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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第4回「気候変動に対する更なる行動」に関する非公式会合 町村外務大臣挨拶

[場所] 東京
[年月日] 2005年10月20日
[出典] 外務省仮訳
[備考] 
[全文]

 ご来賓の皆様、

 まずはじめに、ヨーケ・ウォラハンター気候変動枠組条約事務局長のご逝去に際して、深い哀悼の意を表したいと思います。訃報に我々は深く悲しんでおります。環境分野での故人の長きにわたる優れたリーダーシップに賛辞を送りたいと思います。

 第4回「気候変動に対する更なる行動」非公式会合を主催できることを嬉しく思います。まず最初に、これまで同様共同議長を引き受けて下さったブラジル政府、また、ここ東京まで遠路お越し下さった参加者・オブザーバーの方々に御礼申し上げます。また、会合開催にあたり資金支援を提供下さった加政府に感謝申し上げます。

 G8グレンイーグルズサミットで確認されたとおり、気候変動は地球のあらゆる場所に影響を及ぼす可能性のある深刻かつ長期的な課題であり、人間活動が温室効果ガス増加の主要な原因になっています。世界全体の温室効果ガス排出増加を止めるには具体的かつ緊急の行動が必要であることは我々全ての知るところとなっています。京都議定書の本年2月の発効は、全ての附属書・締約国が今や温室効果ガス削減の数値義務を負うことを示しています。京都議定書の下でのマイナス6%の削減約束を達成するため、日本政府は本年4月に「京都議定書目標達成計画」を策定し、技術革新やエネルギー効率の向上、全ての関係者の協力の奨励等を通じて環境と経済の両立を促進しています。わが国は、京都議定書の削減約束を着実に達成する決意です。

 京都議定書は気候変動問題に対処する重要なステップですが、第一歩に過ぎません。気候変動枠組条約に示された究極目的、すなわち、気候系に対して安全な水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させること、を達成するためには、温室効果ガスの長期的な緩和のための更なる努力が必要です。この目的を達成するためには、我々は、懲罰的でなく促進的かつ前向きの枠組みを構築し、先進国と途上国の双方を京都議定書の第一約束期間後の温室効果ガス削減努力に関与させなければなりません。

 5月にボンで行われた政府専門家セミナーは、政府関係者が将来枠組みについて情報を交換する最初の重要な機会でした。このセミナーでは、気候変動という深刻な課題に全ての国が対処しなくてはならず2013年以降全ての国が効果的な対策をとるべきであるということで、多くの参加者が一致を見ました。9月にオタワで行われたCOP11閣僚準備会合では、我々が取り組むべき課題が3つの「I」(必要な措置の実施(implementation)、既存メカニズムの改善(improvement)に加え、将来の枠組みについての想像(imagination)に集約されました。今回の非公式会合がこの3つの「I」とくにimaginationを豊かなものとしていくうえで参考になれば幸いです。

 皆様、

 気候変動枠組条約第11回締約国会議(COP11)は、11月にモントリオールで開催されます。これは、京都議定書第一回締約国会合(COP/MOP1)と併行して行われる大規模な会合となります。モントリオールでは、適応5カ年作業計画の採択、京都メカニズムの運用に必要な措置、地球温暖化に対処するための将来枠組みの検討、等の重要な議論が行われます。この会議の成功のためには、先進国と途上国の間に更なる信頼醸成が構築されなければなりません。今回の非公式会合がその目的に寄与できることを願っております。

 最後に、今日から始まるこの非公式会合で、忌憚のない建設的な意見交換が行われ、気候変動に対処するための全ての国の理解と協力に向けた明確な道筋が示されることを祈念しつつ、ご挨拶とさせて頂きます。

 ありがとうございました。