データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] TICAD VI テーマ別会合3(繁栄の共有のための社会安定化の促進) 岸田外務大臣ステートメント

[場所] ケニヤッタ国際会議場(KICC)
[年月日] 2016年8月27日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 共同議長から,安定した社会の基盤としての制度の必要性につき提起があったことを歓迎します。先月,私は国連安保理において,「アフリカにおける平和構築」をテーマに公開討論を主催いたしました。その際に焦点を当てたのが,まさに制度構築の重要性です。

 公開討論において,私は,今後のアフリカにおける平和構築の鍵となる要素の一つとして,人材育成の重要性を強調しました。天然資源の乏しい日本は,人は最も重要な資源であることを身をもって知っており,TICADプロセスにおいても,様々な分野において人材育成の重要性を強調しています。平和維持・平和構築分野において,日本はアフリカ自身の能力向上を支援するため,アフリカのPKO訓練センターに対する支援を行い,平和維持・平和構築人材の育成に貢献してきています。

 また,制度を実際に機能させるための人材の育成に向けた協力を今後も強化していく考えであり,例えば,法制度に関わる人材育成の促進のために,アジア・アフリカ法律諮問委員会(AALCO)と協力していきます。

 国境を越える犯罪等の脅威がアフリカにおいても高まる中,とりわけ確実な国境管理の重要性は注目されるべきです。一方で,国境管理の強化が,迅速なヒトやモノの移動を妨げることがあってはなりません。このような,ともすれば相反する要請に対応するためには,革新的な技術を活用することが効果的だと考えます。日本は,そのような技術を有する日本企業とも連携して,効果的な国境管理や治安維持を支援してきています。

 日本としては,このような人材育成や先端技術の活用などといった日本らしさを,アフリカの平和・安全保障分野で多大な貢献を行うAUや地域経済共同体(RECs)等の地域・準地域機関と協力・連携し,活かしていきたいと考えています。

 最後に,今般,日・AU議連を代表して西村康稔衆議院議員が会合に参加しているので,この機会に御紹介させていただきたいと思います。ありがとうございます。