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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「平成21年北方領土返還要求全国大会」における外務大臣挨拶

[場所] 東京
[年月日] 2009年2月7日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 本日は、元島民の皆様、北方領土問題の地元であります北海道の皆様、北方領土返還要求運動の関係者の皆様から、北方領土返還に向けた熱い思いをお伺いしました。特に新堀君とおじいさまのお話をお伺いし、北方領土の返還を早期に実現しなければとの決意を新たにしました。

 このように、政府と国民の皆様が一丸となって北方領土返還運動を強力に推進していくことは、我が国が、我が国固有の領土である北方領土の返還を一貫して求めているということをロシア側に強くアピールすることにもつながるものであり、北方領土問題の解決のために極めて重要です。この場をお借りしまして、これまで皆様の北方領土返還運動への取組に感謝申し上げますとともに、引き続き皆様方の御協力を賜りますよう心からお願い申し上げます。我々としても一生懸命、解決に向けて努力しており、本日はこの場以外にも、橋本副大臣を北海道根室に派遣しております。また、この場にいらっしゃる皆様、一人一人のお顔を拝見するに、北方領土問題解決への思いを強く感じております。

 先程、麻生総理から、昨年11月の日露首脳会談についてお話がありましたが、私自身も、昨年11月、来日したロシアのラヴロフ外務大臣との間で外相会談を行い、私からラヴロフ外相に対し、平和条約締結交渉の現状についての率直な評価を述べるとともに、領土交渉についても、経済分野などにみられる質的な進展に見合うような進展を図らなければならない旨強く指摘しました。

 アジア太平洋地域における重要な隣国であるロシアとの間で、幅広い分野での関係を更に進展させるためには、何としても領土問題の解決が必要です。私も、外務大臣として、この問題の最終的解決に向けて具体的な成果が得られるよう、引き続き精力的にロシアとの交渉を進めてまいります。

 平和条約締結交渉を進めるためにも、両国国民の相互理解が必要であります。この意味で、四島交流及び北方四島住民支援事業は、我が国国民と北方四島住民との相互理解を図り、平和条約締結交渉の環境整備として大変重要な役割を果たしております。これに関連し、北方四島住民への人道支援物資の供与事業については、本年度の物資供与が、ロシア側が合意に反し出入国カードの提出を要求してきたことを原因として実施されないという残念な問題が生じました。このような問題が繰り返されることのないよう、両国外務省間で協議を行うことで一致しており、我が国の法的立場が害されない形での早期解決に努めているところです。関係者の方々には大変御心配をおかけしていることと思いますが、御理解いただければ幸いです。

全国の北方領土返還要求団体の皆様の御協力が不可欠です。これまでの御協力に心より感謝申し上げますとともに、重ねて一層の御協力をお願い申し上げます。

 最後に、皆様の御健勝を祈念し、実行委員会、参加者の皆様、特に毎年参加されている皆様へ心から敬意を表しまして、私の挨拶とさせていただきます。