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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 平和構築ハイレベル会合 「平和構築:持続可能な平和と安全に向けて」 玄葉外務大臣 ステートメント

[場所] 
[年月日] 2012年9月25日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

議長

潘基文(パンギムン)国連事務総長

ご列席の皆様

はじめに,平和構築委員会(PBC)議長国として今回の会合を招集されたシェイク・ハシナ・バングラデシュ首相のイニシャティブに敬意を表します。PBC設立から7年近くが経過し,経験が蓄積されつつある中,平和構築について国連の場で議論することは極めて時宜を得たものと考えます。

議長

これまでの経験から平和構築について学んだ教訓として,次の5点への理解を深めることが大切だと思います。

第一に,平和構築活動は,国や地域の状況によって実に多様です。画一的なモデルがあるわけではなく,柔軟な対応が求められます。

第二に,平和構築は政治的なプロセスであり,政治問題の解決を含め,紛争の根本原因にまで踏み込んで対応することが重要です。

第三に,国際社会のパートナーと現地の当事者が,共通の達成目標と優先課題について合意することが有用です。

第四に,本部と現場のコミュニケーション・ギャップや関係者の関心のギャップを克服する必要があります。

第五に,当事国のオーナーシップを尊重しつつ,特に弱者や女性を含む個人を人間の安全保障の視点から保護し,能力を強化することが不可欠です。人々の生活が再建され,雇用機会を得,将来に希望をもてる環境が構築される必要があります。

議長

これらの教訓を踏まえ,平和構築活動を柔軟かつ効果的に実施するために鍵となるのが,平和構築委員会であると考えます。

議題国に対する統合平和構築戦略の実施に当たっては,国連機関,援助国,地域機関などの関係者が包括的・統合的に関与することが重要です。同時に役割分担を調整し,活動の欠落や作業の重複をなくすことも重要です。今後PBCが,ひいては国連全体が,国際社会の期待に応え,真に平和構築における指導的役割を果たしていくために,引き続き我が国としても積極的に関与していく考えです。

議長

我が国は国際社会の平和と安全に資する取組として平和構築を重視し,主要な外交政策の柱の一つとして取り組んでまいりました。PBC設立当初からのメンバーであり,組織委員会議長も務めました。平和構築基金の主要な貢献国でもあります。昨年からは教訓作業部会議長として様々な課題について教訓を抽出し,活動の改善に取り組んでいます。

さらに,国連平和維持活動(PKO)への貢献,政府開発援助(ODA)を活用した復興・開発支援,PKO要員の能力向上や文民専門家の人材育成等の活動を行っています。最近ではアフガニスタン支援に関し7月に東京会合をアフガニスタン政府と共に開催しました。今後概ね5年間で開発分野及び治安維持能力の向上に対し,最大約30億ドル規模の支援を行っていきます。南スーダンには,本年から自衛隊施設部隊を派遣しており,ODAや国際機関等との連携を念頭に,インフラ整備等の支援を実施しています。

我が国は,本日の議論を踏まえ,今後とも平和構築の取組に最大限貢献してまいります。