データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「アフリカの角」に関するミニ・サミットにおける玄葉外務大臣ステートメント

[場所] 
[年月日] 2011年9月24日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

議長,

ご列席の皆様,

 まず,国連事務総長のイニシアチブによって本会合が開催されたことを歓迎し,「アフリカの角」の干ばつ対応における国連の努力に敬意を表します。

 過去60年間で最悪の干ばつによって食糧危機に直面している「アフリカの角」諸国の人々の苦しみは,3月11日の東日本大震災を経験した日本国民にとっても決して他人事ではなく,深く心を痛めています。この大震災に際し,アフリカ諸国から数多くのお見舞いやご支援を頂きました。こうしたアフリカ諸国の温かい連帯の気持ちに応えるためにも,深刻な干ばつ被害への対策をアフリカ諸国と協力して進めていきたいと思います。

 我が国は「アフリカの角」の干ばつ対策等の支援を積極的に行っており,今年既に1億ドル近い支援を実施しています。これに加えて,新たに約2100万ドルの食糧支援を実施します。

議長,

 「アフリカの角」地域の干ばつは残念ながら慢性的に発生しており,短期的な食糧援助のみならず,ソマリアの治安の安定化や,気候変動対策,開発支援といった中長期な取組の強化が必要と考えます。

 我が国は,アフリカをはじめとする気候変動に脆弱な途上国における取組を重視しており,2012年までの途上国支援として,アフリカ諸国に対し12億ドル以上(2011年7月末現在)を既に支援しています。また,我が国は,本年5月にセネガルで開催された第3回TICAD閣僚級フォローアップ会合における合意に基づいて,「アフリカ低炭素成長・持続可能な開発戦略」をアフリカ諸国とともに策定していきますが,中でも気候変動への脆弱性対応を重要な柱の一つと位置づけて,アフリカ諸国とともに共通ビジョンを提示したいと考えます。

 また,先般の震災により我が国が得た貴重な教訓の中には,アフリカ諸国と共有できるものも多く,本年10月にアフリカ各国政府の防災関係者を日本に招待して,「強靱な経済・社会作り」をテーマとしたセミナーを開催します。アフリカ諸国と間で{前3文字ママ},気候変動,自然災害に強い社会を目指して,更なる協力の可能性を探っていきたいと考えています。

 我が国は,大震災を契機にアフリカ諸国との強い連帯を改めて確認いたしました。今般の干ばつによるアフリカの人々の痛みと苦しみを日本国民の痛みとして共有し,我が国が{前4文字ママ}アフリカ諸国と干ばつに関する協力を深めていきたいと考えます。