データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] グローバル・テロ対策フォーラム(GCTF)第5回閣僚級会合における岸田外務大臣ステートメント

[場所] ニューヨーク
[年月日] 2014年9月23日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

ケリー米国国務長官閣下,

チャヴシュオール・トルコ外務大臣閣下,

ご出席の閣僚並びに代表の皆様,

【ISILの脅威】

国際社会による不断の努力にもかかわらず,各地に分散した過激派組織のテロ活動の活発化等,テロの脅威の拡散が顕著になっています。特に,シリア及びイラクで活動するISILは,両国にまたがる地域を実効支配し,独自に「国家」の樹立を宣言しています。これは,国際秩序を揺るがしかねない深刻な脅威となっています。

過激派組織の台頭は,広範な人権問題ももたらします。シリアやイラクにおいては,ISILによる残虐な行為が繰り返されています。日本としては,ISILによるいかなる暴力行為を強く非難します。

【ISILへの日本の対応】

ISILに代表される過激派組織や外国人戦闘員の問題に対応するためには,暴力的過激主義対策,テロ資金対策,適切な出入国管理等,様々な側面からの取組や各国の連携が必要です。日本としても,これまで以上に日本自身の取組及び各国の支援を強化していく決意です。

こうした支援の一環として,ISILを含むシリア・イラクに展開する過激派組織の攻勢により発生した国内避難民・難民対策を講じます。日本は,既に拠出済みの780万ドルに加え,今般,国際機関を通じた約2,550万ドルの支援の実施を決定しました。

このような緊急的対応に加え,地域の中長期的な安定のための支援も実施します。日本は既に,北アフリカ・サヘル地域及び中東地域の諸国がテロ対処能力を向上させるための幅広い支援に取り組んできました。今後も,特に,過激主義が定着することを阻止すべく,各国のガバナンス強化を力強く支援します。

【その他過激派組織への対応】

国際社会による迅速な対応が必要な過激派組織はISILに限られません。今年4月には,ナイジェリアにおいて,ボコ・ハラムによる200人以上の女子生徒に対する集団拉致事案が発生しました。

日本は,拉致の被害者となった女子生徒のサポート支援を中心に約90万ドルの緊急支援の実施を決定しました。これに加え,ナイジェリアに対する刑事司法分野における能力向上支援として,追加支援の準備を進めています。

【GCTFでの取組】

GCTFは,国際社会がテロとの闘いに連携して取り組む上で,非常に重要な役割を果たすものとなってきています。

また,マルタの司法/法の支配に関する国際研修施設の開所は有益です。開所直後の6月には,我が国は米国と共に国連薬物犯罪事務所(UNODC)を通じてリビアのテロ対策法制度強化計画のための研修を実施しました。日本としては,引き続き国連機関とも連携して同研修施設を活用していきたいと考えています。

昨年9月の本会合で創設が発表されたグローバル基金に関し,創設に係るイニシアティブに対して改めて支持を表明します。同基金において今後実施されるプロジェクトの内容等を踏まえ,日本の可能な貢献の在り方を検討していきたいと思います。

日本は,今後とも,国際社会の責任ある一員として,GCTFの活動に引き続き積極的に関与していく所存です。

ご清聴有り難うございました。

(以上)