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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 国際熱帯木材機関(ITTO)第35回理事会における川口外務大臣メッセージ

[場所] 横浜
[年月日] 2003年11月3日
[出典] 外務省
[備考] 注:このメッセージは、11月3日、横浜で行われたITTO第35回理事会開会セッションで読み上げられたものである。
[全文]

議長

大臣閣下

ITTO事務局長

御列席の皆様

 第35回ITTO理事会の開会セッションにメッセージをお送りできることは私の喜びです。

 日本国政府を代表して今回の会合に参加するために御参集頂いた皆様に歓迎の意を表したいと思います。

 ITTOが創設されてから16年以上が経過しました。その間、ITTOは熱帯木材貿易の安定と促進に多大な役割を果たすと同時に、情報交換、政策ガイドライン策定、重要なプロジェクトの実施を通じて、持続可能な森林経営の維持に大きな貢献を果たしてきました。

 日本は、このようなITTOの貢献を大いに評価し、同時に、創設以来、ITTOに対し、プロジェクトへの資金協力、政策検討への積極的な参加、理事会を日本で開催すること、更に本部事務局そのものを日本に置いていることへの協力を通じ、積極的な支援を行ってきました。

 私達は、持続可能な森林経営を害する違法伐採等の新たな課題、問題に直面しています。この観点から、私はこの機会をとらえて、最近、日本がとった2つのイニシアティブを御報告したいと思います。

 本年6月、メガワティー・インドネシア大統領来日の際に、私とプラコサ・インドネシア林業大臣との間で、日・インドネシア違法伐採対策協力に関する共同発表に署名しました。同共同発表のなかで、日本とインドネシアは、違法伐採問題の取り組みへの対応がいかに重要であるかを確認しました。

 第2のイニシアティブは「アジア森林パートナーシップ」(AFP)です。同イニシアティブは、アジアでの持続可能な森林経営を維持するという目的の下、昨年の「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(WSSD)で開始されたものです。これまでの2回のAFP会合においては、違法伐採対策、森林火災予防そして植林を含む荒廃地の復旧等の分野での具体的活動が検討されてきています。第3回目のAFP会合は、今月21日、日本で開催されることになっています。

 第2回現行国際熱帯木材協定改定準備会合が本理事会の直後に行われることになっています。現行の国際熱帯木材協定は、バランスのとれたものであり、国際熱帯木材機関の目的と機能を適切に反映していると考えております。一方で、違法伐採、環境への配慮、市民社会の参加といった諸点について、新協定を検討する際に十分勘案する必要があると考えます。

 ITTOの重要な特徴の一つは、具体的なプロジェクトの実施にあります。現在の厳しい財政情勢にかんがみれば、ITTOの運営においては、効果的かつ効率的なプロジェクトの実施が最重要課題の一つであることを指摘したいと思います。メンバー国がこの点を理解し、プロジェクト・サイクルの改善についての検討を最近始めたことを評価しています。日本としては、効果的かつ効率的なプロジェクトの実現のために、これまでの協力を継続していく考えです。

 最後に、この機会を利用して、ITTOの事務局長とスタッフ、そして横浜市が本会議準備のために払われた御尽力、御協力に対し、御礼を申し上げたいと思います。

 今会期の成功とITTOの将来の成功を祈念しつつ、挨拶とさせて頂きます。