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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] クリティカル・イッシューズ・フォーラム(CIF)国際会議 岸田外務大臣挨拶

[場所] 
[年月日] 2015年4月4日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 今般,「クリティカル・イッシューズ・フォーラム(CIF)」が初めて日本で開催されることをお喜び申し上げます。また,本フォーラム開催のためにご尽力されたジェームズ・マーティン不拡散研究センター(CNS)をはじめ,広島県・広島市及び広島女学院中学高等学校の関係者の方々に対し,深く敬意を表します。被爆70年の本年,ここ広島の地で,アメリカ,ロシア及び日本の若い力を結集し,核兵器のない平和な世界の実現を目指して,軍縮・不拡散教育に焦点を当てたフォーラムが開催されることは,大変意義深いことです。

 世界で唯一の戦争被爆国として,我が国は,今月27日から開催される,5年に一度の核兵器不拡散条約運用検討会議を重視しています。我が国は,この会議に向け,12の非核兵器国で構成される地域横断的グループである軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)を結成し,多くの現実的かつ実践的な提案を行って参りました。先般,これまでの提案をとりまとめたNPDIとしての合意文書案を提出したところであり,私から全在外大使に対し,会議参加各国からこの合意文書案への支持を取り付けるよう指示しました。また,1日には私自身フェルーキNPT運用検討会議議長にお会いし,働きかけを行いました。日本としては,この中でも,(1)核戦力の透明性の確保,(2)あらゆる種類の核兵器の削減や核兵器削減交渉の将来的なマルチ化,(3)核兵器の非人道性の議論の下での国際社会の結束,(4)政治指導者の広島・長崎訪問,(5)北朝鮮の核問題に関する強いメッセージの5点を特に重視しています。NPT運用検討会議で充実した成果を上げ,「核兵器のない世界」に向けた取組を一歩でも二歩でも前進させていきたいと考えています。そのために核兵器国と非核兵器国の双方が協力して会議を成功に導く重要性を強調したいと思います。

 核軍縮・不拡散を進めるためには,このような政府レベルの取組や交渉に加え,一人一人の皆さん,特に若い皆さんの力が重要との観点から,「軍縮・不拡散教育」に力を入れてきました。若い世代の皆様が「核兵器のない世界」の実現に向けて,この問題の本質を考え抜くことで,理想に一歩一歩近づく原動力となっています。「軍縮・不拡散教育」の一環として,私が大臣就任後すぐに取り組んだのは,被爆者が高齢化している中で,如何にして被爆の実相を若い世代へ継承していくかという問題です。広島・長崎においては,毎年,若者による核廃絶スピーチや署名活動といった活動が行われていますが,こうした取組を政府としても後押しすべく,私は2013年に「ユース非核特使」制度を新たに創設しました。これまで,政府として延べ60人の若者を「ユース非核特使」として委嘱しました。私自身,これまで委嘱を受けた若い方々と直接話をする機会が何度かありましたが,その度に彼らの熱い眼差しと力強い主張を非常に頼もしく感じました。

 今般,次世代を担う若い方々を始め多くの方々が,「核兵器のない世界」に向けて議論を深めることは大変有意義で,本日のフォーラムに参加した皆様におかれては,是非友人に今回の経験を伝えてください。こうした皆さんの努力によって,「核兵器のない世界」に向けての思いの輪が広がることになるでしょう。会議の成功をお祈りしつつ,私からの挨拶とさせていただきます。(了)