データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ

[場所] 
[年月日] 2015年9月25日
[出典] 外務省
[備考] 2015年9月25日第70回国連総会で採択(国連文書A/70/L.1を基に外務省で作成した仮訳)
[全文]

前文

 このアジェンダは、人間、地球及び繁栄のための行動計画である。これはまた、より大きな自由における普遍的な平和の強化を追求するものでもある。我々は、極端な貧困を含む、あらゆる形態と側面の貧困を撲滅することが最大の地球規模の課題であり、持続可能な開発のための不可欠な必要条件であると認識する。

 すべての国及びすべてのステークホルダーは、協同的なパートナーシップの下、この計画を実行する。我々は、人類を貧困の恐怖及び欠乏の専制から解き放ち、地球を癒やし安全にすることを決意している。我々は、世界を持続的かつ強靱(レジリエント)な道筋に移行させるために緊急に必要な、大胆かつ変革的な手段をとることに決意している。我々はこの共同の旅路に乗り出すにあたり、誰一人取り残さないことを誓う。

 今日我々が発表する17の持続可能な開発のための目標(SDGs)と、169のターゲットは、この新しく普遍的なアジェンダの規模と野心を示している。これらの目標とターゲットは、ミレニアム開発目標(MDGs)を基にして、ミレニアム開発目標が達成できなかったものを全うすることを目指すものである。これらは、すべての人々の人権を実現し、ジェンダー平等とすべての女性と女児の能力強化を達成することを目指す。これらの目標及びターゲットは、統合され不可分のものであり、持続可能な開発の三側面、すなわち経済、社会及び環境の三側面を調和させるものである。

 これらの目標及びターゲットは、人類及び地球にとり極めて重要な分野で、向こう15年間にわたり、行動を促進するものになろう。

 人間

 我々は、あらゆる形態及び側面において貧困と飢餓に終止符を打ち、すべての人間が尊厳と平等の下に、そして健康な環境の下に、その持てる潜在能力を発揮することができることを確保することを決意する。

 地球

 我々は、地球が現在及び将来の世代の需要を支えることができるように、持続可能な消費及び生産、天然資源の持続可能な管理並びに気候変動に関する緊急の行動をとることを含めて、地球を破壊から守ることを決意する。

 繁栄

我々は、すべての人間が豊かで満たされた生活を享受することができること、また、経済的、社会的及び技術的な進歩が自然との調和のうちに生じることを確保することを決意する。

 平和

我々は、恐怖及び暴力から自由であり、平和的、公正かつ包摂的な社会を育んでいくことを決意する。平和なくしては持続可能な開発はあり得ず、持続可能な開発なくして平和もあり得ない。

 パートナーシップ

我々は、強化された地球規模の連帯の精神に基づき、最も貧しく最も脆弱な人々の必要に特別の焦点をあて、全ての国、全てのステークホルダー及び全ての人の参加を得て、再活性化された「持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップ」を通じてこのアジェンダを実施するに必要とされる手段を動員することを決意する。

 持続可能な開発目標の相互関連性及び統合された性質は、この新たなアジェンダ(以後

「新アジェンダ」と呼称)の目的が実現されることを確保する上で極めて重要である。もし我々がこのアジェンダのすべての範囲にわたり自らの野心を実現することができれば、すべての人々の生活は大いに改善され、我々の世界はより良いものへと変革されるであろう。

宣言(注:各パラ冒頭のカッコ書きは仮訳用に便宜上付したもの)

導入部

1.我々、国家元首、政府の長その他の代表は、国連が70周年を迎えるにあたり、2015年9月25日から27日までニューヨークの国連本部で会合し、今日、新たな地球規模の持続可能な開発目標を決定した。

2.(総論)我々の国民に代わり、我々は、包括的、遠大かつ人間中心な一連の普遍的かつ変革的な目標とターゲットにつき、歴史的な決定を行った。我々は、このアジェンダを2030年までに完全に実施するために休みなく取り組むことにコミットする。我々は、極端な貧困を含む、あらゆる形態と様相の貧困を撲滅することが最も大きな地球規模の課題であり、持続可能な開発のための不可欠な必要条件であると認識する。我々は、持続可能な開発を、経済、社会及び環境というその三つの側面において、バランスがとれ統合された形で達成することにコミットしている。我々はまた、ミレニアム開発目標の達成を基にして、その未完の課題に取り組むことを追求する。

3.(取り組むべき課題)我々は、2030年までに以下のことを行うことを決意する。あらゆる貧困と飢餓に終止符を打つこと。国内的・国際的な不平等と戦うこと。平和で、公正かつ包摂的な社会をうち立てること。人権を保護しジェンダー平等と女性・女児の能力強化を進めること。地球と天然資源の永続的な保護を確保すること。そしてまた、我々は、持続可能で、包摂的で持続的な経済成長、共有された繁栄及び働きがいのある人間らしい仕事のための条件を、各国の発展段階の違い及び能力の違いを考慮に入れた上で、作り出すことを決意する。

4.(誰一人取り残さない)この偉大な共同の旅に乗り出すにあたり、我々は誰も取り残されないことを誓う。人々の尊厳は基本的なものであるとの認識の下に、目標とターゲットがすべての国、すべての人々及び社会のすべての部分で満たされることを望む。そして我々は、最も遅れているところに第一に手を伸ばすべく努力する。

5.(新アジェンダの特徴)このアジェンダは前例のない範囲と重要性を持つものである。このアジェンダは、各国の現実、能力及び発展段階の違いを考慮に入れ、かつ各国の政策及び優先度を尊重しつつ、すべての国に受け入れられ、すべての国に適用されるものである。これらは、先進国、開発途上国も同様に含む世界全体の普遍的な目標とターゲットである。これらは、統合され不可分のものであり、持続可能な開発の三側面をバランスするものである。

6.(これまでの経緯)最も貧しく最も脆弱なところからの声に特別な注意を払いながら市民社会及びその他のステークホルダーとの間で行われた2年以上にわたる公開のコンサルテーション及び関与の結果、この目標とターゲットができた。このコンサルテーションは、持続可能な開発に関する公開作業部会及び国連による重要な作業を含むものであり、事務総長は2014年12月に統合報告書を提出している。

我々のビジョン

7.(目指すべき世界像)これらの目標とターゲットにおいて、我々は最高に野心的かつ変革的なビジョンを設定している。我々は、すべての人生が栄える、貧困、飢餓、病気及び欠乏から自由な世界を思い描く。我々は、恐怖と暴力から自由な世界を思い描く。すべての人が読み書きできる世界。すべてのレベルにおいて質の高い教育、保健医療及び社会保護に公平かつ普遍的にアクセスできる世界。身体的、精神的、社会的福祉が保障される世界。安全な飲料水と衛生に関する人権を再確認し、衛生状態が改善している世界。十分で、安全で、購入可能、また、栄養のある食料がある世界。住居が安全、強靱(レジリエント)かつ持続可能である世界。そして安価な、信頼でき、持続可能なエネルギーに誰もがアクセスできる世界。

8.(目指すべき世界像)我々は、人権、人の尊厳、法の支配、正義、平等及び差別のないことに対して普遍的な尊重がなされる世界を思い描く。人種、民族及び文化的多様性に対して尊重がなされる世界。人間の潜在力を完全に実現し、繁栄を共有することに資することができる平等な機会が与えられる世界。子供たちに投資し、すべての子供が暴力及び搾取から解放される世界。すべての女性と女児が完全なジェンダー平等を享受し、その能力強化を阻む法的、社会的、経済的な障害が取り除かれる世界。そして、最も脆弱な人々のニーズが満たされる、公正で、衡平で、寛容で、開かれており、社会的に包摂的な世界。

9.(目指すべき世界像)我々は、すべての国が持続的で、包摂的で、持続可能な経済成長と働きがいのある人間らしい仕事を享受できる世界を思い描く。消費と生産パターン、そして空気、土地、河川、湖、帯水層、海洋といったすべての天然資源の利用が持続可能である世界。民主主義、グッド・ガバナンス、法の支配、そしてまたそれらを可能にする国内・国際環境が、持続的で包摂的な経済成長、社会開発、環境保護及び貧困・飢餓撲滅を含めた、持続可能な開発にとってきわめて重要である世界。技術開発とその応用が気候変動に配慮しており、生物多様性を尊重し、強靱(レジリエント)なものである世界。人類が自然と調和し、野生動植物その他の種が保護される世界。

我々の共有する原則と約束

10.(主要原則)新アジェンダは、国際法の尊重を含め、国連憲章の目的と原則によって導かれる。世界人権宣言、国際人権諸条約、ミレニアム宣言及び2005年サミット成果文書にも基礎を置く。また、「発展の権利に関する宣言」などその他の合意も参照される。

11.(関連する主要国連会議)我々は、持続可能な開発のための確固たる基礎を築き、この新アジェンダを形作るのを助けたすべての主要な国連会議及びサミットの成果を再確認する。これらは、「環境と開発に関するリオ宣言」、「持続可能な開発に関する世界首脳会議」、「世界社会開発サミット」、「国際人口・開発会議(ICPD)行動計画」、「北京行動綱領」(第4回世界女性会議)、「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」を含む。我々はまた、「第4回後発開発途上国(LDCs)会議」、「第3回小島嶼開発途上国(SIDS)会議」、「第2回内陸

開発途上国(LLDCs)会議」及び「第3回国連防災世界会議」を含め、これらの会議のフォローアップを再確認する。

12.(共通だが差異のある責任)我々は、「環境と開発に関するリオ宣言」のすべての原則、とりわけ、その第7原則にあるように共通だが差異ある責任の原則を再確認する。

13.(統合されたアプローチの重要性)これらの主要な会議及びサミットの課題並びにコミットメントは、相互に関連しており、統合された解決が必要である。これらに効果的に対処するために、新たなアプローチが必要である。持続可能な開発が意味するところでは、すべての形態及び側面の貧困撲滅、国内的・国際的不平等との戦い、地球の維持、持続的・包摂的・持続可能な経済成長を作り出すこと、並びに社会的包摂性を生み出すことは、お互いに関連し合っており、相互に依存している。

