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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 米国の「核態勢の見直し(NPR)」の公表について(岡田克也外務大臣)

[場所] 
[年月日] 2010年4月7日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

1.4月6日(火曜日)(米国東部時間、日本時間7日未明)、米国は「核態勢の見直し(NPR:Nuclear Posture Review)を公表しました。

2.我が国は、米国が、米国及び同盟国等の安全保障を確保しつつ、核兵器の数と役割を低減させるとの方針を明確にした今回のNPRを歓迎します。また、米国が、NPT上の義務を遵守する非核兵器国に対する核兵器の使用・威嚇を行わないという形で、従来の消極的安全保証(NSA)を強化する用意がある旨述べていることを評価します。これらは、オバマ大統領が提唱する「核兵器のない世界」に向けた具体的な第一歩となるものと考えます。

3.同時に、このNPRにおいて、米国は、我が国を含む同盟国等に対する核兵器によるものを含む抑止力のコミットメントを再確認し、これを保証するため同盟国との緊密な協議を実施していくことを明らかにしています。

4.このような米国の核政策は、我が国の安全保障のみならず、国際社会の平和と安定に寄与するものと考えます。また、安全保障を確保しつつ、積極的に核軍縮を推進するとの米国のアプローチは、我が国の考え方と軌を一にするものであり、我が国は同盟国である米国による今回のNPRを高く評価するものです。

5.我が国としては、核兵器を保有するすべての国が、今回のNPRを契機とし、本年5月のNPT運用検討会議等を通じ、具体的な核軍縮を実施することを強く希望します。また、米国のみならず、すべての核兵器国がNSAの強化に取り組むとともに、核兵器保有の目的を核兵器使用の抑止のみに限定するという「唯一の目的」の考え方についても議論が深まっていくことを期待します。さらに、明8日には、米露間で戦略核を削減する条約に署名がなされると承知しますが、これを歓迎するとともに、今後、米露以外の核兵器国においても、また、戦略核のみならず戦術核についても、核兵器の削減努力が続けられることを希望しています。

【参考】「核態勢の見直し(NPR)」

 米国の国防授権法により義務付けられた米国の核政策・核態勢等に関する包括的な見直しであり、米議会に報告される。今回のNPRは、1994年、2002年に次ぐ3回目の報告書。