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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 東アジア首脳会議(EAS)防災に関する声明

[場所] チャアム・ホアヒン
[年月日] 2009年10月25日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

我々、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国、オーストラリア連邦、中華人民共和国、インド共和国、日本国、大韓民国及びニュージーランドの国家及び政府の長は、タイにおける2009年10月25日の第4回東アジア首脳会議(EAS)の機会に、

東アジア首脳会議(EAS)及びアジア太平洋地域の諸国が経験した最近の災害による影響で失われた生命、財産及び生活に対する悲しみを表明し、また、持続可能な成長の達成、特にミレニアム開発目標及び地域統合プロセスを含む国際的に合意された開発戦略の達成を阻害するような国家に対する長期的で否定的な社会的、経済的及び環境的帰結に対する深い懸念を表明し、

国民が、災害の影響を軽減する上で、より強靱で自立できるよう、その脆弱性を軽減し能力を拡大するため、パートナーシップと協力の精神の下、効果的な災害リスク削減を追求するとの、EAS各国の約束を再確認し、また、災害リスク削減は2007年1月の第2回EASにおいて決定された優先的協力分野の一つであることを想起し、

主要な国際的及び地域的枠組みにおける災害リスク削減及び防災に関する文書、特に、兵庫行動枠組2005-2015、ASEAN防災緊急対応協定(AADMER)2005、2005年アジアにおける災害リスク削減のための北京行動、2005年東アジア首脳会議におけるクアラルンプール宣言、2006年ARF防災緊急対応に関する声明、2007年アジアにおける災害リスク削減に関するデリー宣言及び関連のUNGA諸決議の中の原則及び提言を想起し、

災害に対する早期警戒を含む、災害リスク削減及び防災に関する、効果的な地域のアプローチ、メカニズム及び能力の維持・発展を支援することを再確認し、また、ASEAN特にASEAN防災委員会(ACDM)、ASEAN地域フォーラム及びその他の地域イニシアティブが災害リスク削減と防災に関する協力を強化するための努力を認識し、

積極的な協力及びASEANの様々な地域協力イニシアティブを認識し、ミャンマーにおけるサイクロン・ナルギスの犠牲者に対するASEAN主導の調整メカニズムを通じたASEANの指導力を歓迎し、

自身の持続的成長及び災害リスク管理における各国の主要な役割及び各国のこの目的に向けた努力の追求を国際協力とパートナーシップにより支援することの重要性を認識し、

防災の強化のための各地域機関、各国政府、市民社会及び他の機関によりすでに進められている重要な努力、既存の取組の強化を継続する必要性及び重複の回避とより結束した努力を確保することの重要性を認識し、

既存の災害リスク削減の努力を補完し強化する設備を構築し、国家の防災能力を向上させるためのオーストラリアとインドネシアによる共同イニシアティブを歓迎し、

災害リスク削減及び防災に対する統合的且つ多重災害アプローチを採用すること、貧困、住宅、水、衛生、エネルギー、保健、農業、教育、インフラ及び環境等の主要な分野において、災害リスク削減をすべてのレベルにおける国家の持続的成長に関する政策、計画及び事業へ主流化する重要性を強調し、

地域社会は災害に直面し対応する最前線にあることを認識し、それ故、生命、生活及び尊厳が危険に晒されている人々を助けるために注意が払われるべき地域社会を基盤とした準備、緩和、対応及び復興を通じた災害リスク管理のすべての局面において、地域社会を中心に置くことの重要性を強調し、

ここに、以下を努力する:

1.政策、計画、手続き、制度、トレーニング、運用メカニズムのインターオペラビリティに関する地域各国の能力強化の努力を支援する。その能力は、効率的かつ効果的な地域的対応のため地方、国、地域及び国際的に統合されなければならない。

2.端から端までの地域における早期警戒システムと対応能力を含む国境を越えた多重災害のための統合された準備能力の発展及び気候変動への脆弱性を含む地域の住民に対する災害の影響を緩和するような時期を得た、信頼性のある、わかりやすい警戒情報とリスクに直面している社会への迅速な対応のための効果的なネットワークを育成するため国際機関と国連専門機関と協力し、地方、国、地域の防災機関間の結びつき及びネットワークを強化するために協力する。