今日の世界

14.(直面する課題)我々は、持続可能な開発に対する大きな課題に直面している。依然として数十億人の人々が貧困のうちに生活し、尊厳のある生活を送れずにいる。国内的、国際的な不平等は増加している。機会、富及び権力の不均衡は甚だしい。ジェンダー平等は依然として鍵となる課題である。失業、とりわけ若年層の失業は主たる懸念である。地球規模の健康の脅威、より頻繁かつ甚大な自然災害、悪化する紛争、暴力的過激主義、テロリズムと関連する人道危機及び人々の強制的な移動は、過去数十年の開発の進展の多くを後戻りさせる恐れがある。天然資源の減少並びに、砂漠化、干ばつ、土壌悪化、淡水の欠乏及び生物多様性の喪失を含む環境の悪化による影響は、人類が直面する課題を増加し、悪化させる。我々の時代において、気候変動は最大の課題の一つであり、すべての国の持続可能な開発を達成するための能力に悪影響を及ぼす。世界的な気温の上昇、海面上昇、海洋の酸性化及びその他の気候変動の結果は、多くの後発開発途上国、小島嶼開発途上国を含む沿岸地帯及び低地帯の国々に深刻な影響を与えている。多くの国の存続と地球の生物維持システムが存続の危機に瀕している。

15.(チャンス)しかしながら、大きな機会の時でもある。多くの開発の課題に対応するために重要な進展があった。過去の世代において、数百万人の人が極度の貧困から脱した。教育へのアクセスは少年少女いずれに対しても大きく増加した。ICTと地球規模の接続性は人間の進歩を加速化させ、デジタルデバイドを埋め、知識社会を発展させる大きな潜在力があり、医学やエネルギーのように多様な幅広い分野において科学技術イノベーションが持つ潜在力もまた同様である。

16.(MDGsで残された課題への対応)およそ15年前、ミレニアム開発目標(MDGs)が合意された。これらは、開発のための重要な枠組みを与え、多くの分野で重要な進展が見られた。しかしながら、進展にはばらつきがあり、それはアフリカ、後発開発途上国、内陸開発途上国、小島嶼開発途上国で特にそうである。いくつかの目標、特に母子保健及び性と生殖に関する健康の目標は依然として達成に向けての軌道に乗っていない。我々は、このような外れた目標を含めて、すべてのMDGsの完全な達成に向けて、とりわけ後発開発途上国など重視すべき国に対して焦点をあてて拡大した支援を、適切な支援プログラムに沿って供与することを再度約束する。新アジェンダはミレニアム開発目標を基礎として、ミレニアム開発目標が達成できなかったもの、とりわけ最も脆弱な部分に取り組むことにより、これを完遂することを目指す。

17.(MDGsを超える課題への対応)我々が今日発表する枠組みは、そのスコープにおいてミレニアム開発目標を遙かに越えるものである。貧困撲滅、保健、教育及び食料安全保障と栄養といった継続的な開発分野の優先項目に加えて、この枠組みは、幅広い経済・社会・環境の目的を提示している。また、より平和かつ包摂的な社会も約束している。さらに重要なことは、実施手段も提示している。我々が決定した統合的なアプローチを反映して、新たな目標とターゲットには、深い相互関連性とクロスカッティングな要素がある。

新アジェンダ

18.(総論)本日、我々が発表する17の持続可能な開発目標と169の関連づけられたターゲットは、統合され不可分のものである。このような広範でユニバーサルな政策目標について、世界の指導者が共通の行動と努力を表明したことは未だかつてなかった。持続可能な開発に向けた道を進むにあたって、すべての国や地域に進展をもたらすウィン・ウィンの協力と地球規模の開発のために我々が一つとなって身を費やすことを決めた。すべての国はその固有の財産、自然資源及び経済活動に対して恒久の主権を有しており、またその権利を自由に行使することを確認する。我々は現在及び将来の世代の益のためのこのアジェンダを実施する。そのために、我々は国際法に対するコミットメントを確認するとともに、新たな開発目標は、国際法の下での権利と義務に整合する形で実施することを確認する。

19.(人権)我々は、世界人権宣言及びその他の人権に関する国際文書並びに国際法の重要性を確認する。我々は、すべての国が国連憲章に則り、人種、肌の色、性別、言語、宗教、政治若しくは信条、国籍若しくは社会的出自、貧富、出生、障害等の違いに関係なく、すべての人の人権と基本的な自由の尊重、保護及び促進責任を有することを強調する。

20.(ジェンダー)ジェンダー平等の実現と女性・女児の能力強化は、すべての目標とターゲットにおける進展において死活的に重要な貢献をするものである。人類の潜在力の開花と持続可能な開発の達成は、人類の半数に上る(女性)の権利と機会が否定されている間は達成することができない。女性と女児は、質の高い教育、経済的資源への公平なアクセス、また、あらゆるレベルでの政治参加、雇用、リーダーシップ、意思決定において男性と同等の機会を享受するべきである。我々は、ジェンダー・ギャップを縮めるための投資を顕著に増加するために努力するとともに国、地域及びグローバルの各レベルにおいてジェンダー平等と女性の能力強化を推進する組織への支援を強化する。女性と女児に対するあらゆる形態の暴力は男性及び男子の参加も得てこれを廃絶していく。新たなアジェンダの実施において、ジェンダーの視点をシステマティックに主流化していくことは不可欠である。

21.(差別化)新たな目標とターゲットは2016年1月から効力を持ち、向こう15年間における我々の決定をガイドする。我々は、各国の各々の現実、能力、開発段階、政策、優先課題を考慮に入れながら、国、地域、グローバル・レベルで新目標を実施する。我々は、関連する国際規範やコミットメントと整合性を維持しつつ、持続的で包摂的かつ持続可能な経済開発を目指していくための各国の政策余地を尊重する。また、我々は持続可能な開発における、地域の側面、地域経済統合及び連結性の重要性をも認識する。地域レベルでの枠組みは、国レベルで持続可能な開発政策の具体的な実施を後押しすることにつながる。

22.(特別な課題を持つ国々)各々の国は、持続可能な開発を実現していく上で特有の課題に直面している。最も脆弱な国々、特にアフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国、小島嶼開発途上国は、紛争下や紛争後国と同様に特別な配慮を必要としている。同様に、多くの中所得国にも深刻な課題を抱えている。

23.(脆弱な人々)脆弱な人々は能力強化がされなければならない。新アジェンダに反映されている脆弱な人々とは、子供、若者、障害者(その内80%以上が貧困下にある)、HIV/エイズと共に生きる人々、高齢者、先住民、難民、国内避難民、移民を含む。また、我々は複合的な人道危機の影響を受けた地域に住む人々及びテロの影響を受けた人々が直面する困難や苦難を取り除き、脆弱な人々の特別なニーズに対する支援を強化すべく、国際法に照らしながら、更なる有効な措置及び行動をとる。

24.(食料安全保障)我々は、2030年までに極度の貧困を撲滅することを含む、すべての形態の貧困の終結にコミットする。すべての人々は社会保護制度を通じてすべての人が基礎的な生活水準を享受するべきである。また我々は、優先事項として飢餓を撲滅し、食料安全保障を実現するとともに、あらゆる形態の栄養不良を解消することを決意する。この観点から、我々は世界食料安全保障委員会の重要な役割と包摂的な性格を再確認するとともに「栄養に関するローマ宣言」及び「行動枠組」を歓迎する。我々は開発途上国、特に後発開発途上国における小自作農や女性の農民、遊牧民、漁業民への支援を通じて農村開発及び持続可能な農業・漁業発展のために資源を注ぎ込む。

25.(教育)我々は就学前から初等、中等、専門、技術、職業訓練等のすべてのレベルにおける包摂的で公正な質の高い教育を提供することにコミットする。性、年齢、人種、民族に関係なくすべての人々が、また障害者、移民、先住民、子供、青年、脆弱な状況下にある人々が社会への十全な参加の機会を確保するために必要とされる技能や知識を獲得するための生涯学習の機会を有するべきである。

26.(保健UHC)身体的及び精神的な健康と福祉の増進並びにすべての人々の寿命の延長のために、我々はユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)と質の高い保健医療へのアクセスを達成しなければならない。誰一人として取り残されてはならない。我々は、2030年までにこのような防ぐことのできる死をなくすことによって、新生児、子供、妊産婦の死亡を削減するために今日までに実現した進歩を加速することを約束する。家族計画、情報、教育を含む、性と生殖に関するサービスへの普遍的なアクセスを確保することに全力で取り組む。我々は、開発途上国においてはびこる薬剤耐性や対応されていない病気に関する問題への取組を含め、マラリア、HIV/エイズ、結核、肝炎、エボラ出血熱及びその他の感染病や伝染病に対して示された進歩の速度を等しく加速する。我々は、持続可能な開発に対する大きな挑戦の一つとなっている行動・発達・神経学的障害を含む非感染性疾患の予防や治療に取り組む。

27.(経済基盤)我々は、すべての国のために強固な経済基盤を構築するよう努める。包摂的で持続可能な経済成長の継続は、繁栄のために不可欠である。これは、富の共有や不平等な収入への対処を通じて可能となる。我々は、すべての人々のための働きがいのある人間らしい仕事をはじめとして若者の雇用促進、女性の経済的能力強化の促進を通じダイナミックかつ持続可能な革新、人間中心の経済構築を目指す。我々は、強制労働や人身取引及びすべての形態の児童労働を根絶する。すべての国々は、生産性と職務を達成するために必要とされる知識や技能、社会に参入できる能力を備えた、健全で優れた教育を受けた労働人口を有する立場にある。我々は、後発開発途上国のあらゆるセクターにおける生産性向上のために構造改革を含む取組を行う。我々は、生産能力・生産性・生産雇用の増大、金融包摂、持続可能な農業・畜産・漁業開発、持続可能な工業開発、手頃で信頼できる持続可能な近代的エネルギー供給へのユニバーサルなアクセス、持続可能な輸送システム、質の高い強靱(レジリエント)なインフラにおいて、生産能力、生産性、生産雇用を増大させる政策を採用する。

