に係る指針等必要となるガイドライン等の整備を進める。特に研究者が有すべき研究の健全性・公正性(研究インテグリティ)の⾃律的確保を⽀援すべく、国内外の研究コミュニティとも連携して、2021年早期に、政府としての対応の⽅向性を定める。これらのガイドライン等については、各研究機関や研究資⾦配分機関等の取組状況を踏まえ、必要に応じて⾒直す。(再掲) 【科技、⽂、経、関係府省】
○科学技術・イノベーションに関する国際的な合意形成や枠組み・ルール形成等に我が国が主体的に関与しながら、主導的役割を担えるよう、関係する国際機関等の邦⼈職員ポストや国際会議議⻑職の確保・拡充、候補⼈材の戦略的育成、関係府省の職員や専⾨家等の積極的な派遣を図る。 【科技、外、⽂、経、関係府省】
○科学技術外交に関する我が国としての戦略の下、省庁横断での連携体制の強化とともに、在外公館の科学技術担当や国⽴研究開発法⼈等の海外事務所を核とした情報収集・発信の体制を強化することや、G7等の国際場裡においてSociety 5.0の実現に向けた取組等について積極的な情報発信を⾏うなど、科学技術外交の戦略的な展開を⽀える基盤の強化を図る。 【科技、外、⽂、経、関係府省】
○海外の研究資⾦配分機関等との連携を通じた国際共同研究や、魅⼒ある研究拠点の形成、学⽣・研究者等の国際交流、世界⽔準の待遇や研究環境の実現、⼤学、研究機関、研究資⾦配分機関等の国際化を戦略的に進め、我が国が中核に位置付けられる国際研究ネットワークを構築し、世界の優秀な⼈材を引き付ける。 【健康医療、科技、総、⽂、厚、農、経】
〇先端重要分野における国際協⼒取決め数や被引⽤数Top1%論⽂中の国際共著論⽂数といった指標の集計⽅法について2021年度までに検討する。 【科技、関係府省】
2.知のフロンティアを開拓し価値創造の源泉となる研究⼒の強化
研究者の内在的な動機に基づく研究が、⼈類の知識の領域を開拓し、その積み重ねが⼈類の繁栄を⽀えてきた。多様な研究活動の存在と、⾃然科学はもとより⼈⽂・社会科学も含めた厚みのある「知」の蓄積は、それ⾃体が知的・⽂化的価値を有するだけでなく、結果として、独創的な新技術や社会課題解決に貢献するイノベーションの創出につながる。こうした「知」を育む研究環境には、それを担う⼈材の育成や研究インフラの整備、更には多様な研究に挑戦できる⽂化が不可⽋であるが、これは⼀朝⼀⼣に実現できるものではなく、国家の基盤的な機能として整備していくことが必要である。
このため、まず、博⼠後期課程*133*学⽣の環境の改善を図り、若⼿研究者がアカデミアのみならず産業界等の幅広い領域で活躍できるキャリアパスの展望を描けるようにすることで、優秀な若者が博⼠後期課程を志す環境を実現する。さらに、多様で卓越した知を⽣み出す基礎研究・学術研究の振興とともに、研究者が腰を据えて研究に専念しながら、多様な主体との知の交流を通じ、独創的な成果を創出する創発的な研究の推進を強化していく。こうしたことにより、我が国の研究⼒強化と研究環境の向上が達成され、研究者の魅⼒も更に増すという好循環を創出していく。
また、社会全体のデジタル化の中で、我が国が世界に伍しながら、⾼付加価値でインパクトの⾼い研究を創出していくため、オープンサイエンスを含め、データ駆動型の研究の実施など、新しい研究の潮流を踏まえた研究システムを構築していく。
さらに、こうした環境を実現していくためには、我が国の基礎研究や学術研究の中核を担う⼤学の変⾰が必要である。⼤学の機能拡張と戦略的経営を強化し、個々の強みを伸ばしていく中で、世界と伍する研究⼤学*134*の成⻑を促進する。特に10兆円規模の⼤学ファンドの活⽤により、その取組を⼤きく加速していく。
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【⼤⽬標】
・ 多様性や卓越性を持った「知」を創出し続ける、世界最⾼⽔準の研究⼒を取り戻す |
【参考指標】
○国際的に注⽬される研究領域(サイエンスマップ)への参画数、参画割合
○特許に引⽤される論⽂数
○被引⽤数Top10%補正論⽂数、総論⽂数に占める割合
(1)多様で卓越した研究を⽣み出す環境の再構築
(a) 現状認識
新型コロナウイルス感染症の拡⼤や気候変動による甚⼤な災害の発⽣など、想定を超えた事象が起きる不確実性の⾼い社会において、既存の⼿法や仕組みの延⻑では対応しきれない課題が顕在化し、切迫性を増している。このような状況にあって、未知の困難に⽴ち向かう武器として厚みのある「知」を⽣み出す研究者の役割に対し、かつてないほどに期待が⾼まっている。真理の探究、基本原理の解明、新たな発⾒を⽬指す「基礎研究」と、個々の研究者の内在的動機に基づき⾏われる「学術研究」の卓越性・多様性こそが、価値創造の源泉であり、国家の基盤的機能の⼀つとして、これらを維持・強化するための研究環境や、⼈⽂・社会科学も含んだ総合知を創出・活⽤する枠組みを整備することが不可⽋である。
しかしながら、我が国の研究⼒については、論⽂数などに関し、諸外国と⽐較して、相対的・⻑期的に、地位が低下してきている。また、論⽂の質と関係する被引⽤数Top10%補正論⽂数ランキングが⼤きく落ち込んでおり、研究分野別に⾒ても全ての分野でランキングを落としている。さらに、博⼠後期課程への進学率の減少、若⼿研究者の不安定な雇⽤、研究者の研究時間の減少など、若⼿をはじめとした研究者の置かれている環境の改善は⼤きな課題となっている。優秀な学⽣が、経済的な側⾯やキャリアパスへの不安、期待にそわない教育研究環境等の理由から、博⼠後期課程への進学を断念する状況は、現在、⼤学や研究現場に蔓延している漠然とした停滞感の象徴であり、中⻑期的に我が国の競争⼒を削いでいる。加えて、研究の多様性向上の観点から、⼥性研究者の活躍が期待されているが、全研究者に占める⼥性研究者の割合は諸外国に⽐べ低い⽔準にある。また、国際共著論⽂数からも、世界の研究ネットワークの中で我が国の地位が相対的に低下し、国際頭脳循環の流れに出遅れていることが⾒て取れる。論⽂など定量的に把握しやすい指標のみをもって研究⼒を⼀⾯的に判断すべきではないが、このような状況は深刻に受け⽌めるべきである。
現状を打開するため、2020年1⽉に策定された「研究⼒強化・若⼿研究者⽀援総合パッケージ」に基づき、研究者の処遇向上等に向けた具体的な対策が緒に就いたところである。研究現場においては、この潮流に対する期待の⾼まりもあり、今後、本パッケージに掲げた取組をはじめ、必要な対策を着実に実⾏に移していくことが急務である。
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【現状データ】(参考指標)
・ 総論⽂数に占める被引⽤数Top10%補正論⽂数の割合:8.3%(2016-2018年)*135* ・ 総論⽂数及びその国際シェア:81,095本、5.3%(2016-2018年(3年移動平均))*136* ・ 国際的に注⽬される研究領域(サイエンスマップ)への参画数、参画割合:274領域、30%(2013−2018年)*137* ・ ⼈⼝当たりの博⼠号取得者数:⼈⼝100万⼈当たり119⼈(2017年)*138* ・ 若⼿研究者(40歳未満の⼤学本務教員)の数と全体に占める割合:41,297⼈、22.2%(2019年度)*139* ・ ⺠間企業を含めた全研究者に占める⼥性研究者の割合:16.9%(2019年度)*140* ・ ⼤学本務教員に占める⼥性研究者の割合:25.9%(2020年度)*141* ・ 博⼠後期課程在籍者に占める⼥性の割合(分野別):理学系20%、⼯学系19%、農学系36%、医・⻭・薬学系合わせて31%、⼈⽂科学系53%、社会科学系37%(2020年度)*142* |
(b) あるべき姿とその実現に向けた⽅向性
知のフロンティアを開拓する多様で卓越した研究成果を⽣み出すため、研究者が、⼀⼈ひとりに内在する多様性に富む問題意識に基づき、その能⼒をいかんなく発揮し、課題解決へのあくなき挑戦を続けられる環境の実現を⽬指す。
このためには、まず優秀な若者が、将来の活躍の展望を描ける状況の下で、「知」の担い⼿として、博⼠後期課程に進学するというキャリアパスを充実させる。具体的には、優秀な若⼿研究者が、時代の要請に応じた「知」のグローバルリーダーとして誇りを持ち、研究に打ち込む時間を⼗分に確保しながら、⾃らの⼈⽣を賭けるに値する価値を⾒出し、独⽴した研究者となるための挑戦に踏み出せるキャリアシステムを再構築する。将来的には、希望する全ての優秀な博⼠⼈材が、アカデミア、産業界、⾏政等の様々な分野において正規の職を得て、リーダーとして活躍する展望が描ける環境を整備する。
この実現に向けては、アカデミアと産業界の双⽅の努⼒が求められる。すなわち、産業界は、課題を⾃ら設定しその解決を達成する、⾼度な問題解決能⼒を⾝に付けた博⼠⼈材が、その能⼒が発揮できる環境があれば、産業界等においても、イノベーションの創出に向け、やりがいを持って活躍できるということを認識することが必要である。同時に、アカデミアは⼤学院教育改⾰を推進し、社会に対して、Society 5.0を⽀えるにふさわしい博⼠⼈材を輩出していくことに責任を持ち、社会から信頼を持って迎えられるようにする必要がある。その際、博⼠後期課程学⽣を安価な研究労働⼒とみなすような慣習が刷新され、「研究者」としても適切に扱うとともに、次代の社会を牽引する⼈材として育成する。あわせて、博⼠課程修了後の社会的活躍が担当教員の社会的な評価となる環境を実現していく。こうした環境の下で、優秀な学⽣・若者が、博⼠の道を選択し、アカデミアと産業界双⽅の⼈材の厚みと卓越性の向上を図る。
また、研究の卓越性を⾼めるため、厚みのある基礎研究・学術研究の振興とともに、多様な「知」の活発な交流が必要である。個々の研究者が、腰を据えて研究に取り組む時間が確保され、⾃らの専⾨分野に閉じこもることなく、多様な主体と知的交流を図り、刺激を受けることにより、卓越性が⾼く独創的な研究成果を創出する環境の実現を⽬指す。
このため、多くの研究者が、海外の異なる研究⽂化・環境の下で研さん・経験を積めるようにし、研究者としてのキャリアのステップアップと、海外研究者との国際研究ネットワークの構築を図る。あわせて、世界中から意欲ある優秀な研究者を引き付ける魅⼒的な研究拠点を形成し、トップレベルの研究者をオンラインを含めて迎え⼊れる。これらのネットワークを活⽤した国際共同研究を推進することにより、互いに刺激し合い、これまでにない新たな発想が次々と⽣まれる環境を整備する。
さらに、研究のダイバーシティの確保やジェンダード・イノベーション*143*創出に向け、指導的⽴場も含め⼥性研究者の更なる活躍を進めるとともに、⾃然科学系の博⼠後期課程への⼥性の進学率が低い状況を打破することで、我が国における潜在的な知の担い⼿を増やしていく。
また、「知」の創出に向けた取組の中核となる基礎研究・学術研究を強⼒に推進する。その際、研究者への切れ⽬ない⽀援を実現するなど、知の創出と活⽤を最⼤化するための競争的研究費改⾰を進める。
また、新しい価値観や社会の在り⽅を探究・提⽰することなどを⽬指す⼈⽂・社会科学について、総合的・計画的に振興するとともに、⾃然科学の知と連携・協働を促進し、分野の垣根を超えた「総合知」の創出を進める。我が国のアカデミアの総体が、分野の壁を乗り越えるとともに、社会の課題に向き合い、グローバルにも切磋琢磨しながら、より卓越した知を創出し続けていく。
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【⽬標】
・ 優秀な若者が、アカデミア、産業界、⾏政など様々な分野において活躍できる展望が描ける環境の中、経済的な⼼配をすることなく、⾃らの⼈⽣を賭けるに値するとして、誇りを持ち博⼠後期課程に進学し、挑戦に踏み出す。 ・ 基礎研究・学術研究から多様で卓越した研究成果の創出と蓄積が進むとともに、これを可能とする研究者に対する切れ⽬ない⽀援が実現する。 ・ ダイバーシティが確保された環境の下、個々の研究者が、腰を据えて研究に取り組む時間が確保され、⾃らの専⾨分野に閉じこもることなく、多様な主体と活発な知的交流を図り、海外研さん・海外経験の機会も通じて、刺激を受けることにより、創発的な研究が進み、より卓越性の⾼い研究成果が創出される。 ・ ⼈⽂・社会科学の厚みのある研究が進み、多様な知が創出されるとともに、国内外や地域の抱える複雑化する諸問題の解決に向けて、⾃然科学の知と融合した「総合知」を創出・活⽤することが定着する。 【科学技術・イノベーション政策において⽬指す主要な数値⽬標】(主要指標) ・ ⽣活費相当額程度を受給する博⼠後期課程学⽣:優秀な博⼠後期課程学⽣の処遇向上に向けて、2025年度までに、⽣活費相当額を受給する博⼠後期課程学⽣を従来の3倍に増加*144*(修⼠課程からの進学者数の約7割に相当)。また、将来的に、希望する優秀な博⼠後期課程学⽣全てが⽣活費相当額を受給。 ・ 産業界による理⼯系博⼠号取得者の採⽤者数:年当たりの採⽤者数について、2025年度までに約1,000名増加(2018年実績値は、理⼯系博⼠号取得者4,570⼈中1,151⼈*145*)。 ・ 40歳未満の⼤学本務教員の数:我が国の研究⼒強化の観点から、基本計画期間中に1割増加*146*し、将来的に、⼤学本務教員に占める40歳未満の教員の割合が3割以上になることを⽬指す。 ・ 研究⼤学(卓越した成果を創出している海外⼤学と伍して、全学的に世界で卓越した教育研究、社会実装を機能強化の中核とする「重点⽀援③」の国⽴⼤学)における、35〜39歳の⼤学本務教員数に占めるテニュア教員及びテニュアトラック教員の割合*147*:基本計画期間中に、2019年における割合の1割増以上*148* ・ ⼤学における⼥性研究者の新規採⽤割合:2025年度までに、理学系20%、⼯学系15%、農学系30%、医学・⻭学・薬学系合わせて30%、⼈⽂科学系45%、社会科学系30% ・ ⼤学教員のうち、教授等(学⻑、副学⻑、教授)に占める⼥性割合*149*:早期に20%、2025年度までに23%(2020年度時点、17.7%*150*) ・ ⼤学等教員の職務に占める学内事務等の割合:2025年度までに半減(2017年度時点、18%*151*) |
(c) 具体的な取組
① 博⼠後期課程学⽣の処遇向上とキャリアパスの拡⼤
○博⼠後期課程学⽣の処遇向上とキャリアパスの拡⼤に関しては、様々な⽀援を必要とする学⽣の分析・フォローアップを継続的に進めるとともに、産業界の協⼒も得ながら、様々な政策資源を総動員して⼀体的に取り組む。特別研究員(DC)制度の充実、⽇本学⽣⽀援機構奨学⾦(業績優秀者返還免除)や各⼤学の⼤学院⽣に対する授業料減免による継続的な⽀援、⼤学ファンドの運⽤益の活⽤やそれに先駆けた博⼠後期課程学⽣への⽀援を強化する取組などを進める。あわせて、競争的研究費や共同研究費からの博⼠後期課程学⽣に対するリサーチアシスタント(RA)としての適切な⽔準での給与⽀給を推進すべく、各事業及び⼤学等において、RA等の雇⽤・謝⾦に係るRA経費の⽀出のルールを策定し、2021年度から順次実施する。 【科技、⽂、関係府省】
○⼤学が戦略的に確保する優秀な博⼠後期課程学⽣に対し、在学中の⽣活から修了後のポストの獲得まで両⽅を⼀体的に⽀援する、⼤学フェローシップ創設事業を2021年度に開始し、所属機関を通じた経済的⽀援を促進する。 【⽂】
○博⼠の学位審査の透明性・公平性を確保するとともに、博⼠後期課程学⽣の修了後のポストや社会的活躍の結果等が⼤学や担当教員評価としても活⽤されるような⽅策を「⼤学⽀援フォーラムPEAKS*152*」等の場で検討し、指導教員は博⼠後期課程学⽣を次世代の研究者等として育成していくことが責務であり、それが⾃⾝の評価に還元されるという抜本的な意識改⾰を促す。 【科技、⽂】
○産業界と⼤学が連携して⼤学院教育を⾏い、博⼠後期課程において研究⼒に裏打ちされた実践⼒を養成する⻑期有給インターンシップを2021年度より実施するとともに、産学連携活動への参画を促進し、博⼠後期課程在学中に産業界での多様な活躍の可能性について模索する機会を増加させる。あわせて、企業と⼤学による優秀な若⼿研究者の発掘(マッチング)の仕組みを創設し、博⼠号取得者の企業での採⽤等を促進することで、産業界等での博⼠の活躍のキャリアパスを拡⼤していく。 【⽂、経】
○博⼠号取得者の国家公務員や産業界等における国内外の採⽤、職務、処遇等の状況について、実態やニーズの調査結果と好事例の横展開を2021年度より⾏うとともに、今後の国家公務員における博⼠号取得者の専⾨的知識や研究経験を踏まえた待遇改善について検討を進め、早急に結論を得る。 【内閣⼈事局、⼈、科技、⽂、経、全省庁】
② ⼤学等において若⼿研究者が活躍できる環境の整備
○外部資⾦を活⽤した若⼿研究者へのポスト提供、テニュアトラック制の活⽤促進・基準の明確化を進める。また、シニア研究者に対する年俸制やクロスアポイントメント制度の活⽤、外部資⾦による任期付き雇⽤への転換の促進などを通じて、組織全体で若⼿研究者のポストの確保と、若⼿の育成・活躍促進を後押しし、持続可能な研究体制を構築する取組を促進する。このため、2021年度に、これらの取組の優良事例等を盛り込んだ⼈事給与マネジメント改⾰ガイドラインの追補版を作成する。また、各⼤学が⾃らの戦略に基づき、重点的に強化すべきと考える学問分野の博⼠後期課程へ、より多くの学⽣が進学できるような改⾰が積極的に実施されるよう定員の再配分(定員の振替、教育研究組織の改組)等に取り組むことを促進する。 【⽂】
