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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「気候変動に関する更なる行動」に関する非公式会合における川口外務大臣挨拶

[場所] 
[年月日] 2003年7月2日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

ご列席の皆様、

 本日、ここに様々な地域から気候変動に取り組んでおられる皆様の参加を得て、「気候変動に関する更なる行動」に関する非公式会合が我が国及びブラジルとの共同議長の下で開催できることを心より嬉しく思います。皆様の参加により議論が有益なものとなることを確信しております。また、国際機関や非政府組織からのオブザーバーの皆様を歓迎します。

 地球温暖化は、人類の生存に関わる深刻な問題であり、早急に取組を強化しなければなりません。京都議定書は、地球温暖化に対する国際的な取組強化のための重要な第一歩ですが、気候変動枠組条約の規定する大気中の温室効果ガスの濃度の安定化という長期的目標に向けた、我々の努力のほんの始まりにすぎません。地球温暖化対策の実効性を確保するためには、今後、全ての国が共通ルールの下で温室効果ガスの排出抑制・削減に努力することが必要であり、今から2013年以降の我々の行動について検討を開始することが重要です。

 昨年の第8回締約国会議(COP8)で採択されたデリー閣僚宣言では、気候変動に対する効果的かつ適切な対応を形成していくために非公式な意見交換を促進すべきである旨が盛り込まれました。将来のより包括的な国際的ルール策定に向けて、主要各国間の実質的な意見交換を更に進めていくことが重要と考え、我が国は、本会合のイニシアティブを取っています。

 本会合に参加している私達は、世界の温室効果ガスのうちの80%近くを排出しています。各国によりその立場や状況は相当異なりますが、私は、東京にご参集頂いた出席者の皆様が、気候変動に対処することに貢献するとの共通の願いを持って結束していることを確信しております。私は、環境大臣当時、COP6、COP6再開会合及びマラケシュ合意を導いたCOP7における徹夜の会合に参加したことから、個人的にも特別な思い入れを気候変動及び京都議定書に対し持ち続けております。本会合の日程は幸運なことに比較的余裕があるものとなっていますので、クリエイティブな形で互いに影響を及ぼす会合となることでしょう。この3日間の議論により、それぞれの関心事項により理解を深め、前に進むための可能性を探求されることを心より期待しております。私はこれをより良い未来を築くための日本とブラジルのプラグマティズムと呼びたいと思います。