データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 国連総会首脳会合の開発資金に関する特別会合における町村外務大臣のステートメント

[場所] ニューヨーク
[年月日] 2005年9月14日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

 議長、

 この重要な会合において演説の機会を与えられたことに感謝の意を表します。

 はじめに、私は国連の基本目的の一つである、一層大きな自由の中で社会的進歩と生活水準の向上とを促進することに改めて言及します。この目的を達成するため、日本は、ミレニアム開発目標(MDGs)に対し強くコミットするとともに、最近の地球規模での政府開発援助(ODA)拡大の傾向を歓迎します。

 議長、

 2002年のモンテレイ会合において、国際社会は、国内資金の動員、ODA、貿易及び投資を含む開発資金への包括的なアプローチがMDGsを達成する上で不可欠であると合意しました。このアプローチに従って、日本は過去10年間世界第1位の援助国として、ふさわしい十分な水準のODAを確保し、ODA事業量の戦略的拡充を図っていく考えです。ここで私が個人的に関わった最近のイニシアティブのうちのいくつかにつき言及したいと思います。具体的には、日本政府は、今後5年間のODA事業量について100億ドルの積み増しを目指し、今後3年間でアフリカ向け支援を倍増する考えを表明しています。また、日本は、ODA事業量の規模を増額するだけでなく、パリ宣言の実施のための行動計画に基づき、援助の質と援助効率も向上させています。

 議長、

 日本が開発のために重要であると信じる2つのアプローチを説明させて頂きます。

 まず初めに、人間一人ひとりの保護と能力強化を柱とする、人間の安全保障です。私はMDGsの実現は、世界中の全ての人が自由と尊厳の中で生きられることを確保する試みの成功と共にあるべきだと考えております。

 第二に、日本は、開発途上国のオーナーシップを尊重しつつ、南南協力をこれまでも積極的に推進してきていますが、今後も引き続き積極的に推進します。4月に、インドネシアにおいて採択された、新たなアジア・アフリカ戦略的パートナーシップは、この分野における画期的な出来事であり、日本はこのパートナーシップを実行させることを約束しています。この新たなパートナーシップに対する日本の支援の一つの例として、アジア・アフリカ開発大学ネットワーク構想が挙げられます。同構想について、現在我々は、関心を有する国や機関とともに検討を行っております。

 議長、

 我々全てが認識しているように、今こそ我々の約束を断固たる行動に移すべき時です。私は、日本が、世界中の人々のより一層の幸せのために努力する他の全ての国とともに団結していくことを約束します。

 ありがとうございました。