○2021年度より、⼤学・国⽴研究開発法⼈等において競争的研究費や企業の共同研究費から、研究に携わる者の⼈件費の⽀出を⾏うとともに、それによって、確保された財源から、組織のマネジメントにより若⼿研究者の安定的なポストの創出を⾏うことを促進する。あわせて、優秀な研究者に世界⽔準の待遇を実現すべく、外部資⾦を獲得して給与⽔準を引き上げる仕組み(混合給与)を2021年度より促進する。 【科技、⽂、関係省庁】
○URA*153*等のマネジメント⼈材、エンジニア(⼤学等におけるあらゆる分野の研究をサポートする技術職員を含む)といった⾼度な専⾨職⼈材等が⼀体となったチーム型研究体制を構築すべく、これらが魅⼒的な職となるよう、専⾨職としての質の担保と処遇の改善に関する取組を2021年度中に実施する。これにより、博⼠⼈材を含めて、専⾨職⼈材の流動性、キャリアパスの充実を実現し、あわせて育成・確保を⾏う。 【⽂】
○博⼠課程修了者の雇⽤状況、処遇等の追跡調査を基本計画期間中も定期的に⾏うとともに、各⼤学においても、博⼠課程修了者の就職・活躍状況を修了後も継続して把握し、就職状況の詳細をインターネット等で公表する。 【科技、⽂】
③ ⼥性研究者の活躍促進
○学内保育施設の設置、働き⽅改⾰の推進、産休期の研究者がいる場合におけるポスドクの追加雇⽤、管理職の業績評価におけるダイバーシティへの配慮に係る項⽬の設定等、男性・⼥性研究者双⽅が育児・介護と研究を両⽴するための環境整備やサポート制度等の充実を進める。その⼀環として、2021年度中に、若⼿研究者向け⽀援事業の公募要領における年齢制限等において、産前産後休業や育児休業の期間を考慮する旨を明記する*154*。また、⼤学等において若⼿教員採⽤の際の年齢制限についても同様の措置を図るなど、産前産後休業や育児休業等を取った研究者への配慮を促進する。 【⼦⼦、⽂、厚、経、関係府省】
○⼤学、公的研究機関において、「⼥性の職業⽣活における活躍の推進に関する法律」も活⽤し、各事業主が、各分野における博⼠後期課程在籍者数に占める⼥性割合(理学系20%、⼯学系19%、農学系36%、医・⻭・薬学系合わせて31%、⼈⽂科学系53%、社会科学系37%(2020年度)*155*)や機関の特性等に応じ、採⽤割合や指導的⽴場への登⽤割合などについて、戦略的な数値⽬標設定や公表等を⾏う。 【男⼥、⽂、関係府省】
○国⽴⼤学における、⼥性研究者等多様な⼈材による教員組織の構築に向けた取組や⼥⼦⽣徒の理⼯系学部への進学を促進する取組等を学⻑のマネジメント実績として評価し、運営費交付⾦の配分に反映する。また、私⽴⼤学等経常費補助⾦において、⼥性研究者をはじめ⼦育て世代の研究者を⽀援することとしており、柔軟な勤務体制の構築等、⼥性研究者への⽀援を⾏う私⽴⼤学等の取組を⽀援する。 【⽂】
○中⾼⽣、保護者、教員等に対し理⼯系の魅⼒を伝える活動や、理⼯系を中⼼とした修⼠課程・博⼠課程学⽣の⼥性割合を増加させるための活動において、⼥性研究者のキャリアパスやロールモデルの提⽰を推進する。⼥性の理⼯系への進学を促進するため、2021年度以降、更なる拡充を図る。 【男⼥、⽂】
④ 基礎研究・学術研究の振興
○学術研究による多様な知の創出・拡⼤に向け、基盤的経費をはじめとした機関の裁量で使⽤できる財源の確保・充実を図るとともに、研究者のキャリアに応じた独創的、挑戦的な研究課題を⽀援する科学研究費助成事業(科研費)について、若⼿研究者⽀援、新興・融合研究や国際化の⼀層の推進、審査区分の⾒直しなど制度改善を不断に進めつつ、新規採択率30%を⽬指し、確保・充実を図る。 【⽂】
○戦略的創造研究推進事業*156*については、2021年度以降、若⼿への重点⽀援と優れた研究者への切れ⽬ない⽀援を推進するとともに、⼈⽂・社会科学を含めた幅広い分野の研究者の結集と融合により、ポストコロナ時代を⾒据えた基礎研究を推進する。また、新興・融合領域への挑戦、海外挑戦の促進、国際共同研究の強化へ向け充実・改善を⾏う。 【⽂】
○若⼿研究者を中⼼とした、独⽴前後の研究者に対し、⾃らの野⼼的な構想に思い切って専念できる環境を⻑期的に提供することで、短期的な成果主義から脱却し、破壊的イノベーションをもたらし得る成果の創出を⽬指す創発的研究⽀援事業*157*を着実に推進するとともに、定常化も⾒据えた事業の充実を図る。 【⽂】
○⼤規模プロジェクトや競争的研究費の評価に際し、研究において、当初想定されていなかった成果やスピンアウトを創出していることや、挑戦的な取組を継続していること等をより積極的に評価する。その際、多様な視点を⼊れる観点から、過度な負担にならない範囲で若⼿研究者が審査に参画する仕組みも導⼊する。 【⽂】
○世界の学術フロンティアを先導する⼤型プロジェクトや先端的な⼤型施設・設備等の整備・活⽤を推進する。 【⽂】
○⼤学の研究ポテンシャルを最⼤限活⽤し、効果的・効率的に共同利⽤・共同研究を推進する共同利⽤・共同研究拠点について、ネットワーク化を促進するための制度改正*158*を踏まえ、国⽴⼤学は、2022年度より始まる第4期中期⽬標期間において、学術の発展や研究の多様化に応じた柔軟な組織編成を通じ、異分野融合や新分野の創成、社会課題の解決等に資する活動を推進する。 【⽂】
○個々の⼤学等では運⽤が困難な⼤規模施設・設備、データや貴重資料等を全国の研究者に提供し、我が国の⼤学の教育研究を⽀える⼤学共同利⽤機関法⼈*159*については、各⼤学共同利⽤機関の教育研究活動の検証*160*の結果を踏まえ、2022年度から始まる第4期中期⽬標期間に向けて、当該中期⽬標の設定や組織の⾒直し等に反映することにより機能の強化を図る。 【⽂】
○我が国の研究⼒を多⾓的に分析・評価するため、researchmap*161*等を活⽤しつつ効率的に研究者に関する多様な情報を把握・解析する。さらに、海外動向も踏まえ、従来の論⽂数や被引⽤度といったものに加えて、イノベーションの創出、新領域開拓、多様性への貢献等、新たな指標の開発を2022年中に⾏い、その⾼度化と継続的なモニタリングを実施する。 【科技、⽂、経】
⑤ 国際共同研究・国際頭脳循環の推進
○⽶国、EU等の⾼い科学技術⽔準の先進国との間で、国際共同研究を⾏うとともに、インド、ケニア等の新興国及び途上国とのSDGsを軸とした科学技術協⼒を進め、中⻑期的な視野を含めて、科学技術の発展、⼈材育成、地球規模課題解決等に貢献する。 【科技、⽂、関係府省】
○我が国の学⽣や若⼿研究者等の海外研さん・海外経験の機会の拡充、諸外国からの優秀な研究者の招へい、外国⼈研究者等の雇⽤促進に向けて、そのための⽀援策と環境整備(ポストの国際公募・採⽤⽅法の国際化、国際⽔準の給与・待遇の措置、家族も含めた⽣活⽀援、国際的な事務体制の整備、国際的な研究拠点形成等)を含む科学技術の国際展開に関する戦略を2021年度までに策定し、順次施策に取り組む。また、国際頭脳循環に関する実態把握と課題の分析に基づく数値⽬標を2022年度までに検討する。 【科技、⽂】
○海外の研究資⾦配分機関等との連携を通じた国際共同研究や、魅⼒ある研究拠点の形成、学⽣・研究者等の国際交流、世界⽔準の待遇や研究環境の実現、⼤学、研究機関、研究資⾦配分機関等の国際化を戦略的に進め、我が国が中核に位置付けられる国際研究ネットワークを構築し、世界の優秀な⼈材を引き付ける。(再掲) 【健康医療、科技、総、⽂、厚、農、経】
⑥ 研究時間の確保
○URA等のマネジメント⼈材、エンジニア(⼤学等におけるあらゆる分野の研究をサポートする技術職員を含む)といった⾼度な専⾨職⼈材等が⼀体となったチーム型研究体制を構築すべく、これらが魅⼒的な職となるよう、専⾨職としての質の担保と処遇の改善に関する取組を2021年度中に実施する。これにより、博⼠⼈材を含めて、専⾨職⼈材の流動性、キャリアパスの充実を実現し、あわせて育成・確保を⾏う。(再掲) 【⽂】
○⼤学のスマートラボラトリ化や、研究時間の確保に資する⺠間事業者のサービスの普及、⼤学運営業務の効率化に関する好事例の横展開、国⽴⼤学における事務処理の簡素化、デジタル化等を2021年度より促進する。 【⽂】
○競争的研究費について、現場の意⾒を踏まえつつ、各種事務⼿続に係るルールの⼀本化、簡素化・デジタル化・迅速化を図り、2021年度から実施する。 【科技、⽂、関係府省】
⑦ ⼈⽂・社会科学の振興と総合知の創出
○⼈⽂・社会科学分野の学術研究を⽀える⼤学の枠を超えた共同利⽤・共同研究体制の強化・充実を図るとともに、科研費等による内在的動機に基づく⼈⽂・社会科学研究の推進により、多層的・多⾓的な知の蓄積を図る。 【⽂】
○未来社会が直⾯するであろう諸問題に関し、⼈⽂・社会科学系研究者が中⼼となって研究課題に取り組む研究⽀援の仕組みを2021年度中に創設し推進する。その際、若⼿研究者の活躍が促進されるような措置をあわせて検討する。 【⽂】
○⼈⽂・社会科学の研究データの共有・利活⽤を促進するデータプラットフォームについて、2022年度までに我が国における⼈⽂・社会科学分野の研究データを⼀元的に検索できるシステム等の基盤を整備するとともに、それらの進捗等を踏まえた2023年度以降の⽅向性を定め、その⽅針に基づき⼈⽂・社会科学のデータプラットフォームの更なる強化に取り組む。また、研究データの管理・利活⽤機能など、図書館のデジタル転換等を通じた⽀援機能の強化を⾏うために、2022年度までに、その⽅向性を定める。 【⽂】
○「総合知」の創出・活⽤を促進するため、公募型の戦略研究の事業においては、2021年度から、⼈⽂・社会科学を含めた「総合知」の活⽤を主眼とした⽬標設定を積極的に検討し、研究を推進する。また、「総合知」の創出の積極的な推進に向けて、世界最先端の国際的研究拠点において、⾼次の分野融合による「総合知」の創出も構想の対象に含むこととする。 【科技、⽂】
○関係省庁の政策課題を踏まえ、⼈⽂・社会科学分野の研究者と⾏政官が政策研究・分析を協働して⾏う取組を2021年度から更に強化する。また、未来社会を⾒据え、⼈⽂・社会科学系の研究者が、社会の様なステークホルダーとともに、総合知により取り組むべき課題を共創する取組を⽀援する。こうした取組を通じて、社会の諸問題解決に挑戦する⼈的ネットワークを強化する。 【⽂】
○⼈⽂・社会科学の知と⾃然科学の知の融合による⼈間や社会の総合的理解と課題解決に貢献する「総合知」に関して、基本的な考え⽅や、戦略的に推進する⽅策について2021年度中に取りまとめる。あわせて、⼈⽂・社会科学や総合知に関連する指標について2022年度までに検討を⾏い、2023年度以降モニタリングを実施する。 【科技、⽂】
○上述の「総合知」に関する⽅策も踏まえ、社会のニーズに沿ったキャリアパスの開拓を進めつつ、⼤学院教育改⾰を通じた⼈⽂・社会科学系の⼈材育成の促進策を検討し、2022年度までに、その⽅向性を定める。 【科技、⽂】
⑧ 競争的研究費制度の⼀体的改⾰
○プロジェクト評価結果の共有、⼈的交流、情報共有の場の設定等によるコミュニケーションの活発化、研56究者や研究成果を推薦する仕組みの構築等の研究資⾦配分機関間の連携強化に向けた取組を2021年度より加速する。 【科技、⽂、経、関係府省】
○競争的研究費について、現場の意⾒を踏まえつつ、各種事務⼿続に係るルールの⼀本化、簡素化・デジタル化・迅速化を図り、2021年度から実施する。(再掲) 【科技、⽂、関係府省】
○競争的研究費における間接経費の扱いについて、直接経費に対する割合等を含めたルールの⼀本化、使途報告、証拠書類の簡素化について検討を⾏い、2022年度から実施する。 【科技、⽂、関係省庁】
○基礎研究⼒の強化に向けた、研究に対する切れ⽬ない⽀援を実現するための取組を、具体的な実⾏プランに基づき、2021年度より加速する。科研費や戦略的創造研究推進事業に関しては、若⼿⽀援充実に加え、実⼒ある中堅以上の研究者が安定的かつ⼗分に研究費を確保できるための取組(配分や審査の⾒直し等)の強化、新興・融合研究の促進等を図る。基礎研究の成果を産業界へつなぐ事業に関しては、学術的価値を評価する体制及び産業界とのマッチング⽀援をはじめ研究フェーズに応じた柔軟な⽀援体制の強化を図る。 【⽂】
○e-CSTIを活⽤した研究開発成果の⾒える化・分析に加え、社会課題の解決に向けた次の重点領域の特定・研究実施という新たな政策サイクルの構築に取り組む等、2021年度中に重点領域の設定を試⾏する。また、世界的な研究開発の動向の変化も踏まえた検討を可能とするため、定期的なフォローアップが可能な仕組みとして構築する。 【科技、⽂、関係府省】
(2)新たな研究システムの構築(オープンサイエンスとデータ駆動型研究等の推進)
(a) 現状認識
ビッグデータ等の多様なデータの収集や分析が容易となる中で、計算機を活⽤したシミュレーションやAIを活⽤した研究のインパクトがより⼀層⼤きくなっている。さらに、新型コロナウイルス感染症を契機として、研究交流のリモート化や、研究設備・機器への遠隔からの接続、データ駆動型研究の拡⼤など、世界的に研究活動のDX(研究DX)の流れが加速している。
これに伴い、論⽂のオープンアクセス化や研究成果の迅速な公開の場の⼀つとしてのプレプリントの活⽤も⼀層加速しており、研究データの公開・共有を含め、オープンサイエンス等の世界的な知の共有を⽬指した研究成果のオープン化が進みつつある。その⼀⽅で、信頼性のない研究データを利⽤した論⽂が撤回される事例や、世界的な出版社やIT企業がビジネスの対象として研究成果や研究プロセス全体で得られたデータを囲い込む動きも⾒られる。このような状況を踏まえ、各国政府、国際機関、産業界、アカデミア等において、研究活動における⾃由と多様性を尊重しつつ、国際的な貢献と各主体の利害の双⽅を考慮に⼊れた、オープン・アンド・クローズ戦略に基づく研究プロセスのマネジメントを実⾏することが求められている。
我が国においては、ネットワーク、機関リポジトリ、データプラットフォーム、計算資源等の研究基盤や各種ガイドライン等の制度環境の整備が⾏われてきた。
特に公的資⾦により得られた研究データの管理・利活⽤については、⼤半の⼤学において機関リポジトリが整備されてきたが、その⼀⽅で研究データの収載が進んでいないことや、データポリシーが未整備であるといった課題がある。⼀部の先⾏的なプログラムでは、研究データの幅広い利活⽤を促進するため、そのメタデータを集約し、検索・閲覧可能とするための取組が⾏われているが、研究データの管理・利活⽤に向けた取組は道半ばである。さらに、研究データの帰属や、個⼈情報の取扱いなど、研究データに関する法的・制度的な諸問題もある。
また、我が国のデジタル研究基盤については、2020年、4つのスーパーコンピュータランキングにおいて、世界1位となった「富岳」や学術情報ネットワーク(SINET)などのインフラの整備が進み、質の⾼い研究・教育に貢献している。他⽅、コロナ禍において、⼤学等の共⽤施設・設備の多くが古いシステムを活⽤していたため、外部ネットワークへの接続が困難となり、その遠隔利⽤について課題が顕在化している。さらに、研究DXは研究活動そのものの変容・発展を伴うものであるが、研究設備・機器の整備と活⽤についても、依然として囲い込みと⾃前主義的な⽂化は残っており、改善が求められる。
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【現状データ】(参考指標)
・ 国⽴研究開発法⼈における研究データポリシーの策定法⼈数:11法⼈(2020年9⽉) ・ 競争的研究費制度におけるデータマネジメントプラン(DMP)の導⼊済み府省・機関数:8省・機関(2020年9⽉) ・ 国内における機関リポジトリの構築数:811個(2019年度) ・ 研究データ公開の経験のある研究者割合:51.9%(2018年度) ・ プレプリント公開の経験のある研究者割合:20.4%(2020年度) ・ HPCI提供可能資源量:年間25ペタflops(2019年度) ・ 研究設備・機器の共⽤化の割合:⼤学等における研究機器のうち相当程度の市場規模のある10機器(2012〜2016年度購⼊)について、競争的資⾦で購⼊したもののうち9割は研究者個⼈や研究室単位での利⽤にとどまる。(2017年度) |
(b) あるべき姿とその実現に向けた⽅向性
社会全体のデジタル化や世界的なオープンサイエンスの潮流を捉えた研究そのもののDXを通じて、より付加価値の⾼い研究成果を創出し、我が国が存在感を発揮することを⽬指す。特に新型コロナウイルス感染症の研究においても、論⽂のオープンアクセス化やプレプリントの活⽤が更に拡⼤する中、研究プロセス全般で⽣まれるデータについて、戦略性を持って適切な共有と利活⽤を図るとともに、それによりインパクトの⾼い研究成果を創出していくための研究基盤の実現が求められる。
このため、まず、データの共有・利活⽤については、研究の現場において、⾼品質な研究データが取得され、これら研究データの横断的検索を可能にするプラットフォームの下で、⾃由な研究と多様性を尊重しつつ、オープン・アンド・クローズ戦略に基づいた研究データの管理・利活⽤を進める環境を整備する。特にデータの信頼性が確保される仕組みが不可⽋となる。また、これらに基づく、最先端のデータ駆動型研究、AI駆動型研究の実施を促進するとともに、これらの新たな研究⼿法を⽀える情報科学技術の研究を進める。
同時に、ネットワーク、データインフラや計算資源について、世界最⾼⽔準の研究基盤の形成・維持を図り、産学を問わず広く利活⽤を進める。また、⼤型研究施設や⼤学、国⽴研究開発法⼈等の共⽤施設・設備について、遠隔から活⽤するリモート研究や、実験の⾃動化等を実現するスマートラボの普及を推進する。これにより、時間や距離の制約を超えて、研究を遂⾏できるようになることから、研究者の負担を⼤きく低減することが期待される。また、これらの研究インフラについて、データ利活⽤の仕組みの整備を含め、全ての研究者に開かれた研究設備・機器等の活⽤を実現し、研究者が⼀層⾃由に最先端の研究に打ち込める環境が実現する。
