[文書名] G7ドーヴィル・パートナーシップ(DP)閣僚会合における岸田外務大臣ステートメント
1. 冒頭
G7議長国として本会合を主催した独政府に感謝いたします。
2. 移行国の現状と我が国の支援方針
日本は,ドーヴィル・パートナーシップの枠組みにおいて,地域の安定は国際社会の平和と繁栄に不可欠であるとの共通認識の下,民主化移行国に対して合計約27億ドルの支援を行ってきました。
我々は,移行国各国が置かれた状況を踏まえつつ,ドーヴィル・パートナーシップ設立当初からの課題に引き続き取り組む必要があります。
【エジプト】
中東地域の核であるエジプトでは,今年5月に新政権が発足しました。
日本は,今後,幅広い層の参画により同国の安定化が推進されることを期待し,支援を積極的に進めていきます。
【チュニジア】
中東地域の変革の発端となったチュニジアでは,着実に民主化が進んでいます。
日本は,先進的な新憲法の制定を賞賛するとともに,今秋に総選及び大統領選挙が恙なく実施され,同国がアラブ世界の民主化の成功例となることを希望します。
【その他の民主化移行国・ISIL】
こういった進展がみられた一方,依然,経済・社会問題が解消されず,国内秩序の維持が喫緊の課題となっている国もあります。
このような国々の必死の努力を前に,現下,中東地域で活発化しているイスラム過激派の動きを見過ごすことはできません。
特に,ISILの活動は,中東世界に限らず国際社会の秩序全体を揺るがしかねない深刻な脅威です。
直ちに対応が必要であるという危機感を共有します。
この脅威に直面しているヨルダンの安定を支えていく必要があります。
中東地域で変革を主張した市民の声は,多様な価値観とグローバルな経済を渇望するものです。
彼らは過激派を求めているわけではありません。
【日本の支援総論】
日本は,安定した経済・社会を実現するために移行国のガバナンスを力強く後押し続けます。
そのため,公正な政治・行政運営の実現に向けた支援,経済・社会の安定化に資する人材育成への協力,女性を含む若者の雇用創出や産業育成を通じた失業問題の解決に努めます。
また,日本は,昨年12月に東京で開催したことに続き,本年12月に第4回日本アラブ経済フォーラムをモロッコで開催します。官民で連携し,移行国経済の発展と日本とアラブ世界全体の相互利益に基づく緊密な経済関係の構築に努めます。
ご清聴ありがとうございました。