28.(持続可能な消費・生産)我々は、社会における生産や消費、サービスのあり方について根本的な変革をすることにコミットする。政府、国際機関、企業、その他の非政府主体や個人は、開発途上国における持続可能な消費と生産を促進するための科学、技術、革新能力を獲得するための財政的、技術的支援等を通じてより持続可能な消費・生産パターンへの移行に貢献しなければならない。我々は、「持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み」の実施を促進する。開発途上国の発展と能力を踏まえつつ、先進国がリードの下で、すべての国々が実行をする。

29.(移民)我々は、包括的成長と持続可能な開発に対する移民の積極的な貢献を認識している。また、他国への移住は、送出、通過、目的地となる各々の国の発展に大きく関連している多面的な実態の現実であり、首尾一貫した包括的な対応を必要とするということを認識する。我々は、移民に対し、その地位、難民及び避難民を問わず、人権の尊重や人道的な扱いを含む安全で秩序だった正規の移住のための協力を国際的に行う。このような協力は、特に開発途上国において難民を受け入れているコミュニティの強靱性(レジリエンス)を強化することにも注力すべきである。我々は、移民が市民権のある国へ帰国するための移民の権利を強調し、国家は帰国する自国民が正当に受け入れられることを保証しなければならないということを想起する。

30.(一方的経済措置の禁止)各国は、特に開発途上国において経済及び社会の発展を阻害し、国際法と国連憲章に合致しないような一方的経済・財政・貿易措置の公布及び適用を行うことを慎むよう強く求められている。

31.(気候変動)我々は、気候変動枠組条約が、気候変動に対する地球規模の対応を交渉するための主要な国際的、政府間フォーラムであるということを認める。我々は、気候変動や環境破壊によって引き起こされた脅威に対し断固として取り組む決意である。地球規模の気候変動の特徴を踏まえ、世界の温室効果ガス排出削減を加速し、気候変動による負の影響に対する適応を促進するための可能な限り広い国際協力が求められる。我々は、2020年までの世界の年間温室効果ガス排出に関する締約国の緩和約束の総体的効果と、世界の平均気温の上昇を産業革命以前と比べて2又は1.5℃以内に抑える可能性が高い総体的な排出の道筋との間に大きな隔たりがあることについて深刻な懸念をもって留意する。

32.(気候変動)12月のパリにおける第21回締約国会合を見据え、我々は、野心的で世界共通の気候合意にむけて取り組むというすべての国のコミットメントを強調する。我々は、気候変動枠組条約の下で全ての締約国に適用される議定書、他の法的文書又は法的効力を有する合意成果は、均衡のとれた態様、とりわけ、緩和、適応、資金、技術開発・移転、能力構築、行動と支援に関する透明性等を扱うものとすることを再度確認する。

33.(天然資源、海洋、生物多様性等)我々は、社会的・経済的発展の鍵は、地球の天然資源の持続可能な管理にあると認識している。よって我々は、大洋、海、湖の他、森林や山、陸地を保存し、持続的に使用すること及び生物多様性、生態系、野生動物を保護することを決意する。また、我々は、持続可能な観光事業、水不足・水質汚染への取組を促進し、砂漠化、砂塵嵐、浸食作用、干ばつ対策を強化し、強靱性(レジリエンス)の構築と災害のリスク削減にむけた取組を強化する。この観点から我々は、2016年にメキシコで開催される生物多様性条約第13回締約国会議に期待を寄せている。

34.(都市発展、化学物質等)我々は、持続可能な都市開発とその管理は、我々の国民の生活の質を確保する上で欠くことができないことであるということを認識する。我々は、地域社会のつながりと安全の確保の他、イノベーションと雇用を促進するための都市や人間の居住地の更新、計画を実施するために地方政府やコミュニティと協働する。我々は、化学物質の環境上適正な管理と安全な使用、廃棄物の削減と再生利用、水とエネルギーのより有効な活用等を通じ、都市活動や人の健康と環境に有害な化学物質の負のインパクトを減らす。こうして、我々は、地球気候システムに対する都市の影響を最小化するよう努力する。また、我々は、国家・農村・都市の開発計画を策定する際に、人口動態と将来推計を踏まえて検討を行う。我々は、エクアドルの首都キトで開催が予定されている「人間居住と持続可能な都市開発に関する国連会議」に期待している。

35.(平和と安全)持続可能な開発は、平和と安全なくしては実現できない。同時に、平和と安全は、持続可能な開発なくしては危機に瀕するだろう。新アジェンダは、司法への平等なアクセスを提供し、(発展の権利を含む)人権の尊重、効果的な法の支配及び全てのレベルでのグッド・ガバナンス並びに透明、効果的かつ責任ある制度に基礎をおいた平和で、公正かつ、包摂的な社会を構築する必要性を認める。新アジェンダにおいては、不平等さ、腐敗、貧弱な統治、不正な資金や武器の取引といった暴力、不安及び不正義を引き起こす要因に焦点が当てられている。我々は、平和構築及び国家建設において女性が役割を担うことを確保することも含めて紛争の解決又は予防、及び紛争後の国々の支援のための努力を倍加しなければならない。我々は、経済的・社会的発展及び環境の面でも悪影響を及ぼし続けている植民地下及び外国占領下にある人民の自決の権利の完全な実現への障害を除去するために、国際法に合致する更なる効果的な手段と行動を求める。

36.(文化)我々は、文化間の理解、寛容、相互尊重、グローバル・シチズンシップとしての倫理、共同の責任を促進することを約束する。我々は、世界の自然と文化の多様性を認め、すべての文化・文明は持続可能な開発に貢献するばかりでなく、重要な成功への鍵であると認識する。

37.(スポーツ)スポーツもまた、持続可能な開発における重要な鍵となるものである。我々は、スポーツが寛容性と尊厳を促進することによる、開発及び平和への寄与、また、健康、教育、社会包摂的目標への貢献と同様、女性や若者、個人やコミュニティの能力強化に寄与することを認識する。

38.(領土保全及び政治的独立)我々は、国連憲章に従って、国の領土保全及び政治的独立が尊重される必要があることを再確認する。

実施手段

39.新アジェンダの規模と野心は、その実施を確保するために活性化された「グローバル・パートナーシップ」を必要とする。我々は、全面的にこれにコミットする。このパートナーシップは、世界的連帯、特に、貧しい人々や脆弱な状況下にある人々に対する連帯の精神の下で機能する。それは、政府や民間セクター、市民社会、国連機関、その他の主体及び動員可能なあらゆる資源を動員して全ての目標とターゲットの実施のために地球規模レベルでの集中的な取組を促進する。

40.(実施手段、アディスアベバ行動目標との関係)目標17とそれぞれのSDG下における実施手段は、我々のアジェンダを実現する鍵であり、その他の目標とターゲットの重要さに匹敵する。SDGsを含むアジェンダは、持続可能な開発のための活性化されたグローバル・パートナーシップの枠組みの下で実現され、2015年7月13〜16日、アディスアベバで開催された第3回開発資金国際会議成果文書に記載されている具体的な政策と行動によって支えられる。我々は、持続可能な開発のための2030アジェンダの不可欠な部分であるアディスアベバ行動目標が国連総会においてエンドースされたことを歓迎する。我々は、アディスアベバ行動目標の十分な実施は、持続可能な開発の目標とターゲットの実現に不可欠であることを認める。

41.(国家、民間セクターの役割)我々は、それぞれの国が自国の経済・社会発展のための第一義的な責任を有するということを認識する。新アジェンダは、その目標とターゲットの実施に必要とされる手段も含んでいる。これらの実施手段は財政的なリソースの動員をはじめとして、相互に同意された譲許的優遇的な条件で開発途上国に対し行われる環境に優しい技術の移転、能力構築を含むものであることを認める。国内及び国際社会による公的資金は、不可欠なサービスと公共財の供給及び他の資金源を呼び込む上できわめて重要な役割を果たす。我々は、小規模企業から多国籍企業、協同組合、市民社会組織や慈善団体等多岐にわたる民間部門が新アジェンダの実施における役割を有することを認知する。

42.(各種行動計画、アフリカ関連イニシアティブ、紛争)我々は、「イスタンブール宣言及び行動計画」、「サモア・パスウェー(SAMOApathway)」、「ウィーン行動計画」等の関連ある戦略及びプログラムの実施を支持する。また、新アジェンダにおいて不可欠であるアフリカ連合の「2063アジェンダ」と「アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」のプログラムを支持することの重要性を再確認する。我々は、紛争下や紛争後の国々が永続的な平和と持続可能な開発を達成するための大きな課題を有していることを認識する。

43.(ODAの役割、コミットメントの再確認)我々は、国際的な公的資金が、国内、とりわけ限られた国内資源しかない最貧国や脆弱な国において、公的資源を国内的に動員するための取組を補完する上で重要な役割を果たすということを強調する。ODAを含む国際的な公的資金の重要な活用は、公的及び民間の他の資源からの追加的な資源を動員する触媒となるものである。ODA供与国は、開発途上国に対するODAをGNI比0.7%に、後発開発途上国に対するODAをGNI比0.15〜0.2%にするという目標を達成するとの多くの先進国によるコミットメントを含め、それぞれのコミットメントを改めて確認する。

44.(国際金融機関の役割)我々は、国際金融機関が、特に開発途上国に対し、それぞれのマンデート及び各々の国の政策スペースに従って支援を行う重要性を認める。我々は、国際的な経済上の決定や国際的な経済面のガバナンスや規範に関する意思決定において、アフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国、小島嶼開発途上国、中所得国も含む開発途上国の声と参入を普及し強化することにコミットする。

45.(国会議員、政府、公的機関の役割)我々は、新アジェンダのために必要とされる予算の可決と我々のコミットメントの効果的な実施に関する説明責任を確実なものとするために、国会議員が果たす不可欠な役割についても認識している。また、政府と公共団体は、地方政府、地域組織、国際機関、学究組織、慈善団体、ボランティア団体、その他の団体と密接に実施に取り組む。

46.(経社理、国連開発システム)我々は、SDGsと持続可能な開発の達成を支援するために、十分に資源に恵まれ、適切に、首尾一貫した、有効で効果的な国連システムが有する重要な役割を強調する。国レベルでのより強化されたオーナーシップ及びリーダーシップの重要性を強調する一方で、我々は、本アジェンダの文脈における経済社会理事会での「国連開発システムの長期的ポジショニングに関する対話」を支持する。

フォローアップとレビュー

47.次の15年に向けた目標とターゲットを実行する進歩に関し、各国政府が、国、地域、世界レベルでのフォローアップとレビューの第一義的な責任を有する。国民への説明責任を果たすため、我々は、本アジェンダ及びアディスアベバ行動目標に記されているとおり様々なレベルにおける体系的なフォローアップとレビューを行う。また、国連総会及び経済社会理事会の下で開催される「ハイレベル政治フォーラム」が、世界レベルのフォローアップとレビューを監督する主要な役割を持つ。

48.(本件アジェンダを達成するための)指標は、こうした(フォローアップ)活動を支援するために整備される。誰一人も取り残さないよう進捗を測定するためには、高品質で、アクセス可能、時宜を得た細分化されたデータが必要である。このようなデータは、政策決定の鍵となる。現存する報告メカニズムからのデータと情報は、可能な限り活用されるべきである。アフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国、小島嶼開発途上国、中所得国をはじめとする開発途上国における、統計能力の強化のための努力を強化することに我々は合意する。我々は進捗を測定するために、GDP指標を補完する、より包括的な手法を開発することにコミットする。

我々の世界を変える行動の呼びかけ

49.(国連とそれを支える価値観)70年前、以前の世代の指導者たちが集まり、国際連合を作った。彼らは、戦争の灰と分裂から、国連とそれを支える価値、すなわち平和、対話と国際協力を作り上げた。これらの価値の最高の具体化が国連憲章である。

50.(新アジェンダの歴史的意義)今日我々もまた、偉大な歴史的重要性を持つ決定をする。我々は、すべての人々のためによりよい未来を作る決意である。人間らしい尊厳を持ち報われる生活を送り、潜在力を発揮するための機会が否定されている数百万という人々を含む全ての人々を対象とした決意である。我々は、貧困を終わらせることに成功する最初の世代になり得る。同様に、地球を救う機会を持つ最後の世代にもなるかも知れない。我々がこの目的に成功するのであれば2030年の世界はよりよい場所になるであろう。

51.(新アジェンダの歴史的意義)今日我々が宣言するものは、向こう15年間の地球規

模の行動のアジェンダであるが、これは21世紀における人間と地球の憲章である。子供たち、若人たちは、変化のための重要な主体であり、彼らはこの目標に、行動のための無限の能力を、また、よりよい世界の創設にむける土台を見いだすであろう。

52.(人々を中心に据えたアジェンダ)「われら人民は」というのは国連憲章の冒頭の言葉である。今日2030年への道を歩き出すのはこの「われら人民」である。我々の旅路は、政府、国会、国連システム、国際機関、地方政府、先住民、市民社会、ビジネス・民間セクター、科学者・学会、そしてすべての人々を取り込んでいくものである。数百万の人々がすでにこのアジェンダに関与し、我が物としている。これは、人々の、人々による、人々のためのアジェンダであり、そのことこそが、このアジェンダを成功に導くと信じる。

53.(結語)人類と地球の未来は我々の手の中にある。そしてまた、それは未来の世代にたいまつを受け渡す今日の若い世代の手の中にもある。持続可能な開発への道を我々は記した。その道のりが成功し、その収穫が後戻りしないことを確かなものにすることは、我々すべてのためになるのである。

持続可能な開発目標(SDGs)とターゲット

54.(SDGs公開作業部会報告書)包摂的な政府間交渉プロセスを経て、且つ持続可能な開発に関する公開作業部会の提案、その中には同提案の背景を説明するシャポー*1*を含む、を踏まえ、下記の事項が、我々が合意した目標とターゲットである。

55.(各国の状況を踏まえた差別化)持続可能な開発目標(SDGs)とターゲットは、各国の置かれたそれぞれの現状、能力、発展段階、政策や優先課題を踏まえつつ、一体のもので分割できないものである。また、地球規模且つすべての国に対応が求められる性質のものである。ターゲットは、地球規模レベルでの目標を踏まえつつ、各国の置かれた状況を念頭に、各国政府が定めるものとなる。また、各々の政府は、これら高い目標を掲げるグローバルなターゲットを具体的な国家計画プロセスや政策、戦略に反映していくことが想定されている。持続可能な開発が経済、社会、環境分野の進行中のプロセスとリンクしていることをよく踏まえておくことが重要である。

56.(特別な課題を持つ国々)これらの目標とターゲットを決定するに当たって、我々は各国が持続可能な開発を達成するために特有の課題に直面していることを認識し、最も脆弱な国々、特にアフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国、小島嶼開発途上国が直面している特別な課題とともに、中所得国が直面している特有の課題を強調する。また、紛争下にある国々も特別な配慮を必要としている。

57.(データ収集のための能力構築)我々は、いくつかのターゲットについては、基準データが入手困難であるということを認識し、まだ確立されていない国及び地球規模レベルの基準データを整備するための加盟国レベルでの能力構築及びデータ収集強化の支援を強く求める。我々は、以下のターゲットの内、特に明確な数値目標が掲げられていないものについて、その進捗をより的確に把握するために適切な対応をとることにコミットする。

 58.(他のプロセスとの関係)我々のアジェンダの実施の妨げとなり得る課題に関する他のフォーラムでの各国の取組を歓迎する、また一方で、それらのプロセスの独自性も尊重する。我々は、本アジェンダ及びその実施が、他のプロセスやそこでの決定に対しこれに貢献することはあっても侵害することのないようにする。

 59.(各国の差別化)我々は、持続可能な開発の達成に向け、それぞれの国が置かれた状況及び優先事項に基づき各々に違ったアプローチ、ビジョン、モデルや利用可能な手段が変わってくることを認識する。そして、我々は、地球という惑星及びその生態系が我々の故郷であり、「母なる地球」が多くの国及び地域において共通した表現であるということを再確認する。



 ※公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)作成による仮訳をベースに編集{※ 仮訳に付された注釈}

持続可能な開発目標

目標1. あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる

目標2. 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する

目標3. あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する

目標4. すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する

目標5. ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う

目標6. すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する

目標7. すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する

目標8. 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する

目標9. 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る

目標10. 各国内及び各国間の不平等を是正する

目標11. 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する

目標12. 持続可能な生産消費形態を確保する

目標13. 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる*

目標14. 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する

目標15. 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する

目標16.持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する

目標17. 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

*国連気候変動枠組条約(UNFCCC)が、気候変動への世界的対応について交渉を行う基本的な国際的、政府間対話の場であると認識している。



目標1. あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる

1.1 2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。

1.2 2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。

1.3 各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。

1.4 2030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。

1.5 2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。

1.a あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。

1.b 貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。

目標2. 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する

2.1 2030年までに、飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。

2.2 5歳未満の子どもの発育阻害や消耗性疾患について国際的に合意されたターゲットを

2025年までに達成するなど、2030年までにあらゆる形態の栄養不良を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦及び高齢者の栄養ニーズへの対処を行う。

2.3 2030年までに、土地、その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場及び高付加価値化や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民、家族農家、牧畜民及び漁業者をはじめとする小規模食料生産者の農業生産性及び所得を倍増させる。

2.4 2030年までに、生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭

(レジリエント)な農業を実践する。

2.5 2020年までに、国、地域及び国際レベルで適正に管理及び多様化された種子・植物バンクなども通じて、種子、栽培植物、飼育・家畜化された動物及びこれらの近縁野生種の遺伝的多様性を維持し、国際的合意に基づき、遺伝資源及びこれに関連する伝統的な知識へのアクセス及びその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を促進する。

2.a 開発途上国、特に後発開発途上国における農業生産能力向上のために、国際協力の強化などを通じて、農村インフラ、農業研究・普及サービス、技術開発及び植物・家畜のジーン・バンクへの投資の拡大を図る。

2.b ドーハ開発ラウンドの決議に従い、すべての形態の農産物輸出補助金及び同等の効果を持つすべての輸出措置の並行的撤廃などを通じて、世界の農産物市場における貿易制限や歪みを是正及び防止する。

2.c 食料価格の極端な変動に歯止めをかけるため、食料市場及びデリバティブ市場の適正な機能を確保するための措置を講じ、食料備蓄などの市場情報への適時のアクセスを容易にする。

目標3. あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する

3.1 2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり70人未満に削減する。

3.2 すべての国が新生児死亡率を少なくとも出生1,000件中12件以下まで減らし、5歳以

下死亡率を少なくとも出生1,000件中25件以下まで減らすことを目指し、2030年までに、新生児及び5歳未満児の予防可能な死亡を根絶する。

3.3 2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。

3.4 2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する。

3.5 薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する。

3.6 2020年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。

3.7 2030年までに、家族計画、情報・教育及び性と生殖に関する健康の国家戦略・計画への組み入れを含む、性と生殖に関する保健サービスをすべての人々が利用できるようにする。

3.8 すべての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な保健サービスへのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する。

3.9 2030年までに、有害化学物質、ならびに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。

3.a すべての国々において、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の実施を適宜強化する。

3.b主に開発途上国に影響を及ぼす感染性及び非感染性疾患のワクチン及び医薬品の研究開発を支援する。また、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)及び公衆の健康に関するドーハ宣言に従い、安価な必須医薬品及びワクチンへのアクセスを提供する。同宣言は公衆衛生保護及び、特にすべての人々への医薬品のアクセス提供にかかわる「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」の柔軟性に関する規定を最大限に行使する開発途上国の権利を確約したものである。

3.c 開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において保健財政及び保健人材の採用、能力開発・訓練及び定着を大幅に拡大させる。

