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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 東アジア首脳会議に関するクアラルンプール宣言

[場所] クアラルンプール
[年月日] 2005年12月14日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

 われわれ、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国、オーストラリア連邦、中華人民共和国、インド共和国、日本国、大韓民国及びニュージーランドの国家元首及び行政府の長は、マレーシアのクアラルンプールにおける2005年12月14日の歴史的な第1回東アジア首脳会議の機会に、

 第1回東アジア首脳会議を2005年にマレーシアにおいて開催することを、2004年11月29日にラオス人民共和国のビエンチャンで開催された第10回ASEAN首脳会議が決定し、かつ、第8回ASEAN+3首脳会議が支持したことを想起し、

 国連憲章の目的と諸原則、東南アジアにおける友好協力条約及びその他の認識された国際法の諸原則に対する約束を再確認し、

 急速に変化する国際環境の中で、われわれの経済と社会がますます相互に関連し、相互に依存するものとなっていることを認識し、

 世界が直面する課題の幅がますます拡がっていること及びこれらの課題に対応するために地域及び国際的に共同の努力が必要であることを実感し、

 われわれが東アジア及び世界全体の平和、安全及び繁栄の達成に共通の関心を有していることを認識し、

 平等、連携、協議及びコンセンサスの原則を維持しつつ、われわれ各国間の協力を一層促進し、かつ、現在の友好関係を強化することによって、平和的な環境を形成すること、及びこれによりこの地域及び世界全体の平和、安全及び経済的繁栄に貢献することを希求し、

 東アジア首脳会議の参加国及び世界全体が、平和と経済的繁栄を高めるために、共通の関心及び、懸念事項についての二国間及び多国間の相互作用と協力を強化することが重要であると確信し、

 多国間システムが効果的に機能することが、経済発展を進めるためには引き続き不可欠であるとの確信を再確認し、

 今日のこの地域が世界経済のダイナミズムの源泉となっていることを認識し、

 東アジア首脳会議がこの地域における共同体の形成に重要な役割を果たし得るとの見方を共有し、

 われわれ共通の平和と繁栄に確固とした基盤を提供する強固なASEAN共同体を形成する努力を支持する必要性を認識し、

 ここに宣言する。

 第一に、われわれは、関心と懸念を共有する広範な戦略的、政治的及び経済的諸問題について、東アジアにおける平和、安定及び経済的繁栄を促進することを目的とした対話を行うためのフォーラムとして、東アジア首脳会議を設置する。

 第二に、この地域における共同体形成を推進する東アジア首脳会議の努力は、ASEAN共同体の実現と整合的に、かつ、これを強化すると共に、進化する地域枠組みの不可分の一部を形成する。

 第三に、東アジア首脳会議は、開放的、包含的、透明かつ外部志向のフォーラムである。東アジア首脳会議においては、グローバルな規範と普遍的に認識された価値の強化に努めると共に、ASEANが、東アジア首脳会議の他の参加国と連携しつつ、推進力となる。

 第四に、われわれは、なかんずく下記に焦点を当てる。

‐われわれの国々が互いにまた世界全体と共に、公正、民主的かつ調和的な環境の中で平和的に共存することを確保するための、政治及び安全保障上の問題についての戦略的対話の進展と協力の促進。

‐技術移転及びインフラ整備、キャパシティ・ビルディング、良い統治(グッドガバナンス)及び人道支援、並びに金融協力の推進、貿易・投資の拡大・自由化を通じた、開発、金融の安定、エネルギー安全保障、経済統合及び成長、貧困撲滅並びに開発格差是正の促進。

‐相互信頼と連帯を醸成するための文化的理解の深化、人と人のふれあい及びわれわれの国民の生活と福祉を向上するためのさらなる協力の促進、及び、環境保護、感染症予防及び自然災害被害の軽減といった分野の促進。

 第五に、

‐東アジア首脳会議への参加は、ASEANが設定した参加基準に基づく。

‐東アジア首脳会議は、定期的に開催される。

‐東アジア首脳会議は、ASEAN議長国を務めるASEAN加盟国が主催し、議長を務め、年次ASEAN首脳会議と背中合わせで開催される。

‐東アジア首脳会議の形態は、ASEAN及び他のすべての東アジア首脳会議参加国によって再検討される。

 2005年12月14日、クアラルンプールにおいて署名した。

ブルネイ・ダルサラーム王国のために、

(署名)国王 ハジ・ハサナル・ボルキア

カンボジア王国のために、

(署名)首相 サムデク・フン・セン

インドネシア共和国のために、

(署名)大統領 スシロ・バンバン・ユドヨノ

ラオス人民民主共和国のために、

(署名)首相 ブンニャン・ボーラチット

マレーシアのために、

(署名)首相 ダトー・スリ・アブドゥラ・アフマド・バダウィ

ミャンマー連邦のために、

(署名)首相 ソー・ウィン

フィリピン共和国のために、

(署名)大統領 グロリア・マカパガル=アロヨ

シンガポール共和国のために、

(署名)首相 リー・シェンロン

タイ王国のために、

(署名)首相 タクシン・シナワット

ベトナム社会主義共和国のために、

(署名)首相 ファン・バン・カイ

オーストラリア連邦のために、

(署名)首相 ジョン・ハワード

中華人民共和国のために、

(署名)国務院総理 温家宝

インド共和国のために、

(署名)首相 マンモハン・シン

日本国のために、

(署名)内閣総理大臣 小泉純一郎

大韓民国のために、

(署名)大統領 盧武鉉

ニュージーランドのために、

(署名)首相 ヘレン・クラーク