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政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第4回TICAD閣僚級フォローアップ会合開会式玄葉外務大臣挨拶

[場所] モロッコ マラケシュ
[年月日] 2012年5月5日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 議長ありがとうございます。

 エル・オトマニ・モロッコ王国外務・協力大臣閣下、

 各国閣僚の皆様、

 各国大使の皆様、各国及び機関の首席代表の皆様、代表団の皆様、

 並びに御列席の皆様

 日本国外務大臣の玄葉光一郎です。

 はじめに、日本政府、TICAD共催者である国連(UNOSAA)、国連開発計画(UNDP)、世界銀行(WB)、アフリカ連合委員会(AUC)を代表し、皆様のご参加を心から歓迎いたします。

 また、エル・オトマニ外務・協力大臣をはじめ、モロッコ政府の皆様には、開催国として、会合の運営に多大なる御協力を頂き、厚く御礼申し上げます。

 今回の閣僚級フォローアップ会合は、明年6月のTICAD Vに向けた一連のプロセスの出発点となります。TICAD20周年という記念すべき年に開催されるTICAD Vの成功に向けて、皆様と一緒に取り組んでいきたいと思います。

 1993年以来、TICADプロセスはアフリカ開発に対する国際的な関心を高めるとともに、アフリカ開発に向けた国際社会の取組を主導してきました。

 1990年代、貧困と紛争に苦しんだアフリカは、今や、援助先のみならず、経済パートナーとしても世界の注目を集めています。今やアフリカは「希望と機会の大陸」へと変貌を遂げています。

 しかし、アフリカ大陸に暮らす全ての人々が、希望と機会を手にする道のりは平坦ではありません。アフリカ大陸では、紛争や政治的混乱が未だ成長・開発を妨げている地域があります。また、成長の恩恵から取り残された若者たちがいます。欧州の信用危機はアフリカにも影を落としています。そういった課題に対しても、まずはアフリカ諸国自らの解決に向けた努力に期待します。

 目標年度が目前に迫った、ミレニアム開発目標の達成も忘れてはならない課題です。昨年6月にはMDGsフォローアップ会合を東京で開催し、目標達成に向け真に効果的な手法を議論しました。また、私自身、9月の国連総会の際、MDGsに関する閣僚級非公式会合を主催しました。今後も、菅コミットメント等の国際的なコミットメントを着実に実施し、MDGs達成へのモメンタムの維持・強化に貢献します。

 TICAD Vでは、大きく変化するアフリカの現状や国際情勢を踏まえ、アフリカ開発の新たな方向性を打ち出していきたいと思います。本日の会合では、横浜行動計画の実施状況を確認するとともに、率直な議論を通じて、TICAD Vが目指すべきものについて認識が共有され、TICAD Vにつながる会議となることを期待します。

 御列席の皆様、

 昨年の閣僚級フォローアップ会合は、未曾有の大震災が我が国を襲った直後に開催されました。我が国国民は、アフリカから寄せられた支援やお見舞いを通じ、アフリカとの連帯を強く意識しました。

 この1年間、我が国は震災からの復興に全力を挙げると同時に、我が国は「横浜行動計画」の公約を着実に履行することでアフリカから示された連帯に応えてきました。

 過去60年で最悪の干ばつが発生した「アフリカの角」地域及び干ばつが深刻化しているサヘル地域を中心とする西アフリカに対し、過去1年間に約2.6億ドルの支援を実施しました。また、気候変動分野における2012年までの短期支援として、13億ドル以上の支援を実施しました。

 さらに、世界エイズ・結核・マラリア対策基金に対し、2012年には3.4億ドルの拠出を行うことを決定しました。

 我が国はアフリカにおける平和と安定達成の鍵であるアフリカ自身の取組を後押ししています。また、国連南スーダン・ミッション(UNMISS)に自衛隊施設部隊を派遣しています。

 我が国は、TICAD Vに向けて、国際社会でアフリカ開発を主導していく決意です。そのためには、民間企業、NGO等幅広いステークホルダーと連携し、日本の持てる力を最大限活用していきます。

 そして、明年のTICAD Vが我が国とアフリカの関係を新たなステージに引き上げる契機となることを期待して、私の挨拶といたします。

 ありがとうございました。