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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第5回太平洋・島サミット外務大臣夫妻主催レセプションにおける中曽根外務大臣のスピーチ

[場所] 東京
[年月日] 2009年5月21日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

タランギPIF議長、

太平洋諸島フォーラム首脳及び閣僚、令夫人の皆様、

駐日大使閣下、

友好議連の皆様、

ご列席の皆様、

 本日、皆様をお迎えしてレセプションを開催することができ大変光栄に思います。これだけ多くの方々に集まって頂けたことは、1997年に始まった太平洋・島サミットが、日本と太平洋島嶼国との関係に多くの果実をもたらしていることの証左であり、大変嬉しく思います。

 私と太平洋島嶼国との関わりは1985年にさかのぼります。私は総理大臣であった父の秘書官として、パプアニューギニアとフィジーを訪問した際に、島国の儀礼の際に供されるカヴァを頂くなど心暖まる歓迎を受けたことを懐かしく思い出します。特に、ここにおられるソマレ首相は、当時も首相を務められており、24年の時を経て東京で再びお目にかかれたことは大変喜ばしいことです。

 この24年間で、日本と太平洋島嶼国は、太平洋を共有する隣人として、ODA、漁業、観光、国際場裡での協力など幅広いパートナーシップを着実に強化してきています。外交面で言えば、1997年に開始された島サミットはもちろんのこと、我が国は、24年前には3つしかなかった太平洋島嶼国における日本大使館の数を地道に7つまで増やし、太平洋島嶼国とのコミュニケーションを緊密にしてきました。こうした成果はここにいる皆様のご協力があって始めて実現したものであり、この場を借りて感謝申し上げるとともに、今後、更に外交拠点の数を増やしていきたいと思います。

 5回目となる今次サミットについてですが、私も外務大臣として、太平洋島嶼国の重要性を国内で訴えるとともに、インパクトのあるイニシアティブを打ち出すべしとの麻生総理の指示の下、最大限の努力を行ってきました。明日から始まる第5回太平洋・島サミットでは、環境・気候変動、人間の安全保障、人的交流という3つの柱で、前向きかつ具体的なイニシアティブを打ち出していきたいと考えております。

 環境・気候変動問題については、太平洋環境共同体を目指すというヴィジョンの下、我が国の優れた環境技術を活用して太平洋島嶼国の国造りに貢献していきたいと思います。

 また、昨日、森元総理の議長の下、この地域の共通課題である水供給に関する問題について、各国首脳の参加を得てシンポジウムが開催され、明日以降の議論に有益な示唆を得られたと聞いております。水分野を含め、人間の安全保障の視点を踏まえた支援も積極的に行っていく考えです。

 人と人との交流については、本日、日本ラグビーフットボール協会のご協力を得て、ここに大洋州地域の選手をお招きしていますが、スポーツ交流を含めた人と人との絆が日本と太平洋島嶼国との関係の基礎となっていることは言うまでもなく、政府としても、様々な交流プログラムを実施していく考えです。

 最後になりますが、第5回太平洋の島国のサミットが成功し、日本と太平洋の島国のパートナーシップが更に発展していくことを祈念して私の挨拶とさせて頂きます。