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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ASEAN連結性に関する東アジア首脳会議(EAS)宣言

[場所] バリ
[年月日] 2011年11月19日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文]

 我々,東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国,オーストラリア連邦,中華人民共和国,インド共和国,日本国,大韓民国,ニュージーランド,ロシア連邦,アメリカ合衆国の国家元首及び行政府の長は,第6回東アジア首脳会議の機会に,

ASEAN連結性マスタープランの採択に関する2010年のハノイ宣言及び東アジアにおけるより広範な地域枠組み内部及びASEAN域内の統合を補完し支 援する,ASEAN域内の連結性を強化するとの考えを明確にした,ASEAN連結性に関する2009年のASEAN首脳声明を歓迎し,

東アジア首脳会議の5周年記念のハノイ宣言やASEAN連結性マスタープランに対する支援,支援の実施に向けたASEANとの連携の意図を想起し,

貿易,投資,インフラ,観光,人的交流,文化交流の強化を通じた域内の連結性強化がすべての東アジア首脳会議参加国に裨益し,域内の格差是正,異文化理解の促進のみならず,東アジア地域における共同体構築に向けた継続中の取組を補完し,一助となることを認識し,

物理的連結性・制度的連結性・人的連結性という三本柱すべてに関して,東南アジアにおける大陸部と島嶼部間の連結性やASEAN加盟国間での域内の相互連 結性の進展にも同様に重点を置きつつ,ASEAN連結性マスタープランを効果的かつ時宜を得た形で実施することへの支援を再確認し,

ASEAN連結性は,東アジアにおける連結性強化の進展に向けた,第一歩であることを認識し,

以下の通りここに宣言する。

1. ASEAN連結性を,他の優先協力分野に加えて,EASにおける鍵となる協力分野の一つに含める。

2. 特に,資源や専門知識の動員,情報共有,物理的連結性・制度的連結性・人的連結性の3分野でEAS参加国が参加し得る協力プロジェクトの特定について,連結性に関するイニシアティブにおけるASEANとEAS参加国との協力を支援し,促進する。

3. ASEAN連結性マスタープランの下のプロジェクトの実施を支援するための資源を動員するため,地域における官民パートナーシップ(PPP)開発アジェンダの発展を支援するとともに,二国間協定及び地域・国際金融機関を活用して取り組む。

4. シンポジウム,ワークショップ,セミナー,経済ミッション,研修といったアウトリーチや広報活動を通じて,潜在的な利益や経済的な機会を含む,ASEAN連結性マスタープランに対する官民双方の普及啓発を促進する。

5. 新しい革新的な資金源を通じた具体的かつ融資可能なPPP案件を含むASEAN連結性マスタープランの下の主要優先案件への官民双方の関与を奨励する。

6. 教育,生涯学習,人材育成,イノベーション,起業家精神,文化交流及び観光関連等の,人的連結性に関する関与及び協力を一層促進する。

7. ASEAN連結性マスタープランを効果的に実施することでASEAN連結性の優先性を維持しつつ,「アジア総合開発計画」等のイニシアティブを適切に 関連して,ASEANを越えた連結性を拡大し,ASEANとEAS参加国との間のより一層の結びつきを発展させる「ASEAN連結性マスタープランプラ ス」の将来的な可能性を検討する。

 2011年11月19日,インドネシア・バリにおいて,EAS参加国の国家元首及び行政府の長によって採択された。