以上の質の⾼い研究データの適切な管理・利活⽤や、AIを含めた積極的なデータサイエンスの活⽤、そして先進的なインフラ環境の整備は、単に研究プロセスの効率化だけではなく、研究の探索範囲の劇的な拡⼤、新たな仮説の発⾒や提⽰といった研究者の知的活動そのものにも踏み込んだプロセスを変⾰し、従前、個⼈の勘や経験に頼っていた活動の⼀部が代替されていくことになる。これにより、データを⽤いたインパクトの⾼い研究成果の創出につなげるほか、研究者の貴重な時間を、研究ビジョンの構想や仮説の設定など、より付加価値の⾼い知的活動へと充当させていく。同時に、グローバルな視点からも、オープンサイエンスの発展に貢献する。
さらに、このような研究活動の変⾰や我が国全体の雇⽤慣⾏の変化によって、研究者の在り⽅も変わる⾯があり、既に世界各地では⾒られる、シチズンサイエンスとしての市⺠の研究参加や研究者のフリーランス化など、多様な主体が研究活動に参画し活躍できる環境が我が国でも実現し、研究者とそれ以外の者が、信頼感を醸成しながら、知の共有と融合を進め、新たな形での価値創造を実現する環境整備を図っていく。
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【⽬標】
・ オープン・アンド・クローズ戦略に基づく研究データの管理・利活⽤、世界最⾼⽔準のネットワーク・計算資源の整備、設備・機器の共⽤・スマート化等により、研究者が必要な知識や研究資源に効果的にアクセスすることが可能となり、データ駆動型研究等の⾼付加価値な研究が加速されるとともに、市⺠等の多様な主体が参画した研究活動が⾏われる。 【科学技術・イノベーション政策において⽬指す主要な数値⽬標】(主要指標) ・ 機関リポジトリを有する全ての⼤学・⼤学共同利⽤機関法⼈・国⽴研究開発法⼈において、2025年までに、データポリシーの策定率が100%になる。公募型の研究資⾦*162*の新規公募分において、2023年度までに、データマネジメントプラン(DMP)及びこれと連動したメタデータの付与を⾏う仕組みの導⼊率が100%になる。 |
(c) 具体的な取組
① 信頼性のある研究データの適切な管理・利活⽤促進のための環境整備
○研究データの管理・利活⽤のための我が国の中核的なプラットフォームとして2020年度に本格運⽤を開始した研究データ基盤システム(NII Research Data Cloud)の普及・広報と必要な改良を引き続き進める。また、公的資⾦により得られた研究データについて、産学官における幅広い利活⽤を図るため、2023年度までに体系的なメタデータ*163*の付与を進め、同年度以降、研究データ基盤システム上でこれらのメタデータを検索可能な体制を構築する。さらに、メタデータをEBPM*164*に活⽤するため、e-Radの改修に合わせて、相互運⽤性を確保する。研究データ基盤システムについて、持続的な運営体制の確保に向け2022年度までに⽅策を検討する。 【科技、⽂、関係府省】
○公的資⾦により得られた研究データの機関における管理・利活⽤を図るため、⼤学、⼤学共同利⽤機関法⼈、国⽴研究開発法⼈等の研究開発を⾏う機関は、データポリシーの策定を⾏うとともに、機関リポジトリへの研究データの収載を進める。あわせて、研究データ基盤システム上で検索可能とするため、研究データへのメタデータの付与を進める。 【科技、⽂、関係府省】
○公募型の研究資⾦の全ての新規公募分について、研究データの管理・利活⽤を図るため、データマネジメントプラン(DMP)及びこれと連動したメタデータの付与を⾏う仕組みを2023年度までに導⼊る。次期SIPにおいても同様に、DMPの策定とメタデータの付与を実施することとする。 【科技、⽂、関係府省】
○研究データ基盤システムと内閣府が実施する研究開発課題(SIP等)で構築する分野ごとデータ連携基盤との間で、相互にデータの利活⽤を図るための仕組みを2023年度中に構築する。 【科技、⽂】
○研究者の研究データ管理・利活⽤を促進するため、例えば、データ・キュレーター、図書館職員、URA、研究の第⼀線から退いたシニア⼈材、企業等において研究関連業務に携わってきた⼈材、⾃らの研究活動に資する場合にはポスドク等の参画や、図書館のデジタル転換等の取組について、2022年度までにその⽅向性を定める。 【科技、⽂、関係府省】
○⾃由で開かれた研究活動を尊重し、我が国と価値観を共有する国・地域・国際機関等(EU、G7、OECD等)との間で、研究データの管理・利活⽤に関する連携を進める。我が国の研究データ基盤システムとこれに相当する取組との国際連携を図り、研究データの管理・利活⽤に関する国際的な相互運⽤性を⾼めることにより、本計画期間中に、グローバルプラットフォームの構築を⽬指す。 【科技、⽂】
○研究データの管理・利活⽤に関する取組を更に促す観点から、2022年までに、これらの取組の状況を、研究者、プログラム、機関等の評価体系に導⼊する。 【科技、関係府省】
② 研究DXを⽀えるインフラ整備と⾼付加価値な研究の加速
○2022年度に、我が国の⼤学、研究機関等の学術情報基盤として、全国をつなぐ超⾼速・⼤容量ネットワーク(SINET)を増強し、これを研究データ基盤システムと⼀体的に運⽤することで、最先端の研究教育環境を提供する。また、引き続きこれらの学術情報基盤を⽀える技術の研究開発を推進する。さらに、2021年度までに、学術情報基盤としての役割のみならず、⼤学等の知を⽣かせる我が国の社会基盤インフラとして、⺠間と連携しつつ利活⽤できる環境整備の⽅策を検討する。 【科技、⽂】
○スパコン計算資源については、2021年よりスーパーコンピュータ「富岳」の本格的な共⽤を進めるとともに、国内の⼤学、国⽴研究開発法⼈等のスパコン計算資源について、全国の研究者の多様なニーズに応える安定的な計算基盤として増強する。加えて、次世代の計算資源について、我が国が強みを有する技術に留意しつつ、産学官で検討を⾏い、2021年度までに、その⽅向性を定める。この検討の結果を踏まえ、必要な取組を実施する。 【⽂、関係府省】
○研究設備・機器については、2021年度までに、国が研究設備・機器の共⽤化のためのガイドライン等を策定する。なお、汎⽤性があり、⼀定規模以上の研究設備・機器については原則共⽤とする。また、2022年度から、⼤学等が、研究設備・機器の組織内外への共⽤⽅針を策定・公表する。また、研究機関は、各研究費の申請に際し、組織全体の最適なマネジメントの観点から⾮効率な研究設備・機器の整備が⾏われていないか精査する。これらにより、組織的な研究設備の導⼊・更新・活⽤の仕組み(コアファシリティ化)を確⽴する。既に整備済みの国内有数の研究施設・設備については、施設・設備間の連携を促進するとともに、2021年度中に、全国各地からの利⽤ニーズや問合せにワンストップで対応する体制の構築に着⼿し、2025年度までに完了する。さらに、現在、官⺠共同の仕組みで建設が進められている次世代放射光施設の着実な整備や活⽤を推進するとともに、⼤型研究施設や⼤学、国⽴研究開発法⼈等の共⽤施設・設備について、リモート化・スマート化を含めた計画的整備を⾏う。 【科技、⽂、関係府省】
○データ駆動型の研究を進めるため、2023年度までに、マテリアル分野において、良質なデータが創出・共⽤化されるプラットフォームを整備し、試験運⽤を開始する。また同様に、ライフサイエンス分野においても、データ駆動型研究の基盤となるゲノム・データをはじめとした情報基盤や⽣物遺伝資源等の戦略的・体系的な整備を推進する。さらに、環境・エネルギー分野、海洋・防災分野等についてもデータ駆動型研究の振興に向けた環境整備を図る。加えて、プレプリントを含む⽂献など、研究成果に係る情報を広く利⽤できる環境の整備を推進するとともに、これらを⽀える基盤分野(OS、プログラミング、セキュリティ、データベース等)を含めた数理・情報科学技術に係る研究を加速する。 【⽂、経】
○2020年度に実施した試⾏的取組をベースとして、DXによる研究活動の変化等に関する新たな分析⼿法・指標の開発を⾏い、2021年度以降、その⾼度化とモニタリングを実施する。 【⽂】
③ 研究DXが開拓する新しい研究コミュニティ・環境の醸成
○地⽅公共団体、NPOやNGO、中⼩・スタートアップ、フリーランス型の研究者、更には市⺠参加など、多様な主体と共創しながら、知の創出・融合といった研究活動を促進する。また、例えば、研究者単独では実現できない、多くのサンプルの収集や、科学実験の実施など多くの市⺠の参画(1万⼈規模、2022年度までの着⼿を想定)を⾒込むシチズンサイエンスの研究プロジェクトの⽴ち上げなど、産学官の関係者のボトムアップ型の取組として、多様な主体の参画を促す環境整備を、新たな科学技術・イノベーション政策形成プロセスとして実践する。 【科技、⽂】
(3)⼤学改⾰の促進と戦略的経営に向けた機能拡張
(a) 現状認識
⼤学は、多様な知の結節点であり、また、最⼤かつ最先端の知の基盤である。⼤学には、研究⼈材や研究施設・設備にとどまらず、各種のデータ基盤とその分析機能、産学連携のハブ機能、国際的な知のネットワークなど、有形・無形の知的資産が存在しており、学術の中⼼として、このポテンシャルを様々な形で最⼤限に活⽤してSociety 5.0時代を牽引する役割が求められている。中でも、国⽴⼤学は、最先端の研究や融合分野の研究の推進、イノベーションの源泉の創出、⾃然科学と⼈⽂・社会科学が融合した総合知の確⽴、地域に求められる知の創造や⼈材育成、雇⽤創出など、様々な観点で極めて重要な役割を担っている。
これまで⼤学は、様々な教育研究の成果を社会に還元してきた⼀⽅で、⼤学名や偏差値など限られた物差しで社会から評価され、学⽣や研究者から選ばれることが多かった。そのような特定の価値観に縛られてきた結果、それぞれの⼤学の個性や達成すべきミッションが必ずしも明確ではなく、⼤学層の厚みが我が国における価値創造に⼗分に⽣かされていない。
また、海外に⽬を向けてみると、アジアの主要⼤学が研究、予算⾯で存在感を増しており、我が国は欧⽶のトップ⼤学はもとより、アジアの中でも存在感が低下している。実際にタイムズ・ハイヤー・エデュケーション誌における世界⼤学ランキングにランクインした⼤学数は、⽶国に次いで第2位であり、我が国は裾野の広い⼤学群を有する⼀⽅で、アジア⼤学ランキングのトップ50における⽇本の⼤学数は、2013年の11校から2020年の5校へと半減している。
特に我が国の国⽴⼤学については、2004年から法⼈化され、組織のトップが「経営」を実施できるよう環境整備が進められてきたが、国による管理や⼤学の経営裁量の⼩ささ、⼤学内部における横並びの慣習などにより、法⼈化当初に描いていた「競争的環境の中で、活⼒に富み、個性豊かな魅⼒ある国⽴⼤学」の実現へは道半ばとなっている。⼀⽅で、2020年12⽉に閣議決定された「国⺠の命と暮らしを守る安⼼と希望のための総合経済対策」において10兆円規模の⼤学ファンドの創設が盛り込まれた。インパクトの⾼い⼤胆な政策として、我が国の⼤学改⾰の⼤きなトリガーとなることが期待されている。
また、国⽴研究開発法⼈については、国家的⼜は国際的な要請に基づき、⻑期的なビジョンの下、⺠間では困難な基礎・基盤的研究のほか、実証試験、技術基準の策定に資する要素技術の開発、他機関への研究開発費の資⾦配分等幅広い責務を有している。その責務に確実に応える必要があるとともに、制度の改善や財源の多様化なども含め、財政基盤の強化が求められている。
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【現状データ】(参考指標)
・ 国⽴⼤学法⼈の2007〜2018年度の寄附⾦収⼊増加率の年平均:1.3% ・ ⼤学等及び国⽴研究開発法⼈における⺠間企業からの共同研究の受⼊額:882億円(2018年度) ・ 主要⼤学における2005〜2019年度の経常⽀出の成⻑率(病院経費除く):東京⼤学(1.7%)、京都⼤学(2.0%)、⼤阪⼤学(1.7%)、東北⼤学(1.1%)、参考:スタンフォード⼤学(6.4%) |
(b) あるべき姿とその実現に向けた⽅向性
不確実性の⾼い社会を豊かな知識基盤を活⽤することで乗り切るため、今後、全ての⼤学が同⼀のあるべき姿を⽬指すのではなく、個々の強みを伸ばし、各⼤学にふさわしいミッションを明確化することで、多様な⼤学群の形成を⽬指す。これにより、⼈々は⼤学が提供する教育研究の内容や環境などの付加価値そのもので⼤学を選択することが可能となり、⼤学が、多様な価値観に基づく個⼈の⾃⼰実現を後押しし、⼈々の⼈⽣や⽣活を豊かにするとともに、時代の変化や組織・個⼈のニーズに合わせて⼈材が⾃由に流動することで、⼤学発の新たな社会変⾰を次々と起こしていく。同時に、多様化する⼤学の中で、世界と伍する研究⼤学のより⼀層の成⻑が促進され、卓越した研究⼒の強化の実現を⽬指す。
このため、特に国⽴⼤学については、その独⾃性とポテンシャルをより発揮できる環境を実現するため、運営費交付⾦を配分する国との関係を中⼼に置いたガバナンスから、国だけでなく、学⽣や卒業⽣、研究者、産業界、地域をはじめとする多くのステークホルダーに対する説明と結果責任を果たすようなガバナンスへと⼤胆に転換し、⼤学が国のパートナーとして⾃らの裁量を拡⼤し、社会と常に対話を⾏う環境を実現する。これにより、国や地域の知の基盤としての⾼度な教育研究のみならず、⾃らが持つ知的資産を最⼤限に活⽤した新たな価値創造サービスを担うなどの機能の拡張を図る。
その際、世界と伍する研究⼤学と地⽅創⽣のハブになる⼤学*165*では、そのミッションの違いから、関係するステークホルダーや財政構造、国との関係や最適な経営システムも必然的に相違している。特に前者では、強靱なガバナンス体制を実現するための⼤胆な⼤学改⾰が⾏われ、世界レベルの研究環境や給与⽔準を実現するための⺠間資⾦の⼤幅な拡⼤、新たに創設する⼤学ファンドによる⽀援、⼤学の⾃主的な基⾦の充実などによって、堅固な財政基盤の形成を図る。
他⽅、地⽅創⽣のハブを担うべき⼤学では、地域産業を⽀える社会⼈の受⼊れの拡⼤、最新の知識・技術の活⽤や異分野との⼈材のマッチングによるイノベーションの創出、地域産業における⽣産性向上の⽀援、若⼿研究者が経験を積むことができるポストの確保・環境整備といった取組を進め、これにより、地域や企業から投資を呼び込み、地域と⼤学の発展につなげるエコシステムの形成を図る。また、複数の国公私⽴⼤学や研究所で連携するような活動を進める。
国⽴研究開発法⼈については、それぞれのミッション・特性に応じてその責務を果たすとともに、外部機関との積極的な連携・協⼒により、⺠間資⾦や寄附⾦なども含め多様な財源を確保し、財政基盤を強化しつつ、研究開発成果の最⼤化を着実に実施する。
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【⽬標】
・ 多様で個性的な⼤学群が、個⼈の⾃⼰実現を後押しし、⼈々の⼈⽣や⽣活を豊かにするとともに、卓越した研究⼒を含めた知識基盤が、新たな社会変⾰を牽引する。 【科学技術・イノベーション政策において⽬指す主要な数値⽬標】(主要指標) ・⼤学等及び国⽴研究開発法⼈における⺠間企業からの共同研究の受⼊額:2025年度までに、対2018年度⽐で約7割増加(再掲) ・国⽴⼤学法⼈の寄附⾦収⼊増加率:2021年度から2025年度までに、年平均5%の増加 |
(c) 具体的な取組
① 国⽴⼤学法⼈の真の経営体への転換
○第4期中期⽬標期間に向けて、規制による事前管理型から、事後チェック型を基本思想とし、社会変⾰の駆動⼒として成⻑し続ける戦略的な組織として真の経営体に転換すべく、中期⽬標の在り⽅の⾒直しを⾏う。また、国による法⼈評価について、毎年度の年度評価を廃⽌し、原則として6年間を通じた業務実績を評価するよう制度の⾒直しを⾏う。あわせて、各国⽴⼤学法⼈が公表する「国⽴⼤学法⼈ガバナンス・コード*166*」への適合状況等の報告について確認を⾏い、各国⽴⼤学法⼈が⼤学経営の状況や意思決定の仕組みについて透明性を確保し、関係者への説明責任を果たすようにする。 【⽂】
② 戦略的経営を⽀援する規制緩和
○学⻑選考会議への学⻑の関与の排除や学⻑選考会議の持つ牽制機能の明確化を図るとともに、国⽴⼤学法⼈の学⽣定員の変更や組織の再編⼿続の簡素化、優秀な留学⽣の確保のための定員管理や授業料設定の弾⼒化を、第4期中期⽬標期間より実施する。 【⽂】
○2025年度までに、⼤学への寄附税制に係る優遇措置を拡⼤し、⼤学の⾃主財源の拡⼤を促進する。 【科技、⽂】
○第4期中期⽬標期間に向けて、多様なステークホルダーの⽬線からも理解しやすいよう国⽴⼤学法⼈会計基準を⾒直すとともに、国⽴⼤学法⼈が⾃ら獲得した多様な財源を戦略的に積み⽴てる仕組みの創設や、次期中期⽬標期間に繰り越しができるよう⽬的積⽴⾦の⾒直しを⾏う。 【⽂】
○第4期中期⽬標期間に向けて、国⽴⼤学による債券発⾏の対象事業及び償還期間の更なる拡⼤・延⻑や償還財源の多様化、公的研究費の間接経費の使途の柔軟化(中⻑期積⽴・設備更新への活⽤等)に向けた検討を進めるなど、安定的な財務運営を可能とする。 【科技、⽂】
○⼤学関係者、産業界及び政府による「⼤学⽀援フォーラムPEAKS」において、⼤学における経営課題や解決策等について具体的に議論し、イノベーションの創出につながる好事例の⽔平展開、規制緩和等の検討、⼤学経営層の育成を進めるとともに、政府は現場からの規制緩和等の提案について迅速に検討し、必要な政策を実⾏する。 【科技、⽂、経】
