データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ミンスク合意の実施のための措置のパッケージ

[場所] ミンスク
[年月日] 2015年2月12日
[出典] 国際連合広報センター(URL:https://www.unic.or.jp/files/s_res_2202.pdf),安全保障理事会決議2202(2015)(添付文書Ⅰ)
[備考] 
[全文] 

1.ウクライナのドネツィクおよびルハーンシク地域の特定の地区における直ぐのまた包括的な停戦並びに2015年2月15日現地時間12a.m.現在でのその厳格な実施。

2.口径100以上の大砲システムのために互いから少なくとも50kmの幅の安全地帯を、MLRSのために70kmの幅のそしてMLRS「タルナードS」、ウラガン、スメーチおよび戦術ミサイル・システム(トーチカ、トーチカU)のために140kmの幅の安全地帯を造るため、平等な距離で両側によるあらゆる重火器の撤退。

-ウクライナ軍にとっては:事実上の接触線から

-ウクライナのドネツィクおよびルハーンシク地域の特定の地区からの武装編成にとっては:2014年9月14日のミンスク覚書に従って接触線から

上記に特定された重火器の撤退は、遅くとも停戦の二日目に始まり14日以内に完了するものとする。

過程は、OSCEにより促進されまた三者接触グループにより支援されるものとする。

3.衛星、ドローン、レーダ装備等を含む、必要なあらゆる技術装備を用いつつ、撤退の一日目からOSCEによる停戦体制および重火器の撤退の効果的な監視と検証を確保する。

4.ウクライナの法令および「ドネツィクおよびルハーンシク地域の特定地区における暫定的な地方自治体制に関する」並びにこの法に基づくこれらの地区の将来の体制に関するウクライナの法に従った地方選挙の態様について、撤退の一日目に、対話を始める。

本文書の署名の日から遅くとも30日までに、2014年9月19日のミンスク覚書の線に基づいた、

「ドネツィクおよびルハーンシク地域の特定地区における暫定的な地方自治体制に関する」ウクライナ法のもとで、特別な体制を享受する地区を特定しているウクライナ議会の決議を迅速に採択する。

5.ウクライナのドネツィクおよびルハーンシク地域の特定地区において起こった出来事に関連して人の起訴と処罰を禁止する法を制定することにより恩赦や特赦を確保する。

6.“all for all” 原則に基づき、全ての人質および不法に拘束された人の解放と交換を確保する。この過程は、遅くとも撤退後5日で完了するものとする。

7.国際的な制度に基づいた、困っている者に対する人道援助の安全なアクセス、引渡、貯蔵および配布を確保する。

8.年金支払いや他の支払い(収入および歳入、全ての公共事業の時宜を得た支払、ウクライナの法的枠組内での元に戻っている税)のような社会的移転を含む、社会経済的結び付きの完全な再開の態様の定義。

この目的のためにウクライナは、紛争に影響を受けた地区における銀行制度の部分の支配を元に戻すものとし、そしてできる限りこのような移転を促進する国際的な制度が確立されるものとする。

9.第11項に規定された、地方選挙の後一日目に始まり2015年末までに完了することになっている包括的な政治的解決(ウクライナの法および憲法改革を基礎としたドネツィクおよびルハーンシク地域の特定地区の地方選挙)が、三者接触グループの枠組内でドネツィクおよびルハーンシク地域の特定地区の代表者と協議してそしてその合意で実施された後で終わる、紛争地区全体のウクライナ政府による国境の完全な支配の回復。

10. 全ての外国の武装編成、軍用装備並びに傭兵の、OSCEの監視の下でのウクライナ領土からの撤退。全ての違法集団の武装解除

11. 主要な要素(ドネツィクおよびルハーンシクの代表と合意して、これらの地域における特定地区の特殊性に対する関連を含む)としての地方分権を規定している2015年末までに効力を発する

新しい憲法でのウクライナにおける憲法改革を実施すること、並びに2015年末までに脚注で定めたような措置に一致してドネツィクおよびルハーンシク地域の特定地区の特別な地位に関する恒久法令を採択すること〔注〕。

12. 「ドネツィクおよびルハーンシク地域の特定地区の暫定的な地方自治体制に関する」ウクライナの法に基づき、地方選挙に関する問題は、三者接触グループの枠組内で、ドネツィクおよびルハーンシク地域の特定地区の代表者で議論され、合意される。選挙は、関連するOSCE標準に従って行われ、OSCE/ODIHRによって監視される。

13. ミンスク合意の関連する側面の実施に関する作業部会の設立を含む、三者接触グループの作業を強化する。彼らは、三者接触グループの構成を反映する。

〔注〕

ドネツィクおよびルハーンシク地域の特定地区の地方自治のための特別体制に関する法に従って、当該措置は以下とする。

-ドネツィクおよびルハーンシク地域の特定地区で起こった出来事に関与した人に対し、処罰、起訴および差別の免除。

-言語を自ら決める権利。

-ドネツィクおよびルハーンシク地域の特定地区における、検察庁や裁判所の長の任命における地方自治機関の参加。

-ドネツィクおよびルハーンシク地域の特定地区の経済的、社会的および文化的発展に関する地方自治機関との合意を始める中央政府当局の可能性。

-国家がドネツィクおよびルハーンシク地域の特定地区の社会的および経済的発展を支援する。

-ドネツィクおよびルハーンシク地域における、ロシア連邦の地区との国境を越えての協力の中央政府当局による支援。

-ドネツィクおよびルハーンシク地域の特定地区における公の秩序の維持のための地方議会による人民警察部隊の創設。

-本法によりウクライナのヴェルホーヴナ・ラーダにより任命された、早期の選挙で選出された地方議会の議員および職員の権力は、早期に終えられてはいけない。

三者接触グループの参加者ハイジ・タリアビーニ大使

ウクライナ第二代大統領、L.D.クチマ

ウクライナ駐在ロシア連邦大使、M.Yu.ズラボフ

A.W.ザハルチェンコ

I.W.プロトニツキー