[文書名] 核兵器の全面的廃絶の国際の日に関する国連総会会合岸田外務大臣演説
リュッケトフト国連総会議長,
御列席の皆様,
はじめに,リュッケトフト国連総会議長を始め,本件会合の開催に尽力された関係者の皆様に謝意を表します。
議長,
70年前,私の故郷,広島,そして長崎に原子爆弾が投下され,一瞬にして20万人以上の尊い命を奪いました。被爆から70年の節目に,日本は,核兵器のない世界への決意を新たにします。
NPT体制は深刻な挑戦に直面しています。しかし,国際社会の平和と安定のためにNPTが果たす役割はますます大きくなっています。国際社会は,この挑戦をむしろ核軍縮・不拡散を進めていく格好の機会ととらえ,努力を傾注していくべきです。2015年NPT運用検討会議では,最終文書案が採択できず大変残念でしたが,今やるべきことは,NPT体制の更なる強化に向けて努力し,次回のNPT運用検討会議の成功につなげることです。日本は,引き続き,そのために最大限努力していく決意です。
議長,
核軍縮を進めるためには,核兵器国と非核兵器国が協力しながら,具体的かつ実践的な措置を着実に積み重ねることが何より重要です。
このような観点から,私は,2015年NPT運用検討会議において,①核戦力の透明性確保,②あらゆる種類の核兵器の更なる削減及び核兵器削減交渉の将来的な多国間化,③核兵器の非人道的影響の認識共有と結束,④世界の政治指導者・若者の広島・長崎訪問,⑤地域の核拡散問題の解決を訴えました。
日本は,こうした考えを実現させるべく以下の4つの項目からなる取組を行います。
まず第1に,今秋の国連総会第一委員会に,日本の考え方を踏まえた新たな核兵器廃絶決議案を提出します。多くの国の賛同を得たいと考えています。このため,軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)パートナーとともに,積極的に取り組んでいきます。
第2に,日本は,カザフスタンとともに,発効促進共同調整国として,CTBTの早期発効に向けた取組を主導します。
第3に,明年4月に広島で開催するG7外相会合を含め,様々な機会に世界の政治指導者を含む多くの方々の被爆地訪問を呼びかけます。
第4に,北朝鮮による核・ミサイル開発の継続は,国際社会全体の平和と安全に対する深刻な脅威であり,日本はこれを強く非難します。日本は,北朝鮮に対して,挑発行動の自制及び2005年の六者会合共同声明や関連安保理決議の遵守を求めます。
議長,
本年,被爆者の平均年齢がついに80歳を超えました。被爆者は,被爆の記憶を風化させない,核廃絶を成し遂げたいという強い思いを持っています。私は,その強い思いを,世代と国境を越えて継承し,「核兵器のない世界」の実現に向けて,新たな決意で取り組むことをここに誓います。
御静聴ありがとうございました。