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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] アフガニスタンの安定に向けたDIAG会議(警察改革との連携)における麻生外務大臣冒頭スピーチ

[場所] 
[年月日] 2007年6月21日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

ハリリ副大統領

ケーニッヒスUNAMA代表

御列席の皆様、

 「アフガニスタンの安定に向けたDIAG会議:警察改革との連携」を開催することができ嬉しく思います。

 2002年1月に日本がアフガニスタン復興支援国際会議を開催してから5年以上が経ちました。アフガニスタンの国造りが平和、安定、民主主義の実現に向けて着実に前進しています。

 DDRの完了は、その中でもアフガニスタン政府が誇れる顕著な成果です。DDRは2003年2月の東京会合を皮切りに開始されました。DDRはアフガニスタン政府の強い決意と国際社会の協力を得て昨年6月に成功裏に完了しました。

 これらの成果はアフガニスタンの安定に向けた重要な一歩ですが、課題は依然山積しています。特に、アフガニスタン政府のガバナンスの弱さが依然として復興を阻んでいます。

 従って、DIAGの成功は喫緊の課題です。DIAGによって、中央政府の権威を地方に伸長させ、法の支配を全土に確立することができます。また、DIAGが地域社会の住民をより安全にするものであることを念頭に置く必要があります。DIAGは武装集団を市民社会へ復帰させる重要なプログラムです。

 DIAGは社会構造の変革を伴うため、その成功には無数の困難が立ちはだかります。1876年に日本でも近代国家となるために廃刀令が発せられたことがあります。刀はそれまで一番社会的身分の高かった武士の象徴であり、廃刀令は日本にとって重要な改革でした。廃刀令に反対する士族の反乱も起きました。

 日本はこのプロセスを経て、近代的な法治国家となりました。現在の日本の繁栄と世界に誇れる安全な社会の基礎がここにあります。

 幸運なことに、DIAGは、軍閥や武器のない社会を求めるアフガン国民から圧倒的な支持を得ています。

 カルザイ大統領の元にはDIAGの実施を強く求める国民からの多くの手紙が届いたと聞いています。また、同大統領がガズニ県を訪れた際には、国民から「我々は法の下に暮らしたい」との要請を受けたと聞いています。

 カルザイ大統領は国民の声に応え、昨年7月の「アフガニスタンの平和の定着に関する第2回東京会合」において、DIAG実施に向けた強いコミットメントを表明しました。これを契機として、アフガニスタン政府のオーナーシップが増してきていることを我が国は高く評価します。

 日本は、アフガニスタンの安定と復興に強くコミットしており、アフガニスタン政府及び国民自ら復興支援を行う意志がある限り、支援を継続します。

 日本はこれまで12億ドル以上の支援を実施しており、更に2006年初頭のロンドン会議でプレッジした残りの2.5億ドルの支援を着実に行っていく考えです。特に重点分野であるDDR及びDIAGにおいては、政策調整や1億3,500万ドルのODAを通じて積極的に支援してきています。

 今後は内務省DIAG課設立をはじめとする持続可能なDIAG実施体制の確立に積極的に取り組んでいきます。

御列席の皆様、

 本日の会議をもって、DIAGは2年間の準備段階から本格的なオペレーション段階に入ります。この段階では他の分野との連携を考慮に入れる必要があります。これらの分野には警察改革、麻薬対策及び地方開発が含まれます。

 とりわけ警察改革との連携は重要です。警察力によるバックアップなくしてDIAGの成功はありません。本日の議論を通じて、警察改革をはじめとする分野との連携がどうあるべきか関係者が知恵を絞ってプランを描く必要があります。

 最後に、この会議が生産的な成果を生むことを願い、開会の辞を締めくくらせて頂きます。御静聴ありがとうございます。