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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 国際エネルギー・セミナー「被災地復興へ向けたスマートコミュニティ提案」玄葉外務大臣冒頭挨拶(ビデオ・メッセージ)

[場所] 福島市飯坂町 パルセいいざかコンベンションホール
[年月日] 2012年年3月2日 午前10時30分〜
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

東日本大震災からまもなく1年。本日,福島県におきまして,被災地復興に向けた新しい社会づくりについて考えるセミナーを開催でき,大変嬉しく思います。被災地の住民の皆様,学生の皆様,国際機関,在京各国大使館や企業等の皆様にご参加をいただいて,御礼を申し上げたいと思います。

今年は「再生元年」。逆境を逆手に取って,被災地の「復興」につながるようなコミュニティを,日本の再生の先駆的事例として実現していくことが大切です。スマートコミュニティは,そのような「復興」にビジョンを与え,そして実現した暁には「復興」のシンボルとなりうるものです。

スマートコミュニティの実現を通じて,誰も体験したことのないような困難を他の誰にも先駆けて解決する「課題解決のトップランナー」になって,世界にも貢献していくことも出来ると考えます。具体的には3つの観点から,我が国は課題解決のトップランナーになる潜在力をもっていると確信しています。

一つ目は,再生可能エネルギーを始め,「エネルギー・環境技術のトップランナー」になることです。例えば,私自身も関わりましたけれども,再生可能エネルギー関連の政府の研究機関を福島県に一定程度移転させていく,そしてそこに産業集積をはかって雇用を確保するべきだと考えます。また,日本の高い技術力を活かして,「省エネ」,「創エネ」,「蓄エネ」の最先端のモデルを世界に発信をする,さらにグリーン・イノベーションも加速をさせていきたいと考えています。

二つ目は,「環境に優しく災害に強いまちづくりのトップランナー」になることです。エネルギー・資源の利用効率化,環境への配慮を一層推進をしていくこと,更に,自立した地産地消を確立していくこと,これらは,低炭素化や防災の観点から国際的な模範となり得ます。

三つ目は,「住民が主役となる社会づくりのトップランナー」になることです。ふるさと復興の具体的な未来図を描くのは,ほかならぬ住民の皆様ご自身でございます。そこに暮らして,働く住民を主役に据えた社会づくりを主導していくことが重要です。

このような未来への最初のステップとして,このセミナーが,被災地復興に向けて,被災地が世界の多様な先駆的事例から「新しい社会づくり」について学ぶ,そういう良い機会になることを期待しています。また,被災地からその取組や成果を,世界に発信する,そういうきっかけにもなってほしいと願っています。私自身,外務大臣として,また福島県人として,全力を尽くし,これからも福島・宮城・岩手を始めとする被災地の再生・復興を支援してまいります。

今日の議論が有意義なものとなることを心からご祈念申し上げ,私の開会のご挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございます。