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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「青年海外協力隊平成29年度第2次隊派遣前訓練修了式」における外務大臣祝辞

[場所] 
[年月日] 2017年9月13日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 隊員の皆さん,本日は70日間にわたる派遣前訓練の修了,誠におめでとうございます。

 この新しい門出に当たり,心からお祝い申し上げます。皆さんは,晴れて青年海外協力隊員として各々の任国に向けて出発されることになります。任国では,今日までの厳しい訓練の間に学んだ,語学や任国に関する知識を活かして活動に取り組んでいただきたいと思います。

 現地の人々と生活を共にし,草の根レベルで活動するJICAボランティア事業は,日本の国際協力の中でも,特に「顔の見える日本らしい開発協力」として,国内外で高く評価されており,まさに「日本外交の宝」です。昨年7月にはアジアのノーベル賞とも言われるフィリピンの「ラモン・マグサイサイ賞」を受賞しました。このことは,半世紀以上にわたり,皆さんの諸先輩方が任国の人々と共に暮らし,考え,働き,国際社会の平和と国際連帯の構築に尽力されてきたことの賜です。

 任国での活動の中では,様々な苦労があると思いますが,皆さん,お一人お一人が日本の代表としての自覚と誇りを忘れず,各派遣国で活躍されることを期待しています。また,多くの場合,皆さんが活動する国の人々にとって,日本人と直接接する機会は非常に貴重なものです。活動を通じて,勤勉さや礼儀正しさといった日本人が有する優れた特質や価値を,現地の人々に感じていただく機会にもしていただきたいと思います。

 また,途上国でのボランティア活動には,安全の確保と健康管理が必要不可欠です。皆さんが活動する途上国を取り巻く環境が日々変化する中,外務省とJICAは皆さんの身の安全を確保すべく,派遣国の治安情報の提供,現地での連絡体制の強化などに一層力を入れて取り組んでいます。しかし,皆さん自身の安全への十分な意識なしに,安全の確保はできません。皆さん自身が「安全はタダではない」「自分の安全は自分で守る」という意識を常に心に刻み,日々の活動に励んでください。皆さんが,貴重な経験を積まれて元気な姿で帰国されることを心から願っています。

 最後に,この訓練が,多くの地元の方々からの御理解と御支援を得て成り立っていることに,改めて謝意を表しますとともに,皆さんの御活躍を期待しまして,私の挨拶とさせていただきます。

平成29年9月13日

日本国外務大臣

河野太郎