3.d すべての国々、特に開発途上国の国家・世界規模な健康危険因子の早期警告、危険因子緩和及び危険因子管理のための能力を強化する。

目標4. すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する

4.1 2030年までに、すべての子どもが男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにする。

4.2 2030年までに、すべての子どもが男女の区別なく、質の高い乳幼児の発達・ケア及び就学前教育にアクセスすることにより、初等教育を受ける準備が整うようにする。

4.3 2030年までに、すべての人々が男女の区別なく、手の届く質の高い技術教育・職業教育及び大学を含む高等教育への平等なアクセスを得られるようにする。

4.4 2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。

4.5 2030年までに、教育におけるジェンダー格差を無くし、障害者、先住民及び脆弱な立場にある子どもなど、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする。

4.6 2030年までに、すべての若者及び大多数(男女ともに)の成人が、読み書き能力及び基本的計算能力を身に付けられるようにする。

4.7 2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。

4.a 子ども、障害及びジェンダーに配慮した教育施設を構築・改良し、すべての人々に安全で非暴力的、包摂的、効果的な学習環境を提供できるようにする。

4.b 2020年までに、開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、ならびにアフリカ諸国を対象とした、職業訓練、情報通信技術(ICT)、技術・工学・科学プログラムなど、先進国及びその他の開発途上国における高等教育の奨学金の件数を全世界で大幅に増加させる。

4.c 2030年までに、開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国における教員研修のための国際協力などを通じて、質の高い教員の数を大幅に増加させる。

目標5. ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う

5.1 あらゆる場所におけるすべての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。

5.2 人身売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての女性及び女児に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除する。

5.3 未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚及び女性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する。

5.4 公共のサービス、インフラ及び社会保障政策の提供、ならびに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する。

5.5 政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。

5.6 国際人口・開発会議(ICPD)の行動計画及び北京行動綱領、ならびにこれらの検証会議の成果文書に従い、性と生殖に関する健康及び権利への普遍的アクセスを確保する。

5.a 女性に対し、経済的資源に対する同等の権利、ならびに各国法に従い、オーナーシップ及び土地その他の財産、金融サービス、相続財産、天然資源に対するアクセスを与えるための改革に着手する。

5.b 女性の能力強化促進のため、ICTをはじめとする実現技術の活用を強化する。

5.c ジェンダー平等の促進、ならびにすべての女性及び女子のあらゆるレベルでの能力強化のための適正な政策及び拘束力のある法規を導入・強化する。

目標6. すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する

6.1 2030年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスを達成する。

6.2 2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女子、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を向ける。

6.3 2030年までに、汚染の減少、投棄廃絶と有害な化学物質や物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模での大幅な増加させることにより、水質を改善する。

6.4 2030年までに、全セクターにおいて水の利用効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。

6.5 2030年までに、国境を越えた適切な協力を含む、あらゆるレベルでの統合水資源管理を実施する。

6.6 2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼などの水に関連する生態系の保護・回復を行う。

6.a 2030年までに、集水、海水淡水化、水の効率的利用、排水処理、リサイクル・再利用技術など、開発途上国における水と衛生分野での活動や計画を対象とした国際協力と能力構築支援を拡大する。

6.b 水と衛生に関わる分野の管理向上への地域コミュニティの参加を支援・強化する。

目標7. すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する

7.1 2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。

7.2 2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。

7.3 2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。

7.a 2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。

7.b 2030年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、内陸開発途上国のすべての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。

目標8. 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する

8.1 各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる。特に後発開発途上国は少なくとも年率7%の成長率を保つ。

8.2 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。

8.3 生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。

8.4 2030年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する10カ年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。

8.5 2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。

8.6 2020年までに、就労、就学及び職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす。

8.7 強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終らせるための緊急かつ効果的な措置の実施、最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する。2025年までに児童兵士の募集と使用を含むあらゆる形態の児童労働を撲滅する。

8.8 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。

8.9 2030年までに、雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する。

8.10 国内の金融機関の能力を強化し、すべての人々の銀行取引、保険及び金融サービスへのアクセスを促進・拡大する。

8.a 後発開発途上国への貿易関連技術支援のための拡大統合フレームワーク(EIF)などを通じた支援を含む、開発途上国、特に後発開発途上国に対する貿易のための援助を拡大する。

8.b 2020年までに、若年雇用のための世界的戦略及び国際労働機関(ILO)の仕事に関する世界協定の実施を展開・運用化する。

目標9. 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る

9.1 すべての人々に安価で公平なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援するために、地域・越境インフラを含む質の高い、信頼でき、持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラを開発する。

9.2 包摂的かつ持続可能な産業化を促進し、2030年までに各国の状況に応じて雇用及びGDPに占める産業セクターの割合を大幅に増加させる。後発開発途上国については同割合を倍増させる。

9.3 特に開発途上国における小規模の製造業その他の企業の、安価な資金貸付などの金融サービスやバリューチェーン及び市場への統合へのアクセスを拡大する。

9.4 2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。すべての国々は各国の能力に応じた取組を行う。

9.5 2030年までにイノベーションを促進させることや100万人当たりの研究開発従事者数を大幅に増加させ、また官民研究開発の支出を拡大させるなど、開発途上国をはじめとするすべての国々の産業セクターにおける科学研究を促進し、技術能力を向上させる。

9.a アフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国及び小島嶼開発途上国への金融・テクノロジー・技術の支援強化を通じて、開発途上国における持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラ開発を促進する。

9.b 産業の多様化や商品への付加価値創造などに資する政策環境の確保などを通じて、開発途上国の国内における技術開発、研究及びイノベーションを支援する。

9.c 後発開発途上国において情報通信技術へのアクセスを大幅に向上させ、2020年までに普遍的かつ安価なインターネット・アクセスを提供できるよう図る。

目標10. 各国内及び各国間の不平等を是正する

10.1 2030年までに、各国の所得下位40%の所得成長率について、国内平均を上回る数値を漸進的に達成し、持続させる。

10.2 2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。

10.3 差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、ならびに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する。

10.4 税制、賃金、社会保障政策をはじめとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的に達成する。

10.5 世界金融市場と金融機関に対する規制とモニタリングを改善し、こうした規制の実施を強化する。

10.6 地球規模の国際経済・金融制度の意思決定における開発途上国の参加や発言力を拡大させることにより、より効果的で信用力があり、説明責任のある正当な制度を実現する。

10.7 計画に基づき良く管理された移民政策の実施などを通じて、秩序のとれた、安全で規則的かつ責任ある移住や流動性を促進する。

10.a 世界貿易機関(WTO)協定に従い、開発途上国、特に後発開発途上国に対する特別かつ異なる待遇の原則を実施する。

10.b 各国の国家計画やプログラムに従って、後発開発途上国、アフリカ諸国、小島嶼開発途上国及び内陸開発途上国を始めとする、ニーズが最も大きい国々への、政府開発援助(ODA)及び海外直接投資を含む資金の流入を促進する。

10.c 2030年までに、移住労働者による送金コストを3%未満に引き下げ、コストが5%を越える送金経路を撤廃する。

目標11. 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する

11.1 2030年までに、すべての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。

11.2 2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。

11.3 2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、すべての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。

11.4 世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。

11.5 2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。

11.6 2030年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。

11.7 2030年までに、女性、子ども、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。

11.a 各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。

11.b 2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。

11.c 財政的及び技術的な支援などを通じて、後発開発途上国における現地の資材を用いた、持続可能かつ強靱(レジリエント)な建造物の整備を支援する。

目標12. 持続可能な生産消費形態を確保する

12.1 開発途上国の開発状況や能力を勘案しつつ、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、すべての国々が対策を講じる。

12.2 2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。

12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。

12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物資やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。

12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。

12.6 特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。

12.7 国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。

12.8 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。

12.a 開発途上国に対し、より持続可能な消費・生産形態の促進のための科学的・技術的能力の強化を支援する。

12.b 雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。

12.c 開発途上国の特別なニーズや状況を十分考慮し、貧困層やコミュニティを保護する形で開発に関する悪影響を最小限に留めつつ、税制改正や、有害な補助金が存在する場合はその環境への影響を考慮してその段階的廃止などを通じ、各国の状況に応じて、市場のひずみを除去することで、浪費的な消費を奨励する、化石燃料に対する非効率な補助金を合理化する。

目標13. 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる*

13.1 すべての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応力を強化する。

13.2 気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。

13.3 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。

13.a 重要な緩和行動の実施とその実施における透明性確保に関する開発途上国のニーズに対応するため、2020年までにあらゆる供給源から年間1,000億ドルを共同で動員するという、UNFCCCの先進締約国によるコミットメントを実施し、可能な限り速やかに資本を投入して緑の気候基金を本格始動させる。

13.b 後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において、女性や青年、地方及び社会的に疎外されたコミュニティに焦点を当てることを含め、気候変動関連の効果的な計画策定と管理のための能力を向上するメカニズムを推進する

{*国連気候変動枠組条約(UNFCCC)が、気候変動への世界的対応について交渉を行う基本的な国際的、政府間対話の場であると認識している。}



目標14. 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する

14.1 2025年までに、海洋堆積物や富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。

14.2 2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。

14.3 あらゆるレベルでの科学的協力の促進などを通じて、海洋酸性化の影響を最小限化し、対処する。

14.4 水産資源を、実現可能な最短期間で少なくとも各資源の生物学的特性によって定められる最大持続生産量のレベルまで回復させるため、2020年までに、漁獲を効果的に規制し、過剰漁業や違法・無報告・無規制(IUU)漁業及び破壊的な漁業慣行を終了し、科学的な管理計画を実施する。

14.5 2020年までに、国内法及び国際法に則り、最大限入手可能な科学情報に基づいて、

少なくとも沿岸域及び海域の10パーセントを保全する。

14.6 開発途上国及び後発開発途上国に対する適切かつ効果的な、特別かつ異なる待遇が、世界貿易機関(WTO)漁業補助金交渉の不可分の要素であるべきことを認識した上で、2020年までに、過剰漁獲能力や過剰漁獲につながる漁業補助金を禁止し、違法・無報告・無規制(IUU)漁業につながる補助金を撤廃し、同様の新たな補助金の導入を抑制する*2*。

14.7 2030年までに、漁業、水産養殖及び観光の持続可能な管理などを通じ、小島嶼開発途上国及び後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる。

