データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] クラスター弾に関する条約

[場所] 
[年月日] 2008年12月3日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

 この条約の締約国は、

 文民たる住民及び個々の文民が引き続き武力紛争の矢面に立たされていることを深く憂慮し、

 クラスター弾が使用されたとき、意図されたとおりに作動しなかったとき又は遺棄されたときにもたらす苦痛及び犠牲を永久に終止させることを決意し、

 クラスター弾残存物が、女性及び児童を含む文民を殺害し、又はその身体に障害を残し、特に生活手段の喪失により経済的及び社会的な発展を妨げ、紛争後の復旧及び再建を阻害し、難民及び国内の避難民の帰還を遅らせ、又は妨げ、国内的及び国際的な平和構築及び人道的援助の努力に対して悪影響を及ぼし、並びにクラスター弾の使用後長年にわたって残存する他の深刻な結果をもたらすことを憂慮し、

 作戦上の使用のために保有するクラスター弾を国が大量に貯蔵することによる危険性について深く憂慮し、また、これらのクラスター弾の迅速な廃棄を確保することを決意し、

 世界各地に存在するクラスター弾残存物を除去するという課題の解決に効果的なかつ調整の図られた方法で有効に貢献し、及びこれらのクラスター弾残存物の廃棄を確保することが必要であることを信じ、

 すべてのクラスター弾による被害者の権利の完全な実現を確保することを決意し、また、クラスター弾による被害者の固有の尊厳を認識し、

 クラスター弾による被害者に対して医療、リハビリテーション及び心理的な支援を含む援助を提供し、並びにクラスター弾による被害者が社会的及び経済的に包容されるようにするために全力を尽くすことを決意し、

 クラスター弾による被害者に対して年齢及び性別に配慮した援助を提供し、並びに弱い立場にある人々の特別なニーズに対応することが必要であることを認識し、

 障害者の権利に関する条約において、特に、その締約国に対し、障害に基づくいかなる差別もなしに、すべての障害者のあらゆる人権及び基本的自由の完全な実現を確保し、及び促進することを約束することが求められていることに留意し、

 各種の兵器による被害者の権利及びニーズに対応する様々な場で行われている努力を適切に調整することが必要であることに留意し、また、各種の兵器による被害者の間の差別を回避することを決意し、

 文民及び戦闘員は、この条約その他の国際取極がその対象としていない場合においても、確立された慣習、人道の諸原則及び公共の良心に由来する国際法の諸原則に基づく保護並びにこのような国際法の諸原則の支配の下に置かれることを再確認し、

 国の軍隊とは別個の武装集団が、この条約の締約国に対して禁止されている活動を行うことは、いかなる場合にも許されないことを決定し、

 千九百九十七年の対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約にうたう対人地雷を禁止する国際的な規範に対する広範な国際的な支持を歓迎し、

 過度に傷害を与え又は無差別に効果を及ぼすことがあると認められる通常兵器の使用の禁止又は制限に関する条約に附属する戦争による爆発性の残存物に関する議定書が採択され、及び二千六年十一月十二日に効力を生じたことを歓迎し、また、紛争後の環境において、クラスター弾残存物の及ぼす影響からの文民の保護を強化することを希望し、

 女性、平和及び安全に関する国際連合安全保障理事会決議第千三百二十五号及び武力紛争における児童に関する国際連合安全保障理事会決議第千六百十二号に留意し、

 クラスター弾の使用、貯蔵、生産及び移譲を禁止し、制限し、又は停止するため、近年、国内的、地域的及び世界的にとられた措置を歓迎し、

 クラスター弾がもたらす文民の苦痛を終止させる世界的な要請に示された人道の諸原則の推進における公共の良心の役割を強調し、また、このために国際連合、赤十字国際委員会、クラスター弾連合その他世界各地にある多数の非政府機関が行っている努力を認識し、

 クラスター弾に関するオスロ会議の宣言において、特に、各国が、クラスター弾の使用がもたらす重大な結果を認識したこと並びに文民に容認し難い害をもたらすクラスター弾の使用、生産、移譲及び貯蔵を禁止し、並びに被害者に対する治療及びリハビリテーションの適切な提供、クラスター弾汚染地域に存在するクラスター弾残存物の除去、危険の低減を目的とする教育並びに貯蔵されているクラスター弾の廃棄を確保する協力及び援助のための枠組みを定める法的拘束力のある文書を二千八年までに作成するとの約束を行ったことを再確認し、

 すべての国によるこの条約への参加を得ることが望ましいことを強調し、また、この条約の普遍化及び完全な実施を促進するために精力的に努力することを決意し、

 国際人道法の諸原則及び諸規則、特に武力紛争の当事者が戦闘の方法及び手段を選ぶ権利は無制限ではないという原則並びに紛争の当事者が文民たる住民と戦闘員とを及び民用物と軍事目標とを常に区別し、かつ、軍事目標のみを軍事行動の対象とするという規則並びに軍事行動を行うに際しては文民たる住民、個々の文民及び民用物に対する攻撃を差し控えるよう不断の注意を払うという規則並びに文民たる住民及び個々の文民が軍事行動から生ずる危険からの一般的保護を受けるという規則に立脚して、

