データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第8回包括的核実験禁止条約(CTBT)フレンズ外相会合における岸田外務大臣ステートメント

[場所] NY
[年月日] 2016年9月21日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

御列席の皆様,

 本日,署名開放20周年の重要な年に,皆様の御出席を得て,CTBTフレンズ国とともに本会合を開催し,実りある議論を行えたことを大変嬉しく思います。

 特に,今年は,ミャンマー及びスワジランドの批准により批准国が【166】か国となり,条約の普遍化が一層進みました。これは,CTBTの早期発効に向けた機運を高めるものであり,高く評価します。

 日本は,国際監視制度(IMS)が有効に機能していることに加えて,ゼルボ事務局長の強いリーダーシップの下でCTBTOがIMSの整備にたゆまぬ努力を行っていることを高く評価します。

 今般,北朝鮮は5回目となる核実験を行いました。これは,国際社会の平和と安定に対する深刻な脅威であり,国際的な軍縮・不拡散体制への重大な挑戦です。北朝鮮に対して最も強い言葉で非難するとともに,関連安保理決議等を完全かつ速やかに遵守するよう求めます。また,国連加盟国は2270号を含む一連の安保理決議をしっかりと実施していく義務があります。日本は,更なる制裁措置を含む新たな安保理決議の採択に向けて,関係国と緊密に連携する考えです。

 北朝鮮に対する国際社会からの非難は,核実験の禁止が事実上の国際的な規範であることの証左であり,これを法的義務として確立するために,CTBTの早期発効が不可欠です。そのためには,発効要件国の批准が不可欠であり,批准に向けて更なる努力を行うことを求めます。

 日本は,核軍縮を推し進めるに当たっては,核兵器国と非核兵器国とが協力し,現実的・実践的な措置を講じていくことが重要と考えています。そして,CTBTはその中核となる措置の一つです。

 広島出身の外務大臣として,核軍縮の推進に向け着実に歩みを進めていきます。この観点から,本年12月に日本は,国連と共に長崎において核軍縮に関する国際会議を開催し,今後の核軍縮の方途について議論を深めたいと考えています。

 最後に,CTBTの早期発効に向け,国際社会が引き続き引き続き力を合わせ努力していくことを確認して私の挨拶を終わります。