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政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第4回TICAD閣僚級フォローアップ会合第2セッション「近年のアフリカの経済成長と課題」パネルディスカッション玄葉外務大臣発言

[場所] モロッコ マラケシュ
[年月日] 2012年5月5日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 議長ありがとうございます。

 2000年代に入り、年平均で6%近い経済成長を続けているアフリカは、アジアに次ぐ経済フロンティアであり、各国民間企業の関心も増大しています。この背景には、紛争の減少、政治的安定性の拡大、投資環境改善などアフリカ自身の取組もありますし、国際的な資源、一次産品価格の高騰を背景とした、輸出と投資の伸びに依るところも大きいと思われます。

 アフリカが強固な経済成長を維持していくためには、TICADプロセスが提唱してきたとおり、民間セクターが主導する多角的な産業構造に支えられた自律的な成長を達成する必要があります。また、この成長はポストMDGsの重要な要素である雇用創出を伴う包摂的なものであるべきです。

 そのための最優先課題は、民間投資の呼び水となるインフラ整備であり、これをTICAD Vの主要課題とすべきです。PIDA(アフリカ・インフラ開発プログラム)はアフリカのオーナーシップとして評価しますが、今後具体化を図る必要があります。

 アフリカの膨大なインフラ需要に対応するためには、国際機関や地域機関とも協力しつつ、譲許的な借款がより大きく、かつ、効果的に使われる必要があります。

 我が国は、2006年、アフリカ開発銀行と共に、アフリカの民間セクター開発のための共同イニシアティブとしてEPSA(Enhanced Private Sector Assistance)を立ち上げ、道路などの経済インフラの整備をはじめ、アフリカの民間主導の経済成長の促進を図ってきました。今後も、EPSAの活用を通じて、開発効果の高い案件の推進に努めていきたいと考えています。

 こうしたODAと並んで、官民連携(PPP)の仕組みを通じて、開発の担い手としての民間資金を積極的に動員することが不可欠です。そのためには、商業的に成立する(bankable)、インフラ投資案件の発掘・形成に努める必要があります。我が国は、民間投資の拡大に向けた協力の方途を検討してまいります。

 かかる観点から、我が国はSADC(南部アフリカ開発共同体)と協力して、「日・SADCインフラ投資セミナー」を開催し、多くの日本企業の参加を得て、アフリカにおけるインフラ投資拡大に向けた議論を行いました。

 他方、ハード面のインフラのみならず、ソフト面、すなわち政策・制度改善や企業が活動しやすい環境づくりも同様に重要です。我が国が一貫して貢献を行ってきたNEPAD-OECDアフリカ投資イニシアティブにおいて、近年、アフリカ諸国の投資政策、投資円滑化、インフラ開発等の分野に関する投資政策レビューが実施され、成果を上げつつあります。こうした取組を通じ、投資環境改善に向けたアフリカ自身の取組を支援していきます。

 また、自律的な経済成長を実現するためには、アフリカで多くの雇用を創出している農業セクターを強化する必要があります。これは、食料安全保障の観点からも重要です。我が国は、ラクイラ・コミットメントを含め、一貫して、アフリカの農業分野をODAで支援してきました。ここで、農産物の生産、貯蔵、加工、流通段階を包括的にとらえるバリューチェーン・アプローチの有用性を強調しておきます。また、生産性の向上とともに生産量の拡大も重要であり、コメの生産量倍増を目指すCARDの推進等を通じてアフリカの取組を支援していきます。

 最後に、我が国は、日本企業の対アフリカ・ビジネスを引き続き積極的に支援していきます。例えば、アフリカでの官民連携の推進のため、政府の草の根支援も活用していきます。日・アフリカのビジネス関係が発展することによって、アフリカはアジアの、アジアはアフリカの成長を、ともに自らの活力へと転換させることができるはずです。

 ありがとうございました。