[内閣名] 第49代第3次吉田(昭和24.2.16〜27.10.30)
[国会回次] 第7回(常会)
[演説者] 青木孝義国務大臣(経済安定本部総務長官)
[演説種別] 統制緩和について
[衆議院演説年月日] 1949/12/23
[参議院演説年月日] 1949/12/23
[全文]
統制物資の大幅整理につきまして、去る19日、特に司令部からメモが参りまして、その結果、本日午後1時に、マッカーサー元帥並びに吉田総理大臣から、談話の形式で、統制物資の大幅整理について発表に相なっておりまするので、皆様御承知であろうと存じまするが、統制物資の整理状況について御報告申し上げたいと存じます。
昨年末以来、いわゆる9原則の線に沿いまして、政府は経済安定施策の実施に鋭意努力して来たのでありますが、各方面の協力により着々その成果を収め、重要生産資材の需給状況も逐次均衡を回復して参りましたので、今春以来、数次にわたって割当統制の1部廃止を行って来たことは、すでに御承知の通りであります。その結果、当初254品目を数えました指定生産資材は、136品目に減少いたしました。加うるに、最近に至りましては、民間貿易の自由がますます拡大せられて、明年1月1日より、輸入も大部分民間にゆだねられることになりまして、かたがた物資の需給状況はますます好転することが予想せられますとともに、この際経済界の活動を極力自由ならしめることが適当と考えられますので、政府当局におきましては、統制品目の大幅整理を総司令部当局に懇請いたしておったのでありますが、たまたま今般、63品目について割当統制を廃止すべき旨の覚書に接しましたので、さっそく明年1月1日より実施すべく準備をいたしておる次第でございます。
なおまた、右に関連いたしまして、今回の割当統制廃止品目につきましては、経済安定上支障のない限り、価格統制、輸送統制、使用制限等、各種の制限も極力廃止するとともに、右の資材を原料とする製品につきましても、統制を改廃すべく研究をいたしております。このほか、さらに進んで、今回の統制廃止後もなお残存いたしまする約80品目の生産資材につきましても、今後の経済情勢に即応いたしまして、できるだけ早い機会に統制を廃止したいと考えております。
かような次第で、明年は国内の経済活動は一段と自由活発となり、民間輸入も、経済界の動きに応じて最も効率的に運営せられることが期待できるのでありまして、自由な経済競争を通じて、企業合理化が大いに促進せられるものと考えるのであります。政府といたしましても、右のような線に沿って、ますます経済の安定を強化し、自由経済の完全な実現に向かってなお一層の努力を拂いたいと覚悟いたしておる次第であります。