[文書名] 第7回包括的核実験禁止条約(CTBT)フレンズ外相会合における岸田外務大臣開会挨拶
御列席の皆様,
本日,CTBTの重要性につき関心を寄せる皆様の出席を得て本会合を開催できることを嬉しく思います。
CTBTは核兵器のない世界の実現に向けた法的なツールであると同時に,1996年の条約案採択は,核実験を禁止するとの国際社会の強い決意と未来へのビジョンを示すものでした。今月初め,新たにコンゴ共和国の批准を経て,署名国は183か国,批准国は163か国に到達し,CTBTは普遍化への道を着実に歩んでいます。
しかし,今日に至るもCTBTは発効しておりません。この法的ツールを法的に有効とするために今必要とされているのは,採択時のビジョンを再確認する各国の政治的な意思とそれを体現する行動です。
CTBTの場合,全ての発効要件国が批准するまで発効しないという意 味において,発効要件国間の批准の順序は関係ありません。各国が他国の動向如何に関わらず,自らの判断で,速やかに行動を起こしていくべきです。CTBTの発効は,発効要件国がひとえにCTBTの精神を共有する政治的意思とコミットミントを示すことができるか否かにかかっているのです。
来年は,原爆投下70年を迎えます。世界唯一の戦争被爆国の外務大臣として,被爆地出身者として,核軍縮の推進を一層リードしていく考えであり,来年,ゼルボ事務局長が立ち上げた,CTBT発効促進のための賢人グループ会合の広島開催も予定しています。その歩みの中でCT BTの発効の日に立ち会えることを心から願います。