 次のとおり協定した。

   第一条 一般的義務及び適用範囲

1 締約国は、いかなる場合にも、次のことを行わないことを約束する。

 (a)クラスター弾を使用すること。

 (b)クラスター弾を開発し、生産し、生産以外の方法によって取得し、貯蔵し若しくは保有し、又はいずれかの者に対して直接若しくは間接に移譲すること。

 (c)この条約によって締約国に対して禁止されている活動を行うことにつき、いずれかの者に対して、援助し、奨励し、又は勧誘すること。

2 1の規定は、航空機に取り付けられたディスペンサーから散布され、又は投下されるよう特に設計された爆発性の小型爆弾について準用する。

3 この条約は、地雷については、適用しない。

   第二条 定義

 この条約の適用上、

1 「クラスター弾による被害者」とは、クラスター弾の使用によって殺害され、又は身体的若しくは心理的な傷害、経済的損失、社会的な疎外若しくは自己の権利の実現に対する著しい侵害を被ったすべての者をいい、クラスター弾により直接に被害を受けた者並びにこのような者の関係する家族及び地域社会を含む。

2 「クラスター弾」とは、それぞれの重量が二十キログラム未満の爆発性の子弾を散布し、又は投下するように設計された通常の弾薬であって、これらの爆発性の子弾を内蔵するものをいう。ただし、次のものを意味するものではない。

 (a)フレア、煙、料薬火工品若しくはチャフを放出するように設計された弾薬若しくは子弾又は防空の役割のためにのみ設計された弾薬

 (b)電気的又は電子的な効果を引き起こすように設計された弾薬又は子弾

 (c)無差別かつ地域的に効果を及ぼすこと及び不発の子弾がもたらす危険を避けるため、次のすべての特性を有している弾薬

  (i)それぞれの弾薬が十未満の爆発性の子弾を内蔵していること。

  (ii)それぞれの爆発性の子弾の重量が四キログラムを超えていること。

  (iii)それぞれの爆発性の子弾が単一の攻撃目標を探知し、及び攻撃するように設計されていること。

  (iv)それぞれの爆発性の子弾が電子式の自己破壊のための装置を備えていること。

  (v)それぞれの爆発性の子弾が電子式の自己不活性化のための機能を備えていること。

3 「爆発性の子弾」とは、通常の弾薬であって、その役割を果たすため、クラスター弾から散布され、又は投下され、かつ、衝突前、衝突時又は衝突後に爆発性の炸薬を起爆させることによって機能するように設計されたものをいう。

4 「失敗したクラスター弾」とは、発射され、投下され、打ち上げられ、射出され、又は他の方法によって投射されたクラスター弾であって、爆発性の子弾を散布し、又は投下するはずであったが、散布し、又は投下することに失敗したものをいう。

5 「不発の子弾」とは、クラスター弾から散布され若しくは投下され、又は他の方法によってクラスター弾から分離された爆発性の子弾であって、意図されたとおりに爆発することに失敗したものをいう。

6 「遺棄されたクラスター弾」とは、使用されておらず、かつ、放置され、又は投棄されたクラスター弾又は子弾であって、これらを放置し、又は投棄した者の管理の下にないものをいい、使用のための準備が行われていたか否かを問わない。

7 「クラスター弾残存物」とは、失敗したクラスター弾、遺棄されたクラスター弾、不発の子弾及び不発の小型爆弾をいう。

8 「移譲」とは、クラスター弾が領域へ又は領域から物理的に移動し、かつ、当該クラスター弾に対する権原及び管理が移転することをいう。ただし、クラスター弾残存物の存在する領域の移転に伴って生ずるものを除く。

9 「自己破壊のための装置」とは、弾薬の主要な起爆装置のほかに当該弾薬に内蔵された自動的に機能する装置であって、当該弾薬の破壊を確保するためのものをいう。

10 「自己不活性化」とは、弾薬が機能するために不可欠な構成要素(例えば、電池)を不可逆的に消耗させる方法によって当該弾薬の機能を自動的に失わせることをいう。

11 「クラスター弾汚染地域」とは、クラスター弾残存物が存在することが知られ、又は疑われている地域をいう。

12 「地雷」とは、土地若しくは他の物の表面に又は土地若しくは他の物の表面の下方若しくは周辺に敷設されるよう及び人又は車両の存在、接近又は接触によって爆発するように設計された弾薬をいう。

13 「爆発性の小型爆弾」とは、重量が二十キログラム未満の自動推進式でない通常の弾薬であって、その役割を果たすため、ディスペンサーから散布され、又は投下され、かつ、衝突前、衝突時又は衝突後に爆発性の炸薬を起爆させることによって機能するように設計されたものをいう。

14 「ディスペンサー」とは、爆発性の小型爆弾を散布し、又は投下するように設計された容器であって、その散布又は投下の時点において航空機に取り付けられているものをいう。

