データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 岸田外務大臣スピーチ拡大カルテット会合

[場所] 国連本部
[年月日] 2015年9月30日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

今般の会合の開催に敬意を表します。

ここにいる参加者の皆様と同様,私も,中東和平プロセスが停滞していることを大変残念に思います。

中東和平問題は,あまたある域内の情勢の中でも,最も重大かつ緊急に取り組むべき最優先課題の一つであることを改めて強調します。

今必要なことは,国際社会の英知を結集し,中東和平プロセスを今一度動かすべく,当事者を後押しすることです。

和平プロセスが停滞する中,国際社会による働きかけを停滞させてはならないと考えます。

この観点から,現在の行き詰まりを打破するための新しいアイデアを検討していくべきだと考えます。

私は,この場で2つのことを強調したく思います。

第一に,中東和平問題の打開には,政治的な取組に加え,今まで以上に経済・社会的な開発が必要であるという点です。

パレスチナでの持続可能な経済の実現は,2国家解決の基礎となるものです。

同時に,パレスチナの人々が,「絶望」ではなく,「希望」を見いだすことで,過激派の伸張と暴力の連鎖を防ぐことになります。

また,厳しい人道状況におかれているガザに対し,国際社会が復興のみならず,開発へと続く切れ目のない支援を実施していくことが必要性です。

こうした観点から,日本は,新たにパレスチナに対しておよそ1200万ドルの支援を実施します。また,経済発展の多様な経験を有するアジア諸国を巻き込むことも有益です。

日本が立ち上げた「パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合(CEAPAD)」参加諸国との連携を模索すること

も,今後の検討課題だと考えます。

第二に,和平プロセスを推進するためには,既存の枠組みにとらわれず,より幅広い国々を動員し,継続的にプロセスを支える体制を構築して国際社会全体が後見役となることが不可欠だという点です。

来年は日本にとって,G7議長国の役割を担います。中東和平についても,国際社会と協力しながら,一層積極的に貢献し,創造的な知恵を出していく決意です。

(了)