データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第5回包括的核実験禁止条約(CTBT)フレンズ外相会合 前原外務大臣演説

[場所] ニューヨーク
[年月日] 2010年9月23日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

1.はじめに

 ケビン・ラッド議長,

 ご列席の皆様,

 はじめに,本会合の準備を精力的に進められたここに同席されているすべての代表団に心より感謝申し上げます。私は,皆様の支持を得て,本会合がCTBT早期発効に向けた力強いメッセージを発信できるものと確信しています。

2.我が国の核軍縮・不拡散における取組

 核兵器は,人類の生存にとって深刻な脅威であります。核軍縮にとっての真の課題は,人類が国境と世代を超えた問題,または将来の世代の問題について責任をとることができるかを問いかけることです。我々は,切迫感を持ってこの問題に取り組まなくてはなりません。

 昨今,「核兵器のない世界」に向けた機運が着実に高まっています。しかし,その道のりは長く複雑です。現在の機運を維持していくためには,力強い政治的意思が不可欠であり,特に核兵器国,就中,米国とその同盟国は,特別な役割を担っています。

 昨日,私とラッド外相は,志を共有する他の国々の外相と共に,「核兵器のない世界」に向けた移行期戦略として「核リスクの低い世界」を目指すべく,新たなグループを立ち上げました。私は,このグループの活動を通じ,我々の最終的な目標を達成するための,国際社会の取組を主導する,具体的且つ現実的な措置を提案していく決意です。

3.CTBTの意義

 CTBTの早期発効は,そのような措置の中でも最も緊急性の高い優先課題の一つです。また,CTBTは,NPT体制を支える不可欠な要素であると同時に,インドをはじめとするNPT非締約国を国際的核軍縮・不拡散体制に取り込んでいく上での重要な手段です。

4.CTBT発効に向けた取組

 この1年間,日本は発効要件国に対し積極的に働きかけを行ってまいりました。具体的には,中国,インド,パキスタンとの間で首脳又は外相レベルで意見交換を行い,CTBT早期発効の重要性を訴え行動を求めてきました。

 また,本年初めにはエジプト及びインドネシアの関係者を招聘の上,我が国のIMS監視観測所を案内し,CTBT及びその批准プロセスへの理解促進を図りました。このような中,本年5月のNPT運用検討会議において,マルティ・ナタレガワ・インドネシア外務大臣が批准プロセスを開始する旨表明されたことを歓迎いたします。そして,残りのすべての発効要件国の政治指導者が,英断により,早期署名・批准に向けたリーダーシップを発揮することを呼び掛けます。また,私は,核保有国に対し,条約発効までの間,核実験モラトリアムを継続することを強く求めます。

5.結語

 核兵器のない世界に向けての今日の高まる気運を背景に,今こそ我々は,CTBTを発効させるべく力を結集する時です。CTBTの早期発効は,「核兵器のない世界」を実現するための最も重要で実践的な第一歩であり,この実現に当たって未批准国はその重大な責任を認識すべきです。

 私は,日本がこの取組に貢献すべく,いかなる努力も惜しまないとの決意を改めて表明いたします。

 御清聴ありがとうございました。