15 「不発の小型爆弾」とは、ディスペンサーから散布され、投下され、又は他の方法によって分離された爆発性の小型爆弾であって、意図されたとおりに爆発することに失敗したものをいう。

   第三条 貯蔵されているクラスター弾の廃棄

1 締約国は、国内法令に従い、作戦上の使用のために保有する弾薬から自国の管轄及び管理の下にあるすべてのクラスター弾を区別し、かつ、当該クラスター弾に廃棄のための識別措置をとる。

2 締約国は、1に規定するすべてのクラスター弾につき、この条約が自国について効力を生じた後できる限り速やかに、遅くとも八年以内に廃棄し、又はその廃棄を確保することを約束する。締約国は、廃棄の方法が公衆の健康及び環境の保護のための適用可能な国際的な基準に適合するよう確保することを約束する。

3 締約国は、1に規定するすべてのクラスター弾につき、この条約が自国について効力を生じた後八年以内に廃棄し、又はその廃棄を確保することができないと認める場合には、当該クラスター弾の廃棄の完了の期限を最長四年までの期間延長することについて締約国会議又は検討会議に対して要請を行うことができる。締約国は、例外的な事情がある場合には、最長四年までの期間追加的な延長を要請することができる。要請する延長は、当該締約国が2の規定に基づく義務の履行を完了するために真に必要な年数を超えてはならない。

4 3に規定する延長の要請には、次に掲げるすべての事項を記載する。

 (a)延長しようとする期間

 (b)当該延長についての詳細な説明(自国が1に規定するすべてのクラスター弾を廃棄するために利用可能な又は必要とする財政的及び技術的手段並びに該当する場合には当該延長を正当化する例外的な事情を含む。)

 (c)貯蔵されているクラスター弾の廃棄を完了させる方法及び時期に関する計画

 (d)この条約が自国について効力を生じた時に保管されていたクラスター弾及び爆発性の子弾並びにこの条約が自国について効力を生じた後に新たに発見されたクラスター弾又は爆発性の子弾の数量及び型式

 (e)2に規定する期間において廃棄されたクラスター弾及び爆発性の子弾の数量及び型式

 (f)延長しようとする期間において廃棄する予定の残りのクラスター弾及び爆発性の子弾の数量及び型式並びに達成が予想される年間廃棄率

5 締約国会議又は検討会議は、4に掲げる事項を考慮に入れて、延長の要請を評価し、及び出席し、かつ、投票する締約国の票の過半数による議決で当該要請を認めるか否かを決定する。これらの締約国は、要請された延長よりも短い延長を認めることを決定することができるものとし、適当な場合には、延長の基準を提案することができる。延長の要請は、当該要請が検討される締約国会議又は検討会議の少なくとも九箇月前までに行う。

6 第一条の規定にかかわらず、クラスター弾及び爆発性の子弾の探知、除去若しくは廃棄の技術の開発及び訓練のため又はクラスター弾への対抗措置の開発のための限られた数のクラスター弾及び爆発性の子弾の保有又は取得は、認められる。保有され、又は取得される爆発性の子弾の総数は、これらの目的のために絶対に必要な最小限度の数を超えてはならない。

7 第一条の規定にかかわらず、廃棄の目的及び6に規定する目的のための他の締約国へのクラスター弾の移譲は、認められる。

8 6及び7に規定する目的のためにクラスター弾又は爆発性の子弾を保有し、取得し、又は移譲する締約国は、これらのクラスター弾及び爆発性の子弾の予定する使用及び実際の使用並びにそれらの型式、数量及びロット番号に関する詳細な報告を提出する。これらの目的のためにクラスター弾又は爆発性の子弾を他の締約国に移譲する場合には、移譲を受ける国への言及を当該報告に含める。当該報告は、当該締約国がクラスター弾又は爆発性の子弾を保有し、取得し、又は移譲している間は毎年作成し、及びその翌年の四月三十日までに国際連合事務総長に提出する。

   第四条 クラスター弾残存物の除去及び廃棄並びに危険の低減を目的とする教育

1 締約国は、自国の管轄又は管理の下にあるクラスター弾汚染地域に存在するクラスター弾残存物につき、次の(a)から(c)までに定めるところにより、除去し、及び廃棄し、又はその除去及び廃棄を確保することを約束する。

 (a)この条約が自国について効力を生ずる日にクラスター弾残存物が自国の管轄又は管理の下にある地域に存在する場合には、できる限り速やかに、その日から遅くとも十年以内に、このような除去及び廃棄を完了する。

 (b)この条約が自国について効力を生じた後にクラスター弾が自国の管轄又は管理の下にある地域に存在するクラスター弾残存物となった場合には、できる限り速やかに、当該クラスター弾がクラスター弾残存物となった現実の敵対行為が終了した後遅くとも十年以内に、このような除去及び廃棄を完了しなければならない。

