[文書名] 令和5年「北方領土返還要求全国大会」林外務大臣挨拶
皆様におかれましては、日頃から、北方領土問題の解決に向けた、国民世論の啓発と結集のために様々な活動に御尽力いただいており、心から感謝申し上げます。
北方領土問題は日露間の最大の懸案事項であり、日本政府として、この問題を解決して平和条約を締結するとの方針の下、これまで粘り強く交渉を進めてきました。
しかし、昨年2月、ロシアは我が国を含む国際社会からの働きかけを無視し、ウクライナに対する侵略を開始しました。ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であり、そのような行動には、高い代償が伴うことを示していくことが必要です。我が国は、G7を始めとする国際社会と緊密に連携し、厳しい制裁措置を迅速に実施してきています。
こうした中、昨年3月、ロシア政府は、ロシアによるウクライナ侵略に関連して日本が行った措置を踏まえて、平和条約交渉を継続しない、四島交流及び自由訪問を中止する等の措置を発表しました。また、9月には、四島交流及び自由訪問に係る合意の効力を停止する旨の政府令を発表しました。しかし、現下の事態は全てロシアによるウクライナ侵略に起因して発生しているものであり、日本側に責任を転嫁しようとするロシア側の対応は極めて不当であり、断じて受け入れられません。
ロシアによるウクライナ侵略によって日露関係は厳しい状況にありますが、政府としては、領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持していく考えです。また、北方墓参を含む四島交流等事業の再開は、今後の日露関係の中でも最優先事項の一つであり、政府として、一日も早く本件事業が再開できるような状況となることを強く期待しています。今日、皆様と一緒に過ごした時間を胸に御高齢になられた元島民の方々の思いに何とか応えるべく、取り組んで参ります。
領土問題の解決、そして平和条約の締結に向け、引き続き皆様の御支援と御協力を賜りますよう改めてお願い申し上げます。
令和5年2月7日
外務大臣 林芳正