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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ハイチ支援国会合における岡田大臣ステートメント

[場所] ニューヨーク
[年月日] 2010年3月31日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

プレヴァル大統領

潘基文国連事務総長

クリントン国務長官

御列席の皆様

1.ハイチに対する国際社会の連帯を示す本日の会合の実現に尽力された国連、米国及び共同議長国はじめ関係者の御努力に感謝します。

2.先日、私はハイチを訪問しました。ハイチの現状を視察し、その被害の大きさや被災者の苦悩に胸が痛みました。同時に、現地の困難な状況の中で復旧・復興に当たる人々の強い思いと努力に感銘を受けました。

3.私は、現地視察を通じ、ハイチにおける喫緊の課題は、瓦礫の除去、雨期を目前に控えてのシェルターの確保、感染症蔓延の防止であると痛感しました。

4.我が国は、これまでに国際緊急援助隊による医療活動や国連ハイチ安定化ミッション(MINUSTAH)に参加する自衛隊施設部隊による瓦礫除去等を行っています。これに加えて、国際機関と協力しつつ、約9千戸の仮設住宅の建設、母子への予防接種を含む延べ約3百万人に対する感染症対策等の支援を重点的に行います。

5.そのために、我が国は、既に表明した7千万ドルの支援に加えて、この度、3千万ドルを追加的に支援することとしました。これにより、我が国からの対ハイチ支援総額は約1億ドルに達することになります。また、先般、IDBによる対ハイチ債権放棄が合意されたことを歓迎し、我が国としても応分の負担をする用意があります。

6.今後はハイチの復興が課題です。そのためには、何よりもハイチの人々の手による国家再建に向けた取組が重要です。その意味で、本日ハイチ政府が国家復興開発行動計画を提出したことを評価します。一方、真の国家再建とは、単に地震前の状態に戻ることではなく、教育、医療、雇用、法の支配といった面で国民のニーズに十分応えるだけの基盤を備えた国家としてハイチが生まれ変わることを意味します。国際社会も、ハイチ政府のそうした取組を協調して支援していくことが大切です。我が国としても、積極的に貢献していく考えです。

7.我が国は、従来から教育・人材育成、保健・医療、食料・農業といった3つの分野を重視してハイチ支援を行ってきました。今後とも震災国としての経験と知見を活かしつつ、復興支援ニーズ調査(PDNA)も踏まえ、これらの分野を中心に支援を実施していく考えです。そのために、防災分野を含む専門家を派遣するとともに、JICAのフィールド・オフィスをハイチに設置します。

8.最後に、ハイチの人々が、この悲劇から立ち上がり、再び将来に向けての希望を取り戻せるよう、我が国は、国際社会とともに、ハイチの人々の努力を全面的に支援していくことを約束します。