データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 日OSCE共催会議:第1セッション 岸田外務大臣挨拶 「より安全な世界を作るためのOSCEと,OSCEの協力のためのアジア・パートナーを含む,アジア・太平洋地域の連携」

[場所] 東京
[年月日] 2014年6月16日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

ザニエルOSCE事務総長,各国代表の皆様,

日OSCE共催会議のホスト国を代表し,本セッションにおいて,一言申し上げます。

日欧の安全保障環境は,より一層不可分に,そして厳しくなっています。「力」を背景とした一方的な現状変更の動きや,その試みへの対応は,国際秩序に関わる重要な共通課題です。また,海洋やサイバー空間等における共通のグローバル課題も,一層深刻になっています。

こうした状況を踏まえ,日本は,国際協調主義に基づく「積極的平和主義」を旗印に,基本的価値を共有する全ての国々と共に,世界における「自由」と「民主主義」を促進し,「法の支配」を堅持していく決意です。

こうした観点から,我が国は,海における「法の支配」のため,(1)法に基づく主張,(2)「力」を用いない,(3)平和的解決,という3原則を提案しています。

「力」を背景とした現状変更は許されず,日本は,ウクライナ情勢を決して対岸の火事とは見ていません。先般ウクライナにおいて民主的な手続で新大統領が選出・就任されたことは,ウクライナの安定と,地域・世界の平和に不可欠な礎であり,日本はこれを歓迎します。

今後は,ウクライナ国内の政治的・経済的安定の確保が大きな課題です。日本は,OSCEが,困難な状況の中においても,全ての関係国が頻繁に集まり協議する場として,ウクライナの安定化,信頼醸成や「法の支配」の分野で大きな役割を果たしていることを高く評価しています。

日本は,ウクライナに対する15億ドルの経済支援に加え,OSCEによる政治対話促進ミッション,特別監視団,そして大統領選挙監視団の派遣に対して,財政的・人的支援を行ってきました。引き続き,ウクライナ,そしてOSCEの努力を積極的に支えていきたいと考えています。

アジアと欧州が,「法の支配」を徹底し,信頼醸成や紛争の平和的解決を推進するため,互いの叡智や教訓を共有し,共に積極的貢献を行っていくことは極めて重要です。日本が「積極的平和主義」を実践する上で,OSCEは重要なパートナーです。日本として,OSCEと手を携えて,地域・世界の平和と安定,及び繁栄の確保に,より一層貢献していくことをお約束し,私の挨拶といたします。

御清聴有り難うございました。