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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「平成31年北方領土返還要求全国大会」河野外務大臣挨拶

[場所] 
[年月日] 2019年2月7日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

 本日お集まりの皆様におかれては,日頃から領土問題の解決に向けた環境整備,国民世論の啓発と結集のため,様々な活動に御尽力いただいており,心から感謝申し上げます。

 日露間の最大の懸案事項である北方領土問題が今もなお解決されておらず,日露間の平和条約が締結されていないことは誠に遺憾であります。

 昨年11月,安倍総理とプーチン大統領はシンガポールでの会談で,1956年共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させることで合意し,続く12月に行われた首脳会談の結果,私とラヴロフ・ロシア外務大臣が,平和条約交渉の交渉責任者となりました。

 これを受け,本年1月,私とラヴロフ大臣との間で,第一回目の交渉を行いました。平和条約締結問題は,長年にわたり未解決の困難な問題ではありますが,この問題に自らの手で終止符を打つという両首脳の決意を踏まえた真剣な議論を,時間をかけて,ラヴロフ大臣との間で行いました。また,元島民の方々がふるさとを訪れる際の負担の軽減についても,引き続きラヴロフ大臣に働きかけを行いました。

 政府としては,今後ともロシアとの政治対話を積み重ねつつ,領土問題を解決し,平和条約を締結するとの一貫した方針の下,引き続き精力的に交渉に取り組む決意です。元島民の皆様が高齢となられている現実を踏まえ,この問題を一刻も早く解決する必要があるとの強い思いを持っております。また,北方四島における共同経済活動についても,早期実現のために共同作業を着実かつ迅速に進展させてまいります。

 1956年共同宣言には,まさに私の祖父・一郎が,日本政府の全権代表の一人として署名いたしました。その思いを引き継ぐ者として,そして交渉責任者として,一層尽力してまいります。

 我が国がロシアと交渉を進めていく上で,領土問題解決にかける日本国民の総意を明確に示し続けることが重要です。領土問題の解決,そして平和条約の締結に向け,引き続き皆様の御支援と御協力を賜りますことを改めてお願い申し上げ,私からの決意の御挨拶とさせていただきます。

平成31年2月7日 外務大臣 河野太郎