[文書名] 東京アフリカン・クラブにおける岡田外務大臣冒頭発言
本日は、衆参両議院で、鳩山総理が所信表明演説を行いました。日本でも政権交代が実現し、新しい時代の始まりを感じました。
我が国新政権における外交責任者として、アフリカ各国大使の皆様とは、できるだけ早くお会いしたいと思っていました。本日、鳩山政権の対アフリカ外交につき、皆様と意見交換を行えることを大変嬉しく思います。
本日は、我が国の対アフリカ外交の2つの基本方針を申し上げます。
第1は、アフリカの開発・成長に対する支援であります。
先般、鳩山総理は、国連総会において、TICADのプロセスを継続・強化することを明確に述べました。鳩山政権は、2012年までのアフリカ向けODA倍増、民間投資倍増支援等のTICAD IVの約束を必ず実行します。
ODAの実施にあたっては、MDGs達成と人間の安全保障のみならず、成長の加速化、平和の定着とグッドガバナンス、環境・気候変動問題への対処も重視することに変更はありません。また、日本とアフリカの貿易・投資関係の強化のために政府として民間企業とも密接に連携しつつ積極的に側面支援していく考えです。
在京アフリカ外交団の皆様には、TICADの準備・フォローアップに際し、アフリカの生の声を伝え、かつ建設的協力者として、多大なるご貢献を頂いていると伺っています。この場をお借りして、深く感謝申し上げます。
第2は、アフリカの平和と安定に対する貢献です。
平和と安定なしに開発・成長は実現できません。鳩山政権は、平和を構築し、定着させていく取組に、PKOも含め、きちんとした役割を果たしていきます。PKOについては、より積極的に関与するためにPKO法改正を含めた検討を進めることを先般明らかにしました。そして、スーダン、ソマリア等の紛争の解決のためにこれまで以上の貢献を行う考えです。また、そのためにアフリカ連合との協力も強化していく考えです。
私自身、2005年にスーダンのダルフールを、また2006年にケニアのビクトリア湖周辺地域を訪れ、紛争の悲惨さ、深刻な貧困やエイズの状況、こうした問題に懸命に取り組むアフリカの人々の努力をまのあたりにした経験があります。スーダンで活躍されていたアフリカ連合(AU)各国の協力振りが非常に印象に残りました。そして、アフリカの問題は国際社会全体の課題であり、国際社会が一致して取り組まなければならないという、そのときに感じた思いに今も変わりはありません。
また、私は、ケニア訪問直後に朝日新聞に寄稿し、同じ人間として共感を持って、アフリカの貧困やエイズの問題に取り組まなければならないと強調しました。
以上の基本方針に則って、皆様とともにアフリカに対する取組みを強化していく考えですので、これから時間の許す限り、皆様のお考えをお聞かせ頂きたいと思います。