 (c)締約国は、(a)又は(b)のいずれかに規定する自国の義務を履行したときは、次回の締約国会議に対して義務を履行した旨の宣言を行う。

2 締約国は、1に規定する義務を履行するに当たり、国際的な協力及び援助に関する第六条の規定を考慮に入れて、できる限り速やかに、次の措置をとる。

 (a)自国の管轄又は管理の下にあるすべてのクラスター弾汚染地域を特定するためにあらゆる努力を払いつつ、クラスター弾残存物がもたらす脅威を調査し、評価し、及び記録すること。

 (b)標示、文民の保護、除去及び廃棄に関するニーズを評価し、並びにこれらについての優先順位を決定し、並びに適当な場合には既存の組織、経験及び方法に依拠して、これらの活動を実施するために資源を調達し、及び国の計画を作成するための措置をとること。

 (c)自国の管轄又は管理の下にあるすべてのクラスター弾汚染地域につき、囲いその他の文民を効果的に排除することを確保する手段によって、クラスター弾汚染地域の外縁を標示し、並びにクラスター弾汚染地域を監視し、及び防護することを確保するためのすべての実行可能な措置をとること。危険性が疑われている地域を標示する場合においては、関係する地域社会が容易に認識することのできる標示方法に基づく警告標識を使用すべきである。標識その他の危険な地域を示す境界の標示は、できる限り、視認及び判読が可能であり、かつ、耐久性及び環境の影響に対する耐性のあるものとすべきであり、また、標示された境界のいずれの側がクラスター弾汚染地域であると認められ、いずれの側が安全であると認められるかを明確に特定すべきである。

 (d)自国の管轄又は管理の下にある地域に存在するすべてのクラスター弾残存物を除去し、及び廃棄すること。

 (e)クラスター弾汚染地域又はその周辺に居住する文民の間においてクラスター弾残存物がもたらす危険についての認識を確保するため、危険の低減を目的とする教育を行うこと。

3 締約国は、2に規定する措置をとるに当たり、「地雷対策活動に関する国際基準」(IMAS)を含む国際的な基準を考慮に入れる。

4 この4の規定は、この条約が一の締約国について効力を生ずる前に当該一の締約国によって使用され、又は遺棄されたクラスター弾が、この条約が他の締約国について効力を生ずる時に当該他の締約国の管轄又は管理の下にある地域に存在するクラスター弾残存物となった場合について適用する。

 (a)このような場合において、この条約がこれらの締約国双方について効力を生じた時は、当該一の締約国は、当該他の締約国に対し、当該クラスター弾残存物の標示、除去及び廃棄を容易にするため、二国間で又は相互に合意した第三者(国際連合及びその関連機関並びに他の関連する機関を含む。)を通じて、特に、技術的、財政的、物的又は人的資源の援助を提供することを強く奨励される。

 (b)このような援助には、可能な場合には、使用されたクラスター弾の型式及び数量、クラスター弾による攻撃を行った正確な位置並びにクラスター弾残存物が存在することが知られている地域についての情報を含める。

5 締約国は、1に規定するすべてのクラスター弾残存物につき、この条約が自国について効力を生じた後十年以内に除去し、及び廃棄し、又はその除去及び廃棄を確保することができないと認める場合には、当該クラスター弾残存物の除去及び廃棄の完了の期限を最長五年までの期間延長することについて締約国会議又は検討会議に対して要請を行うことができる。要請する延長は、当該締約国が1の規定に基づく義務の履行を完了するために真に必要な年数を超えてはならない。

6 5に規定する延長の要請は、当該締約国について1に定める期間が満了する前に締約国会議又は検討会議に対して行う。当該要請は、当該要請が検討される予定の締約国会議又は検討会議の少なくとも九箇月前までに行う。当該要請には、次に掲げるすべての事項を記載する。

 (a)延長しようとする期間

 (b)延長しようとする理由についての詳細な説明(延長しようとする期間において自国がすべてのクラスター弾残存物を除去し、及び廃棄するために利用可能な及び必要とする財政的及び技術的手段を含む。)

 (c)将来の作業の準備並びに1に定める最初の十年間及びその後の延長において除去及び廃棄に関する国の計画に基づいて既に行われた作業の状況

 (d)この条約が自国について効力を生じた時にクラスター弾残存物が存在した地域の総面積及びこの条約が自国について効力を生じた後に新たに発見されたクラスター弾残存物が存在する地域の面積

 (e)この条約が効力を生じた後に除去されたクラスター弾残存物が存在した地域の総面積

 (f)延長しようとする期間において除去する予定の残りのクラスター弾残存物が存在する地域の総面積

 (g)1に定める最初の十年間において自国の管轄又は管理の下にある地域に存在するすべてのクラスター弾残存物を廃棄することを妨げた事情及び当該延長においてこのような廃棄を妨げる可能性のある事情

 (h)当該延長から生ずる人道上の、社会的な、経済的な及び環境上の影響

 (i)当該延長の要請に関連するその他の情報

7 締約国会議又は検討会議は、6に掲げる事項(特に、報告されたクラスター弾残存物の量を含む。)を考慮に入れて、延長の要請を評価し、及び出席し、かつ、投票する締約国の票の過半数による議決で当該要請を認めるか否かを決定する。これらの締約国は、要請された延長よりも短い延長を認めることを決定することができるものとし、適当な場合には、延長の基準を提案することができる。

8 延長は、5から7までの規定を準用して新たな要請を行うことにより最長五年までの期間更新することができる。締約国は、更なる延長を要請するに当たり、この条の規定に従って認められたその前の延長において行ったことについての追加的な関連情報を提出する。

   第五条 被害者に対する援助

1 締約国は、自国の管轄又は管理の下にある地域に所在するクラスター弾による被害者について、適用可能な国際人道法及び国際人権法に従い、年齢及び性別に配慮した援助(医療、リハビリテーション及び心理的な支援を含む。)を適切に提供し、並びにクラスター弾による被害者が社会的及び経済的に包容されるようにする。締約国は、クラスター弾による被害者についての信頼し得る関連資料を収集するためにあらゆる努力を払う。

2 締約国は、1に規定する義務を履行するに当たり、次のことを行う。

 (a)クラスター弾による被害者のニーズを評価すること。

 (b)必要な政策及び国内法令を作成し、実施し、及び執行すること。

 (c)関係者の特別な役割及び貢献を尊重しつつ、障害、開発及び人権に係る自国の既存の枠組み及び仕組みにクラスター弾による被害者を組み入れるため、国の計画及び予算(これらを実施するための時間的な枠組みを含む。)を作成すること。

 (d)国内的及び国際的な資源を調達するための措置をとること。

 (e)クラスター弾による被害者に対して若しくはクラスター弾による被害者の間に又はクラスター弾による被害者と他の理由により傷害若しくは障害を被った者との間に差別を設けないこと。取扱いの差異は、医療上、リハビリテーション上、心理上又は社会経済上のニーズにのみ基づくものとすべきである。

 (f)クラスター弾による被害者及びクラスター弾による被害者を代表する団体と緊密に協議し、並びにこれらを積極的に関与させること。

 (g)この条の規定の実施に関する事項を調整するための政府内の中央連絡先を指定すること。

 (h)特に、医療、リハビリテーション及び心理的な支援並びに社会的及び経済的な包容の分野において、関連する指針及び良い慣行を取り入れるよう努めること。

   第六条 国際的な協力及び援助

1 締約国は、この条約に基づく義務を履行するに当たり、援助を求め及び受ける権利を有する。

2 援助を提供することのできる締約国は、クラスター弾によって影響を受けた締約国に対し、この条約に基づく義務が履行されるようにするための技術的、物的及び財政的援助を提供する。このような援助は、特に、国際連合及びその関連機関、国際的な、地域的な若しくは国の機関若しくは非政府機関を通じて又は二国間で提供することができる。

3 締約国は、この条約の実施に関する装置並びに科学的な及び技術に関する情報を可能な最大限度まで交換することを容易にすることを約束するものとし、そのような交換に参加する権利を有する。締約国は、除去その他この条約の実施に関する装置及び関連する技術に関する情報の人道的目的のための提供及び受領を不当に制限してはならない。

4 援助を提供することのできる締約国は、第四条4の規定に従って負うことのある義務に加え、クラスター弾残存物の除去及び廃棄のための援助、クラスター弾の除去に関連する各種の方法及び技術に関する情報並びにクラスター弾残存物の除去及び廃棄並びに関連する活動に関する専門家、専門的な機関又は自国の連絡先の名簿を提供する。

5 援助を提供することのできる締約国は、貯蔵されているクラスター弾の廃棄のための援助を提供し、また、第四条に規定する標示、危険の低減を目的とする教育、文民の保護並びに除去及び廃棄に関するニーズ及び実行可能な措置を特定し、評価し、並びにこれらについての優先順位を決定するための援助を提供する。

6 この条約が効力を生じた後にクラスター弾が一の締約国の管轄又は管理の下にある地域に存在するクラスター弾残存物となった場合には、援助を提供することのできる締約国は、影響を受けた当該一の締約国に対して早急に緊急の援助を提供する。

7 援助を提供することのできる締約国は、年齢及び性別に配慮した援助(医療、リハビリテーション及び心理的支援を含む。)を適切に提供し、並びにクラスター弾による被害者が社会的及び経済的に包容されるようにするとの前条に規定する義務が履行されるようにするための援助を提供する。このような援助は、特に、国際連合及びその関連機関、国際的な、地域的な若しくは国の機関、赤十字国際委員会、各国の赤十字社及び赤新月社、国際赤十字・赤新月社連盟若しくは非政府機関を通じて又は二国間で提供することができる。

8 援助を提供することのできる締約国は、クラスター弾の使用の結果として影響を受けた締約国において必要とされる経済的及び社会的な復旧に貢献するための援助を提供する。

9 援助を提供することのできる締約国は、この条に規定する援助の提供を容易にするため、関連する信託基金に拠出することができる。

10 援助を求め及び受ける締約国は、国際的な最良の慣行を考慮に入れて、国内法令に適合する方法により、この条約の適時のかつ効果的な実施を容易にするため、すべての適当な措置(要員の出入国並びに物品及び装置の輸出入を容易にすることを含む。)をとる。

