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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] イスラエル・パレスチナ和平信頼醸成会議における川口外務大臣メッセージ

[場所] 
[年月日] 2003年5月20日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 本日、ここにイスラエル、パレスチナ自治区双方の社会を幅広く代表する方々の参加を得て、信頼醸成会議「安定的な相互依存関係の樹立に向けて」を開会できたことを、心よりうれしく思います。我が国は、イスラエル、パレスチナ人双方の良き友人として、それぞれの間で深いバイラテラルの関係を築いてきました。また、近年では、イスラエル、パレスチナ側双方のヤング・リーダーや若手外交官の招聘等を通じて、イスラエル・パレスチナ間の信頼の芽を育む取組を行ってきました。こうした我が国の取組が、今回、現下の厳しい現地情勢の下においても、粘り強く和平に向けた取組を続けておられる方々の参加を得て、様々な視点から、和平へのビジョンにつき討議する会議へと結実したことは、感慨に堪えません。この試みを、来年、再来年と続け、この会合を信頼醸成の「フォーラム」としていけることを期待しています。

 現在、中東和平には新たな機会が訪れています。今年初めにはイスラエル新政権が、また四月にはパレスチナ自治政府の新内閣が発足し、「ロードマップ」が公表されました。また、シリア、レバノンを含むこの地域の包括的和平への可能性も見えつつあります。私は、今回の私のイスラエル、パレスチナ自治政府への訪問において、双方の指導者達に、この機会を逃さず、和平に向かって着実な歩みを続けてほしいと述べました。この場にお集まりの方々には、双方の指導者を和平への歩みに向けて後押しし、勇気づけていただきたいと思います。また、我が国としてもそのための取組に協力していきます。

 本日の会議においては、「二国家構想」(two−state vision)に基づきイスラエル、パレスチナの二つの国家が如何なる相互依存関係を構築するのか、そのビジョンについて話し合っていただくことになります。この地は、欧州とアラブ世界の間の交差点であり、この地域の平和と安定により、イスラエル、パレスチナ双方の人々のみならず、幅広く世界が裨益することは言うまでもありません。また、海を隔てる日本も、この地域の平和と安定を心から願っています。有意義な討議がなされることを、心から期待します。