14.a 海洋の健全性の改善と、開発途上国、特に小島嶼開発途上国および後発開発途上国の開発における海洋生物多様性の寄与向上のために、海洋技術の移転に関するユネスコ政府間海洋学委員会の基準・ガイドラインを勘案しつつ、科学的知識の増進、研究能力の向上、及び海洋技術の移転を行う。

14.b 小規模・沿岸零細漁業者に対し、海洋資源及び市場へのアクセスを提供する。

14.c 「我々の求める未来」のパラ158において想起されるとおり、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用のための法的枠組みを規定する海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映されている国際法を実施することにより、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用を強化する。

目標15. 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する

15.1 2020年までに、国際協定の下での義務に則って、森林、湿地、山地及び乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系及びそれらのサービスの保全、回復及び持続可能な利用を確保する。

15.2 2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な経営の実施を促進し、森林減少を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で新規植林及び再植林を大幅に増加させる。

15.3 2030年までに、砂漠化に対処し、砂漠化、干ばつ及び洪水の影響を受けた土地などの劣化した土地と土壌を回復し、土地劣化に荷担しない世界の達成に尽力する。

15.4 2030年までに持続可能な開発に不可欠な便益をもたらす山地生態系の能力を強化するため、生物多様性を含む山地生態系の保全を確実に行う。

15.5 自然生息地の劣化を抑制し、生物多様性の損失を阻止し、2020年までに絶滅危惧種を保護し、また絶滅防止するための緊急かつ意味のある対策を講じる。

15.6 国際合意に基づき、遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分を推進するとともに、遺伝資源への適切なアクセスを推進する。

15.7 保護の対象となっている動植物種の密猟及び違法取引を撲滅するための緊急対策を講じるとともに、違法な野生生物製品の需要と供給の両面に対処する。

15.8 2020年までに、外来種の侵入を防止するとともに、これらの種による陸域・海洋生態系への影響を大幅に減少させるための対策を導入し、さらに優先種の駆除または根絶を行う。

15.9 2020年までに、生態系と生物多様性の価値を、国や地方の計画策定、開発プロセス及び貧困削減のための戦略及び会計に組み込む。

15.a 生物多様性と生態系の保全と持続的な利用のために、あらゆる資金源からの資金の動員及び大幅な増額を行う。

15.b 保全や再植林を含む持続可能な森林経営を推進するため、あらゆるレベルのあらゆる供給源から、持続可能な森林経営のための資金の調達と開発途上国への十分なインセンティブ付与のための相当量の資源を動員する。

15.c 持続的な生計機会を追求するために地域コミュニティの能力向上を図る等、保護種の密猟及び違法な取引に対処するための努力に対する世界的な支援を強化する。

目標16. 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する

16.1 あらゆる場所において、すべての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる。

16.2 子どもに対する虐待、搾取、取引及びあらゆる形態の暴力及び拷問を撲滅する。

16.3 国家及び国際的なレベルでの法の支配を促進し、すべての人々に司法への平等なアクセスを提供する。

16.4 2030年までに、違法な資金及び武器の取引を大幅に減少させ、奪われた財産の回復及び返還を強化し、あらゆる形態の組織犯罪を根絶する。

16.5 あらゆる形態の汚職や贈賄を大幅に減少させる。

16.6 あらゆるレベルにおいて、有効で説明責任のある透明性の高い公共機関を発展させる。

16.7 あらゆるレベルにおいて、対応的、包摂的、参加型及び代表的な意思決定を確保する。

16.8 グローバル・ガバナンス機関への開発途上国の参加を拡大・強化する。

16.9 2030年までに、すべての人々に出生登録を含む法的な身分証明を提供する。

16.10 国内法規及び国際協定に従い、情報への公共アクセスを確保し、基本的自由を保障する。

16.a 特に開発途上国において、暴力の防止とテロリズム・犯罪の撲滅に関するあらゆるレベルでの能力構築のため、国際協力などを通じて関連国家機関を強化する。

16.b 持続可能な開発のための非差別的な法規及び政策を推進し、実施する。

目標17. 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

資金

17.1 課税及び徴税能力の向上のため、開発途上国への国際的な支援なども通じて、国内資源の動員を強化する。

17.2 先進国は、開発途上国に対するODAをGNI比0.7%に、後発開発途上国に対するODAをGNI比0.15〜0.20%にするという目標を達成するとの多くの国によるコミットメントを含むODAに係るコミットメントを完全に実施する。ODA供与国が、少なくともGNI比0.20%のODAを後発開発途上国に供与するという目標の設定を検討することを奨励する。

17.3 複数の財源から、開発途上国のための追加的資金源を動員する。

17.4 必要に応じた負債による資金調達、債務救済及び債務再編の促進を目的とした協調的な政策により、開発途上国の長期的な債務の持続可能性の実現を支援し、重債務貧困国(HIPC)の対外債務への対応により債務リスクを軽減する。

17.5 後発開発途上国のための投資促進枠組みを導入及び実施する。

技術

17.6 科学技術イノベーション(STI)及びこれらへのアクセスに関する南北協力、南南協力及び地域的・国際的な三角協力を向上させる。また、国連レベルをはじめとする既存のメカニズム間の調整改善や、全世界的な技術促進メカニズムなどを通じて、相互に合意した条件において知識共有を進める。

17.7 開発途上国に対し、譲許的・特恵的条件などの相互に合意した有利な条件の下で、環境に配慮した技術の開発、移転、普及及び拡散を促進する。

17.8 2017年までに、後発開発途上国のための技術バンク及び科学技術イノベーション能力構築メカニズムを完全運用させ、情報通信技術(ICT)をはじめとする実現技術の利用を強化する。

能力構築

17.9 すべての持続可能な開発目標を実施するための国家計画を支援するべく、南北協力、南南協力及び三角協力などを通じて、開発途上国における効果的かつ的をしぼった能力構築の実施に対する国際的な支援を強化する。

貿易

17.10 ドーハ・ラウンド(DDA)交渉の結果を含めたWTOの下での普遍的でルールに基づいた、差別的でない、公平な多角的貿易体制を促進する。

17.11 開発途上国による輸出を大幅に増加させ、特に2020年までに世界の輸出に占める後発開発途上国のシェアを倍増させる。

17.12 後発開発途上国からの輸入に対する特恵的な原産地規則が透明で簡略的かつ市場アクセスの円滑化に寄与するものとなるようにすることを含む世界貿易機関(WTO)の決定に矛盾しない形で、すべての後発開発途上国に対し、永続的な無税・無枠の市場アクセスを適時実施する。

体制面

政策・制度的整合性

17.13 政策協調や政策の首尾一貫性などを通じて、世界的なマクロ経済の安定を促進する。

17.14 持続可能な開発のための政策の一貫性を強化する。

17.15 貧困撲滅と持続可能な開発のための政策の確立・実施にあたっては、各国の政策空間及びリーダーシップを尊重する。

マルチステークホルダー・パートナーシップ

17.16 すべての国々、特に開発途上国での持続可能な開発目標の達成を支援すべく、知識、専門的知見、技術及び資金源を動員、共有するマルチステークホルダー・パートナーシップによって補完しつつ、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを強化する。

17.17 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。

データ、モニタリング、説明責任

17.18 2020年までに、後発開発途上国及び小島嶼開発途上国を含む開発途上国に対する能力構築支援を強化し、所得、性別、年齢、人種、民族、居住資格、障害、地理的位置及びその他各国事情に関連する特性別の質が高く、タイムリーかつ信頼性のある非集計型データの入手可能性を向上させる。

17.19 2030年までに、持続可能な開発の進捗状況を測るGDP以外の尺度を開発する既存の取組を更に前進させ、開発途上国における統計に関する能力構築を支援する。

実施手段とグローバル・パートナーシップ

60.(グローバル・パートナーシップ)我々は、この新アジェンダの完全な実施のための強いコミットメントを再確認する。我々は、活性化され強化されたグローバル・パートナーシップ及び同程度に野心的な実施手段無しには、この野心的な目標とターゲットは達成できないということを認識する。活性化されたグローバル・パートナーシップは、政府、市民社会、民間セクター、国連機関、その他の主体を集結させるとともに、あらゆる利用可能な資源を動員し、すべての目標とターゲットの実施を支援するための全世界の強い関与を促進する。

61.(実施手段)アジェンダの目標とターゲットは、我々の集合的な野心を実現するために必要な実施手段も取り上げている。それぞれのSDGのターゲット及び目標17で取り上げられている実施手段は、上述したように我々のアジェンダを実現するための鍵であり、その他の目標とターゲット同様に重要である。(これらの実施手段関連目標・ターゲットは)その他の目標の実施努力と、これらの進捗をモニターする枠組みの双方において同等のプライオリティーをもって扱う。

62.(アディスアベバ行動目標との関係)SDGsを含むこのアジェンダは、持続可能な開発のための活性化されたグローバル・パートナーシップの枠組みにおいて実現されるものであり、持続可能な開発のための2030アジェンダと不可欠な部分を成すアディスアベバ行動目標*3*の具体的な政策と行動によってサポートされるものである。アディスアベバ行動目標は、2030アジェンダのターゲットの実施手段を具体的な文脈に置くとともに、それを補足する助けとなるものである。これらは、国内のリソース、国内外の民間資金、国際開発協力、開発の牽引力としての国際貿易、負債及び債務持続性、体制的な課題、科学技術イノベーション、能力構築、データ、モニタリング及びフォローアップのすべてに関連してくるものである。

63.(各国と国際社会の役割)統合的な国家財政の枠組みによって支えられた国家の持続可能な開発戦略は、我々の取組の要となる。我々は、各国が自国の経済・社会開発に対して第一義的な責任があること、国家政策と開発戦略の役割は過小評価できないことを改めて表明したい。我々は、関連の国際的なルール及びコミットメントと合致する限りにおいて、各国がそれぞれの貧困撲滅や持続可能な開発のための政策を実施するための政策スペースやリーダーシップを尊重する。同時に、一国の開発努力はそれを可能とする国際的な経済環境によって支援されなければならず、そうした環境とは、首尾一貫した、互恵的な国際貿易、通貨・金融システム及びより発達した地球規模の経済ガバナンスである。また、能力構築だけでなく、地球規模での適切な知識と技術の利用可能性を高め、促進するプロセスの構築が重要である。我々は、あらゆるレベルにおけるすべての主体によって、持続可能な開発のための政策一貫性及び環境整備の追求及び持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを再活性化することにコミットする。

64.(各種行動計画、アフリカ関連イニシアティブ、紛争)我々は、「イスタンブール宣言及び行動計画」、「サモア・パスウェー(SAMOApathway)」、「ウィーン行動計画」等の関連ある戦略及びプログラムの実施を支持する。また、新アジェンダにおいて不可欠であるアフリカ連合の「2063アジェンダ」と「アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」のプログラムを支持することの重要性を再確認する。我々は、紛争下や紛争後の国々が永続的な平和と持続可能な開発を達成するための大きな課題を有していることを認識する。

65.(中所得国の課題)我々は、中所得国も持続可能な開発を達成するために困難な課題に直面していることを認識する。今日までに達成された努力の成果を持続させるためには、様々な経験の共有、よりよい調整、国連開発システム、国際金融機関、地域機関及びその他のステークホルダーによる支援を通じてこれらの課題への取組を強化するべきである。

66.(国内資金の動員、各国のオーナーシップ)我々は、すべての国にとって、ナショナル・オーナーシップの原則の下で強調されている公共政策及び国内リソースの動員と有効な活用は、SDGsの達成を含む持続可能な開発に向けた我々の取組の中心に置かれるものであるということを強調する。我々は、国内リソースは、あらゆるレベルでの整備された環境の下、経済成長によって生み出されるということを認識する。

67.(民間企業活動)民間企業の活動・投資・イノベーションは、生産性及び包摂的な経済成長と雇用創出を生み出していく上での重要な鍵である。我々は、小企業から協同組合、多国籍企業までを包含する民間セクターの多様性を認める。我々は、こうした民間セクターに対し、持続可能な開発における課題解決のための創造性とイノベーションを発揮することを求める。「ビジネスと人権に関する指導原則と国際労働機関の労働基準」、「児童の権利条約」及び主要な多国間環境関連協定等の締約国において、これらの取り決めに従い労働者の権利や環境、保健基準を遵守しつつ、ダイナミックかつ十分に機能する民間セクターの活動を促進する。

68.国際貿易は、包摂的な経済成長や貧困削減のための牽引車であり、持続可能な開発の促進に貢献する。我々は、世界貿易機関(WTO)の下、普遍的でルールに基づいた、開かれて、透明性があり予測可能性がある公平・無差別で包摂的な多角的貿易体制の促進及び意義のある貿易の自由化に向けた努力を続ける。我々は、すべての世界貿易機関(WTO)加盟国に対し、ドーハ・ラウンド交渉を迅速に終結するための努力を以前にも増して取り組むことを求める。我々は、開発途上国、とりわけアフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国、小島嶼開発途上国、中所得国に対し、地域経済の統合と相互接続性の促進を含む貿易関連の能力構築を促進するための支援の重要性を強調する。

69.(債務)我々は、開発途上国が長期的な債務持続性を有することができるように、債権金融、債務救済、債務リストラ及びその他の債務管理等を適切に組み合わせて取り組む必要性を認識する。多くの国々は債務危機に対して脆弱であり、特に後発開発途上国、小島嶼開発途上国の他、幾つかの先進国も危機の渦中にいる。我々は改めて、債務国と債権国が、持続不可能な債務を防ぎ、この解決に取り組まなければならないということを確認する。持続可能な債務のレベルを維持するのは、借入国の責任である。しかしながら、我々は、貸し手にも、一国の債務持続性を損なわない形で貸し出すという責任があるということを認識する。我々は、債務救済を受け、持続可能な債務を達成した国々の債務持続性の管理を支援する。

70.(技術促進メカニズム)我々は、持続可能な開発目標を支持するために、アディスアベバ行動目標で合意された技術促進メカニズム(TFM)を立ち上げる。TFMは、加盟国や市民社会、民間セクター、科学団体、国連やその他のマルチ・ステークホルダー間の協力に基づいている。また、その構成は、SDGsのための科学技術イノベーションに関する国連機関間タスクチーム(以下、国連機関間タスクチーム)、オンライン・プラットフォーム、SDGsのための科学技術イノベーションに関するマルチ・ステークホルダー・フォーラム(以下、マルチ・ステークホルダー・フォーラム)から成っている。

・国連機関間タスクチームは、能力構築取組分野におけるシナジーと効率性を高め、科学技術イノベーションにおける国連システム間の協力、一貫性、調整力を高めることが期待されている。タスクチームは、現存資源を活用しながら、マルチ・ステークホルダー・フォーラムやオンライン・プラットフォームのモダリティーに関するプロポーザルの作成からこれらの運用・実施の準備のために、市民社会、民間セクター、科学者の各分野から構成される10人の代表者と協力してこれを行う。10人の代表者は、2年の任期で、国連事務総長によって任命される。タスクチームは、国連のすべての機関、基金、プログラムの他、経済社会理事会の下に設けられている機能委員会のいずれも参加できるが、最初のメンバーはTFMに関する非公式作業部会に関わってきた機関、すなわち、国連経済社会局(UNDESA)、国連環境計画(UNEP)、国連工業開発機関(UNIDO)、国連教育科学文化機関(UNESCO)、国連貿易開発会議(UNCTAD)、国際電気通信連合(ITU)、世界知的所有権機関(WIPO)、世界銀行から構成される。

・オンライン・プラットフォームは、国連内外にある既存の科学技術イノベーション関連メカニズム、プログラムのマッピング及びこれら情報・サービスへのゲートウェイの構築を行う。同プラットフォームは、科学、技術及びイノベーションに関する各種情報、成功例や教訓等へのアクセスを促進する他、公開されている科学情報の普及に貢献する。同プラットフォームの開発にあたっては、既存の科学技術イノベーション・プラットフォームへのアクセスや情報等を提供し、重複を避け相乗効果を強化するために、国連の内外で蓄積されてきた教訓も踏まえつつ、独立した技術的な調査を行い開発するものとする。

・マルチ・ステークホルダー・フォーラムは、年1回、2日間の会期で様々なステークホルダーを招集し、持続可能な開発の実施を巡る科学技術イノベーション協力に関するテーマ別の議論を行う。このフォーラムでは、科学技術イノベーション協力及び能力構築に関するものを含め、技術ニーズとギャップを埋めるための様々なマッチメーキング、協力、能力構築等の機会が提供される。フォーラムは経済社会理事会議長によって招集され、経済社会理事会による年次「ハイレベル政治フォーラム」会合の前に開催されるか、テーマ等の関連性があれば他のフォーラム、会議等に関連づけて開催することができる。このフォーラムは2つの国連加盟国からなる共同議長の下で開催される。そして、その成果はポスト2015年開発アジェンダ実施のフォローアップ・レビューの観点から経済社会理事会「ハイレベル政治フォーラム」へのインプットがなされる。

・「ハイレベル政治フォーラム」の会議では、マルチ・ステークホルダー・フォーラムの成果がインプットされる。また、その翌年のフォーラムのテーマについては、上記国連機関間タスクチームの専門的インプットを得て決定される。

71.(普遍性、不可分性、関連性)我々は、実施手段を含む本アジェンダ及び持続可能な開発目標とターゲットは、普遍的で、不可分、相互に関連していることを再度強調する。

フォローアップとレビュー

72.(フォローアップ・レビュー)我々は、次の15年に向けた本アジェンダの実施に関する組織的なフォローアップ・レビューへの関与にコミットする。力強く、自発的、効果的、参加型、透明かつ統合的なフォローアップ・レビューの枠組みは、実施への貢献に不可欠である。また、こうしたフォローアップ・レビューは、各国が誰一人も取り残さない進展を図るために、本アジェンダの実施を最大化し、その進捗をしっかりと把握することを支援する。

73.(各レベルでの必要性)国内、地域的、全世界の各レベルでの活動にあたっては、この枠組みが国民への説明責任を促進し、本アジェンダを達成するための効果的な国際協力を支援し、成功例の交換や相互学習を促進する。また、共通の課題や新たに対応が必要とされる課題への対処のための支援を動員する。本アジェンダはユニバーサルであるが故に、すべての国家間の相互信頼と理解は重要である。

74.(基本原則)すべてのレベルにおけるフォローアップとレビュー(FUR)のプロセスは、次の原則によって導かれる。

a. これらのプロセスは、自主的で、国主導であり、多様な国の現実、能力、開発レベルを考慮し、政策スペースと優先事項を尊重する。国家のオーナーシップは、持続可能な開発を達成するための鍵である。よって、グローバル・レビューが各国の公的データ・ソースを基に行われることを踏まえると、国家レベルのプロセスによる成果は、地域及び全世界レベルでのレビューのための土台となるものである。

b. これらは、ユニバーサルで、統合され、相互に関連しており、且つ3つの側面を有する持続可能な開発の性質を尊重した方法で、すべての国において、実施手段を含むユニバーサルな目標とターゲットを実施し、その進捗を計る。

c. これらは、各国がしっかりとした情報に基づく政策を選択できるよう、長期的な方向性、達成度合い、課題、ギャップ、死活的に重要な成功の要素を見出し、各国への支援を行う。また、必要な実施手段とパートナーシップを動員し、解決策や成功例を導き出すとともに、国際開発システムの連携と有効性を高める。

d. これらは、すべての人々にとって開かれて、包摂的で、参加型の、透明性を持ち、すべてのステークホルダーによる報告をサポートする。

e. これらは、人間中心で、ジェンダーに配慮し、人権を尊重し、特に、貧困で脆弱な最も取り残された人々に焦点を当てたものとする。

f. これらは、既存のプラットフォーム及びプロセスを活用し重複を避けて行われる。また、各国の状況、能力、必要性、優先事項に対応したものとする。新たな問題や新しい方法論の開発を考慮して改良を加えるとともに、各国の行政府における報告の負担を最小限にする。

g. これらは、各国の主導で行われる評価やデータに基づく正確で根拠のあるものである。各国が行う評価やデータは、高品質で、アクセス可能、時宜を得た、細分化されたデータに基づくものであり、具体的には、収入、性別、年齢、人種、民族的属性、移住者の法律上の地位、障害、地理的属性及びその他各々の国内での状況に関連のある特徴等を踏まえたデータである。

h. これらは、特に、アフリカ諸国、後発開発途上国、小島嶼開発途上国、内陸開発途上国、中所得国等の開発途上国における国家資料システム及び評価事業の強化を含む能力開発の拡大を必要とする。

i. これらは、国連システムと多国間機関による積極的な支援によって支えられる。

75.(指標)目標とターゲットは、グローバルな指標によってフォローアップされる。これらは、国レベルや全世界レベルでのベースライン・データの欠如を埋める取組とともに、各国や地域レベルで策定される指標によって補完されるものである。国連統計委員会の下に設けられた「SDG指標に関する機関間専門家グループ(IAEG)」が策定するグローバル指標の枠組みは、2016年3月に国連統計委員会で合意され、既存のマンデートに基づき国連経済社会理事会及び総会で採択される。この枠組みは、実施手段を含むすべての目標とターゲットに対応したもので、SDGsに込められた政治的なバランス、野心のレベルを適切に反映したシンプルでありながらも妥協のないものである。