③ 10兆円規模の⼤学ファンドの創設
○我が国の⼤学の国際競争⼒の低下や財政基盤の脆弱化といった現状を打破し、イノベーション・エコシステムの中核となるべき⼤学が、社会ニーズに合った⼈材の輩出、世界レベルの研究成果の創出、社会変⾰を先導する⼤学発スタートアップの創出といった役割をより⼀層果たしていくため、これまでにない⼿法により世界レベルの研究基盤の構築のための⼤胆な投資を実⾏する。具体的には、10兆円規模のファンドを早期に実現し、その運⽤益を活⽤することにより、世界に⽐肩するレベルの研究開発を⾏う⼤学の共⽤施設やデータ連携基盤の整備、若⼿⼈材育成等を⻑期かつ安定的に⽀援することで、我が国のイノベーション・エコシステムを構築する*167*。本ファンドへの参画にあたっては、⾃律した経営、責任あるガバナンスなど、⼤学改⾰へのコミットやファンドへの資⾦拠出を求めるとともに、関連する既存事業の⾒直しを図る。また、将来的には参画⼤学が⾃らの資⾦で基⾦を運⽤することを⽬指す観点から、外部資⾦獲得増加や、その⼀部を基⾦へ積み⽴てる等の仕組みを導⼊する。 【科技、⽂】
④ ⼤学の基盤を⽀える公的資⾦とガバナンスの多様化
○2021年度における国⽴⼤学法⼈運営費交付⾦の配分について、研究や教育等の成果指標に基づく配分についてその規模を拡⼤し、よりメリハリのある配分とする。また、第4期中期⽬標期間に向けて、ワールドクラスの研究⼤学や地⽅創⽣のハブとなる⼤学といった⼤学ごとのミッションも踏まえつつ、共通の成果指標についてe-CSTI等も活⽤し更に客観的・定量的なものとなるよう厳選して⾒直すなど、新たな国⽴⼤学法⼈運営費交付⾦の配分ルールを導⼊して、毎年度評価しメリハリある配分を実施する。 【⽂】
○国⽴⼤学について、戦略的経営を実現する学⻑の選考⽅法や執⾏をチェックする仕組み、⾮国家公務員型の給与体系による世界トップクラスの研究者を招へいできる給与・評価制度の導⼊、学⽣定員や授業料の⾃律的な管理・決定、戦略的経営を促す新たな財務・会計システム、固有の国の管理・評価の仕組みの導⼊など、ワールドクラスの研究⼤学を実現するための新たな法的枠組みを2021年度中に検討し、結論を得る。 【科技、⽂】
○国⽴⼤学法⼈の戦略的経営を⽀える上で⽋かせない職員について、⾼度な専⾨スキルや能⼒に応じた専⾨職を配置するなど、公務員準拠や年功序列によらない給与制度を導⼊するため、国は、国⽴⼤学法⼈職員の給与⽔準の検証の在り⽅について検討する。また、国⽴⼤学法⼈は、こうした経営を⽀える職員のキャリア形成や専⾨性の強化等を進める上で、他⼤学のみならず、国や企業等との対等な⼈事交流や⼤学マネジメントのデジタル化を積極的に進める。 【科技、⽂】
○国⽴⼤学法⼈等(国⽴⼤学法⼈、⼤学共同利⽤機関法⼈及び国⽴⾼等専⾨学校を指す。以下同じ。)の施設については、キャンパス全体が有機的に連携し、あらゆる分野、あらゆる場⾯で、あらゆるプレーヤーが共創できる拠点「イノベーション・コモンズ*168*」の実現を⽬指す。こうした視点も盛り込んで国が国⽴⼤学法⼈等の全体の施設整備計画を策定し、継続的な⽀援を⾏うとともに、国⽴⼤学法⼈等が⾃ら⾏う戦略的な施設整備や施設マネジメント等も通じて、計画的・重点的な施設整備を進める。 【⽂】
○私⽴⼤学については、建学の精神及び私学の特⾊を⽣かした質の⾼い教育研究等に取り組むことができるよう、私学助成等について、国は⼀層のメリハリのある配分を⾏う。 【⽂】
〇⼤学の投資対象としての価値向上や学内リソースの効果的な配分のため、⼤学が持つ研究シーズや⼈材などのリソースを可視化する⼤学IR(Institutional Research)システムの導⼊を、「⼤学⽀援フォーラムPEAKS」等の活動を通じて推進し、企業のニーズとのマッチングや戦略的な⼤学経営基盤の構築を進める。 【科技、⽂】
○⼤学の研究⼒強化を図るため、2021年度から、⽂部科学省における組織・体制の⾒直し・強化を進め、第6期基本計画期間中を通じて、国公私⽴⼤学の研究⼈材、資⾦、環境等に係る施策を戦略的かつ総合的に推進する。 【⽂】
⑤ 国⽴研究開発法⼈の機能・財政基盤の強化
○国は、国⽴研究開発法⼈がその責務を果たし、研究開発成果の最⼤化に向けて、効果的かつ効率的に業務運営・マネジメントを⾏えるよう、各法⼈等の意⾒も踏まえつつ、運⽤事項の改善に努める。また、国⽴研究開発法⼈が、⺠間企業との共同研究の推進等、財政基盤の強化に取り組めるよう必要な取組を推進する。さらに、特定国⽴研究開発法⼈は、世界最⾼⽔準の研究開発成果を創出し、イノベーションシステムを強⼒に駆動する中核機関としての役割を果たす。 【科技、関係府省】
3.⼀⼈ひとりの多様な幸せ(well-being)と課題への挑戦を実現する教育・⼈材育成
社会の再設計を進め、まだ⾒ぬ社会での価値創造を次々と起こしていくためには、これを担う⼈材が鍵である。我が国において、⼀⼈ひとりが多様な幸せを実現する教育・⼈材育成の環境が整備された上で、特に必ずしも⼀つの決まった正しい答えがあるわけではない現実の社会の中、試⾏錯誤しながら課題に⽴ち向かっていく能⼒と意欲を持った⼈材を輩出する学びを実現する必要がある。従前の科学技術基本計画における⼈材育成については、我が国の研究を担う⼈材を主たる対象としてきたが、Society 5.0の社会像を念頭に置けば、世代を問わず、あまねく⽇本全国にわたり、広い意味で世界に新たな価値を⽣み出す⼈材の輩出と、それを実現する教育・⼈材育成システムの実現を⽬指す必要がある。
このためには、まず初等中等教育段階からSociety 5.0時代の学びを実現していく必要があり、好奇⼼に基づいた探究⼒の強化に向け、STEAM教育など問題発⾒・課題解決的な学びの充実を図る。特にその際、⼤学や企業を含め、社会全体が学びを⽀える環境を整備する。また、⾼等教育段階においては、個性化する⼤学群の整備により、個⼈の多様なニーズに応える学びを実現する。さらに、⽣涯にわたり学び直せる環境で、意欲のある者による新たなキャリアパスへの挑戦を促進することが、我が国の成⻑を実現すると同時に、⼈⽣100年時代における個々⼈の多様な幸せを現実のものとする。リカレント教育*169*の充実を図るとともに、⼈材流動性を⾼め、個⼈の兼業、副業、転職等をしやすい環境を整備し、Society 5.0時代の価値創造を実現する。
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【⼤⽬標】
・⽇本全体をSociety 5.0へと転換するため、多様な幸せを追求し、課題に⽴ち向かう⼈材を育成する |
(a) 現状認識
従前、我が国においては、社会的な同質性や同調圧⼒を背景にして、偏差値を評価軸とした⼀律⼀様の教育・⼈材育成が形成されてきた側⾯がある。これは、単に学校教育のみに起因するものではなく、経済社会からの要請によるものでもあった。過去の我が国の経済成⻑の中で、全国的に⼀定⽔準を満たした教育・⼈材育成システムの存在には⼤きな意義があり、これが企業の新卒⼀括採⽤と年功序列をベースとする社会の中で機能してきた。その
⼀⽅で、独創的な挑戦の促進を内包した多様な教育活動や、個々⼈の内発的動機や好奇⼼に基づく学びの環境の積極的な導⼊が進まなかった。実際に、諸外国と⽐べて、成績は良くても学びは好きではないという児童・⽣徒の割合は⼤きい。このような問題意識は教育現場のみならず社会全体において既に⾼まりつつあり、新学習指導要領やGIGA*170*スクール構想に⾒られるように、新しい時代の教育に向けた積極的な変化が⽣まれつつある。
加えて、社会に出て以降、学び続ける意志を持つ者は少なく、仕事に不満があっても現状を打破できない状況がある。これは、学びの成果が社会において適切に評価されておらず、特に⽇本企業は、従業員に対する「学び直しへの⽀援」や「兼業・副業の経験」に消極的な傾向があることにも起因する。そして、その背景には、学び直しの機会を与えることによって、優秀な従業員が転職してしまうかもしれないといった企業側の懸念が指摘されている。
⼤学側にも問題はある。従前、リカレント教育については、⼤学経営の中でその位置付けが必ずしも明らかになっておらず、単に社会⼈を対象にした副次的な教育と捉えられる向きがあった。しかしながら、働き⽅の多様化やキャリアパスの複線化、さらには、コロナ禍を契機とした「新たな⽇常」の出現など、リカレント教育を取り巻く環境は⼤きく変化してきており、⼀部の⼤学では、MOOC*171*の活⽤などを含め、教育・⼈材育成の多様化を進め始めている。
産業構造の変化などに伴い、個々⼈に求められる能⼒も⼤きく変わりつつある。また、雇⽤がジョブ型に移⾏する動きも⾒られるなど、組織と個⼈の関係性にも変化が求められている。さらに、コロナ禍により、こうした変化の潮流が⼀気に加速しつつある。あわせて、経済的な豊かさに限らず、持続可能な地球の下での質的な豊かさの実現を含め、国⺠が望む幸せの姿も多様化してきている。
他⽅、急速な経済社会構造の変化に伴い、知識のライフサイクルがますます短期化している。そのような中で、⼈⽣100年時代が到来しており、かつてない⻑さの⼈⽣において、⼈それぞれが興味・関⼼に応じた多様な幸せの形を追求できる可能性が⾼まっている。
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【現状データ】(参考指標)
・ 算数・数学・理科が「楽しい」と思う児童・⽣徒の割合:算数(⼩学校)77%、数学(中学校) 56%、理科(⼩学校)92%、理科(中学校)70%(いずれも2019年*172*) ・ 社会における問題の解決に関与したいと思う若者の割合:42.2%(2018年度*173*) ・ 時間外勤務時間が80時間を超える教職員の割合:⼩学校13.2%、中学校27.5%、⾼校19.9%(いずれも2019年6⽉*174*) ・ 学校におけるICT環境整備の状況:普通教室の⼤型掲⽰装置整備率60.0%、統合型校務⽀援システム整備率64.8%、学習者⽤デジタル教科書整備率7.9%(いずれも2020年3⽉*175*) ・教育訓練休暇制度の導⼊割合:9.4%(2018年度*176*) ・ キャリアコンサルタントの数:53,809⼈(2020年10⽉末*177*) |
(b) あるべき姿とその実現に向けた⽅向性
Society 5.0時代において重要な、⾃ら課題を発⾒し解決⼿法を模索する、探究的な活動を通じて⾝につく能⼒・資質を磨き⾼めることにより、多様な幸せを追求し、課題に⽴ち向かう⼈材を育成することを⽬指す。
このため、初等中等教育の段階から、児童・⽣徒の⾃発的な「なぜ?」「どうして?」を引き出し、好奇⼼に基づいた学びを実現する。これは、⼈類の繁栄を⽀えてきた科学研究のプロセスそのものであり、こうした取組こそが、試⾏錯誤しながら課題に⽴ち向かう「探究⼒」を育成する学びそのものである。
この過程で、地域の⼈的資源等を活⽤し、学校教育と社会との連携を進めていく。例えば、最前線の研究者や起業家の教育現場への参画を促進し、「⼀流」や「本物」に触れる機会の拡⼤を通じて、⽣徒の好奇⼼を⾼める。科学技術・イノベーション政策と教育政策の連携により、その効果をより⼀層⾼めることが可能であり、政策的な連携を戦略的に進める。あわせて、教育分野におけるDXやデジタルツールの活⽤を通じて、⽣徒⼀⼈ひとりへの個別最適で協働的な教育機会の提供と、教育現場の教師の過剰な負担の軽減を実現する。その際、理想論や理念を単純に教育現場に押し付けるべきではなく、業務内容の⾒直しや地域社会との協⼒など、産業界や家庭を含め、社会全体で学びを⽀える。
また、⾼等教育段階においては、多様で個性的な知識基盤としての⼤学群の整備とともに、⾼等専⾨学校の教育の⾼度化によって、個⼈の多様なニーズに応じた学びを提供し、⼈々の⼈⽣や⽣活を豊かなものにしていく。特にイノベーションの創出の観点から、今後の予測不可能な時代においては、いわゆる⽂系や理系という区分を超え、複眼的に物事を捉え、課題解決をしていくスキルが重要となり、これを⾝に付ける教育課程、教育⼿法を積極的に取り⼊れた学びをより⼀層活発化する。
さらに、社会⼈の学び直しの機会の拡充や個⼈の兼業、副業、転職等の後押しにより、意欲と能⼒を持った⼈材の流動性を⾼め、社会全体としての「知」の循環を促進し、新たな価値の創造につなげる。社会⼈となってからも、個⼈の能⼒が最⼤限発揮されるよう、複線型のキャリアパスの中で、希望する者が、多様で質の⾼いリカレント教育を受けることが可能な環境を実現する。
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【⽬標】
・ 社会の多様な主体の参画の下、好奇⼼に基づいた学びにより、探究⼒が強化される。 ・ 個⼈が「やりたいこと」を⾒出し、それに向かって能⼒・資質を絶えず磨いていく。 【科学技術・イノベーション政策において⽬指す主要な数値⽬標】(主要指標) ・ ⼩中学校段階における算数・数学・理科が「楽しい」と思う児童・⽣徒の割合につき、2025年度までに、国際的に遜⾊のない⽔準*178*を視野にその割合の増を⽬指す。 ・ 2022年度までに、⼤学・専⾨学校等でのリカレント教育の社会⼈受講者数を100万⼈とする。 |
(c) 具体的な取組
① STEAM教育の推進による探究⼒の育成強化
○STEAM教育を推進するため、2022年度から年次進⾏で全⾯実施される⾼等学校新学習指導要領にづき、「理数探究」や「総合的な探究の時間」等における問題発⾒・課題解決的な学習活動の充実を図る。また、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)において、科学技術⼈材育成システム改⾰を先導するような卓越した研究開発を進めるとともに、SSHのこれまでの研究開発の成果の普及・展開に向けて、2022年度を⽬途に⼀定の実績を有する⾼校等を認定する制度を新たに創設し、その普及を図ることなどにより、STEAM教育を通じた⽣徒の探究⼒の育成に資する取組を充実・強化する。 【⽂】
○広く我が国の初等中等教育で利活⽤可能なSTEAMライブラリー*179*の整備を加速する。あわせて、初等中等教育段階で利活⽤可能な教育コンテンツについて、モデルプランの提⽰や全国への周知を進める。また、初等中等教育機関のみならず、社会全体でSTEAM教育を推進できるよう、2021年度に、COCN*180*が構築するプラットフォームと連携し、全国に分散する⼈材や知⾒、コンテンツの横展開や連携を促進する。加えて、最先端の研究内容を題材とした初等中等教育の教育コンテンツ作成を図るため、公的資⾦により実施している研究の中で、児童・⽣徒の知的好奇⼼を刺激し、題材として適切な研究内容について、その教材化の⽅策を2021年度までに検討し、結論を得る。 【科技、⽂、経】
○突出した意欲・能⼒を有する児童・⽣徒の能⼒を⼤きく伸ばし、「出る杭」を伸ばすため、⼤学・⺠間団体等が実施する合同合宿・研究発表会など学校外での学びの機会や、国際科学コンテストの⽀援など国内外の⽣徒が切磋琢磨し能⼒を伸⻑する機会の充実等を図る。 【⽂】
〇社会に開かれた教育の観点から、最新のテクノロジーの動向も踏まえつつ、Society 5.0の実現に向けた取組の加速に向け、STEAM教育を通じた児童・⽣徒・学⽣の探究⼒の育成や、その重要性に関する社会全体の理解の促進等について、CSTIに検討の場を設置し、中央教育審議会の委員の参画を得つつ、2021年度から調査・検討を⾏うとともに、その検討結果について科学技術・イノベーション政策や教育政策へのフィードバックを⾏う。 【科技、⽂】
② 外部⼈材・資源の学びへの参画・活⽤
○地域の⼤学や技術系ベンチャー企業等と連携を図りながら、⾼校⽣が研究活動に実際に触れる機会を創出するなど、地⽅創⽣に資する教育・⼈材育成エコシステムの事例を2021年内に取りまとめ、全国に普及展開することにより、取組の促進を図る。 【⽂】
○社会に開かれた多様な学校教育を実現していくため、例えば、博⼠号取得者や優れた知識経験等を有する⺠間企業経験者等を迎え⼊れることができるよう、2020年度中に改訂する特別免許状の授与に係る教育職員検定等に関する指針について、2021年度以降、地⽅公共団体等に周知を図ることなどを通じて、特別⾮常勤講師制度や特別免許状の活⽤等を更に促進する。 【⽂】
○2021年度に、⼤学の⼊学者選抜や企業の就職採⽤試験の際に、探究的な活動を通じて⾝につく能⼒・資質等*181*の評価を適切に活⽤しているグッドプラクティスを調査し、積極的に横展開を進める。また、2022年度より、こうした取組を実施している⼤学や企業の件数(⼜は割合)等について集計し、公表する。 【科技、⽂、経】
③ 教育分野におけるDXの推進
○「GIGAスクール構想」に基づく1⼈1台端末の実現に合わせて、教育現場におけるICT⼈材の配置を促進する。 【⽂】
○⽇々の学習等によって⽣じる教育データを⽤いて、個々の児童・⽣徒が⾃らの学習の振り返り等を⾏ったり、教員が個別最適な学習指導や⽣徒指導を⾏ったり、教授法・学習法などの新たな知⾒の創出や国・⾃治体における政策の企画⽴案に反映したりすることができるよう、「教育データ標準」(第2版)を2021年度内に公表する。 【⽂】
○2022年度までに、教員の業務負担の軽減を可能とする統合型校務⽀援システムの導⼊を完了する。 【⽂】
④ ⼈材流動性の促進とキャリアチェンジやキャリアアップに向けた学びの強化
