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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 東アジアのエネルギー安全保障に関するセブ宣言

[場所] セブ
[年月日] 2007年1月15日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

 われわれ、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国、オーストラリア、中華人民共和国、インド、日本、韓国及びニュージーランドの国家元首又は行政府の長は、フィリピンのセブにおける2007年1月15日の歴史的な第2回東アジア首脳会議に際して、

 地球規模での限られた化石燃料の埋蔵量、不安定な燃料の世界価格、環境及び健康に関する問題の深刻化、及び地球温暖化と気候変動に対処する喫緊の必要性を認識し、

 われわれのエネルギー需要が急速に増加しており、今後数十年間に大規模なエネルギー投資が必要になることを認識し、

 化石燃料はわれわれの経済を支えるものであり、またこのことはわれわれの生きる時代において変わらぬ現実であることを確認し、

 再生可能エネルギー及び原子力が世界のエネルギー供給に占める割合が上昇していくであろうことを認識し、

 バイオ燃料のような再生可能エネルギーの開発を強化し、エネルギー部門その他関連産業における開かれた貿易、円滑化及び協力を促進する必要性を確認し、

 東アジア諸国が、力強く持続可能な経済成長及び競争力のために不可欠な、信頼でき、適切で入手しやすいエネルギー供給を根本的に必要としていることを強調し、

 第1回東アジア首脳会議において、エネルギー安全保障の推進を通じて協力を強化することに合意したことを考慮し、

 持続可能な開発にもつながる、各国の置かれた状況に最も適したエネルギー政策と戦略を追求する必要性を認識し、

 バイオ燃料と水力資源は再生可能であり、かつ、それゆえ、これら資源の活用は、われわれの国家エネルギー政策の重要な一面を占めることに留意し、

 地域のエネルギー安全保障を確保するというわれわれの総意を再確認し、

 ここに宣言する。

 以下の目標に向け緊密に協働すること。

‐化石燃料利用の効率化と環境面への影響を改善する。

‐エネルギー効率化及び省エネルギー計画の強化、水力発電、再生可能エネルギーシステム及びバイオ燃料の生産・利用の拡大並びに、関心国については、民生用原子力の活用を通じて、従来型燃料への依存度を低下させる。

‐あらゆる経済水準にある者が入手可能なエネルギーを供給するとの目標に向けた、開かれ、かつ、競争的な地域及び国際エネルギー市場の整備を促進する。

‐効果的な政策及び措置を通じて温室効果ガスの排出を削減し、地球規模の気候変動の緩和に貢献する。

‐民間部門の一層の関与を通じたエネルギー資源及びインフラストラクチャー開発への投資を追求し、奨励する。

 また、以下の措置を通じ、上記の目標を達成する。

‐化石燃料の経済的利用の継続を可能にすると同時に、大気汚染と地球温暖化ガス排出の問題に対処できる、よりクリーンで低排出の技術を促進する。

‐バイオ燃料の利用を促進し、バイオ燃料のより自由な貿易及び原動機や自動車に使用されるバイオ燃料の基準設定に向けた作業を行う。

‐エネルギー効率化及び省エネルギー計画の強化を通じた国際協力を強化すると同時に、エネルギー効率の改善及び省エネルギーに向けた具体的行動をとる。

‐エネルギー効率改善のため、各国別目標及び行動計画を自主的に策定する。

‐革新的な資金計画を通じて、再生可能エネルギー及び代替エネルギー資源に係る能力を向上させ、費用を削減する。

‐バイオ燃料の研究・開発を含め、新エネルギー及び再生可能エネルギーの資源と技術の探求の強化に向けた共同の努力を奨励する。

‐ASEAN電力網やASEAN縦断ガスパイプラインのような地域のエネルギーインフラへの投資を通じて、安定したエネルギー供給を確保する。

‐石油収入及び利潤を域内発展途上国への株式投資や長期で利用しやすい借款の供与へと還流させることを奨励する。

‐各国別計画、多国間又は地域の自主的な或いは商業的取り決めといった、戦略的燃料備蓄のあり得べき形態について探求する。

‐石炭のクリーンな利用及びクリーン石炭技術並びに地球規模の気候変動を緩和するための国際環境協力を促進する。

‐エネルギー製品に関する研究・開発、成功経験の共有及び資金供給に係る地域又は二国間の協力を追求する。

‐後発開発途上国が以上の目標を達成するために必要な国家的な能力構築の強化を支援する。

 以上の措置の実施を確保するために必要な、適切な報告を含むフォローアップ活動は、現行のASEANのメカニズムを通じ、東アジア首脳会議参加国間の緊密な協議によって行われる。

 2007年1月15日、セブで採択した。