データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第66会期国連総会 MDGs閣僚級非公式会合 玄葉外務大臣発言 MDGs達成に向けた取組の加速化

[場所] 国連本部北側ビル 会議室2
[年月日] 2011年9月21日 13:15−14:30
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 御列席の皆様,

 日本国外務大臣を拝命しました,玄葉光一郎です。本イベントの司会を務めることを光栄に存じます。本日は,MDGsサイドイベントに世界各国からお集まりいただき,心から御礼申し上げます。共催国・機関を代表して皆様を歓迎し,本イベントの開会を宣言します。

 昨年のMDGs国連首脳会合は素晴らしい成功でした。2015年までに目標を達成するため,幅広い関係者が政治的コミットメントをもって取組を強化していく必要があります。そのため,我が国は本年6月に東京でMDGsフォローアップ会合を開催しました。

本日は,同会合の成果を皆様と共有させていただきます。つづいて,各国・機関等の代表の皆様から,目標達成に向けた取組や今後の優先事項につき発表をいただきます。本日のイベントを通じ,皆様の間の議論が促進され,MDGs達成に向けた具体的行動につながることを願っています。

 さて,東京でのMDGsフォローアップ会合の報告に移ります。同会合は,東日本大震災からわずか3か月後に開催されました。同会合でいただいた励まし,震災以降世界中からさしのべられた支援と連帯に,日本国外務大臣として御礼申し上げます。福島県出身の一人の日本人としても,心から感謝しております。

このフォローアップ会合には,110か国,20の地域・国際機関,NGO,民間セクターなど,300名以上が参加しました。

保健分野では,我が国の母子保健支援モデル'EMBRACE'が議論されました。また,保健システムの強化と,非感染症疾患(NCDs)対策を進めることが重要です。

教育分野では,教育の質を向上させることや,教育機会の格差をなくすことの重要性につき議論しました。また,我が国の支援モデル'School for All'を含む効果的な取組の具体例も共有されています。

さらに,現場での支援の阻害要因を除去する方策につき議論し,また富を創り出す経済成長に対して改めて焦点を当てました。開発に携わる多様な担い手の間の連携もますます重要になっています。

会議全体を通じ,人間一人ひとりを中心に据えることの重要性,すなわち人間の安全保障の意義につき,認識が共有されました。この会合で持ち寄られた英知は,議長ステートメントの形で結実しています。

また,このMDGsフォローアップ会合で,2015年以降の国際開発目標(ポストMDGs)に関する議論を開始しました。我が国として,ポストMDGsの議論にも積極的に貢献していく所存です。

 ここで,最近の我が国の取組の一例として,ゲイツ財団との連携によるポリオ対策をご紹介します。いまだにポリオに苦しむ4か国の中,唯一パキスタンで発症数が増加しています。そこで,ポリオ予防接種キャンペーンのため,我が国がパキスタンに約50億円の円借款を供与します。パキスタンが一定の成果目標を達成すれば,ゲイツ財団が肩代わりして返済するという仕組みです。こうした民間財団との連携は,世界でも極めて新しい取組です。

 我が国は,引き続きMDGs達成に向けた取組を加速させます。これまでに表明した国際的なコミットメントも誠実に実現していくとの我が国の姿勢は不変です。日本の新しい外務大臣として,改めてこの点を確約いたします。

 ありがとうございました。