○⾼校⽣が、地域課題やグローバルな社会課題の解決に向けて、産業界や⼤学、国際機関等と連携・協働した学びを実現する機会を拡充し、⾃分の将来に向けて積極的な⾏動を起こせるよう、地域の産業界や国内外の⼤学、国際機関との連携・協働システムを2023年度までに全国に整備する。 【⽂】
○2019年度から運⽤を開始した職業情報提供サイト(「⽇本版O-NET*182*」)と、⼤学等における社会⼈向けプログラムを紹介するサイト(「マナパス*183*」)との機能⾯での連携に2021年度内に着⼿する。あわせて、2022年度までに、これら⼆つのサイトの機能強化を⾏う。また、キャリアコンサルタントの専⾨性の向上と更なる普及を図る。これらの取組を通じ、個⼈がキャリアアップやキャリアチェンジに踏み出しやすい環境を整備する。 【⽂、厚】
○技術⼠制度について、関係府省が連携し、産業界等での活⽤促進・普及拡⼤に取り組むとともに、国際的通⽤性の確保、若⼿⼈材の参⼊促進、技術⼠の資質・能⼒の向上に向けて、必要な制度の⾒直しを⾏う。 【⽂、関係府省】
○イノベーションの創出に関わるマネジメント⼈材をはじめとした多様なイノベーション⼈材の層の厚みを増すとともに、⼈材流動性を⾼めることで質の向上を図るため、イノベーション⼈材の育成と活躍の場を創出する。そのため、これまでの⼈材育成に関する議論の蓄積も踏まえ、2023年度までにイノベーション⼈材育成環境の整備に関する実態調査やベストプラクティスの周知等に取り組む。(再掲) 【経】
○⼤学等と企業の間で研究⼈材の流動性の向上に向け、それぞれの機関におけるクロスアポイントメント制度や兼業等の活⽤、利益相反等のリスクマネジメントの実施、組織ルールの緩和等の促進に向けて産学官連携ガイドラインの周知を図る。 【⽂、経】
⑤ 学び続けることを社会や企業が促進する環境・⽂化の醸成
○2023年度までに、リカレント教育の社会⼈受講者数のほか、その教育効果や社会への影響を評価できる指標を開発する。 【科技、⽂、厚、経】
○いくつになっても学び直しを⾏うことで、個⼈が能⼒を最⼤限発揮できる環境を整備する観点から、雇⽤がジョブ型に移⾏する動きも踏まえながら、働き⽅改⾰の後押しも得た個⼈の学びの継続に資するよう、教育訓練休暇制度の活⽤促進や、企業における従業員のリカレント教育の導⼊を促進するため、2021年度から関係府省庁が合同で具体的な取組について検討し、その結果を取りまとめる。 【科技、⽂、厚、経】
○社員の学び直しに対し、サバティカル休暇の付与や経済的⽀援等を⾏う企業について、⼈材育成のリーディングカンパニーとして評価し、企業イメージの向上等につなげる⽅策を導⼊する。 【経】
○博⼠⼈材の産業界へのキャリアパスの拡⼤と、企業⼈材の学び直しの双⽅に寄与するような企業と⼤学の共同研究・共同教育を加速させる取組を⾏う。 【経】
⑥ ⼤学・⾼等専⾨学校における多様なカリキュラム、プログラムの提供
○様々な価値観に基づく個⼈の⾃⼰実現を後押しする個性豊かな⼤学群を整備する。具体的には、⾼等教育において、その享受者として最も重要なステークホルダー、⼤学の構成員である学⽣を、⼤学の発展に⻑期的に利害を共有する者と位置づけ、国⽴⼤学法⼈に対しては、ガバナンス・コードにおいて学⽣がどのような教育成果を享受することができたのかを⽰す情報の公表を求めるとともに、各⼤学は、学⽣の満⾜度や卒業後、学⽣の能⼒が社会でどのように評価されているかなどの⻑期的な視点も含めて調査・分析・検証し、その結果を教育課程や⼊学者選抜につなげるのみならず、学⽣が適切な⼤学選択を⾏えるよう、⽐較可能な形で情報公開を充実させることで、学⽣や学⽣になり得る国⺠への教育に関する説明と結果責任を果たす。 【科技、⽂】
○学部・研究科などの枠を超えて教育課程を設置できる学位プログラム制度や、ダブルメジャー等の学位取得が可能な制度について積極的な活⽤を促す。あわせて、⼤学教育における⽂理を横断したリベラルアーツ教育の幅広い実現を図るため、当該制度を活⽤して全学的な共通教育から⼤学院教育までを通じて広さと深さを両⽴する新しいタイプの教育プログラム(レイトスペシャライゼーションプログラム等)を複数構築する。 【⽂】
○2022年度からの国⽴⼤学法⼈の第4期中期⽬標期間に合わせ、地域課題や⼤学の強みなどに基づくリカレント教育を経営の柱とする⼤学を、積極的に評価する。あわせて、地域の産業界のニーズ情報が集積している、産学連携本部、地域連携本部等の組織の窓⼝機能と、地域の産業界等のニーズに対応したリカレント教育、⼈材育成プログラムとの連携についても、積極的に促進するとともに、プログラムの設計や広報等、コーディネーターとしての役割を担う専⾨⼈材を確保する。 【⽂、経】
○リカレント教育・⼈材育成の機能を、各⼤学が外部機関と連携して戦略的に実施することを促進するため、全ての国⽴⼤学法⼈が研修・講習等を実施する事業者への出資を⾏うことを可能とする等の環境整備を⾏う。 【⽂】
○MOOCを含めた多様なデジタルコンテンツを活⽤し、社会⼈等を対象にしたリカレント教育のプログラムを拡充する。このため、特に社会⼈のリカレント教育に有効と考えられる講座の認定や体系化等、⼤学等へのインセンティブ設計を⾏う。また、対⾯とオンラインのハイブリッド化など、多様な学修者が学び合うことができる、ニューノーマルにおける⼤学教育を実現するための仕組みの構築等について、⼤学設置基準の弾⼒化も含め検討を⾏い、2021年度末を⽬途に⼀定の結論を出す。 【⽂、経】
○⾼等専⾨学校について、実践的技術者育成に向けた教育の⾼度化を図るため、企業の第⼀線で活躍する者が教員として教育へ参画することを促進するとともに、2021年度から介護・医⼯、マテリアルに加え、防災・減災・防疫など、幅広い知識・技術が求められる社会課題に対し、AIと他分野を融合して課題解決につなげる⼈材育成体制を構築する。 【⽂】
⑦ 市⺠参画など多様な主体の参画による知の共創と科学技術コミュニケーションの強化
〇2021年度より、新型コロナウイルス感染症による社会事象や社会変⾰等を踏まえた科学技術リテラシーやリスクリテラシーの取組、科学館や博物館等における⼀般社会の意⾒収集や市⺠による政策過程への参画の取組、IoTやAIなどSociety 5.0の実現に不可⽋な最先端技術も活⽤した年齢、性別、⾝体能⼒、価値観等の違いを乗り越える対話・協働活動の取組など、多層的な科学技術コミュニケーションを強化する。 【科技、⽂】
○科学技術リテラシーやリスクリテラシーの取組、共創による研究活動を促進するためには、多様な主体をつなぐ役割を担う⼈材として、科学技術コミュニケーターによる能動的な活動が不可⽋であり、国は、こうした取組に対して⽀援を⾏う。 【⽂】
○地⽅公共団体、NPOやNGO、中⼩・スタートアップ、フリーランス型の研究者、更には市⺠参加など、多様な主体と共創しながら、知の創出・融合といった研究活動を促進する。また、例えば、研究者単独では実現できない、多くのサンプルの収集や、科学実験の実施など多くの市⺠の参画(1万⼈規模、2022年度までの着⼿を想定)を⾒込むシチズンサイエンスの研究プロジェクトの⽴ち上げなど、産学官の関係者のボトムアップ型の取組として、多様な主体の参画を促す環境整備を、新たな科学技術・イノベーション政策形成プロセスとして実践する。(再掲) 【科技、⽂】
第3章 科学技術・イノベーション政策の推進体制の強化
本章では、第2章に⽰したSociety 5.0の実現に向けた科学技術・イノベーション政策を推進していくための官⺠の研究開発投資等の確保と、官⺠連携により推進する分野別戦略、CSTIの司令塔機能の強化について整理する。
1.知と価値の創出のための資⾦循環の活性化
(a) 現状認識
感染症、気候変動、資源・エネルギー、⼈⼝、⾷糧やユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)*184*等に関するグローバル・アジェンダの解決や国際競争⼒の強化のためには、科学技術・イノベーションが不可⽋であり、諸外国は、科学技術・イノベーションへの⼤規模な投資を計画している*185*。
これまでの5期にわたる基本計画では、政府研究開発投資について明確な⽬標を設定し、科学技術関係予算を着実に確保するとともに、⺠間研究開発も誘発してきたものの、諸外国と⽐較すると、研究⼒やイノベーション⼒の低下、デジタル化の遅れなどが顕在化してきている。
他⽅、コロナ禍を契機として、経済社会を取り巻く環境が⼤きく変化する中、企業においても、環境問題をはじめ、利益の追求のみならず共通価値の創造(CSV*186*)を重視する必要性が増している。また、ESG投資*187*やインパクト投資*188*など、従来とは価値軸の異なる投資にも注⽬が集まっている。
こういった状況を踏まえ、今後の研究開発投資の拡⼤に資するよう、令和2年度第3次補正予算において、カーボンニュートラルに向けた⾰新的な技術開発に対する継続的な⽀援を⾏うためのグリーンイノベーション基⾦事業に2兆円を計上したほか、世界レベルの研究基盤を構築するための10兆円規模の⼤学ファンドの創設に向けた5,000億円の出資を盛り込むなど、第6期基本計画期間中の取組を⾒据えた準備を⾏ったところである。
今後の5〜10年間が、我が国が世界を主導するフロントランナーの⼀⾓を占め続けられるか否かの分⽔嶺である。我が国の勝ち筋を⾒定め、ESG投資やインパクト投資といった新たな投資の促進も含めた⼤胆な投資を喚起していかなければならない。
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【現状データ】(参考指標)
・ 官⺠の研究開発費総額:対GDP⽐4%の⽬標に対して3.50%(2019年度)*189* ・ 第5期基本計画期間中における「科学技術関係予算」:約26.1兆円(グリーンイノベーション基⾦事業及び10兆円規模の⼤学ファンドを含む場合:28.6兆円)*190*(2021年3⽉時点) ・ 国⽴⼤学法⼈、研究開発法⼈、⼤学共同利⽤機関法⼈における研究費の予算執⾏額の合計:約6,000億円*191*(2018年度) ・ 企業の能⼒開発投資を含む⽇本の無形資産投資:53.9兆円(2015年)*192* ・ ESG投資:⽇本の投資残⾼約336兆円(2019年)*193* ・ インパクト投資:⽇本の投資残⾼約3,179億円(2019年)*194* |
(b) あるべき姿とその実現に向けた⽅向性
Society 5.0を実現するための知の創出と経済的・社会的な価値の創出に向けた活動に対する投資(経団連等の試算*195*では、2030年までの15年間で必要な累積投資総額は844兆円。)とともに、それによるビジネスの拡⼤に向けて、多⽤な財源を活⽤しながら、官⺠による投資を⼤幅に拡充することを⽬指す。
このため、政府の科学技術関係予算の着実な確保、産学共同研究の推進、そして、世界と伍するファンドの創設などを通じて、基礎研究への⼗分な投資を確保するとともに、官⺠が連携・協⼒して、国家的重要課題への対応を強化する。
政府は、これらに加え、研究開発税制、SBIR制度、政府事業等のイノベーション化、研究成果の公共調達の促進等の政策ツールを総動員して、⺠間投資を誘発する環境を整備するとともに、持続可能性をビジネスの根幹に据えるイノベーション経営を推進する。
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【⽬標】
・ 諸外国がポストコロナ時代を⾒据えて⼤規模な研究開発投資を計画する中、我が国として、諸外国との熾烈な国家間競争を勝ち抜くため、⼤胆な規模の政府研究開発投資を確保する。 ・ また、⺠間の研究開発投資の誘発に努める。 【科学技術・イノベーション政策において⽬指す主要な数値⽬標】(主要指標) ・ 2021年度より2025年度までの、政府研究開発投資*196*の総額の規模:約30兆円 ・ 2021年度より2025年度までの、官⺠合わせた研究開発投資の総額:約120兆円(政府投資が呼び⽔となり⺠間投資が促進される相乗効果や我が国の政府負担研究費割合の⽔準等を勘案) |
(c) 具体的な取組
① 官⺠投資の拡充
○科学技術・イノベーション政策の恒常的な質の向上及び財政の持続可能性に⼗分に留意しつつ、第6期基本計画の期間中、政府科学技術関係予算を拡充する。 【科技、関係府省】
〇世界に⽐肩するレベルの研究開発を⾏う⼤学の、共⽤施設やデータ連携基盤の整備、若⼿⼈材育成等を推進するため、10兆円規模のファンドを早期に実現し、その運⽤益を活⽤することにより、世界レベルの研究基盤を構築する。 【科技、⽂】
○我が国の基礎研究⼒強化の観点から、国公私⽴⼤学、⼤学共同利⽤機関等の研究費の傾向を分析し、モニタリングを実施する。 【⽂】
② ⺠間投資環境の整備
○⺠間企業の中⻑期・⾰新的な研究開発等を促し、研究開発投資の維持・拡⼤と、それによる知や価値の創出、イノベーションの創出を図るため、研究開発税制を拡充する。 【経、関係府省】
○知や価値を絶え間なく創出していくため、ブランドの構築、経営組織の改善、教育訓練による⼈材の質の向上、ソフトウェアやデータベースといった無形資産に対する投資を促す環境整備に努める。 【経】
○ESG⾦融や、その発展形としてのインパクトファイナンスなどの推進により、社会・経済・環境にポジティブなインパクトを追求する⾦融の主流化に取り組む。特にインパクトファイナンスについて、全ての機関投資家・⾦融機関等が全てのアセットクラスにおいてインパクトファイナンスを実践することを⽬指し、2021年度中に⼤⼿⾦融・機関投資家が取り組むための促進体制を整備した上で、その次の段階として、地域⾦融機関や中⼩・個⼈投資家への取組への波及を促す。 【⾦融、経、環】
○Society 5.0実現に向けた投資の状況を把握するための指標2022年度中に開発する。 【科技】
2.官⺠連携による分野別戦略の推進
第5期基本計画期間中に、基盤分野として、AI技術、バイオテクノロジー、量⼦技術、マテリアル、また、応⽤分野として環境エネルギー、安全・安⼼、健康・医療、宇宙、海洋、⾷料・農林⽔産業についての分野別戦略を策定してきた。これらの戦略に基づき、第6期基本計画期間中、以下の点に留意するとともに、SIPやムーンショット型研究開発制度*197*など関係事業と連携しつつ、社会実装や研究開発を着実に実施する。また、分野別戦略は、定量分析や専⾨家の知⾒(エキスパートジャッジ)等を踏まえ、機動的に策定、⾒直し等を⾏う。
なお、環境エネルギー分野については第2章1.(2)に、安全・安⼼分野については第2章1.(3)に既述されているので、当該部分を参照のこと。
① AI技術
⼈⼯知能(AI)の利活⽤が広く社会の中で進展してきており、⽶国、中国をはじめとした諸外国ではAIに関する国家戦略を策定し、世界をリードすべくしのぎを削っている。こうした中、AIが社会に多⼤なる便益をもたらす⼀⽅で、その影響⼒が⼤きいことを踏まえ、適切な開発と社会実装を推進していくことが必要である。
このため、第6期基本計画期間中は、「AI戦略2019」に掲げた教育改⾰、研究体制の再構築、社会実装、データ関連基盤整備、倫理等に関する具体⽬標を実現すべく、関係府省庁等での各取組を進めていく。また、深層学習の原理解明による次世代の機械学習アルゴリズム、同時通訳等の⾼度な⾃然⾔語処理、医療やものづくり分野等への適⽤に重要な信頼性の⾼いAI等の諸外国に伍する先端的な研究開発や⼈材・研究環境・データの確保・強化など、戦略の進捗状況やAIの社会実装の進展等を踏まえた不断の⾒直しを⾏い、国⺠⼀⼈ひとりがAIの具体的な便益を実感できるよう、戦略を推進していく。
② バイオテクノロジー
バイオエコノミーの推進は、新型コロナウイルス感染症収束に向けた対応、⾷料、医薬品等の戦略的なサプライチェーンの構築、環境負荷の低減等に貢献するとともに、我が国経済の迅速な回復にも資するものであり、その重要性は⼀層⾼まっている。
こうした認識の下、第6期基本計画期間中は、「バイオ戦略2019*198*」を具体化・更新した「バイオ戦略2020(基盤的施策)*199*」及び「バイオ戦略2020(市場領域施策確定版)*200*」に基づき、⾼機能バイオ素材、持続的⼀次⽣産システム、バイオ医薬品・再⽣医療等関連産業等の9つの市場領域について、2030年時点の市場規模⽬標を設定した市場領域ロードマップに盛り込まれた取組を着実に実施していく。具体的には、各分野に応じて、バイオデータ連携・利活⽤ガイドラインの策定及びガイドラインに基づく取組の推進、グローバルバイオコミュニティ・地域バイオコミュニティの形成と投資促進、グローバルバイオコミュニティにおけるバイオ製造実証・⼈材育成拠点機能の整備等を進めていく。
③ 量⼦技術
量⼦技術は、我が国及び世界の社会、経済、産業、安全保障に⼤きな変⾰をもたらす可能性を秘めた⾰新的な技術である。近年、欧⽶や中国をはじめとする諸外国では、各国が巨額の投資と⼤型の研究開発に取り組むなど、将来の覇権をかけた国家間・企業間競争が激化しており、我が国においても量⼦技術の研究開発や社会実装に向けた戦略的な取組が求められている。
このため、第6期基本計画期間中は、「量⼦技術イノベーション戦略*201*」に基づき、量⼦コンピュータ、量⼦計測・センシング、量⼦通信・暗号等をはじめとする主要技術に関する研究開発の抜本的強化、量⼦技術イノベ―ション拠点の形成、国際協⼒の促進、戦略的な知的財産マネジメントと国際標準化、優秀な⼈材の育成に加え、既存技術と組み合わせることによる短中期での実⽤化も含めた、量⼦技術の産業・社会での利活⽤の促進等、基礎基盤的な研究開発から社会実装に⾄る幅広い取組を、我が国の産学官の総⼒を結集して強⼒に推進する。
④ マテリアル