11 締約国は、国の行動計画を作成する目的をもって、国際連合及びその関連機関、地域的機関、他の締約国その他権限のある政府間機関又は非政府機関に対し、自国の当局が特に次の事項を確定するために援助を要請することができる。

 (a)自国の管轄又は管理の下にある地域に存在するクラスター弾残存物の性質及び範囲

 (b)行動計画の実施に必要となる財政的、技術的及び人的資源

 (c)自国の管轄又は管理の下にある地域に存在するすべてのクラスター弾残存物の除去及び廃棄に要すると見込まれる時間

 (d)クラスター弾残存物による傷害又は死亡の発生を減少させるための危険の低減を目的とする教育計画及び啓発活動

 (e)クラスター弾による被害者に対する援助

 (f)自国の政府と行動計画の実施に当たる政府機関、政府間機関又は非政府機関との関係の調整

12 この条の規定により援助を提供する締約国及び当該援助を受ける締約国は、合意された援助計画の完全かつ迅速な実施を確保するために協力する。

   第七条 透明性についての措置

1 締約国は、次の事項につき、国際連合事務総長に対し、この条約が自国について効力を生じた後できる限り速やかに、遅くとも百八十日以内に報告する。

 (a)第九条に規定する国内の実施措置

 (b)第三条1に規定するすべてのクラスター弾(爆発性の子弾を含む。)の総数(それらの型式、型式ごとの数量及び可能な場合には型式ごとのロット番号の内訳を含む。)

 (c)この条約が自国について効力を生ずる前に自国が生産したクラスター弾の各型式の技術上の特徴(判明しているものに限る。)及び合理的に可能な場合には、自国がその時点で所有し、又は占有するクラスター弾の各型式の技術上の特徴であって、クラスター弾の識別及び除去を容易にすることができるような情報を与えるもの。この情報には、少なくとも、寸法、信管、使用されている火薬及び金属、カラー写真その他の情報であってクラスター弾残存物の除去を容易にすることができるものを含める。

 (d)クラスター弾の生産施設の転換又は稼働停止のための計画の状況及び進展

 (e)第三条の規定に基づくクラスター弾(爆発性の子弾を含む。)の廃棄のための計画の状況及び進展(廃棄に用いる方法、廃棄を行うすべての場所の位置並びに安全及び環境についての適用可能な基準であって廃棄に際して従う必要のあるものの詳細を含む。)

 (f)第三条の規定に従って廃棄されたクラスター弾(爆発性の子弾を含む。)の型式及び数量(廃棄に用いた方法、廃棄を行った場所の位置並びに安全及び環境についての適用可能な基準であって廃棄に際して従う必要のあるものの詳細を含む。)

 (g)(e)に規定する計画の完了についての報告がなされた後に発見されたクラスター弾(爆発性の子弾を含む。)の貯蔵量及び第三条の規定に従ってこれらを廃棄するための計画

 (h)可能な場合には、自国の管轄又は管理の下にあるすべてのクラスター弾汚染地域の面積及び位置(クラスター弾汚染地域ごとのクラスター弾残存物の型式、型式ごとの数量及びクラスター弾の使用された時期に関する可能な限りの詳細を含む。)

 (i)第四条の規定に従って除去され、及び廃棄されたクラスター弾残存物のすべての型式及び数量についての除去及び廃棄のための計画の状況及び進展(クラスター弾残存物が除去されたクラスター弾汚染地域の面積及び位置並びに除去され、及び廃棄されたクラスター弾残存物の型式ごとの数量の内訳を含む。)

 (j)危険の低減を目的とする教育を提供するためにとられた措置及び特に自国の管轄又は管理の下にあるクラスター弾汚染地域に居住する文民に対する迅速かつ効果的な警告を発するためにとられた措置

 (k)年齢及び性別に配慮した援助(医療、リハビリテーション及び心理的な支援を含む。)を適切に提供し、クラスター弾による被害者が社会的及び経済的に包容されるようにし、並びにクラスター弾による被害者についての信頼し得る関連資料を収集するとの第五条の規定に基づく義務の履行の状況及び進展

 (l)この1の規定に従って情報を提供し、及び措置をとる権限を与えられた機関の名称及び連絡先の詳細

 (m)第三条から第五条までの規定を実施するために割り当てられた国内的な資源(財政的な、物的な又は現物によるものを含む。)の量

 (n)第六条の規定に従って提供された国際的な協力及び援助の量、種類及び仕向地

2 締約国は、1の規定に従って提供する情報につき、前暦年を対象として毎年更新し、及び毎年四月三十日までに国際連合事務総長に報告する。

3 国際連合事務総長は、受領した報告のすべてを全締約国に送付する。

   第八条 遵守の促進及び遵守についての説明

1 締約国は、この条約の実施に関して相互に協議し、及び協力し、並びに締約国がこの条約に基づく義務を履行することを促進するために協調の精神に基づいて協働することについて合意する。

