データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「新たな開発アジェンダの下での移民及び難民に関する協力の強化」会合における岸田外務大臣ステートメント

[場所] ニューヨーク
[年月日] 2015年9月30日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

議長,御列席の皆様,

今般の欧州への難民の流入は,難民問題が,国際社会が一体となって取り組むべき,今,そこにある危機であることを想起させました。 欧州の難民問題の解決には難民出身国の安定,シリア情勢の改善が最重要です。

日本は欧州諸国と連帯し,シリア・イラクの難民・国内避難民への対応として,2015年は,昨年の3倍の8.1億ドルの支援をより効果的な形で実施します。

レバノンに対しても,シリ難民及びホストコミュニティ支援等を組み合わせた200万ドルの支援を決定しました。

欧州では,セルビア,マケドニア等に,難民・移民の受入施設整備,食料,医療支援等のために約250万ドルの支援を決定しました。

アジアでもベンガル湾やアンダマン海において漂流民の悲劇が起きています。 日本は人身取引等に対応するための「バリ・プロセス」に積極的に参加し,漂流民に対し,UNHCRやIOMと協力してシェルター,保健等支援を実施中です。

今般採択された持続可能な開発のための2030アジェンダでは,「誰一人取り残されない」という基本理念が貫かれています。 これは,日本が推進する人間の安全保障の考え方そのもので,最も脆弱な世界中の難民問題に対応する際に必ず想起されなければなりません。

難民問題に対し,新しいアプローチでの対応が必要です。 人道支援と開発支援の連携を一層強化し,難民が開発や成長の担い手となるよう,受入コミュニティと協働できる環境を創り出すことが重要です。 日本は,世界人道サミットに向けてこの考え方を発展させ,サミットの成功に貢献します。

今後も,日本は国際社会と共に,難民問題を含む世界の人道危機に積極的に取り組んでいきます。

(了)