マテリアルは、我が国の科学技術・イノベーションを⽀える基盤技術であるとともに、リチウムイオン電池や⻘⾊発光ダイオードなど、これまで数多くのイノベーションを⽣み出し、世界の経済・社会を⽀えてきた。⼀⽅、近年、マテリアルを巡る国際競争が熾烈になり、従来、我が国がこの分野で有していた強みが失われつつある中、残された「強み」を⽣かしつつ、戦略的な取組を強化する必要がある。
このため、第6期基本計画期間中は、「マテリアル⾰新⼒強化戦略*202*」に基づき、国内に多様な研究者や企業が数多く存在し、世界最⾼レベルの研究開発基盤を有している強みを⽣かし、産学官関係者の共通ビジョンの下、産学官共創による迅速な社会実装、データ駆動型研究開発基盤の整備と物事の本質の追求による新たな価値の創出、⼈材育成等の持続発展性の確保等、戦略に掲げられた取組を強⼒に推進する。
⑤ 健康・医療
第4次産業⾰命*203*のただ中、世界的に医療分野や⽣命科学分野で研究開発が進み、こうした分野でのイノベーションが加速することで、疾患メカニズムの解明や新たな診断・治療⽅法の開発、AIやビッグデータ等の利活⽤による創薬等の研究開発、個⼈の状態に合わせた個別化医療・精密医療等が進展していくことが⾒込まれている。
このような状況変化等を背景に、第6期基本計画期間中は、2020年度から2024年度を対象期間とする第2期の「健康・医療戦略*204*」及び「医療分野研究開発推進計画*205*」等に基づき、医療分野の研究開発の推進として、AMED*206*による⽀援を中核として、他の資⾦配分機関、インハウス研究機関、⺠間企業とも連携しつつ、医療分野の基礎から実⽤化まで⼀貫した研究開発を⼀体的に推進する。特に喫緊の課題として、国産の新型コロナウイルス感染症のワクチン・治療薬等を早期に実⽤化できるよう、研究開発への⽀援を集中的に⾏う。また、医療分野の研究開発の環境整備として、橋渡し研究⽀援拠点や臨床研究中核病院における体制や仕組みの整備、⽣物統計家などの専⾨⼈材及びレギュラトリーサイエンスの専⾨家の育成・確保、研究開発におけるレギュラトリーサイエンスの普及・充実等を推進する。さらに、新産業創出及び国際展開として、公的保険外のヘルスケア産業の促進等のための健康経営の推進、地域・職域連携の推進、個⼈の健康づくりへの取組促進などを⾏うとともに、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成への貢献を視野に、アジア健康構想*207*及びアフリカ健康構想*208*の下、各国の⾃律的な産業振興と裾野の広い健康・医療分野への貢献を⽬指し、我が国の健康・医療関連産業の国際展開を推進する。
⑥ 宇宙
今⽇、測位・通信・観測等の宇宙システムは、我が国の安全保障や経済・社会活動を⽀えるとともに、Society 5.0の実現に向けた基盤としても、重要性が⾼まっている。こうした中、宇宙活動は官⺠共創の時代を迎え、広範な分野で宇宙利⽤による産業の活性化が図られてきている。また、宇宙探査の進展により、⼈類の活動領域が地球軌道を越えて⽉⾯、深宇宙へと拡⼤しつつある中、「はやぶさ2」による⼩惑星からのサンプル回収の成功は、我が国の科学技術の⽔準の⾼さを世界に⽰し、その⼒に対する国⺠の期待を⾼めた。宇宙は科学技術のフロンティア及び経済成⻑の推進⼒として、更にその重要性を増しており、我が国におけるイノベーションの創出の⾯でも⼤きな推進⼒になり得る。
こうした認識の下、第6期基本計画期間中は、「宇宙基本計画*209*」に基づき、産学官の連携の下、準天頂衛星システムや情報収集衛星等の開発・整備、災害対策・国⼟強靱化や地球規模課題の解決に貢献する衛星開発、アルテミス計画による⽉⾯探査に向けた研究開発、宇宙科学・探査の推進、基幹ロケットの開発・⾼度化、将来宇宙輸送システムの検討、各省連携による戦略的な衛星開発・実証の推進、衛星データ利⽤の拡⼤・⾼度化、スペースデブリ対策や宇宙交通管理を含む将来の宇宙活動のルール形成、宇宙活動を⽀える⼈材基盤の強化等を推進していく。
⑦ 海洋
四⽅を海に囲まれ、世界有数の広⼤な管轄海域*210*を有する我が国には、領⼟・領海の保全と国⺠の安全を確保すべく海を守り、経済社会の存⽴・成⻑の基盤として海を⽣かし、貴重な⼈類の存⽴基盤として海を⼦孫に継承していくことが求められている。また、海洋の⽣物資源や⽣態系の保全、エネルギー・鉱物資源確保、地球温暖化や海洋プラスチックごみなどの地球規模課題への対応、地震・津波・⽕⼭等の脅威への対策、北極域の持続的な利活⽤、海洋産業の競争⼒強化等において、海洋に関する科学的知⾒の収集・活⽤は不可⽋である。2021年からの「国連持続可能な開発のための海洋科学10年」では、我が国の強みである科学技術の⼒をもって世界に貢献していくことが求められている。
このため、第6期基本計画期間中は、「海洋基本計画*211*」に基づき、海洋に関する施策を総合的かつ計画的に推進する。特に海洋観測は海洋科学技術の最重要基盤であり、MDA*212*の能⼒強化や、カーボンニュートラル実現に向けた広⼤な海洋環境の把握能⼒を⾼めるため、氷海域、深海部、海底下を含む海洋の調査・観測技術の向上を⽬指し、研究船の他、ROV*213*やAUV*214*、海底光ファイバケーブル、無⼈観測艇等の観測技術の開発を進めていく。さらに、データや情報の処理・共⽤・利活⽤の⾼度化を進めるため、データ・計算共⽤基盤の構築・強化による観測データの徹底的な活⽤を図るとともに、海洋観測のInternet of Laboratory*215*の実現により、海洋分野におけるデータ駆動型研究を推進することを通じて、⼈類全体の財産である海洋の価値創出を⽬指す。
これらを進めるために、産学官連携を強⼒に推進し、海洋分野のイノベーションの創出を⽬指す。
⑧ ⾷料・農林⽔産業
今⽇、科学技術の⼒の活⽤により、我が国の豊かな⾷と環境を守り発展させるとともに、拡⼤する海外需要の獲得による輸出拡⼤等に向け、農林⽔産業の国際競争⼒の強化を図ることが求められている。特に、農業従事者の多様なニーズへの対応を図るため、担い⼿がデータをフル活⽤し、スマート農業技術を導⼊した⾰新的農業を実践することで、⽣産性を⾶躍的に向上させ、所得向上に貢献することが必要である。
このため、第6期基本計画期間中は、「⾷料・農業・農村基本計画216」に基づき、農林⽔産省において「農林⽔産研究イノベーション戦略」を毎年度策定し、農林⽔産業以外の多様な分野との連携により、スマート農林⽔産業政策、環境政策、バイオ政策等を推進する。その中で、我が国発のスマート農業技術・システムを⽣かした⽣産拠点をアジア太平洋地域等に展開することで、我が国の農業のブランド⼒向上、⾷品ロス削減等に貢献する。また、林業・⽔産業においても、現場へのICT、AI、ロボット技術等の新技術実装を着実に進める。さらに、「農林⽔産業・地域の活⼒創造プラン217」に基づき、2021年5⽉までに策定する「みどりの⾷料システム戦略」において、2050年に⽬指す姿を⽰した上で、⾷料・農林⽔産業の⽣産⼒向上と持続性の両⽴をイノベーションで実現する。
【参考】SIP(第2期)研究開発課題とムーンショット型研究開発制度⽬標(2020年12⽉時点)
○SIP(第2期)研究開発課題(2018年度〜)
・ビッグデータ・AIを活⽤したサイバー空間基盤技術
・フィジカル空間デジタルデータ処理基盤
・IoT社会に対応したサイバー・フィジカル・セキュリティ
・⾃動運転(システムとサービスの拡張)
・統合型材料開発システムによるマテリアル⾰命
・光・量⼦を活⽤したSociety 5.0実現化技術
・スマートバイオ産業・農業基盤技術
・IoE社会のエネルギーシステム・国家レジリエンス(防災・減災)の強化
・AI(⼈⼯知能)ホスピタルによる⾼度診断・治療システム
・スマート物流サービス
・⾰新的深海資源調査技術
○ムーンショット型研究開発制度⽬標
1.2050年までに、⼈が⾝体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現
2.2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現
3.2050年までに、AIとロボットの共進化により、⾃ら学習・⾏動し⼈と共⽣するロボットを実現
4.2050年までに、地球環境再⽣に向けた持続可能な資源循環を実現
5.2050年までに、未利⽤の⽣物機能等のフル活⽤により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な⾷料供給産業を創出
6.2050年までに、経済・産業・安全保障を⾶躍的に発展させる誤り耐性型汎⽤量⼦コンピュータを実現
7.2040年までに、主要な疾患を予防・克服し100歳まで健康不安なく⼈⽣を楽しむためのサステイナブルな医療・介護システムを実現
3.総合科学技術・イノベーション会議の司令塔機能の強化
(1)「総合知」を活⽤する機能の強化と未来に向けた政策の⽴案・情報発信
社会課題を解決するためには、従来の延⻑線上の取組のみならず、新たな価値観を⽰し、制度的なアプローチをとることが求められる。新たな技術を社会で活⽤するにあたり⽣じる制度⾯や倫理⾯、社会における受などの課題に対応するため、⼈⽂・社会科学も含めた「総合知」を活⽤できる仕組みを構築する。その際、2030年、更にその先の⽬指すべき社会像を描き、その社会像からのバックキャスト的アプローチで政策の体系化を図るとともに、現状をしっかりと把握・分析し、未来に向けた新たな政策をフォーキャスト的なアプローチで⽴案し、これらを総合してフォーサイト218を⾏う。
また、政策⽴案にあたっては、社会との多層的な科学技術コミュニケーションや国⺠をはじめとする多様なセクターへの情報発信も重要である。トランス・サイエンス219が重視される時代における「政策のための科学(Science for Policy)」の重要性にも鑑み、アカデミアと政治・⾏政との間で、課題認識や前提を共有した上で、科学的知⾒に基づく独⽴かつ的確な助⾔や提⾔が⾏われることが重要であり、例えば、これらの関係者間をつなぐ仕組みの構築を検討する。
(2)エビデンスシステム(e-CSTI)の活⽤による政策⽴案機能強化と政策の実効性の確保
科学技術・イノベーション⾏政において、客観的な証拠に基づく政策⽴案を⾏うEBPMを徹底し、2023年度までに全ての関係府省においてエビデンスに基づく政策⽴案等を⾏う。その際、エビデンスシステム(e CSTI)を活⽤し、⺠間投資の呼び⽔となるような政府研究開発投資のマネジメント、国⽴⼤学・研究開発法⼈における⾼度な法⼈運営(EBMgt220)をはじめとする各施策、国家戦略の企画⽴案等のパフォーマンスの向上を図る。
(3)第6期基本計画に連動した政策評価の実施と統合戦略の策定
第6期基本計画において⽰された中⻑期的な政策の⽅向性を踏まえ、2013年度からは年次戦略として統合戦略を策定し、毎年の状況変化を踏まえその年度に特に重点を置くべき施策について定めてきた。
第6期基本計画期間中においても、毎年度、特に重点を置くべき施策について、第6期基本計画との関連性を明確にして年次戦略で⽰していく。その際、第6期基本計画について、指標を⽤いながら進捗状況の把握、評価を評価専⾨調査会において継続的に実施し、その結果を年次戦略や次期基本計画の策定に活⽤するとともに、必要に応じて第6期基本計画の⾒直しを⾏うなど、社会情勢等の変化に対した柔軟な科学技術・イノベーション政策を推進していく。このため、e-CSTIを継続的に機能拡張し、モニタリング指標の収集の⾃動化や府省横断的に評価を⾏う基盤を2023年度中に稼働させるとともに、分析⼿法の開発等EBPM⾼度化のための調査研究を⾏い、継続的に指標の改良・⾒直しをする。
(4)司令塔機能の実効性確保
科学技術・イノベーション政策に関連が深いCSTI、⾼度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部、知的財産戦略本部、健康・医療戦略推進本部、宇宙開発戦略本部、総合海洋政策本部等の司令塔会議が進める政策を横断的に調整する司令塔機能を強化することが求められている。このため、内閣府設置法の改正により、内閣府に「科学技術・イノベーション推進事務局」等を2021年4⽉に設置することとされた。
関係司令塔会議や関係府省庁が進める科学技術・イノベーション関連政策について、政策の重複を排し、連携を促進するなどの調整機能を同事務局が効果的に働かせる仕組みを早急に構築する。また、CSTIは、Society 5.0の実現に向け、上述の司令塔会議や⽇本学術会議との更なる連携を深めるとともに、関係府省庁の各審議会等との政策検討の協⼒関係を強化する。
また、⽇本学術会議に関する我が国の科学者の代表機関としてより良い役割を発揮するための今後の具体的な改⾰の進捗を踏まえた上で、⽇本学術会議に求められる役割等に応じた新たな連携関係を構築する。
{略称一覧は省略}
{*1* 国内総⽣産(Gross Domestic Product)}
{*2* Steffen, W., Broadgate, W., Deutsch, L., Gaffney, O. & Ludwig, C. The trajectory of the Anthropocene: The Great Acceleration. The Anthropocene Review 2: 81-98,doi:10.1177/2053019614564785(2015)}
{*3* 2000年、ノーベル化学賞受賞者である⼤気化学者のパウル・クルッツェンが、⼈類が地球環境に及ぼした影響により、地質年代が1万1700年前から現在に⾄る「完新世」から新たな地質年代である「⼈新世」に⼊ったと提唱。2021年2⽉現在においては、国際的な学術団体による正式な承認には⾄っていない。}
{*4* 多様なサービスのサプライチェーンやコミュニティなどが形成される新たな社会領域}
{*5* SDGs : Sustainable Development Goals}
{*6* ICT : Information and Communication Technology}
{*7* 新型コロナウイルス感染症 : COVID-19}
{*8* 欧州委員会は復興基⾦及び2021年から2027年の多年度財政枠組の総額約1兆8000億ユーロ(219兆円)のうち、約30%は気候変動対策に⽀出と発表。⽶国バイデン新政権は、パリ協定への復帰と、クリーンエネルギーのインフラ・技術の導⼊促進のため、4年間で4000億ドル(38兆円)の政府調達を計画。中国は新基建(新型基礎インフラ建設)政策として、2025年までに約10兆元(約150兆円)をクリーンエネルギーや次世代インフラに投資することを計画。}
{*9* GAFA : Google、Amazon、Facebook、Apple}
{*10* IT : Information Technology}
{*11* 新型コロナウイルス : SARS-CoV-2}
{*12* WHO : World Health Organization}
{*13* 2020年7⽉17⽇閣議決定}
{*14* 2021年2⽉9⽇、「デジタル社会形成基本法案」、「デジタル庁設置法案」「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案」、「公的給付の⽀給等の迅速かつ確実な実施のための預貯⾦⼝座の登録等に関する法律案」、「預貯⾦者の意思に基づく個⼈番号の利⽤による預貯⾦⼝座の管理等に関する法律案」及び「地⽅公共団体情報システムの標準化に関する法律案」を閣議決定。第204回国会に提出。}
{*15* ウメオ⼤学(スウェーデン)のエリック・ストルターマン教授が2004年に提唱した概念。}
{*16* 2019年6⽉11⽇統合イノベーション戦略推進会議決定。その後、2020年6⽉に戦略のフォローアップを実施。}
{*17* SIP:Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program。戦略的イノベーション創造プログラム。}
{*18* 2020年1⽉23⽇総合科学技術・イノベーション会議決定。⽂部科学省が策定した「研究⼒向上改⾰2019」を発展させ、⼈材、資⾦、環境の三位⼀体改⾰により、我が国の研究⼒を総合的・抜本的に強化するため策定した政策パッケージ。}
{*19* 科学技術・イノベーション基本法では、「イノベーションの創出」を「科学的な発⾒⼜は発明、新商品⼜は新役務の開発その他の創造的活動を通じて新たな価値を⽣み出し、これを普及することにより、経済社会の⼤きな変化を創出すること」と定義している。}
{*20* 地球環境問題などの複雑で広範な社会的課題へ対応するため、社会の変⾰を志向するもの。}
{*21* 第5期基本計画では、「ICTを最⼤限に活⽤し、サイバー空間とフィジカル空間とを融合させた取組により、⼈々に豊かさをもたらす超スマート社会」と記載されている。}
{*22* 社会と主体的に関わることができる期間の平均。}
{*23* ⼤量の質の⾼い信頼できるデータが相互に連携し、「地理空間、ヒトや組織、時間」といった構成要素から成り⽴つ現実世界をサイバー空間で再現したもの。}
{*24* ELSI:Ethical, Legal and Social Implications/Issues。倫理的・法的・社会的な課題。
{*25* Science、Technology、Engineering、Art(s)、Mathematics等の各教科での学習を実社会での問題発⾒・解決に⽣かしていくための教科等横断的な教育。また、Aの範囲をデザインや感性などと狭く捉えるものや、芸術、⽂化、⽣活、経済、法律、政治、倫理等を含めた広い範囲で定義するものもある。}