2 一又は二以上の締約国は、他の締約国によるこの条約の遵守に関する問題を明らかにし、及びその解決を求めることを希望する場合には、当該他の締約国に対し、国際連合事務総長を通じて、そのような問題についての「説明の要請」を行うことができる。この要請には、すべての適当な情報を添付する。締約国は、濫用を避けるために注意を払い、根拠のない「説明の要請」を慎まなければならない。「説明の要請」を受けた締約国は、要請を行った締約国に対し、同事務総長を通じて、当該問題を明らかにする上で有用なすべての情報を二十八日以内に提供する。

3 要請を行った締約国は、2に規定する期間内に国際連合事務総長を通じて回答が得られなかったとき又は「説明の要請」に対する回答が十分でないと認めたときは、同事務総長を通じて、次回の締約国会議にその問題を付託することができる。同事務総長は、すべての締約国に対し、その付託を、関連する「説明の要請」についてのすべての適当な情報とともに送付する。この情報は、要請を受けた締約国にすべて提示されるものとし、当該要請を受けた締約国は、意見を述べる権利を有する。

4 いずれの関係締約国も、次回の締約国会議が招集されるまでの間、国際連合事務総長に対し、要請された説明を促進するためのあっせんを行うよう要請することができる。

5 3の規定に従い問題が付託された場合には、締約国会議は、関係締約国が提出したすべての情報を考慮に入れて、当該問題を更に検討するか否かをまず決定する。締約国会議は、当該問題を更に検討することを決定する場合には、関係締約国に対し、検討中の問題を一層明らかにし、又は解決するための方法及び手段(国際法に適合する適当な手続の開始を含む。)を提案することができる。締約国会議は、問題となっている事項が要請を受けた締約国にとってやむを得ない事情によるものであると認める場合には、適当な措置(第六条に規定する協力のための措置の利用を含む。)を勧告することができる。

6 2から5までに規定する手続に加え、締約国会議は、この条の規定の遵守についての説明(事実を含む。)及びこの条約に違反する事案の解決のための他の一般的な手続又は特別な仕組みであって適当と認めるものを採用することを決定することができる。

   第九条 国内の実施措置

 締約国は、この条約によって締約国に対して禁止されている活動であって、自国の管轄若しくは管理の下にある者によるもの又は自国の管轄若しくは管理の下にある領域におけるものを防止し、及び抑止するため、立法上、行政上その他のこの条約を実施するためのあらゆる適当な措置(罰則を設けることを含む。)をとる。

   第十条 紛争の解決

1 この条約の解釈又は適用に関して二以上の締約国間で紛争が生ずる場合には、関係締約国は、交渉又は当該関係締約国が選択するその他の平和的手段(締約国会議に提起すること及び国際司法裁判所規程に従って国際司法裁判所に付託することを含む。)によって紛争を速やかに解決するため、協議する。

2 締約国会議は、適当と認める手段(あっせんを提供すること、関係締約国に対して当該関係締約国が選択する解決のための手続を開始するよう要請すること及び合意された手続に従って解決するための期限を勧告することを含む。)により、紛争の解決に貢献することができる。

   第十一条 締約国会議

1 締約国は、この条約の適用又は実施に関する次の事項を含む問題について検討するため及び必要な場合には決定を行うために定期的に会合する。

 (a)この条約の運用及び締結状況

 (b)この条約の規定に従って提出される報告から生ずる問題

 (c)第六条の規定に従って行われる国際的な協力及び援助

 (d)クラスター弾残存物を除去する技術の開発

 (e)第八条及び前条の規定に基づく締約国の付託

 (f)第三条及び第四条の規定に従って行われる締約国の要請

2 第一回締約国会議については、この条約が効力を生じた後一年以内に国際連合事務総長が招集する。その後の締約国会議は、第一回検討会議が開催されるまでの間においては毎年、同事務総長が招集する。

3 締約国会議には、この条約の締約国でない国並びに国際連合その他関連する国際機関、地域的機関、赤十字国際委員会、国際赤十字・赤新月社連盟及び関連する非政府機関を、合意される手続規則に従い、オブザーバーとして出席するよう招請することができる。

   第十二条 検討会議

1 検討会議は、この条約が効力を生じた後五年で国際連合事務総長が招集する。その後の検討会議は、一又は二以上の締約国の要請があった場合には、検討会議の間隔をいかなる場合にも五年以上とすることを条件として、同事務総長が招集する。この条約のすべての締約国は、検討会議に招請されるものとする。

2 検討会議の目的は、次のとおりとする。

 (a)この条約の運用及び締結状況を検討すること。

 (b)前条2にいう締約国会議を更に開催する必要性及び会議の間隔を検討すること。

 (c)第三条及び第四条の規定に従い締約国の要請について決定すること。

3 検討会議には、この条約の締約国でない国並びに国際連合その他関連する国際機関、地域的機関、赤十字国際委員会、国際赤十字・赤新月社連盟及び関連する非政府機関を、合意される手続規則に従い、オブザーバーとして出席するよう招請することができる。