76.(能力開発)我々は、開発途上国、とりわけアフリカ諸国、後発開発途上国、小島嶼開発途上国、内陸開発途上国に対し、高品質で、時宜を得た、細分化されたデータへのアクセスを確実にするため、統計局及びデータ・システムの能力強化のための支援を行う。我々は、地球観測や地理空間情報等を含む幅広いデータの活用を追求するために、各国のオーナーシップを前提としつつ、支援と進捗管理における透明性と説明責任を明確にした形での官民連携の拡大を促進する。

77.(各レベルでのレビュー)我々は、地方、国、地域、全世界レベルでの定期的且つ包摂的なレビューの実施に取り組むことにコミットする。我々は、既存のフォローアップ・レビューの機関及びメカニズムを最大限活用する。国レベルの報告は、地域及び全世界レベルでの進捗と課題を特定することを可能とする。地域レベルの対話と全世界レベルでのレビューと併せ、様々なレベルにおけるフォローアップのための勧告を提供する。

国内レベル

78.(各国の対応)我々は、すべての国連加盟国が本アジェンダ全体の実施に関する実務的で野心的な対応に早急に着手するよう促す。これらは、既存の国家開発、持続可能な開発戦略等をふまえて、SDGsの移行を支援するものとする。

79.(国内での実施)また我々は、加盟国が、国及び地域レベルにおいて、各々の国のイニシアティブで行われる定期的で包摂的な進捗に関するレビューを行うことを促す。かかるレビューは、各国の現状や政策、優先課題を踏まえつつ、先住民、市民社会、民間セクター及び他のステークホルダーからの貢献を得つつ行われるべきである。また、国会やその他の機関もこうしたプロセスを支援する。

地域レベル

80.(役割)地域レベルでのフォローアップ・レビューは、自発的なレビューを含む相互の学び、共通のターゲットに関する成功例と議論を共有する有益な機会となり得る。この観点からは、地域委員会及び地域組織の協力を歓迎する。包摂的な地域プロセスは、「持続可能な開発のためのハイレベル政治フォーラム」を含む、全世界レベルでのフォローアップとレビューに貢献するものである。

81.(適切な地域フォーラムの特定)既存の地域レベルでのフォローアップ・レビュー・メカニズムを踏まえたものとするために、我々はすべての加盟国に対し最も適切な地域フォーラムを特定することを求める。国連地域委員会は、この観点から加盟国への支援を継続することが期待されている。

全世界レベル

82.(ハイレベル政治フォーラム)「ハイレベル政治フォーラム(HLPF)」は、そのマンデートの定めるところに従い、総会、経済社会理事会、その他関連機関及びフォーラムとの一貫性を確保しつつ、全世界レベルでのフォローアップ・レビュー・プロセス・ネットワークの監督において中心的な役割を果たす。同フォーラムは、成功、課題、教訓を含む経験の共有を促進し、フォローアップのための政治的リーダーシップ、指導、助言を提供し、持続可能な開発政策に関するシステム全体としての一貫性と調整を促進する。また、本アジェンダ自体がその意義を失わず野心的なものであり続けるようにし、その進捗や、先進国及び開発途上国が直面している課題に焦点をあてなければならない。さらに、後発開発途上国、小島嶼開発途上国、内陸開発途上国に関するものを含む、関連する全ての国連の会合フォローアップ・レビュー活動との効果的なリンケージが構築される。

83.(事務総長報告書)「ハイレベル政治フォーラム」におけるフォローアップ・レビューにおいては、国連システムの協力の下、グローバルな指標枠組み及び各国の統計・情報システムによって作成されたデータに基づき、事務総長が毎年作成する「年次SDG進捗報告(annualSDGProgressReport)」が提出される。またこの他に、「グローバル持続可能開発報告(GlobalSustainableDevelopmentReport)も活用されることになっており、この報告は、各国の政策立案者が科学的な裏付けをもって貧困撲滅及び持続可能な開発を促進していけるようにするために科学と政策間の橋渡しを強化することを目指している。我々は、経済社会理事会議長に対し、「グローバル持続可能開発報告」について、そのスコープ、方法論、作成の頻度及び「年次SDG進捗報告」との関係あり方についての協議プロセスを招集し、そのプロセスの結果を、2016年の「ハイレベル政治フォーラム」会期での閣僚宣言に反映する。

84.(ステークホルダーの関与)経済社会理事会主催による「ハイレベル政治フォーラム」では、国連総会決議67/290を踏まえて定期的なレビューを実施する。同フォーラムでのレビューは、先進国、開発途上国の他、関連する国連機関、市民社会・民間セクターなどのステークホルダーに対し報告を促しているが、あくまで自発的な性格のものである。レビューは、閣僚やその他のハイレベル参加者が関与した国家主導のプロセスである。レビューは、メジャー・グループ及び関連したステークホルダーの参加を通して、パートナーシップのためのプラットフォームを提供する。

85.(テーマ別レビュー)さらに、「ハイレベル政治フォーラム」では持続可能な開発目標の進捗に関するテーマ別レビューも開催する。こうしたテーマ別レビューは、各目標間の相互関連性を踏まえつつ、経済社会理事会の各種機能委員会及びその他政府間機関、フォーラム等によるサポートを受ける。こうしたテーマ別レビューはすべてのステークホルダーを関与しつつ、「ハイレベル政治フォーラム」の実施サイクルに統合されていく。

86.(アディスアベバ行動目標との関係)アディスアベバ行動目標にて言及されているとおり、我々は、開発資金(会議)の成果に対するフォローアップ・レビューと本アジェンダのフォローアップ・レビューの枠組みに統合されているSDGsの全ての実施手段を歓迎する。開発資金に関する年次経済社会理事会フォーラムにおいて政府間合意の下で得られた結論及び提言については、「ハイレベル政治フォーラム」における本アジェンダ実施に関する全体のフォローアップ・レビューに役立てられる。

87.(総会主催HLPF)総会主催の下で4年に1回行われる「ハイレベル政治フォーラム」は、本アジェンダの実施、進捗及び課題の特定、さらなる実施促進のための動員を行う上でハイレベルでの政治的ガイダンスを与えるものである。国連総会の下で開催される次回ハイレベル政治フォーラムは2019年に開催され、以降、「四ケ年包括政策レビュー(QCPR)」プロセスとの一貫性を最大化するために開催時期を調整することにする。

88.(国連開発システム)また、我々は、国連開発システムによる新たなアジェンダの実施に対して首尾一貫した集約された支援を確実にするために、システム全体で整合性のとれた戦略計画、実施、報告体制の重要性を強調する。関連する統治組織は、実施支援のレビュー及び進捗と支障を報告しなければならない。(こうした各々の国連開発システムの)監督機関は、そうした支援の内容についてレビューを行いその進捗と障害について報告を行わなければならない。我々は経済社会理事会における「国連開発システムの長期的ポジショニングに関する対話」を歓迎し、適切な対応が取られることを期待する。

89.(メジャー・グループ)「ハイレベル政治フォーラム」は、国連総会決議67/290に沿って、メジャー・グループ及び関連したステークホルダーによるフォローアップ・レビューのプロセスへの参加を支持する。我々は、これらの関係者に対し、アジェンダの実施に対する彼らの貢献について報告することを呼びかける。

90.(HLPFに向けた事務総長報告書)2016年に開催される「ハイレベル政治フォーラム」の準備に向けて、我々は事務局長に対し第70回国連総会での検討に付すための報告書の作成を求める。具体的には、全世界レベルでの首尾一貫した、効率的で、包摂的なフォローアップ・レビューに向けた重要なマイルストーンを示す内容の報告書を求める。この報告書は、経済社会理事会の下で開催される「ハイレベル政治フォーラム」における各国によるレビューのための組織アレンジに関する提言を含むものとする。また、同報告は組織の責任を明確にし、各年テーマ、テーマ別レビューの結果、「ハイレベル政治フォーラム」に関する定期的レビューについてガイダンスを示すものとする。

91.(結語)2030年までに、より良い世界へと変えるため、本アジェンダを十分活用し、達成するための揺るぎないコミットメントを、我々は改めて確認する。

{*1* A68/970 'Report of the Open Working Group of the General Assembly on Sustainable Development Goals'を参照(同じくA68/970 Add.1も参照ありたい)}

{*2* 現在進行中の世界貿易機関(WTO)交渉およびWTOドーハ開発アジェンダ、ならびに香港閣僚宣言のマンデートを考慮。}

{*3* The Addis Ababa Action Agenda of the Third International Conference on Financing for Development (Addis Ababa Action Agenda), adopted by the General Assembly on 27 July 2015 (resolution 69/313).,この部分の日本語は仮訳にはない}