3.多重災害へのアプローチによる自然災害への準備及び津波早期警戒能力の構築のための地域協力強化のための包括的及び組織的アプローチを確保するため、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)におけるインド洋及び東南アジアの早期警戒システム取極のための地域の任意信託基金に引き続き支援を提供するため協力する。

4.特に、結びつきの形成、そして/または、地域の予備取極、特に、災害救済及び緊急対応のためのASEANのスタンドバイ取極のための適当な資産及び能力の任意的な指定、そして/または、効果的で時宜にかなった方法で資産及び能力を適切に動員するためのニーズ評価のためのものを含む最適な共通の手続き及びメカニズムの発展による人道的調整及び大きな災害に対応するためのリーダーシップの強化のためASEANの努力を支援する。

5.災害後の管理及び復興努力を強化するため協力し、また、ASEAN主導のメカニズム及び地域におけるその他機関への支援を含む救済から復興への円滑な移行を確保するための災害直後の段階における早期の復興活動のさらなる統合をはかるため協力する。

6.災害リスク削減を考案し、戦略的開発、政策規制と計画に組み入れるために各国政府を支援し、災害の原因についてのよりよい理解と知識を育成し、また、とりわけ、経験及び技術的知識の移転と交流、災害リスク削減のための教育及び研修プログラム、関連データ及び情報へのアクセス、コミュニティーに根ざした機関を含む組織的配置の強化を通じた適応能力の構築及び強化のため協力する。

7.安全と予防の文化の浸透、また、地域社会の回復力を増進させる観点より、学校、社会、政府機関、一般大衆を含む市民の災害とリスクその他の問題の削減に関連する警戒を高めることにより、災害リスク削減及び防災に関する理解を促進するにあたってより効果的な社会に根ざした手段及びアプローチを発展させるために相互に助け合う。

8.環境及び人間による活動相互の否定的な影響を緩和する観点より、天然資源、特に森林及び水資源の持続的な方法による開発及び管理の分野における関連法の整備と法執行能力の強化についての各国政府への支援のため協力する。

9.国家能力及び国連のシステムを含む災害管理についての地域の連携の改善の観点より、とりわけASEAN災害緊急対応演習及びその他関連演習を通じ、専門家、対応者、実務者によるベストプラクティス、経験及び運用マニュアルについてのネットワーク作り及び共有を促進するために協働する。

10.共同災害救済と緊急対応オペレーションの連携と地域的スタンドバイ取極のためのASEAN標準運用手続き(SASOP)等の標準運用手続きの運用及び強化、また、人道的援助及び災害救済のための継続したARF戦略的ガイダンスの発展を支援し、域内外の早期警戒と人道支援センターとのより緊密な相互作用の強化のため人道的援助及び災害救済との両立性の増進に取り組む。

11.リスク評価、モニタリング及び早期警戒情報のための科学技術の方法を改善するため地方、国、地域の及び国際的な早期警戒制度の技術的能力を強化するために協働する。

12.ASEAN人道支援調整センター(AHA)の運用を支援し、また、同センターのASEAN域内における大きな災害の際の連携した支援の運用及び地域的活動の実施における技術的リーダーシップの能力強化のため支援する。

13.また、技術的及びキャパシティビルディングにあたってアジア防災センター(ADRC),アジア災害予防センター(ADPC)その他地域センター等地域関連機関の努力を支援し、UNESCAP等の機関を通じ災害リスク削減及び防災についての地域の包括的研究を促進し、アジアにおける大災害についての地域研究センターの設立に関する中国の提案を支持する。

14.EAS参加国の災害リスク削減及び災害リスク管理についての能力を強化するためのキャパシティビルディングに関するプログラムを地方、国、地域、及び国際的に促進し、また、キャパシティビルディングプログラムの実施についての資源をてこいれするためトレーニング及び研究センター間を結びつける。

上記の措置の実施を確保するための必要なフォローアップ活動は、EAS参加国との緊密な協議とともにASEANの既存の地域的枠組み及びメカニズムを通じてとられる。

2009年10月25日にホアヒンにて採択された。