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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 互恵関係に向けた原則に関する東アジア首脳会議(EAS)宣言

[場所] バリ
[年月日] 2011年11月19日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文]

 我々,東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国,オーストラリア連邦,中華人民共和国,インド共和国,日本国,大韓民国,ニュージーランド,ロシア連邦,アメリカ合衆国の国家元首及び行政府の長は,第6回東アジア首脳会議の機会に,

国連憲章の目的と諸原則,東南アジアにおける友好協力条約及びその他の確立された国際法の諸原則に対するコミットメントを再確認し,

2005年の東アジア首脳会議に関するクアラルンプール宣言を想起し,東アジア首脳会議(EAS)の広範なビジョン,原則,目的,形態を設定した同宣言の重要性を再確認し,

EASの優先分野や,東アジア自由貿易圏構想(EAFTA)及び東アジア包括的経済連携構想(CEPEA)の研究を含むその他の広域地域経済連携に関する取組の進展と協力に向けて一層努力するとのEAS5周年記念のハノイ宣言におけるコミットメントを想起し,

共通の関心と懸念を有する広範な戦略的,政治的及び経済的諸問題について,東アジアにおける平和,安定及び経済的繁栄を促進することを目的とした対話を行うための首脳主導のフォーラムとしてのEASの共通ビジョンを強調し,

確立された原則,目的,形態に基づき,EASを強化することを希求し,

ASEANが,EASの他の参加国と緊密に連携しつつ,EASの推進力となることを再確認し,

EASが,ASEAN+1,ASEAN+3,ASEAN地域フォーラム(ARF),拡大ASEAN国防相会議(ADMM+)などの他の相互強化プロセスを含む,進化する地域枠組みの不可分の一部であることを再確認し,

ロシア連邦及びアメリカ合衆国の東アジア首脳会議への参加を歓迎し,

海洋に関する国際法が,地域の平和と安定の維持のために必須の規範を含むことを認識し,

平等,パートナーシップ,協議及び相互尊重の原則を維持しつつ,我々各国間の協力の一層の促進と現在の友好関係の強化のため,平和的な環境を形成すること,及びこれによりこの地域及び世界全体の平和,安定及び繁栄に貢献することを希求し,

EAS参加国は友好かつ互恵関係に向けた以下の原則に依拠することをここに宣言する。

・独立,主権,平等,領土保全,国家的同一性のための相互尊重の強化

・国際法の尊重

・相互理解,相互信頼,友情の強化

・善隣,パートナーシップ,共同体構築の促進

・平和,安定,安全保障,繁栄の維持・促進

・他国の内政への不干渉

・国連憲章に整合的な形での,武力による威嚇及び他国への武力行使の放棄

・穏健派の意見の増進等を通じた,民族的,宗教的,文化的な伝統・価値の多様性及び見解や立場の多様性の認識及び尊重

・経済的打撃や自然災害に直面した際を含む,地域の回復力の強化

・基本的自由の尊重,人権の促進・保護,社会的正義の促進

・相違や紛争の平和的解決

・EAS内部及び他の地域枠組みとの互恵的な協力の強化

 2011年11月19日,インドネシア・バリにおいて,EAS参加国の国家元首及び行政府の長によって採択された。