   第十三条 改正

1 いずれの締約国も、この条約が効力を生じた後いつでもこの条約の改正を提案することができる。改正のための提案については、国際連合事務総長に通報するものとし、同事務総長は、当該提案をすべての締約国に通報し、当該提案を検討するために改正会議を開催すべきか否かについての締約国の見解を求める。締約国の過半数が当該提案を更に検討することを支持する旨を当該提案の通報の後九十日以内に同事務総長に通報する場合には、同事務総長は、すべての締約国が招請される改正会議を招集する。

2 改正会議には、この条約の締約国でない国並びに国際連合その他関連する国際機関、地域的機関、赤十字国際委員会、国際赤十字・赤新月社連盟及び関連する非政府機関を、合意される手続規則に従い、オブザーバーとして出席するよう招請することができる。

3 改正会議は、締約国会議又は検討会議の後直ちに開催する。ただし、締約国の過半数が一層早期の開催を要請する場合は、この限りでない。

4 改正は、改正会議に出席し、かつ、投票する締約国の三分の二以上の多数による議決で採択する。寄託者は、採択された改正を締約国に通報する。

5 改正は、その改正が採択された日に締約国であった国の過半数が受諾書を寄託した日に、改正を受諾したすべての締約国について効力を生ずるものとし、その後に改正の受諾書を寄託する他の締約国については、その受諾書の寄託の日に効力を生ずる。

   第十四条 費用及び管理業務

1 締約国会議、検討会議及び改正会議の費用については、適切に調整された国際連合の分担率に従い、締約国及びこれらの会議に参加するこの条約の締約国でない国が負担する。

2 第七条及び第八条の規定により国際連合事務総長が要する費用は、適切に調整された国際連合の分担率に従って締約国が負担する。

3 この条約により国際連合事務総長に与えられた管理業務を同事務総長が遂行する際は、適当な国際連合の権限に従うものとする。

   第十五条 署名

 二千八年五月三十日にダブリンで作成されたこの条約は、二千八年十二月三日にオスロにおいて、その後その効力が生ずるまでの期間はニューヨークにある国際連合本部においてすべての国による署名のために開放しておく。

   第十六条 批准、受諾、承認又は加入

1 この条約は、署名国によって批准され、受諾され、又は承認されなければならない。

2 この条約は、この条約に署名しなかった国による加入のために開放しておく。

3 批准書、受諾書、承認書又は加入書は、寄託者に寄託する。

   第十七条 効力発生

1 この条約は、三十番目の批准書、受諾書、承認書又は加入書が寄託された月の後六番目の月の初日に効力を生ずる。

2 三十番目の批准書、受諾書、承認書又は加入書が寄託された日の後に批准書、受諾書、承認書又は加入書を寄託する国については、この条約は、その批准書、受諾書、承認書又は加入書が寄託された日の後六番目の月の初日に効力を生ずる。

   第十八条 暫定的適用

 いずれの国も、自国の批准、受諾、承認又は加入の時に、この条約が自国について効力を生ずるまでの間第一条の規定を暫定的に適用する旨を宣言することができる。

   第十九条 留保

 この条約の各条の規定については、留保を付することができない。

   第二十条 有効期間及び脱退

1 この条約の有効期間は、無期限とする。

2 締約国は、その主権を行使してこの条約から脱退する権利を有する。この権利を行使する締約国は、他のすべての締約国、寄託者及び国際連合安全保障理事会に対してその旨を通告する。脱退の通告には、脱退しようとする理由についての十分な説明を記載する。

3 脱退は、寄託者が脱退の通告を受領した後六箇月で効力を生ずる。ただし、脱退する締約国が当該六箇月の期間の満了の時において武力紛争に巻き込まれている場合には、脱退は、武力紛争の終了の時まで効力を生じない。

   第二十一条 この条約の締約国でない国との関係

1 締約国は、すべての国によるこの条約への参加を得ることを目標として、この条約の締約国でない国に対し、この条約を批准し、受諾し、承認し、又はこれに加入するよう奨励する。

2 締約国は、3に規定するすべてのこの条約の締約国でない国の政府に対してこの条約に基づく自国の義務について通報し、及びこの条約が定める規範を奨励するものとし、これらの国がクラスター弾の使用を抑制するよう最善の努力を払う。

3 第一条の規定にかかわらず、及び国際法に従い、締約国又はその軍事上の要員若しくは国民は、この条約の締約国でない国であって締約国に対して禁止されている活動を行うことのあるものとの間で軍事的な協力及び軍事行動を行うことができる。

4 3の規定は、締約国に対し、次のことを行うことを認めるものではない。

 (a)クラスター弾を開発し、生産し、又は生産以外の方法によって取得すること。

 (b)自らクラスター弾を貯蔵し、又は移譲すること。

 (c)自らクラスター弾を使用すること。

 (d)使用される弾薬の選択権が専ら自国の管理の下にある場合において、クラスター弾の使用を明示的に要請すること。

   第二十二条 寄託者

 国際連合事務総長は、ここに、この条約の寄託者として指名される。

   第二十三条 正文

 この条約は、アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とする。

 {炸にさくとルビあり}