{*26* 例えば、我が国には、⻑年培ってきた、ある種の「⾃然との共⽣」や「分かち合いの価値観」、「三⽅よし」の倫理観・社会観がある。}
{*27* 第2章の各節では、【】内に列記された関係府省(複数府省にまたがる場合には、主担当を下線で表記)が中⼼となり、いつまでに何に取り組むかを記している。}
{*28* CSTI:Council for Science, Technology and Innovation。総合科学技術・イノベーション会議。内閣総理⼤⾂、科学技術政策担当⼤⾂のリーダーシップの下、各省より⼀段⾼い⽴場から、総合的・基本的な科学技術・イノベーション政策の企画⽴案及び総合調整を⾏うことを⽬的とした「重要政策に関する会議」の⼀つ。}
{*29* 第3章3.(4)参照16}
{*30* ICT等の新技術を活⽤しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)の⾼度化により、都市や地域の抱える諸課題の解決を⾏い、新たな価値を創出し続ける、持続可能な都市や地域。}
{*31* 国際連合}
{*32* OECD}
{*33* 世界経済フォーラム年次総会安倍総理⼤⾂スピーチ(2019年1⽉23⽇)}
{*34* 2019年3⽉統合イノベーション戦略推進会議決定}
{*35* G20茨城つくば貿易・デジタル経済⼤⾂会合(2019年6⽉8-9⽇)において、AIの開発や利活⽤の促進に向け、G20で初めて「⼈間中⼼」の考えを踏まえたAI原則(「G20AI原則」)に対し賛同が得られ、その内容を含む閣僚声明が採択。}
{*36* ⽶国「連邦データ戦略」(2019年6⽉)、欧州「欧州データ戦略」(2020年2⽉)、英国「国家データ戦略」(2020年9⽉)等}
{*37* シンガポール共和国の「バーチャル・シンガポール」やインドの「インディア・スタック」等。}
{*38* 安全・安⼼にデータを利活⽤等するための機能を持ち、様々な分野ごとデータ連携基盤が垣根を越えてつながる分散型分野間データ連携を実現する基盤。}
{*39* 2020年3⽉18⽇公表。スマートシティの構成要素を具体化し、スマートシティの推進主体や関係者がスマートシティサービスを構築する際に参考とすべき共通の設計の枠組み。SIP第2期「ビッグデータ・AIを活⽤したサイバー空間基盤技術におけるアーキテクチャ構築及び実証研究」で作成された。https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20200318siparchitecture.html}
{*40* 2020年12⽉25⽇閣議決定}
{*41* 2020年12⽉25⽇閣議決定}
{*42* 2020年12⽉21⽇デジタル・ガバメント閣僚会議決定}
{*43* Data.go.jpより。2020年11⽉27⽇時点。}
{*44* IPA「IT⼈材⽩書2020」}
{*45* 総務省「令和2年版情報通信⽩書」}
{*46* 2020年10⽉時点}
{*47* 2020年10⽉時点}
{*48* 第2章2.(2)に記す研究データ基盤システム(NII Research Data Cloud)。公的資⾦による研究データの管理・利活⽤のための中核的なプラットフォームとして2020年度に本格運⽤を開始。}
{*49* 第2章2.(2)において、公的資⾦により得られた研究データについて、2023年度までに体系的なメタデータの付与を進め、同年度以降、研究データ基盤システム上でこれらのメタデータを検索可能な体制を構築することとされている。}
{*50* 全国を10km四⽅で総数約4,500に区切ったメッシュに占める5G⾼度特定基地局が開設されたメッシュ数の割合。}
{*51* 2020年3⽉末時点。総務省調査。}
{*52* 「第5期科学技術基本計画レビュー」(2020年8⽉)}
{*53* 総務省「2020年科学技術研究調査結果」(2020年12⽉)}
{*54* 公的機関等で登録・公開され、様々な場⾯で参照される、⼈、法⼈、⼟地、建物、資格等の社会の基本データ。}
{*55* 2章1.(3)を参照}
{*56* 地⽅公共団体及び準公共部⾨等については国の補助⾦が交付されるシステムに限る。}
{*57* 2021年のデジタル庁発⾜以降は、デジタル庁が業務を担当する。以下同じ。}
{*58* 国⺠⽣活に直接関係する事務に係る情報システムで、相互に連携が必要なシステム(住⺠基本台帳、選挙⼈名簿管理、固定資産税、個⼈住⺠税、法⼈住⺠税、軽⾃動⾞税、国⺠健康保険、国⺠年⾦、障害者福祉、後期⾼齢者医療、介護保険、児童⼿当、⽣活保護、健康管理、就学、児童扶養⼿当、⼦ども・⼦育て⽀援の17業務)。}
{*59* 59情報処理推進機構}
{*60* 60DSA: Data Society Alliance。(⼀社)データ社会推進協議会。2020年12⽉に設⽴。2020年7⽉の新団体設⽴準備協議会の発⾜以降、「dataex.jp(仮称)」と称していたもの。今後、「DATA-EX」という名称でデータ連携に係る機能等を提供していく予定。}
{*61* 「統合イノベーション戦略2019」(2019年6⽉閣議決定)に基づき、スマートシティの取組を官⺠連携で加速することを⽬的に2019年8⽉設⽴。}
{*62* SINET:Science Information NETwork。学術情報ネットワーク。⽇本全国の⼤学、研究機関等の学術情報基盤として、国⽴情報学研究所(NII)が構築、運⽤している情報通信ネットワーク。}
{*63* 超⾼速、超低遅延、多数同時接続といった特⻑を持つ次世代の移動通信システムである5Gについて、更に超低遅延や多数同時接続といった機能が強化された5G。}
{*64* 5G、ポスト5Gを超える超⼤容量、超低遅延、超多数同時接続、超低消費電⼒、超安全・信頼性等の特徴を備えるSociety 5.0時代の重要インフラであり、2030年代のあらゆる産業・社会⽣活の基盤として、2030年頃のサービス開始が⾒込まれている。}
{*65* PBL:Problem Based Learning。問題解決型授業。}
{*66* 2023年に⽇本で開催予定のG7サミット。}
{*67* IGF: Internet Governance Forum。2023年に⽇本で開催予定の国連インターネットガバナンスフォーラム。}
{*68* 2020年12⽉21⽇閣議決定}
{*69* EUは「欧州グリーンディール」として、2050年までに温室効果ガス(GHG(greenhouse gas))排出実質ゼロを⽬指し、今後10年で官⺠約120兆円の投資計画を策定(2020年1⽉)。⽶国のバイデン新政権は、パリ協定への復帰とともに、2050年までの温室効果ガス排出ネットゼロ、4年間で約200兆円規模の脱炭素化投資を掲げている。また、中国は、2020年9⽉の国連総会において、2030年より前にCO2排出量をピークアウトし、2060年より前に炭素中⽴実現を⽬指すことを表明、政府の振興政策により新エネ⾞の普及や再⽣可能エネルギーへの投資が拡⼤。}
{*70* EUは2020年9⽉に、2030年⽬標として、温室効果ガス排出量を少なくとも55%削減(1990年⽐)する⽬標(2020年12⽉、欧州理事会にて承認)を発表し、7年間で約70兆円(多年度財政枠組及び復興基⾦の合計総額の30%に相当)を「グリーンリカバリー」に充当することとしている。また、英国は、2020年11⽉に「グリーン産業⾰命に向けた10項⽬」を発表、洋上⾵⼒発電の設置、⽔素⽣産施設への投資等に約1兆7000億円を投資する計画を発表。さらに、同年12⽉には、2030年までに温室効果ガスの排出量を1990年⽐で68%削減するとの新たな排出量⽬標を発表。}
{*71* 2020年10⽉総理所信表明演説「我が国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体でゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を⽬指すことを、ここに宣⾔いたします。」}
{*72* グリーンイノベーション基⾦事業。2020年度第3次補正予算額2.0兆円。}
{*73* 例えば、EUにおいては、2015年12⽉に、2030年に向けた成⻑戦略の核として循環経済(サーキュラー・エコノミー)パッケージを発表し、プラスチック海洋廃棄物の⼤幅削減への取組を含め、循環経済型社会への移⾏を積極的に推進。2020年3⽉には、より具体的な取組を盛り込んだ⾏動計画を策定。}
{*74* 2018年6⽉19⽇閣議決定}
{*75* ⾰新的環境イノベーション戦略(2020年1⽉21⽇統合イノベーション戦略推進会議決定)は、①16の技術課題について、具体的なコスト⽬標等を明記した「イノベーション・アクションプラン」、②これらを実現するための、研究体制や投資促進策を⽰した「アクセラレーションプラン」、③社会実装に向けて、グローバルリーダーとともに発信し共創していく「ゼロエミッション・イニシアティブズ(東京ビヨンド・ゼロ・ウィーク)」から構成。「イノベーション・アクションプラン」の検討は「イノベーション・ダッシュボード」として随時公表。}
{*76* 総務省「2020年科学技術研究調査結果」(2020年12⽉)}
{*77* 総務省「2020年科学技術研究調査結果」(2020年12⽉)}
{*78* 使⽤電⼒を100%再⽣可能エネルギーにする事を⽬標に掲げて取り組んでいる企業。}
{*79* RE100のウェブサイトをもとに、⽇本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)事務局集計。}
{*80* 2019年度の温室効果ガス排出量(速報値)について(2020年12⽉8⽇環境省発表)}
{*81* ⽇本の気候変動2020-⼤気と陸・海洋に関する観測・予測評価報告書-(2020年12⽉4⽇⽂部科学省、気象庁公表)}
{*82* 資源⽣産性=GDP/天然資源等投⼊量。天然資源等投⼊量とは国産・輸⼊天然資源及び輸⼊製品の合計量(DMI:Direct Material Input)を指し、資源⽣産性は⼀定量当たりの天然資源等投⼊量から⽣み出される実質国内総⽣産(実質GDP)を算出することによって、各産業がより少ない天然資源で⽣産活動を向上させているかや⼈々の⽣活がいかに物を有効に使っているかなどより少ない天然資源でどれだけ⼤きな豊かさを⽣み出しているかを総合的に表す指標。なお、国際⽐較の際には、産業構造の違い等にも留意が必要。}
{*83* 環境省「令和元年度環境産業の市場規模・雇⽤規模等に関する報告書」(2020年7⽉20⽇公表)より算出(参考:第四次循環型社会形成推進基本計画(2018年6⽉))}
{*84* CCUS:Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage。CO2回収・有効利⽤・貯留。}
{*85* 2020年12⽉25⽇成⻑戦略会議にて公表。}
{*86* 都市オペレーティングシステムの略。スマートシティ実現のために、スマートシティを実現しようとする地域が共通的に活⽤する機能が集約され、スマートシティで導⼊する様々な分野のサービスの導⼊を容易にさせることを実現するITシステムの総称。}
{*87* 気候変動枠組条約第26回締約国会議}
{*88* ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス}
{*89* ネット・ゼロ・エネルギー・ビル}
{*90* 電気⾃動⾞}
{*91* 燃料電池⾃動⾞}
{*92* nudge:そっと後押しする}
{*93* 未来学者アルビン・トフラーが1980年に発表した著書「第三の波」の中で⽰した概念で、⽣産者(producer)と消費者(consumer)とを組み合わせた造語で、⽣産活動を⾏う消費者。}
{*94* BI-Tech :Behavioral Insights x Technology。ナッジ等の⾏動科学の知⾒(⾏動インサイト)に基づき、個⼈/世帯のエネルギー使⽤実態や属性情報等のビッグデータをIoT技術で収集し、AI技術で解析してパーソナライズしたメッセージにより⾏動変容を促す。}
{*95* 内閣府「令和2年版防災⽩書」}
{*96* 内閣府「令和2年版防災⽩書」}
{*97* 気象庁「全国(アメダス)の1時間降⽔量50mm以上の年間発⽣回数」(2020年)、URL: https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/extreme/extreme_p.html}
{*98* 国⼟交通省「令和2年版国⼟交通⽩書」}
{*99* IPA「情報セキュリティ⽩書2020」}
{*100* 国⽴感染症研究所「感染症発⽣動向調査」(2020年)、URL: https://www.niid.go.jp/niid/ja/ydata/9008-ydata2018.html}
{*101* 2020年1⽉21⽇統合イノベーション戦略推進会議決定}
{*102* 災害時に、SNS上で、AIを活⽤して⼈間に代わって⾃動的に被災者と対話するシステム。SIP(第2期)研究開発課題「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」(2018年度〜2022年度)において研究開発を実施。}
{*103* DIAS:Data Integration and Analysis System}
{*104* ⼤学、国⽴研究開発法⼈等において、省庁等の公募により競争的に獲得される経費のうち、研究に係るもの(「競争的資⾦」とされていたものを含む)。}
{*105* 企業価値が10億ドル以上となる未上場ベンチャー企業をいう。⽶国221社、中国109社(CB Insights2020年3⽉現在)。⽇本は8社創出(JAPAN STARTUP FINANCE REPORT2018、2019を基に内閣府において算出)。}
{*106* ここでの「ディスラプティブ型」は、既存市場の秩序に劇的な変化をもたらすようなイノベーションのことをいう。}
{*107* 「Beyond Limits. Unlock Our Potential〜世界に伍するスタートアップ・エコシステム拠点形成戦略〜」(2019年6⽉内閣府、⽂部科学省、経済産業省決定)を踏まえ、スタートアップ等の集積と潜在⼒を有する都市の拠点形成計画を認定し、関係省庁がその取組を重点的に⽀援する制度。2020年7⽉にグローバル拠点都市として東京圏、名古屋・浜松、関⻄圏、福岡、推進拠点都市として札幌、仙台、広島、北九州の計8都市を選定。}
{*108* ⽂科省、内閣府による調査}
{*109* ⼀般財団法⼈ベンチャーエンタープライズセンター(VEC)「ベンチャー⽩書2020」110⽂部科学省科学技術・学術政策研究所「科学技術指標2020」(調査資料-295、2020年8⽉)}
{*111* 総務省「2020年科学技術研究調査結果」(2020年12⽉)}
{*112* 中⼩企業等に対する研究開発補助⾦等の⽀出機会の増⼤を図り、その成果の事業化を⽀援する省庁横断的な制度(SBIR:Small Business Innovation Research)。}
{*113* 2020年度⽬標、約463億円}
{*114* 2019年度実績、1.06%}
{*115* 2020年⾒込み、約600名}
{*116* 2018年⾒込み、約882億円。共同研究の受⼊額の第6期基本計画期間の前半における状況(新型コロナウイルス感染症の影響からの回復の状況など)を踏まえつつ、必要に応じ数値⽬標の⾒直しも検討する。}
{*117* 2018年度当初時点で、創業していない⼜は創業10年未満の企業を対象。}
{*118* 2018年度から2025年度までの⽬標として、令和2年度⾰新的事業活動に関する実⾏計画(2020年7⽉17⽇)において設定。2019年度末時点、16社。}
{*119* 組織、プロセス、企業⽂化・⾵⼟を変⾰し、イノベーションをおこしやすくするための経営。ただし、イノベーションを創出する活動に対して、必要なリソース(予算・⼈等)を配置し、事業化するための体制が構築されていることが前提となる。}
{*120* イノベーション・マネジメントシステムに関する国際規格(2019年7⽉)}
{*121* 2019年10⽉4⽇経済産業省及びイノベーション100委員会}
{*122* 産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン【追補版】(2020年6⽉)}
{*123* OSS:Open Source Software。ソフトウェアの作成者がソースコードを無償で公開し、利⽤や改変、再配布が所定の条件の下に許可されているもの。}
{*124* 「デジタル化、IoT化時代におけるオープンソースソフトウェアに係る知財リスク等に関する調査研究」(2020年4⽉、特許庁)取りまとめ結果等を活⽤。}
{*125* カリマンタン島新⾸都(インドネシア)、ニュー・クラークシティ(フィリピン)、新産業都市NEOM(サウジアラビア)、カイロ近郊(エジプト)等}
{*126* 「ASEANスマートシティ・ネットワーク(ASCN)」の下、⺠間企業・諸外国との連携を通じたプロジェクトの推進を⽬指しているASEAN10ヵ国の26都市を対象として、案件形成等に向けた⽀援を実施することを⽬標とする。}
