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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第3回TICAD閣僚級フォローアップ会合における松本外務大臣のスピーチ:開会式挨拶

[場所] セネガル,ダカール
[年月日] 2011年5月1日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

1.開会式挨拶

ンジャイ・セネガル共和国首相閣下,

ニョン・セネガル共和国外務大臣閣下,

各国閣僚の皆様,

各国大使の皆様,

各国及び機関の首席代表の皆様,代表団の皆様,

並びに御列席の皆様

 日本国外務大臣の松本剛明でございます。我が国の震災被災者に対し,黙祷を捧げていただき,ありがとうございます。

 3月11日,我が国の東部は,観測史上世界4番目の規模の巨大地震に襲われました。ほどなくして,所により10メートル,15メートルを超える大津波が押し寄せ,町や村が根こそぎ海に流されました。現時点で,外国人も含め,2万5000人を超える人々が死亡または行方不明となっています。

 福島第一原子力発電所も津波で大きな被害を受け,電源喪失により原子炉及び使用済燃料プールの冷却ができないという事態となりました。

 震災直後から,皆様はじめ数多くの国々,地域及び国際機関が温かい支援の手を差し伸べてくださいました。震災直後から派遣された緊急援助隊には,困難な状況の中で捜索救助やがれき除去,医療支援等を行っていただきました。

 また,数多くの国・地域・機関から毛布・水・食料等の支援物資も到着し,順次被災地に届けられている他,世界各地から義援金が続々と日本へと寄せられています。アフリカ各国からの心のこもった御支援を始めとして,今回の震災に際して示された国際社会の連帯に,日本国政府及び国民を代表して,深甚なる感謝を申し上げます。

 日本国民は,皆様の御支援に勇気づけられています。そして,自らの力と,国際社会よりいただいたお力添えを合わせて,この未曾有の国家的危機からより強い日本となって必ず再生・復活することを固く決意しています。我々は,皆様から示された連帯の気持ちを忘れません。この会議を予定通り開催し,今こうして私がお話申し上げていることも,日本がアフリカとの連帯をこれまで以上に強めていくという我が国の強い意思の表れです。

 我が国としては,今般の大震災を乗り越えて,これまで同様,国際社会の平和と安定のため積極的役割を果たしていきます。また,TICAD IVにおいて我が国が行った公約を含め,既に表明した国際的コミットメントを誠実に実現していくとの決意に何ら変わりはありません。

 ここで,福島第一原子力発電所の事故について一言申し上げます。政府は現在,事態の収束のために,IAEAや各国の助言と協力を得て,あらゆる方法を検討しながら全力で取り組んでいるところです。また,4月17日には,東京電力が福島原発事故の収束に向けたロードマップを公表しました。政府としても,これを契機に,これまでの「応急措置の段階」から計画的に事態の収束を目指す「計画的・安定的な措置の段階」に移行していきたいと考えています。

 原発事故への対応について,我が国は今後とも最大限の透明性をもって国際社会に対する情報提供を行っていく所存です。また,我が国は,今回の事故で得た知見と経験を最大限の透明性をもって国際社会と共有し,原発の安全性向上に貢献していく考えです。

 御列席の皆様,

 私は,日本政府,TICAD共催者である国連,UNDP,世銀,AU委員会(AUC)を代表し,第三回TICAD閣僚級フォローアップ会合への皆様の御参加を心より歓迎します。また,ワッド大統領閣下,ンジャイ首相閣下,ニョン外相閣下をはじめ,セネガル政府の皆様には,ホスト国として,本会合の運営に多大なる御協力をいただき,厚く御礼申し上げます。

 今次会合より,AUCが共催者となられたことを心より歓迎します。これにより,TICADの特徴の一つであるアフリカのオーナーシップ尊重が大きく促進されることとなり,大変喜んでおります。TICADにおけるAUCの益々の御活躍を期待致します。