データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 国連創設75周年記念ハイレベル会合における茂木外務大臣のビデオメッセージ

[場所] 
[年月日] 2020年9月22日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

議長、皆様、

 国連創設から75年。世界は大きく変わりました。新型コロナウイルス感染症を挙げるまでもなく、多国間主義を通じた対応が求められる危機は、多様化し、また規模を拡大しています。国際社会を結束させる国連の存在意義はかつてなく高まっています。

 我々、国連加盟国は、現状に安住することなく、国連諸機関と緊密に連携し、ポスト・コロナを見据えた国連改革に真剣に取り組む必要があります。グテーレス事務総長は、国連を一層効果的なものとすべく、改革を進めています。本年、これが更に前進することを強く期待します。この点、国連開発システムの改革は、最も脆弱な人々を取り残さない観点から重要な課題です。

 より強い国連を実現するためには、安保理の改革もこれ以上先送りにしてはなりません。残念ながら、75年前に創られた制度は、憲章に定められた目的を十分に果たしているとは言えません。実効的で代表性のある機関とするためには、重責を担う能力と意思を持つ国が拡大された安保理にその席を占めるべきだと確信しております。日本は、常任理事国として、真摯にこの責務を果たし、平和で安定した国際社会の実現に貢献していく覚悟であります。本ハイレベル会合の宣言で、我々は、安保理改革の議論に新たな命を吹き込むことを誓いました。前進の道を切り拓くため、全ての加盟国に対し、テキストに基づく交渉を開始することを呼びかけます。

議長、

 本年は、広島・長崎への原爆投下から75年という年でもあります。国連が、戦争の惨害から将来の世代を救うために創設されたことを心に刻まなければなりません。この目標を、将来にわたって達成させるため、日本はあらゆる努力を惜しみません。我々の望む未来。我々の手で、ともに作っていきましょう。

 ありがとうございました。