{*127* 第2章1.(2)参照}
{*128* 第3章2.参照}
{*129* 科学技術・イノベーション関連データ(インプット(資⾦・⼈材等動向)、アクティビティ(⼤学・研究開発法⼈等の活動)、アウトプット(論⽂・特許等)及びアウトカム(経済・社会等動向)のデータ)を蓄積し、政策⽴案者及び法⼈運営者が簡易に分析可能なシステム。}
{*130* 基本計画に基づき、毎年度特に重点を置くべき施策を毎年の状況変化を踏まえ⽰す戦略。}
{*131* ロボットによる社会変⾰推進会議報告書(2019年7⽉)}
{*132* PRISM:Public/Private R&D Investment Strategic Expansion PrograM}
{*133* 本計画において、「博⼠後期課程」には4年制博⼠課程、5年制博⼠課程(3〜5年次のみ)を含む。}
{*134* 世界トップで競える研究者が集結し、その下で国内外の研究者・学⽣が最先端の研究を⾏い、新たな融合領域を創⽣したり、企業との共創により資⾦や⼈材を流動させたりしながら、イノベーションの創出を図るような環境を有する⼤学。}
{*135* 整数カウントにより算出。2016-2018年の総論⽂数に占める被引⽤数Top10%補正論⽂数の割合。⽂部科学省科学技術・学術政策研究所「科学技術指標2020」(調査資料-295、2020年8⽉)を基に算出。}
{*136* 整数カウントにより算出。⽂部科学省科学技術・学術政策研究所「科学技術指標2020」(調査資料-295、2020年8⽉)を基に算出。}
{*137* ⽂部科学省科学技術・学術政策研究所「サイエンスマップ2018」(NISTEP REPORT-187、2020年11⽉)}
{*138* ⽂部科学省科学技術・学術政策研究所「科学技術指標2020」(調査資料-295、2020年8⽉)}
{*139* 令和元年度学校教員統計調査(中間報告)より算出。}
{*140* 総務省「2020年科学技術研究調査結果」(2020年12⽉)}
{*141* ⽂部科学省「令和2年度学校基本調査」より算出。}
{*142* ⽂部科学省「令和2年度学校基本調査」より算出。}
{*143* 科学や技術に性差の視点を取り込むことによって創出されるイノベーション。}
{*144* 令和元年度⽂部科学省先導的⼤学改⾰推進委託事業「博⼠課程学⽣の経済的⽀援状況に係る調査研究」(2020年3⽉)によれば、2018年度実績値は博⼠後期課程在籍学⽣の10.1%。上記の数値⽬標の実現は、博⼠後期課程学⽣全体の約3割が⽣活費相当額を受給することに相当。本計画において、博⼠後期課程学⽣が受給する⽣活費相当額は年間180万円以上としている。ただし、⼤学ファンドの運⽤益の活⽤やそれに先駆けた博⼠後期課程学⽣への⽀援を強化する取組のほか、競争的研究費等からのリサーチアシスタント(RA)経費の⽀出などにより、⽇本学術振興会特別研究員(DC)並みの年間240万円程度の受給者を⼤幅に拡充するとともに、我が国の博⼠後期課程を世界⽔準のものとし、優秀な学⽣を海外からも引き付ける観点から、⽣活費相当額の⾒直しや、世界⽔準の待遇を可能とする仕組みについて検討する。}
{*145* 2019年度⽂部科学省先導的⼤学改⾰推進委託事業「⼤学院における教育改⾰の実態把握・分析等に関する調査研究」(2020年3⽉株式会社リベルタス・コンサルティング)より算出。}
{*146* ⽂部科学省「令和元年度学校教員統計調査」(中間報告)によれば、2019年度における40歳未満の⼤学本務教員の数は41,297⼈、⼤学本務教員に占める40歳未満の教員の割合は22.2%。}
{*147* 各⼤学や分野ごとに研究者の置かれた状況や当該割合がそれぞれ異なっていることに留意が必要であり、各⼤学において、それぞれの状況を踏まえ⽬標の達成を⽬指していくことが重要である。特に保健分野は医・⻭学系の⼤学院において医療職の社会⼈院⽣などが在学しており、修了年齢が⾼くなる傾向がある。また、附属病院等に所属する医師や⻭科医師などの医療職の教員が含まれており、当該教員は診療業務や病院運営等において、⼤学部局と病院内を異動したり、連携する病院・診療所等へ派遣されたりするなど流動性が⾼い。これらのために「任期付き」で運⽤されているケースが多い点等を考慮する必要がある。このほか、研究者によっては出産や育児等による研究中断期間があることに配慮し、⽬標の達成を⽬指していくことが重要である。}
{*148* ⽂部科学省の調査によれば、2019年度における重点⽀援③の国⽴⼤学における35〜39歳の⼤学本務教員数に占めるテニュア教員及びテニュアトラック教員の割合は44.8%。当該割合の1割増は、全体としては49.3%に相当する。}
{*149* 分野別・職階別に⽬標を設定することについては、各⼤学や研究科が分野や機関の特性に応じ、戦略的に⽬標を設定・公開・検証していくことが求められる。}
{*150* ⽂部科学省「令和2年度学校基本調査」より算出。}
{*151* ⽂部科学省「⼤学等におけるフルタイム換算データに関する調査」}
{*152* ⼤学における経営課題や解決策等について議論し、イノベーションの創出につながる好事例の⽔平展開、規制緩和等の検討、⼤学経営層の育成を進めることを⽬的として2019年度に創設された、⼤学関係者、産業界及び政府によるフォーラム。}
{*153* URA:University Research Administrator。リサーチ・アドミニストレーター。}
{*154* 例えば、創発的研究⽀援事業では、応募要件を原則、博⼠号取得後から15年以内としつつ、出産・育児により研究専念できない期間があった者については、博⼠号取得後20年以内としている。}
{*155* ⽂部科学省「令和2年度学校基本調査」より算出。}
{*156* 国が定めた戦略⽬標の下、組織・分野の枠を越えた時限的な研究体制(ネットワーク型研究所)を構築し、イノベーションの源泉となる基礎研究を戦略的に推進する事業。}
{*157* 既存の枠組みにとらわれない⾃由で挑戦的・融合的な研究を、研究者が研究に専念できる研究環境を確保しつつ⻑期的に⽀援する事業。}
{*158* 2020年12⽉23⽇付けで「共同利⽤・共同研究拠点及び国際共同利⽤・共同研究拠点の認定等に関する規程」(平成⼆⼗年七⽉三⼗⼀⽇⽂部科学省告⽰第百三⼗三号)を⼀部改正。}
{*159* ⼈間⽂化研究機構、⾃然科学研究機構、⾼エネルギー加速器研究機構、情報・システム研究機構の4法⼈。}
{*160* 各⼤学共同利⽤機関の教育研究活動が学術研究の動向に対応し、⼤学における学術研究の発展に資するものとなっているか等について、各機関の⾃⼰検証結果に対して、科学技術・学術審議会がその妥当性等について外部検証を実施。}
{*161* 科学技術振興機構が運営する⽇本の研究者総覧データベース。研究者が⾃⾝の経歴や研究業績等の情報を登録することで、研究者の情報発信、コミュニケーション促進や、研究情報の⼀元管理、事務負担の軽減に資する。システムの研究開発を国⽴情報学研究所が実施。}
{*162* 「府省共通研究開発管理システム(e-Rad)について」(https://www.e-rad.go.jp/dl_file/particulars_e-rad.pdf)において、システムの対象として規定される公募型の研究資⾦。}
{*163* 体系的なメタデータとは、統⼀した様式により研究データの概要を⽰したデータであり、研究データの名称や説明、管理者、保管場所、共有・公開の有無等の情報を含む。「統合イノベーション戦略2020」(2020年7⽉17⽇閣議決定)において、ナショナルレベルでのデータポリシーを定めることとしている。}
{*164* EBPM:Evidence-based Policy Making。エビデンスに基づく政策⽴案。}
{*165* ⼈⼝減少や雇⽤創出、デジタル⼈材の育成など地⽅の課題解決をリードする⼤学。}
{*166* 国⽴⼤学法⼈が経営の透明性を⾼め、教育・研究・社会貢献機能を強化し、社会の変化に応じた役割を果たし続けていくために、⾃らの経営を律しつつ、その機能を更なる⾼みへと進めるための基本原則となる規範。}
{*167* 世界の主要⼤学のファンドは、ハーバード⼤(約4.5兆円)、イェール⼤(約3.3兆円)、スタンフォード⼤(約3.1兆円)など⽶国⼤学合計(約65兆円)。その他、ケンブリッジ⼤(約1.0兆円)、オックスフォード⼤(約8,200億円)。※各⼤学は2019年数値、⽶国⼤学合計は2017年数値(いずれも最新値)}
{*168* イノベーション・コモンズとは、教育、研究、産学連携、地域連携など様々な分野・場⾯において、学⽣、研究者、産業界、⾃治体など様々なプレーヤーが対⾯やオンラインを通じ⾃由に集い、交流し、共創することで、新たな価値を創造できるキャンパスのこと。}
{*169* リカレント教育については、その趣旨に応じ、⽣活の糧を得るため、更なる社会参画のため、あるいは、知的満⾜(⽂化・教養)のためといった類型化が可能である。本基本計画では、Society 5.0の観点から、⼈⽣100年時代にあって複線型のキャリアパスが求められる中、新たなキャリアやより⾼いレベルに挑戦しようとする者を念頭に、更なる社会参画を⽬的としたリカレント教育に焦点を合わせている。}
{*170* GIGA:Global and Innovation Gateway for All 67}
{*171* ⼤規模公開オンライン講座(Massive open online course)の略称。インターネットを⽤いた⼤規模な公開講座のことで、講座を受講し、修了条件を満たすと修了証が取得できる仕組み。}
{*172* ⽂部科学省「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2019)のポイント」}
{*173* 内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(2018年度)」}
{*174* ⽂部科学省「令和元年度教育委員会における学校の働き⽅改⾰のための取組状況調査」}
{*175* ⽂部科学省「令和元年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査」}
{*176* 厚⽣労働省「平成30年度能⼒開発基本調査」}
{*177* 厚⽣労働省「2020年10⽉末都道府県別登録者数」}
{*178* ⽂部科学省「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2019)のポイント」によれば、算数・数学・理科が「楽しい」と思う児童・⽣徒の割合の国際平均は、⼩学校算数84%、中学校数学70%、⼩学校理科86%、中学校理科81%であり、⽇本は⼩学校理科のみ国際平均以上に達している。}
{*179* 国内外の教育産業、学校、産業界、研究機関の連携により開発される、オンラインSTEAM教材(先端技術・技術開発や社会課題・⽣活課題の解決をテーマに、創造的な価値創造/課題解決⼒の育成を助ける教材)等を掲載し、誰もがいつでも活⽤できるライブラリー。}
{*180* COCN:Council on Competitiveness-Nippon。産業競争⼒懇談会。2006年に任意団体として発⾜して以来、産業界の有志により、⽇本の産業競争⼒強化のため、科学技術・イノベーション政策や官⺠の役割分担などを政策提⾔として取りまとめ、その実現を図る活動を⾏っている。}
{*181* 例えば、⾼校段階において⾝につけた「知識・技能」「思考⼒・判断⼒・表現⼒」「主体性を持ち、多様な⼈々と協働しつつ学習する態度」(学⼒の三要素)が挙げられる。}
{*182* 労働市場の「⾒える化」を⽬指し、動画コンテンツを含む約500の職業の解説、求められる知識やスキルなどの「数値データ」を盛り込んだ、総合的な職業情報を提供する職業情報提供サイト。厚⽣労働省が2020年3⽉に開設。}
{*183* 「学びのパスポート」を意味する、⼤学等における学び直し講座情報や学び直し⽀援制度情報を発信する社会⼈のためのポータルサイト。⽂部科学省から2018年度「社会⼈の学びの情報アクセス改善に向けた実践研究」事業の委託を受けた丸善雄松堂株式会社が開設・運営。}
{*184* 全ての⼈が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを、⽀払い可能な費⽤で受けられる状態を指し、SDGsのターゲットの⼀つとして位置づけられている。}
{*185* ポストコロナ時代を⾒据えた諸外国政府による研究開発への追加投資の例として、⽶国では5年間で約10兆円増、英国では5年間で約3兆円増、ドイツでは約6兆円(うち研究開発⽀援の主なものは2年間で約2兆円)増、フランスでは10年間で約3兆円増が計画されている。いずれも報道発表等に基づく内閣府調査・試算。}
{*186* CSV:Creating Shared Value}
{*187* 投資するために企業の価値を測る材料として財務情報に加え、⾮財務情報であるESG(環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance))要素を考慮するもの。}
{*188* ESG投資のうち、経済的なリターンをもたらすとともに、ポジティブで測定可能な社会的及び環境的なインパクトをもたらすもの。}
{*189* 総務省「2020年科学技術研究調査結果」(2020年12⽉)}
{*190* 経済・財政再⽣計画との整合性を確保しつつ、対GDP⽐1%との⽬標を置き、期間中のGDP名⽬成⻑率を平均3.3%という前提で試算した場合に約26兆円を⽬指すとしている。}
{*191* e-CSTIにおいて把握した全119機関のうち117機関から収集した26〜70歳の研究者分は6,047億円。}
{*192* JIPデータベース2018。⽇本の無形資産投資対GDP⽐は他国と⽐べて低く、特に経済的競争⼒投資は低⽔準で推移。}
{*193* サステイナブル投資調査2019}
{*194* GSG国内諮問委員会「⽇本におけるインパクト投資の現状2019」修正版(2020)}
{*195* 経団連・東京⼤学・GPIFの共同報告書「ESG投資の進化、Society 5.0の実現、そしてSDGsの達成へ」(2020年3⽉26⽇)}
{*196* ⼤学ファンドの創設をはじめ、科学技術・イノベーション政策への投資財源の多様化が進んでいることを勘案し、OECDフラスカティマニュアルの動向等を注視しながら、第6期基本計画期間中の研究開発投資の適切な把握⽅法について適宜検討を⾏う。}
{*197* SIP(第2期)研究開発課題とムーンショット型研究開発制度⽬標は本節の【参考】のとおり。}
{*198* 2019年6⽉11⽇統合イノベーション戦略推進会議決定}
{*199* 2020年6⽉26⽇統合イノベーション戦略推進会議決定}
{*200* 2021年1⽉19⽇統合イノベーション戦略推進会議決定}
{*201* 2020年1⽉21⽇統合イノベーション戦略推進会議決定}
{*202* 2021年3⽉現在、統合イノベーション戦略推進会議の下で検討中。}
{*203* 第4次産業⾰命とは、18世紀末以降の⽔⼒や蒸気機関による⼯場の機械化である第1次産業⾰命、20世紀初頭の分業に基づく電⼒を⽤いた⼤量⽣産である第2次産業⾰命、1970年代初頭からの電⼦⼯学や情報技術を⽤いた⼀層のオートメーション化である第3次産業⾰命に続く、IoT、ビッグデータやAIのようないくつかのコアとなる技術⾰新}
{*204* 2020年3⽉27⽇閣議決定}
{*205* 2020年3⽉27⽇健康・医療戦略推進本部決定}
{*206* AMED:Japan Agency for Medical Research and Development。国⽴研究開発法⼈⽇本医療研究開発機構。}
{*207* アジア健康構想に向けた基本⽅針(2016年7⽉29⽇健康・医療戦略推進本部決定、2018年7⽉25⽇改訂)}
{*208* アフリカ健康構想に向けた基本⽅針(2019年6⽉20⽇健康・医療戦略推進本部決定) 2092020年6⽉30⽇閣議決定}
{*210* 我が国の領海(内⽔を含む。)及び排他的経済⽔域の⾯積は世界第6位、各国の海外領⼟の持つ海域も当該国のものとすると世界第8位とされる。}
{*211* 第3期海洋基本計画は2018年5⽉15⽇閣議決定。海洋基本法は、おおむね5年ごとに、海洋基本計画の⾒直しを⾏うこととしている。}
{*212* MDA:Maritime Domain Awareness。海洋状況把握。}
{*213* ROV:Remotely Operated Vehicle。遠隔操作型無⼈探査機。}
{*214* AUV:Autonomous Underwater Vehicle。⾃律型無⼈探査機。}
{*215* 種々の機器やデータ等が⼤容量のデータ通信を可能とするネットワークインフラでリアルタイムにつながり、場所を問わずシームレスに研究活動を⾏える仕組みのこと。}
{*216* 2020年3⽉31⽇閣議決定}
{*217* 2013年12⽉10⽇農林⽔産業・地域の活⼒創造本部(本部⻑:内閣総理⼤⾂)決定(2020年12⽉15⽇改訂)}
{*218* 変化が激しく、複雑で、不確実な未来に対して様々な情報を組み合わせて考察する活動。}
{*219* 科学に問うことはできるが、科学だけでは答えることができない問題。}
{*220* エビデンスに基づくマネジメント。}