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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] リオ+20におけるジャパンデー:ジャパンイブニング開催 玄葉外務大臣冒頭挨拶

[場所] 
[年月日] 2012年6月20日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

ようこそジャパンイブニングにおいでをいただきました。心から歓迎をいたします。

日本はこれまで歴史的に,たくさんの災害を経験してきた国です。だから,かなりの程度,災害に対する知見,経験,判断が現にあります。加えて今回は,東日本大震災と,そして原発事故という人類史上例を見ないシビアアクシデントに見舞われました。その際に寄せられた皆様の暖かい支援と励ましに,日本国民を代表して心からの感謝を申し上げたいと思います。誠にありがとうございました。

このパビリオン,あるいは,おそらくこれから映像で流れるであろうTOHOKU FORWARD,まさにTOHOKU FORWARD,JAPAN FORWARD,着実に復興は前進をしています。そして,必ずや日本はこの試練を乗り越えます。大切なことは,ただ乗り越えるだけではなくて,先ほど申し上げたような日本のこれまでの知見,経験,そして今回乗り越えていくこの復興のプロセスを世界と共有したい。そして,この共有こそが,日本の責任であると考えています。ですから早速,来月は仙台で,「世界防災閣僚会議in東北」を開きたいと思っています。

広中先生の顔がそこに見えますけれども,日本が,一つ作り出した概念に「人間の安全保障」という概念がございます。「一人一人の尊厳を大切にする」,「一人一人の能力を最大限発揮する」そういう概念です。今やその概念は,国連で広く使われ始めました。そして今回の持続可能な開発,この成果文書にも,今ですね,成果物のまさに理念としてしっかりと溶け込ませようと努力をしている最中です。大木先生もいらっしゃって,お二人とも日本で環境大臣をお務めになられました。こういった先人たちが人間の安全保障というものを育んできたということをご紹介したいと思います。

「フルキャストディプロマシー」と私は言っておりまして,外交するのは政府だけではない。自治体,民間企業,メディア,個人,NGO,それぞれが主体でありますから,このパビリオンだってまさに,みんなで協力したパビリオンだというように考えています。

そして,今夜の主役といって良いと思います。被災三県,福島,宮城,岩手,特にご苦労された県でありまして,また今,まさに(復興の)真っ最中でございます。その三県を元気づけなければならないし,また彼ら自身,自らの足で立つように今がんばっています。そして,今回このパビリオン,TOHOKU FORWARDをつくるにあたり,日系人の方々,特に被災三県の県人会の皆様に大変お世話になったと聞いておりまして,この場をお借りして感謝を申し上げたいと思います。

毎日のように,どこかの国と外相会談をしておりますけれども,必ず皆さんおっしゃるのは,日本人のResilience,忍耐強さを賞賛いたします。私はそういう日本的な価値というものをこの際,結果として発信をし,また今後も発信をし続けることが大切だと思います。日系人の方々,おそらく様々な困難を乗り越えてきた,その根底に流れるのは,そういった日本人特有の価値なのではないかというふうに想像します。ご尽力に重ねて感謝を申し上げながら,努力に敬意を表したいと思います。

今日は福島,岩手,宮城のお酒とか産品とかありますので,どうぞ堪能していただきたいというふうに思いますし,最後にもう一つだけつけ加えれば,「なんか東北は危なくて旅行に行けない」とか,「福島は危なくて旅行に行けない」というんですけどね,そんなことありません。福島の一番の観光地は,会津若松ですけど,会津若松も,実はニューヨーク,上海とほとんど同じ放射線量です。

それでは,本日はお楽しみいただければと思います。長くなりましたが,ご挨拶とさせていただきます。ありがとうございます。